No.1078078

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第139話

2021-11-26 00:48:06 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:852   閲覧ユーザー数:681

 

 

攻略を再開したアリサ達が先を進み続けていると女性の声が聞こえて来た。

 

~月の霊場~

 

「フフ――――――戦意も十分か。」

声の主――――――オーレリア将軍は既に剣を構えて戦闘の態勢に入っていた。

「やはり貴女でしたか……」

「お忙しいところ、ご苦労様です」

「というか付き合い良すぎ。」

オーレリア将軍を目にしたセドリックは真剣な表情で呟き、ラウラは会釈し、フィーは呆れた表情で呟いた。

「フフ、本来なら”弟子”としてヴィクター師の件を何とかすべきだったが、結果私は師を見捨て、そなたらに任せる形になってしまったからな。ヴィクター師に挑みたくもあったが状況を考えると仕方あるまい。この場で試練の前座を務めるならまさに一石二鳥というものだ。」

「クク……相変わらず痺れる姐さんだ。」

「挑ませてもらいますよ、将軍閣下。」

「一対多数になっちまうがこちらも手は抜かねぇからな?」

オーレリア将軍の言葉を聞いたクロウは苦笑し、アンゼリカは表情を引き締め、アッシュは口元に笑みを浮かべて指摘した。

 

「クク……一対多数か。――――――だから何だというのだ?」

一方アッシュの言葉に一瞬苦笑したオーレリア将軍は不敵な笑みを浮かべた後膨大な黄金の闘気を身に纏った!

「なにぃ……!?」

「”黄金”の闘気……」

目にも見える程の凄まじい黄金の闘気を身に纏ったオーレリア将軍を見たアッシュは驚き、トワは呆けた。

「我が名は”黄金の羅刹”、それは剣や機甲兵が由来ではない。我が闘気と、用兵の鮮烈さを幻視した世人がいつしか称したもの。一剣士としてではなく――――――”将”としての輝きも含めてな。」

「……ッ!」

「そういうことか……!」

初めて知ったオーレリア将軍の異名の由来を聞いたラウラは目を見開き、ユーシスは真剣な表情で呟いた。

 

「ならばそなたらは全身全霊をもって我が試練を乗り越えるしかあるまい。激動の時代に君臨する”鉄血”に挑むためにもな……!」

「確かに彼の人物も尋常ではない”将”の器の持ち主……!」

「彼と同じ”重み”を受け止め、乗り越えるための試金石ね……!」

宝剣を突き付けたオーレリア将軍の言葉に対して仲間達と共に武装を構えたガイウスとサラは真剣な表情で呟き

「届かせていただく――――――オーレリア・ルグィン将軍!」

「最強の将にして剣士たる貴女に!」

ラウラとセドリックはそれぞれ真剣な表情で声を上げた。

「意気やよし――――――我が羅刹、戦場を蹂躙する黄金の軍神!我が宝剣アーケディアの前に揃って跪くがよい――――――!」

戦意を高めたアリサ達の様子を見たオーレリア将軍は宣言をした後アリサ達との戦闘を開始した!

 

オーレリア将軍との戦闘は最初は加減かつ様子見をしていたシズナと違って、最初から激戦で、多くの仲間達が何度も戦闘不能になったがその度に立っている仲間達がアーツやクラフト、道具を駆使して復活させて挑み、全員が連携して挑んだ結果、オーレリア将軍に届く事ができた。

 

「何とか届いたか……」

「情報局の情報よりも凄かったんですけど……」

「ああ……それに霊場の”条件”も整ったみたいだな。」

オーレリア将軍との戦闘を終えたラウラは静かな表情で呟き、ミリアムは疲れた表情で呟き、ある事を察したクロウが呟くと”霊場”全体が何らかの起動を始めた。

「フフ、試しの地たる霊場がそなたらを認めたという事だろう。この先が最後の試練だ。見事、乗り越えてみせるがいい。」

感心した様子でアリサ達を見つめながらオーレリア将軍が呟くとオーレリア将軍の周囲に魔力の光が現れ始めた。

「ヴィータの転位術……」

「お疲れ様です、将軍。」

オーレリア将軍の周囲の魔力の正体を察したセリーヌは呟き、セドリックはオーレリア将軍を労った。

「ええ、皇太子殿下もアルノールの気骨、とくと振るった事、頂きお疲れさまでした。さらばだ――――――Ⅶ組の面々よ。互いに運があれば、近いうちに再会できるだろう。」

「はい……!」

「その……ありがとうございました……!」

オーレリア将軍の言葉にアリサは力強く頷き、トワは感謝の言葉を述べた。するとオーレリア将軍は転位術によってその場から消え去った。

 

