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No.1171920
だぶまんさん
評価が増えたら再更新しようかと。 K.6「呼吸」(AIが要約) 「また……あの夢だ」
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少女Qは汗ばんだ額を手でぬぐいながら、重く息を吐いた。最近、夜になると決まって同じ悪夢にうなされていた。 それは、かつて彼女がいたはずの“家”——優しい父と、あたたかな母。そして幸せに笑っていた幼い自分。だが、その光景は突如として破壊される。クイックボーグと、黒衣の男・ウルティマヘヴンが現れた瞬間、すべてが地獄に変わる。父は娘を庇って立ちはだかるも、無慈悲に叩き伏せられ、母は叫びとともに連れ去られてしまうのだった。 ──なぜ? どうして? ベッドから跳ね起きたQは、静まり返った艦内に耳を澄ます。誰にも話せないその夢。いや、話すべき相手すらいない。今の彼女には、過去の記憶すら曖昧なのだから。 やがてQは、そっと乙女の棺の操縦席へと向かう。彼女が唯一、心を許せる場所。そして問いかける。 「私は……いったい、何者なんだろう」 その時だった。無人のはずのディスプレイがふいに明滅し、無機質なフォントで、こう表示された。 《知らない》 「えっ……!? あなた……喋れるの?」 Qの驚きに応じるように、乙女の棺を通してキュービーが再び答えた。 《もちろん》 少女は一瞬たじろぎながらも、まるで旧友に語るかのように夢の内容を語った。家族のこと、クイックボーグとウルティマヘヴンのこと、そして自分が何者なのかを。 乙女の棺はしばらく沈黙したあと、静かに応える。 《あなたの正体は、わたしにも分からない》 「……そっか」 《ただし、記録では、クイックボーグとウルティマヘヴンは“正義の味方”だ》 「……は?」 少女は思わず声を上げる。自分の家族を襲ったのが、正義の味方? じゃあ、自分たちは“悪”だったというの? ますます混乱するQ。目の前の現実と、語られる過去の矛盾。そのギャップが、彼女の心に渦を巻かせていく。 だが、答えが出る前に、突如として艦内にアラートが鳴り響く。 「これは……敵襲?」 揺れる床、点滅する警告灯。乙女の棺が、再び光り始める。 《……呼吸を整えて》 「え?」 《あなたが揺らぐと、わたしも揺らぎます。あなたの心が、わたしの中に響いているのです》 少女は息を呑む。そして、操縦桿に手をかける。自分の“正体”はまだ見えない。でも、ここに“繋がっている”ものがある。それだけは確かだった。 「……うん、分かった。いまは、呼吸を整える」 まるで、戦う理由をひとつ見つけたように。 少女の瞳に、静かに火が灯った。 次回 http://www.tinami.com/view/1171969 前回 http://www.tinami.com/view/1171919 関連 http://www.tinami.com/view/1168795
2025-08-09 04:46:10 投稿 / 1000×1000ピクセル
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評価が増えたら再更新しようかと。
K.6「呼吸」(AIが要約)
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