No.1180919

再・恋姫†無双~紅色の向こう側~第四節 「天の御使い」

さん

続けて第四節も投稿

2026-01-21 21:28:41 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:43   閲覧ユーザー数:43

 

 

横島は彼女が名乗った三国志の英雄と同じ名前を聞き呆然とする。

その間に残りの三人も自己紹介をしていく。

 

「私は姓を楽、名を進、字を文謙と申します」

「ウチは姓を李、名を典、字は曼成や」

「私は姓を干、名を禁、字は文則と言うの」

「あ、後ここには居らんけど仮軍師として荀彧っちゅー奴も居るで」

 

(し、蜀の劉備に魏の楽進、李典、干禁、それに荀彧?ど、どーなってるんだ?)

 

「あの~、それで貴方の名前は?」

「あ、ああ。俺の名は横島忠夫だ、横島が姓で忠夫が名前。字という物は俺には無いよ」

「では横島様。もしかして貴方も天の御遣い様なのではないですか?」

「天の御遣い?何だい、それ?」

 

第四節「天の御使い」

 

横島が彼女達に話しかけると劉備と名のった名のった女の子が答える。

 

「この荒れた大陸を平和へと導く人の事です」

「荒れた大陸?」

「はい、今この大陸は荒れ放題なんです。飢えた農民達は賊へとその身を落とし、さらに自分達より弱い人達を襲い食料やお金を奪っていく。……弱く、力の無い人達はただその暴力に怯え、耐え抜く事しか出来ない……」

「その上、朝廷のお偉いさん達はそんな苦しんでいる民の事なんか見向きもしないで自分達が裕福に暮らす事しか考えず、貧しい人達から重税を絞り取っていくんや!」

「我々の邑も賊達に襲われて……」

 

そう楽進と名乗った子が呟き、今までの事を語って行く。

 

「私達の邑はあまり裕福とは言えませんでしたがそれでも皆が助け合い、平和に暮らしていました。ある日、私達は邑の皆が作った籠を売る為に栄えていた街に巡業に出ていました」

「籠は無事に全部売る事が出来て食料などを買い込み、私達は邑に帰ったの。でも……」

「そこでウチらの目に飛び込んで来たのは……賊に荒らされた無残な邑の…なれの果てやったんや……」

 

そんな邑の惨状を思い出したのだろう、彼女達の目からは涙があふれていた。

 

「私達は同じ様に邑を滅ぼされた者達と手を組み義勇軍を作りました。そしてある村で桃香様と出会ったんです。桃香様は怯えている村人達を庇うように賊達に対峙していました」

「せやな、もっとも涙目で足腰ガタガタで構えとる剣もブルブル震えとったけどな」

「正直、全然かっこよくなかったの~」

「うう~、そんなにはっきり言わなくても……」

 

三人は涙をふき、話を続けていく。

 

「私達は賊共を倒した後、桃香様に聞きました。何故こんな無茶をしたのか、何故逃げなかったのかと」

「そしたらなんて答えたと思う?」

「『私なんかに皆を助ける事は出来ないと思った。でも逃げたくなかった、何もせずに逃げたら困ってる人達を助けられない、それは弱い人達を襲う悪い人達と同じ事だと思ったから』……桃香様はそう言い、その言葉は我々の胸を貫きました。そして私達は思ったんです、この人は弱い、武など持ち合わせてはいない、でもだからこそ誰よりも強いと」

「だから私達は桃香様に忠誠を誓ったの~」

「はうう~~、て、照れくさいよ」

 

そんな時に管輅と呼ばれる占い師が流した『天より舞い降りる二つの流星あり。片や、眩く輝く白き衣を身に纏い、片や眩く輝く光の剣を持つ。それは乱世を正す為に来たりた天の御使いなり』という占いが流れた。

 

そして二月(ふたつき)程前に幽州に流星が落ち、その後からこの大陸には天の身遣いの噂が流れる様になって来た。

 

その名は北郷一刀と言い、今は琢群琢県の県令として民を導いているとの事らしい。

 

(成る程、此処は三国志の時代でおよそ1800年前と言った所だな。たぶんあの時空間バリヤーの一部がこの世界に繋がっていて其処に俺が偶然飛び込んだせいでこの世界に来てしまったと言う訳か。それに北郷一刀、俺と同じく現代から来たらしいな)

 

「話はある程度解った。それで俺に何をしてほしいんだ?」

「横島はんには天の御遣いとしてウチらと一緒に闘うてほしいんや」

「闘う?」

「はい。民の皆はこの乱世の中で今一つの希望にすがっています。乱世を収め、大陸を平穏な世界へと導くという天の御遣いの存在に」

「先ほど言った通り、管輅の占いには天の御遣いは二人おり、流星と共に降りて来るとの件(くだん)がありました。先程も申しましたが一つは二月前に幽州の方角に降りて行き、そして先日此処、荊州にも流星が降りて来ました。その場所に寝ていたのが」

「俺…と、いう訳か」

 

横島はおおよそだが今自分が置かれた事態を理解した。

もっとも、横島をこの外史へと送ったのは卑弥呼なのだがそれは彼の知らない事である。

しかし、彼女達の期待を受け入れるには彼の心は疲れ切っていた。

 

「どうなんでしょうか?横島様」

「…期待を裏切って悪いけど俺はそんな大層な人間じゃない。たった一つの約束すら護れない…ただの役立たずだよ」

「横島様……」

「ごめんね、劉備ちゃ…さん」

「そう…ですか……」

 