「フフ……何とか乗り越えたわね。」

「ん……次がいよいよ最後。」

サラの言葉にフィーは頷き

「やっぱりローゼリアさんが最後の相手になるのかな……?」

「ああ――――――800年を生きた伝説の存在にして魔女の長か。」

「……大人に戻ったということは力も取り戻したという事なのか?」

「”真の姿”がどうとかも言っていたようだけど……」

不安そうな表情で呟いたエリオットの推測にユーシスは真剣な表情で頷き、マキアスとアリサはそれぞれ考え込んだ。

「ええ……里の者も知らない真実があるんだと思います。それもセリーヌやグリアノスに関わるような……」

「まさかと思うけど……ううん、憶測は禁物ね。アタシも腹を括ったわ!あんた達も全力で行きなさい!」

エマはアリサの言葉に頷き、ある事を察したセリーヌは仲間達を激励し

「ああ――――――言われるまでもない。」

「そんじゃあ、行くとするか!」

セリーヌの激励にアンゼリカは頷き、アッシュは先に進むように促した。

 

その後攻略を再開したアリサ達がついに最奥に到達すると、最奥に待ち構えていた人物がアリサ達に声をかけた。

 

~最奥~

 

「見事、辿り着いたか。」

最奥でアリサ達を待ち構えていた人物――――――大人の姿になったローゼリアは腕を組んでアリサ達を見つめていた。

「お祖母ちゃん、来たわ。」

「それが”水鏡”、ですか。」

「うむ――――――”月冥鏡”という。」

セドリックの質問に答えたローゼリアは背後にある5つの霊力の燭台に囲まれた井戸のような形をした鏡に視線を向けて答えた。

「なんて清冽な……」

「あれが、歴代の巡回魔女が管理していたという……」

仲間達と共に鏡に視線を向けたアリサは呆け、アンゼリカは真剣な表情で呟いた。

「もしかして、それも古代遺物(アーティファクト)の一種なのか?」

「うむ。リベールは”四輪”に”方石”、アルノール家は”史書”――――――おっと、オリヴァルト皇子の”貝殻”やヌシ達が先程戦った”白銀の剣聖”が振るう”妖刀”も同じ部類なんじゃろう。」

ガイウスの質問に答えたローゼリアは説明を続けた。

 

「いずれも旧き一族に伝えられし、太古に女神より授かった神具……」

「そしてその魔女が受け継いだのがその”鏡”というわけか。」

「うむ、各地の霊窟と結びつき、”黒の史書”とも連動する――――――ヌシらが各地で見た幻視などもこの水鏡が大元になっているのじゃ。」

ローゼリアの話を聞いたアリサ達は内戦や連合とエレボニアの戦争の最中の活動中に周った霊窟で見せた幻視を思い出した。

「ただし、妾や巡回魔女にすら滅諦に啓示を与えぬ神具でもあった。じゃが”黄昏”が”空の女神”達自身によって歪められた事で大いなる闘気がこの地を包み――――――巡回魔女たるエマ、呪いの”贄”たる皇太子。妾とセリーヌが一堂に会した”この刹那”ならば話は別じゃ。」

説明を終えたローゼリアは全身に凄まじい霊力を纏い始めた。

「くっ……早速やり合うつもり!?」

「”赤い月のロゼ”……”吸血鬼の真祖”でしたよね。」

ローゼリアの様子を見たセリーヌは身構え、トワは真剣な表情で呟いた。

 

「クク、その吸血鬼というのは眷属どもによる風評被害じゃな。だが――――――精気を操るという意味では間違っているわけでもないか。」

そしてトワの言葉に苦笑したローゼリアは何と巨大な獣の姿へと変化した!

