ダリル・グリネマイヤー(Darryl Greenamyer)さんは1936年生まれの元米空軍パイロットで ロッキード社のテストパイロットとして勤めていたそうだ。1964年9月12日の第一回リノ・エアレースに、20年以上も前の大戦機が並んでいるなか、大戦終了後に製造された グラマン社の最大速度 732 km/hである「F8Fベアキャット」を改造した 「コンクエスト・ワン」（キャノピーを超小型水滴キャノピーに換装、主翼は折り畳みを廃して固定翼にし、大直径のA-1スカイレイダー攻撃機のプロペラに換装、油圧系を取っ払い 脚の引き込みを１回きりの液体窒素駆動にして軽量化を計るなど）を、本気で優勝を狙いに行くレーシング仕様にカスタムしてレースに出たそうだ。カスタムの効果は抜群で トップでフィニッシュラインを切ったが、土埃に包まれた未舗装の滑走路に降りることを嫌い、主輪だけ接地して再離陸し 舗装滑走路のあるリノ・タホ空港に着陸したため、失格判定となったという。僕は このベアキャットと震電が競ったら面白いのにと夢を見る。　2023年9月に開催されたエア・レースがリノで行われる最後となり、2024年には、エア・レースの60周年を記念する航空ショーのみの開催となった。ネバダ州リノで開催されていた「リノ・エアレース」の継承先はニューメキシコ州ロズウェルに開催地を移して再始動することに決まり、2025年は9月10日から14日までが予定されていたが、メインの「アンリミテッドクラス」は辞退中止となっている。「アンリミテッドクラス」とは、P-51「マスタング」やF8F「ベアキャット」など、第二次世界大戦期のプロペラ戦闘機を高速化改造した機体でスピードを競うレースで、毎年ショーのハイライトとして注目されてきたが、主催者は今回の辞退の理由を明かしていない。新たな開催地ロズウェルにおいて、安全面または技術面でアンリミテッドクラスの要件を満たさなかった可能性があるらしい。しかし、複葉機による「バイプレーン・クラス」、第二次大戦期の練習機T-6「テキサン」を使用するワンメイクレース「T-6クラス」、指定されたジェット練習機による「ジェットクラス」など、他の名物レースはロズウェルに場所を移しても開催されるという。