No.1111053

【サイバ】アクアプラネット物語 ジャンピーマリン~怪奇!海に消える乙女たち(後編)【交流】

古淵工機さん

2023-01-07 18:09:35 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:324   閲覧ユーザー数:320

さて、現場周辺の海域。

「……確か目撃情報だとこのあたりの海域のはずよ」

いつになく引き締まった表情のホッピーとは対照的にどうも半信半疑な顔のジャンピーであった。

「でもホッピーさん、本当にあいつら現れるんでしょうか?」

「大丈夫よ、複数の目撃証言を基に割り出した場所なんだから。現れるとしたらこのポイントに違いないわ」

 

自信満々のホッピーに、今度はリフティが質問する。

「でも犯人が現れた場合、だいじょうぶなんですか?」

「あら、このアクアプラネット一の美女であるホッピーちゃんを心配してくれてるの?」

「いや、ホッピーさんでなくて……」

リフティはすぐ後ろをついてきた今井浜瑠美をちらりと見る。

 

「え……?」

「ほら、瑠美ちゃん今カワウソ型のセリアンスロゥピィだし……」

「ふーーーーん、今夜はアシカ肉のカレーに決まりね?」

「ぴぎゃー!?」

またしても激突!女の戦いというのは生々しいものである。

 

などとやっていたその時だった。

「いやぁ!こっちに向かってくるわ!!」

「瑠美ちゃん!!」

「そうか!あの黒いボートが犯人か!!やめろーっ!!」

とっさに突撃していくジャンピー。しかし……。

 

「オスに興味はねえ!どけぇっ!!」

「へぶりゃ!!」

あまりに理不尽な怒号とともに船に弾き飛ばされるジャンピー。

 

「ジャンピーさん!?」

「……ナイスドジ、ジャンピー」

「言ってる場合ですかホッピーさん!そっち来てますよ!!」

「そうだったわね!さぁー覚悟なさい!!」

瑠美を捕まえようとする不審船に近づくホッピーだが……!

 

「よせホッピー!その角度からでは!!」

「え!?」

ファスティが叫んで引き留めようとするも間に合わず、電磁ネットがホッピーをとらえてしまった!

 

「ぐっ……何よこれ!!」

「ちぇ……あのカワウソの子には逃げられっちまったか。よりによってこんな気の強そうなじゃじゃ馬女が」

「なんですって!誰がじゃじゃ馬よ!」

「まあいい、性格はアレだろうが美女であることに違いはねえ。連れていけ!」

「あっ、ちょ――」

なんと船はホッピーを掴んだまま潜航してしまったのだ!!

「……瑠美ちゃん!大丈夫?」

「ジャンピーさん!」

「しかしホッピーさんが連れていかれちゃいましたけど……」

 

数秒の沈黙。

 

「……よし!助けに行こう」

「おい、今の()はなんだジャンピー」

さて、海底には何やら巨大な構造物が横たわっていた。

「くっくっく、お目覚めかい嬢ちゃん」

その中の一室でホッピーは目を覚ました。

「……ここが例のアジトってわけね。あんたたちはいったい何が目的なの?身代金?」

「いやぁ、俺たちの目的は金じゃねえ」

「じゃあ今まで捕まえた子たちを売り飛ばしでもするつもり?」

「残念だがそれもアウトだ。俺たちの目的はなあ……」

 

その外側に貼りついているファスティ、ジャンピー、リフティ、瑠美。

「……よし、ここを開けて中に入ったらドアを閉めて入口の水をいったん抜くぞ」

「はい!」

ファスティの合図とともに内部へと進入していく3人。

やがて通路を歩いていくと……。

 

「待ってください、何やら物音がしますよ」

「なんだ?話し声のようだな……」

「聞いてみましょう!」

ジャンピーは壁に顔を近づけてその声を聴いてみる。すると……。

『……カワイ子ちゃんを集めてえっちなクラブ作って大儲けってわけだ!』

「「「「だっしゃあーーーーー!!!???」」」」

勢いよく転んだジャンピー以下4人。その勢いで壁が破れてしまった!!

 

「なっ!?なんだなんだてめえら!!」

「あら来てたの?こいつらくらいあたし一人でコテンパンにできてたのに」

手足の拘束を引きちぎりながら冷静なホッピー。

 

「言ってる場合じゃないでしょ!?」

「まずはこいつらをなんとかするんだ!!」

すぐに戦闘態勢に入るアクアプラネットの面々。

 

「くっそぉ!やっちまえ!!」

「なにを!返り討ちだい!!」

向かってくる手下たちをちぎっては投げちぎっては投げ、ジャンピーの投げ技がさく裂していく。

 

「ジャンピー!そういえばリフティと瑠美はどーしたのよ?」

「操舵室に行くみたいなこと言ってましたけど!」

「よし、俺たちは彼女たちを信じて戦うだけだ!!」

「ええい!よくも俺たちの計画を邪魔し……」

主犯格である黒髭のヒューマンの男がそう言いかけたその時、突如あたりが不気味に揺れ始めた!!

 

「わっ!わっ!おい!今は浮上するタイミングじゃねえ!」

慌てふためく黒髭男。その頭上にあったスピーカーから聞き覚えのある声が聞こえる。

『こちら瑠美!作戦成功です!』

「そうか!瑠美ちゃんたちがこの船のバラスト水(潜水用の重りとして使う海水)を抜いたんだ!」

さらにスピーカーからはリフティの声が聞こえる。

『上へまいります』

「エレベーターじゃないってのよ」

「ええい!すぐに浮上をやめろ!ほかの野郎どもは何してる!」

「何してるも何も……さっき俺たちがボコボコにしてたのを見てないのか?」

「あ……」

 

こうしてあっというまに浮上させられた潜水船はいつの間にやら巡視船に囲まれて、

黒髭男率いるド変態集団は為すすべなく御用になったのであった。

事件解決後。

スカイデッキでファスティからの報告を受ける城ヶ崎博士。

「ご苦労だった。捕らわれていた娘さんたちは元気で家族のもとへ帰っていったよ」

「ひとまずはこれで一件落着ですね。しかし……」

 

「はいジャンピーさん、あーん」

「あーん」

 

「……微笑ましいものですな」

「ああ、まったくだ」

 

かくして、恐ろしい陰謀は潰えた。

だが海は広い。いつだれがどんな悪だくみをしているかわからない!

負けるな!アクアプラネット!!


 
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