「……!?」

「なん……だ……?」

「……獣……」

変化したローゼリアの姿を見たガイウスは息をのみ、アッシュとフィーは呆け

「ま、まさか……!?」

「……アタシやグリアノスの存在の大元……」

ローゼリアが変化した獣の正体を察したエマは真剣な表情で声を上げ、セリーヌは真剣な表情で呟いた。

 

「フフ、ローゼリアとは元々古の”獣”の名――――――1200年前、災厄を御するため焔の一族の”長”と融合した存在……女神の遣わした聖獣――――――”翼ある灼獣”というわけじゃ。」

ローゼリア――――――”翼ある灼獣”ローゼリアは自身の事を説明した。

「………ぁ………」

「おばあ……ちゃん……」

「……消えたもう一柱の聖獣がロゼさん………」

「……まさか人間と融合して新たな存在になってたとはな……」

”灼獣”ローゼリアの説明を聞いたセリーヌとエマ、トワとクロウは呆けた。

「繰り返すが、二代目じゃがな。当然”先代”が仕えていたであろう”空の女神”自身とも会った事もなければ、女神自身も”代替わり”している事も知らぬのじゃろう。先代の長は900年前に消えた――――――おそらく地精どもの裏切りによって。ここにいる妾は、”元は使い魔”――――――セリーヌ達と同じ立場にあった。」

「あ……」

「先代は生前、妾をこの地に連れて、己に何かあらば再訪するよう言い残した。そして妾は、この月冥鏡”により先代の記憶の一部と使命を受け継ぎ……2代目ローゼリアとなったわけじゃ。」

「…………………………」

「そういえば、”深淵”が使役したあの鳥も蒼い翼だったわね……」

「どちらも焔の聖獣の特徴を別の形で受け継いでいたわけか……」

”灼獣”ローゼリアの説明を聞いたセリーヌは目を伏せて黙り込み、サラとラウラは”灼獣”ローゼリアの背についている蒼い翼を見つめながらある存在――――――内戦終結時、ルーファスによって斬られたクロチルダの使い魔であるグリアノスを思い浮かべた。

 

「そ、それじゃあ今回セリーヌを呼んだのって……」

「うむ、連合とエレボニアの戦争の行く末を決める大戦が終われば、地精たちとの対決も近いじゃろう。”相克”とは別に――――――場合によっては妾自らが差し違える事もあり得よう。その時の”保険”みたいなものじゃな。」

一方ある事を察したエマの言葉に対して”灼獣”ローゼリアは肯定して説明を続けた。

「そんな……」

「ロゼ、アンタ……」

”灼獣”ローゼリアの覚悟を知ったエマとセリーヌは悲痛そうな表情を浮かべた。

「ああ、別に死ぬつもりはない。――――――どちらかというとオマケじゃ。本命は、闘争の果てに水鏡が見せる”黒の史書”と連動した”幻視”―――――巡回魔女と代役とはいえ”真なる贄”がいれば呪いの全貌が明らかになるじゃろう。」

「……!」

「そうか、僕達が各地で見た幻視の大元にあるものを引き出すために……」

「そのために必要なのが”闘争”――――――」

「ここでロゼさんとガチでやり合う必要があるって事だね……!」

”灼獣”ローゼリアの話を聞いたエマは目を見開き、ある事を察したセドリックとトワは静かな表情で呟き、アンゼリカは真剣な表情で声を上げた。

 

「うむ――――――始めるとしようか。」

セドリック達の言葉を肯定した”灼獣”ローゼリアは咆哮をした後全身から凄まじい霊力を放ちながらアリサ達と対峙した。

「っ……!」

「おおっ……!?」

「何という霊威(オーラ)……!」

”灼獣”ローゼリアがさらけ出す膨大な霊力にエリオットは息をのみ、マキアスとユーシスは驚きの声を上げ

「でも――――――こちらも退けない!」

「ええ――――――ここが正念場よ!」

アリサとサラは闘志を高めた。

 

「Ⅶ組並びに協力者一同――――――これより最大級の試練に挑むよ!」

「ボク達Ⅶ組の力を絶対に示してやろうね~!」

「よろしくお願いします!隠されし真実を引き出すtまえに!」

「ロゼ――――――色々文句はあるけど全力で行かせてもらうわよ……!」

トワは号令をかけ、ミリアムは仲間達に激励をし、エマとセリーヌは闘志を高めた。

「うむ、かかってくるがいい。Ⅶ組の子らにセリーヌ、そしてドライケルスの子孫よ。魔女の長にして女神の聖獣――――――”灼獣”ローゼリア、参るぞ!」

そしてアリサ達は”灼獣”ローゼリアとの戦闘を開始した!女神の聖獣という伝説の存在との戦いは熾烈な戦いとなったが、内戦と連合とエレボニアの戦争、そして霊場での強敵達との戦いで成長したアリサ達は多くの戦闘不能者も出しながらも、倒れている者達が様々な復活手段で戦闘不能を回復させて挑んだ結果、全員満身創痍の状態で”灼獣”ローゼリアを地に跪かせることができた。