俯き謝る横島に項垂れながら応える桃香を見て凪達は横島を責めようとするが、彼の表情から思い止まった。

”護れなかった”と言うのは、彼女達もまた同様なのだから。

 

「御遣いとやらにはなれないけど雑用位なら手伝えるからさ、何かあったら言ってくれていいよ」

「はい、その時はお願いします…」

 

話はそこで終わり、横島は散歩をして来ると外へ出て行った。

 

「…やっぱり、ダメだったみたい。私達には天の導きは無いのかなぁ」

「桃香様、気を落とさないで下さい。貴女には我々が付いています!」

「そやで、凪の言う通りや!」

「私達も頑張るから桃香様も頑張るの~~」

「ほほ~、つまり二人共これからはサボリなどせず、真剣に仕事に打ち込むと言う事なのだな」

「げっ、しもうた!」

「うう~~、薮蛇なの~~」

「ぷっ、あはははは。…これからもよろしくね、三人共」

「「「はい(なの~)」」」

「しかしあの兄ちゃん、ホンマに天の御遣い様かいな?光る服も着てひんし、光る剣も持ってないみたいやし」

「でも私はあの人は間違いなく御遣い様だと思う。何故かそう信じられるの」

「桃香様…、ともかく少し様子を見るとしましょう」

「そうだね」

 

 

―◇◆◇―

 

『わーーい、わーーい』

『こっちにおいでーーっ!!』

『待てーーっ!!』

 

そしてその頃横島は一人で歩きながら邑の中で遊んでいる子供達を見つめていた。

邑の中に建っているのは家と呼ぶには余りにも粗末な……、悪く言えば掘っ立て小屋の様な物が十数軒ほどあるだけの、此処は本当に小さな邑であったが、義勇軍が居る為か此処に暮らす人達は穏やかな表情をしている。

 

(俺が居た時代に比べると本当に質素な暮らしだ。……それでも皆は笑っている、そしてこんなささやかな幸せさえも奪い、踏み躙ろうとする奴等が居る……。でも俺に何が出来る、俺なんかに)

「天の、御遣いか…」

 

そんな事を考えている横島の所に一人の少女がやって来た。

 

「ねえねえ、おにいちゃん。おにいちゃんはだあれ?」

「え?……ああ、俺か?お兄ちゃんの名前は横島忠夫だよ」

「よこしまただお?よこがせいなの?」

「横が姓?ああ、横島が姓で忠夫が名だよ」

「ふ~ん。さやはねえ、さやかっていうの」

「さやか…、さやちゃんか。いい名前だね」

 

そう言い横島が頭を撫でてやるとその鞘花(さやか)という女の子は顔を赤くして照れている。

 

「えへへ、ありがと」

 

鞘花が照れていると、そこに他の子供達がやって来た。

 

「鞘花、何やってるんだ?」

「その人だれ?」

「えっとね、よこしまのおにいちゃんだって」

「ふ~~ん、あそんでくえゆの?」

 

子供達はいろんな視線で横島を見て来る。

遊んでほしいのかなとそう感じた横島が辺りを見回すと家の壁に数本の竹が立てかけてあるのを見つけると近くを通りかかった男に声を掛ける。

 

「おっちゃん。ここにある竹、少し貰っていいかな?」

「ん?ああ、別にかまわんよ」

「よし、待ってろよ。今からいい物を作ってやるからな」

 

そして横島はポケットからナイフを取り出すと竹を割って削っていく。

 

(そう言えば碌な遊び道具も無かったケイにもこうやって作ってやったっけ)

 

猫又の親子を思い出し、少し口元がゆるむ。

 

(確かあの親子も住む所を追い立てられてたんだったな。彼女達だってただ、静かに暮らしたかっただけだ。たったそれだけを望んでいたのに勝手な思惑で住んでいた所を追い出された)

 

「なあ、兄ちゃん。それ何だ?」

 

一番年上だろう、男の子が出来上がった竹トンボを指さし聞いて来る。

 

「これは竹トンボっていってな、こうやって遊ぶんだ。それっ」

 

横島が竹トンボを飛ばすと子供達は目の色を変えて驚いている。

 

「すげーーっ!飛んでるぞ!」

「とんでゆ、とんでゆ!」

「おにいちゃん、すごい!」

「ほしい、ほしい。ちょうだい!」

「あっ、ずるいぞ。オイラだって欲しいのに」

「こらこら。喧嘩しなくたってちゃんと皆に作ってやるよ」

「ほんと、やったーー!」

「兄ちゃん、早く、早く」

「分かった分かった、慌てるな」

 

横島はせかされながらも人数分の竹トンボを作っていき、子供達は作ってもらった竹トンボで遊び出す。

 

「わぁーー、すっげーーー!」

「オイラのが一番高く飛んだぞ」

「ちがわい、オイラのだ」

 

男の子達は其々竹とんぼを飛ばした高さを競い合い、高く飛ばす事が出来ない女の子達も楽しく遊んでいる。

そんな子供達を見ている横島の表情には、

 

「はははは、…あれ?俺、今……笑ってた?」

 

この世界に来て始めての笑みが浮かんでいた。

 

 

《続く》

(`・ω・)オイラが恋姫を書こうとする度に何故かやって来る女の子、それが鞘花です。

一刀の娘だったり、オリ主の義妹だったり。

ちなみに一刀と横島の間には時間軸に差異があり、一刀は魔神大戦の事は知りません。

あ、彼の家族と友人達は無事です。


 
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