No.1173365

犬のように人に媚びれば絶滅しない

新人さん

1936年9月7日にオーストラリアのタスマニア島にあるホバート動物園で、飼育されていた最後のフクロオオカミが死亡した。この種が絶滅したことに由来して1996年にオーストラリアで『絶滅危惧種の日』が制定されている。タスマニア島にヨーロッパ人が入植すると、フクロオオカミは 羊などの家畜を襲うという理由で虐殺されたらしい。 オオカミはおとぎ話でも世界中で悪者扱いされることが多い。アメリカでも、野生のアメリカアカオオカミが絶滅している。主な理由は、生息地の破壊、人間が害獣として駆除をした、コヨーテとの交雑による純血種の減少だそうで、1960年代には野生のアカオオカミが激減し、1980年に絶滅を宣言した。 赤ずきんちゃんのヨーロッパでも、同様な理由でハイイロオオカミが絶滅寸前までいったが 保護政策などにより、10年間で58%増えるという結果をだしている。しかし逆に、EU全体でオオカミによる家畜被害が年間5万6000頭にのぼり、補償費用は1700万ユーロ(約27億円)に達するらしい。オオカミに国境はない。人と共存するのは困難なようだが、「オオカミを守るか排除するか」ではなく、「どのように関わり合うか」だという。ヨーロッパでは現在も自然の回復力を活かしながらも 人間の暮らしとの調和を目指すために、そのバランスを探っているそうだ。 日本でも 送り狼という言葉があるように、悪いイメージのあるオオカミは人間に絶滅させられている。昔は神と崇めていたオオカミを 明治以降に絶滅させた理由は、狂犬病の蔓延、家畜被害による徹底的な駆除、生息地の開拓・開発による餌や住処の激減、毛皮目的の乱獲、文明開化の政策的な駆除によるそうだ。日本オオカミは明治38(1905)年に奈良県で捕獲されたのを最後に、その後絶滅したとされている。北海道のエゾオオカミも、銃や毒薬を使い駆除され、1900年頃には絶滅したと考えられているそうだ。日本のオオカミも 明らかに人間の過剰防衛により絶滅したといえる。 山の神オオカミが不在となった山は、鹿や猪が増えすぎて人里にも溢れてしまった。もう一柱の山の神であるクマも頻繁に里に出没するようになった。クマは本来、木の実などを主食とし、動物を襲って肉を食べる例はそれほど多くないとされていたが、国がエゾシカの保護政策を取ったため天敵のオオカミがいなくなったシカは異常に増え、クマの分まで木の実を食いつくす。主食を奪われたクマは他の食料を求めるようになる。あるものは里で人の食料を荒らし、あるものは動物を襲うようになる。従来クマはシカを襲わず、罠にかかり死んだシカを食べていると考えられていたそうだ。しかし最近は エゾシカはヒグマにとっての主要な獲物のひとつであり、ヒグマはエゾシカを狩猟して食べているという報告がある。ヒグマが牧場の牛ばかり襲っていた事件もあった。将来的にはヒグマも二極化して、あるグループは北極熊のように完全肉食に進化して、アザラシ等も襲うようになるかも知れない。オオカミが抜けた食物連鎖のピラミッドの頂点を埋めるのだ。 おそらく 何かの種が絶滅しても 他の種がその穴を埋める仕組みが自然にはあるのだろう。人間がどんなにあがいても自然は揺るがない。これからますます日本人が減少して絶滅したとしても 自然は何も困らない筈だ。

2025-09-07 15:26:42 投稿 / 978×734ピクセル

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