 

「ハッ……どんなもんだっつーの……!」

「厳しかったけど……何とか上回れたハズ……!」

戦闘が終了するとアッシュは他の仲間達のように疲弊している様子を見せながらも不敵な笑みを浮かべ、フィーは真剣な表情で呟いた。

「ぐぬぬ……人の子ごときにここまで食い下がられるとは……レグナートや――――――の悔しさが今更ながらわかるようじゃ……」

「……――――――……?」

「古竜はともかく……その名前は……」

「聖女の騎神にも似ているが……」

唸り声を上げた後に呟いた”灼獣”ローゼリアのある言葉が気になったセリーヌとエマは戸惑い、ラウラは疑問を口にした。

「フフ……既に人の世では喪われてもうた名であったな……――――――まあよい。よくぞ我が試練を乗り越えた。エマ、皇太子、皆もしかと心するがよい。」

セリーヌ達の様子を見て苦笑した”灼獣”ローゼリアがその場から退くと奥にある水鏡が起動し始めていた。

「……!」

「”月冥鏡”が……!」

起動し始めている水鏡を目にしたエマは目を見開き、セドリックは声を上げた。

「”水先案内”をします……!皆さん、どうか心を落ち着けて!」

「っ……!」

「これは……」

我に返ったエマは魔導杖を掲げ、エマの言葉を聞いたアリサは表情を引き締め、アンゼリカは真剣な表情を浮かべ

「妾も知らぬ真実……”黒の史書”の残された欠片たち。目を逸らさずに見届けるがよい――――――!」

水鏡に視線を向けた”灼獣”ローゼリアが宣言すると水鏡は強く光、アリサ達にある幻視を見せ始めた。

 

 

「クソ……なんでや……!なんで団長があんな依頼でくたばらんとならんのや……!」

どこかの崖上にある簡素な墓の前にいるゼノは悔しそうな表情で声を上げ

「……フィーのことを言付けていたのも覚悟しての事だったのだろう。”ゼムリア大陸真の覇者”と言われている異世界の大国――――――メンフィル帝国の”英雄王”の右腕たる”空の覇者”との激闘の上の敗北ならば本人も満足しているに違いあるまい。……だが……」

レオニダスは重々しい口調で推測を口にした後ある言葉を口にしようとした。

「やれやれ、間に合わなかったか。」

するとその時男の声が聞こえた後アルベリヒがゼノ達の前に姿を現した。

「あんたは……確か”工房”の人間やったか……」

「フフ、我が工房のSウェポン、御贔屓にしてくれて感謝している。――――――これは提案なんだが近くに”偶然、あるもの”があってね。上手くいけばルトガー殿を蘇らせることができるかもしれない。」

「……!?」

「アンタ、何を……」

アルベリヒの提案を聞いたレオニダスは驚き、ゼノは困惑し

「ああ、胡散臭いと思うなら”星座”に話を持って行くだけだが。”定員”は一人――――――さて、どうするかね?」

二人の様子を見つめながらアルベリヒは怪しげな笑みを浮かべていた。そして幻視は変わり、ルトガーと”紫の騎神”ゼクトール、アルベリヒが写る幻視になった。

 

「フフ、上手く行って何よりだ。ルトガー・クラウゼル殿、状況はわかっているようだね?」

「ああ……どうやら俺は”選ばれちまった”らしいな。巨いなる力の欠片の一つ……紫の”ゼクトール”の乗り手に。いや――――――アンタのせいでそう仕向けられたというべきか。」

「……ほう?」

ルトガーの推測を聞いたアルベリヒは興味ありげな表情を浮かべた。

「元々アンタの所は、ウチと星座の両方に武器を卸していた。それ自体は構わねえが……”どうして俺とバルデルはメンフィル帝国が出てくる可能性が高いと知っていながら、アンタの依頼を請けたんだ?”」

「…………………………」

「加えて、俺らがやり合った場所の”すぐ近くに”眠っていたコイツ……どうして共闘の関係だった俺らが、それぞれ部下達も連れず、かといって共闘もせずに単身で空の覇者と戦妃にい飛んだのかイマイチ思い出せねぇ。なあ、アンタ……――――――”俺らを嵌めやがったな?”」

「ククク……ハハ……ハハハハハハ……!」

ルトガーの推測を聞き終えたアルベリヒは不敵な笑みを浮かべて笑い続けた。そして次の幻視に変わり始める直前に謎の声が聞こえて来た。

 

ヨコセ……ヨコセ……吾(ワレ)ノモノダ……ソノ魂ノ総テ……

 

「ハハ……毎晩毎晩、よくぞ飽きぬものだ。まるで妄執の塊……ヴァリマールと比較するのもおぞましい。」

次の幻視――――――ベッドにいる老人と老人の前にある”闇”は老人と睨み合っていた。

 

”灰”ナド所詮単ナル一騎……吾ノ一部トナルシカナイ屑鉄ヨ……受ケ容レヨ……獅子ノ心ヲ持ツ者……貴様コソ我ガ乗リ手に相応シイ……

 

「……ドライケルス?」

「……!?」

”闇”と老人が睨み合っていると突如女性の声が聞こえ、女性の声を聞いた老人は驚いた。

 

銀(シロガネ)ノ……オノレ……マアヨイ……決シテ逃サヌ……タトエソノ魂ガ違ウ器ニ宿ッタトシテモ……

 

そして”闇”が消えると同時に娘――――――リアンヌが姿を現した。

「……ドライケルス、今のは。」

「フフ……久しいな、リアンヌ。あの頃のまま……いや、美しさに一層磨きがかかったようだ。」

リアンヌの問いかけに対して老人――――――ドライケルス帝は懐かしそうな表情を浮かべてリアンヌを見つめた。

「ふふ、誉めても何も出ませんよ。私のことは魔女(ロゼ)殿から……?」

「ああ、おぬしの復活……人知れずていっくを離れたことも聞いた。……薄情な娘だ……互いに添い遂げる誓いを棄てるとは。ふふ、私の想いはいつでも貴方の元にありました。イヴリンとのお子たちも健やかに育ち、多くのお孫にも恵まれているとか。子を成せなくなった私にはそれを見届けられただけでも本望です。」

「……リアンヌ……」

「さあ――――――話してください。先程の名状しがたき”闇”について。いつ、どうして……あんな存在(モノ)に取り憑かれたのです?」

そしてリアンヌがドライケルス帝に問いかけられた所で次に幻視に変わった。

 

「―――――僕は”ゲオルグ”。元々姓は存在していない。工房長に選べと言われて地精(グノーム)から”G”を取るだけにした。イニシャルがG・Gだとくどそう――――――ただそれだけなんだけどね。」

次の幻視は士官学院時代のゲオルグ――――――ジョルジュとアンゼリカ、トワ、クロウが写る幻視へと変わった。

「”工房”から出た時に記憶はフェイクと入れ替えた。それはそれで悪くなかったな。小説の登場人物になったみたいで。無意識で工房と定期連絡を取りつつ生ぬるい平和な友人ごっこに浸る……そういえば結社の”白面”から盗み出した暗示技術らしいけど。うん――――――悪くはなかった。あくまでただの”夢”としてはね。」

幻視はジョルジュ達の幻視から死んだクロウの幻視へと変わった。

「クロウを蘇らせたのだって地精として効率を重視したからさ。工房長には嫌味を言われたけど”相克”に相応しい候補には違いない。そう――――――理由はただそれだけだ。」

幻視は更に変わり、今度はどこかの夫婦と赤ん坊の幻視へと変わった。

 

「ほぎゃあ、ほぎゃあ……」

「よしよし……いい子ね。」

「優しい顔立ちは君似か……俺に似ずに何よりだったな。ハハ、それはそれでモテて大変かもしれないが。」

笑っている赤ん坊を抱いている優しそうな女性と赤ん坊に黒髪の男性は優し気な笑みを浮かべていた。

「ふふ、そうですね。貴方にもちゃんと似ていますし。貴方に似て鈍感な所があるとこの子も周りも大変そうですけど。」

「???」

女性の言葉を聞いた男性は戸惑いの表情で首を傾げた。

「ふふ、そういう所が愛おしくて大好きという事です。気を付けて、あなた。お役目頑張ってくださいね。」

「ああ、行ってくる。カーシャ――――――それにリィンも。」

「あうう……きゃはは……!」

女性――――――カーシャの言葉に対し男性――――――若き頃のオズボーンは微笑んだ後無邪気に笑っている赤ん坊――――――リィンに微笑んだ。

 

(――――――あれから百八十年、”彼”が世に出て二十数年ですか。素敵な奥方に健やかなお子……もう心配は不要のようですね。)

一方オズボーン達の様子を物陰から優し気な微笑みを浮かべて見守っていたリアンヌはその場から立ち去った。

(ですがかの”闇”は消えていない筈。”あの方”からの誘い――――――改めて考えてみるとしましょうか。)

そして幻視は次の幻視へと変わった。

 

「まったくもう……相変わらずなんだから。まあ、どんな研究か知らないけど貴方なら間違いないでしょう。でも週末には戻ってきてね?アリサや父さんが寂しがってるわ。

「ああ、わかってる。愛しているよ――――――イリーナ。」

次の幻視は眼鏡の男性が椅子に座って何かを考えていた。

(ふう……何をやってるんだろう、僕は。妻や娘を放っておいて……こんな兵器の構想を練って……最近、妙に頭痛がするし……何時の間にか寝ている時もあるな。RFのクリニックに診てもらっても特に異常はないみたいだけど……)

何かを考えていた眼鏡の男性はふと手元にある何かの設計図に視線を向けた。

(機甲兵(パンツァーゾルダ)……画期的な発明にはなりそうだな。博士が卒業論文として認めてくれるかどうかはわからないけど……)

図面を見て考え込んでいた眼鏡の男性はある事に気づいて血相を変えた。

(卒業論文……!?どうしていきなりそんな――――――僕は……”私”はここから去ろうとしているのか……!?)

 

アア――――――ソウダ。

 

血相を変えた男性がある推測に気づくとどこからか不気味な声が聞こえ、声を聞いた男性は周囲を見回した。

 

目覚メルガヨイ――――――ふらんつ・るーぐまん。既ニ”王”ハ手ニ入レタ……後ハ”下僕ノ長”ヲ捕エルダケダ。己ノ使命ヲ受ケ容レルガヨイ――――――

 

「う……あ……」

不気味な声の促しによって男性は呻き声を上げていると扉がノックされ、男性は呻き声を上げるのを止めて立ち上がった。すると扉が開かれ、紫髪の少女が部屋に入ってきた。

「失礼します――――――フランツ・ラインフォルト様。”身喰らう蛇”が執行者、No.Ⅸ”告死戦域”と申します。ノバルティス博士と契約された研究成果の引き取りに参上しました。」

「…………………………」

「……フランツ様?”十三工房”に属されている――――――」

自分の言葉に対して何も返さない男性を不思議に思った少女――――――死線のクルーガーは不思議に思い、何かの確認をしようとした。

「ああ……そうだ。いや、そうではないな。それは仮初めの名だ。”私”の真の名は他にある。千年にわたり受け継ぎし、巨いなる存在の下僕としての名が……」

「……何を……」

男性の言葉に困惑していたクルーガーだったが男性の傍に謎の物体が現れるとすぐに戦闘態勢に入り

「――――――ちょうど潮時だ。君が訊ねてくれて本当に良かった。研究成果の引き渡しは拒否する。では、存分にやり合うとしようか?」

戦闘態勢に入ったクルーガーを男性は不敵な笑みを浮かべて見つめた所で幻視は次の幻視へと変わった。

 

「―――――思えば数奇な人生だった。北部の地主の家に生まれながら雪崩によって家族を亡くした少年期……縁あってユミルの男爵家に世話になりつつ、トールズ士官学院に入った事。大勢の友を得つつ任官し、上官や後輩たちに恵まれたこと。三十路を過ぎて”彼女”と出会い、囃されつつも祝福され結ばれたこと。……――――――その間も”その声”は折を見て囁きかけてくるのだった。」

 

ヨコセ……ヨコセ……吾ノモノダ……!総テ……!……アア、ココチヨイ……

 

「――――――誰にも相談できず、心の奥底に封印し続けてきた”声”。結婚後、息子を授かってから殆ど聞こえなくなり安堵していたが……最悪のタイミングで再び語りかけてきたのだった。」

次の幻視はオズボーンが今まで出会った人物達が写った後次の幻視――――――燃え盛る家の前で愕然としているオズボーン准将の幻視に変わった。

 

「……よかった……貴方が……無事で……お願い……どうか……どうかあの子だけは……」

「おおおおおおっ……!どうしてだ、アランドール!?カーシャが、息子が何をした!?襲うなら俺を襲えばいいだろうが!?女神よ!!いや、悪魔でも何でもいい――――――この身がどうなろうと構わないから俺達の息子を助けてくれええっ……!」

自身に最後の言葉をかけた後遺体となったカーシャの傍で瀕死のリィンを抱いたオズボーン准将が涙を流しながら咆哮をしたその時、不気味な声が聞こえて来た。

 

――――――ソノ言葉ヲ待ッテイタゾ。

 

不気味な声がオズボーン准将の耳に聞こえるとオズボーン准将の前に騎神のような姿をした”闇”が現れた。

 

どらいけるすヨ、二百年待ッテイタ。今度コソ”灰”デハナク我ガ乗リ手ニナルノヲ受ケ容レルガヨイ。サスレバ幼子ノ命ハ助ケテヤロウ。

 

「……貴様……は………そうか……貴様が全てを……」

”闇”の誘いを聞いたオズボーン准将は一瞬で全てを悟った。

「いいだろう――――――この魂と肉体、貴様に呉(く)れてやる!代わりに息子を、リィンを助けろ!!”黒の騎神”――――――イシュメルガああああああっ!!!」

オズボーン准将が”闇”を睨んで咆哮をした場面で幻視は変わり、オルキスタワーの屋上でアイドスに膝枕をされて眠っているリィンの幻視に変わった。

 

「これでよし……どうして”貴方の心臓に世界にも影響を与える程の強力な呪いが蝕んでいたのかはわからないけど……”私の純潔を対価に貴方の心臓を蝕んでいた強力な呪いは浄化した”から、もう2度と貴方は貴方の”力”に悩まされる事はないわ……」

眠っているリィンに膝枕をしているアイドスはリィンを優し気な微笑みを浮かべて見つめていたがすぐに表情を引き締めてリィンをその場で寝かせた後、立ち上がってある場所へと視線を向けた。

「―――――隠れていないで出てきたらどうかしら?――――――”貴方がリィンの心臓を蝕んでいた強力な呪いの大元”である事はもうわかっているわよ。」

ある場所へと視線を向けたアイドスが厳しい表情を浮かべて呟くとかつてのオズボーン准将の前に現れた”闇”――――――イシュメルガの幻影が姿を現した!

 

オノレ……ヨクモモウ一ツノ我ガ器ヲ奪ッタナ……!

 

「”器”……なるほど、”そういう事ね。”並行世界のキーアが私を蘇らせた事や私が蘇った世界はいずれもリィンと結ばれる因果へと変えた理由”は”リィンの心臓を蝕んでいた呪いを浄化する為”だったという訳ね。」

イシュメルガの怨念が混じった言葉を聞いてある程度の事情を察したアイドスは静かな表情で呟き

「――――――――星芒より出でよ、”真実の 十字架(スティルヴァーレ)”!!」

異空間から膨大な神気を纏わせた神剣を現わさせて自分の片手に収めた後アイドスは全身から莫大な神気を解放した!

 

ガアアアアアアアア……!?コノ忌々シキ”力”ハ……!?

 

アイドスがさらけ出す神気やアイドスが持つ神剣がさらけ出す神気に圧されるかのようにイシュメルガは呻き声を上げた。

「ハアッ!――――――去りなさい、悪しき”闇”よ。貴方が見出した”器”はもう2度と貴方のものになる事はありません。そして覚えておきなさい。貴方の本体が目覚める事があれば、いずれ私――――――いえ、”私達”が”慈悲”と”正義”を持って”塵一つ残さず浄化する事”を。」

神剣でイシュメルガの幻影を一閃したアイドスはリィンやセリカ、エステル達を思い浮かべて宣言した。

 

オノレ、オノレ、オノレエエエエエエ……ッ!!!200年待ッタ我ガ願イ、決シテ邪魔ハサセヌゾオオオオオオ……ッ!!!

 

アイドスの神剣によって一閃されたイシュメルガの幻影は怨念を込めるかのような咆哮を上げながら消えた。そして幻視はアルゼイド子爵を蝕んでいた呪いを浄化しているエステルの様子の幻視に変わった。

 

「創生の輝きを――――――イリスの焔!!」

 

アツイアツイアツイアツイイヤダイヤダイヤダキエタクナイキエタクナイキエタクナイ――――――ッ!!

 

「ガアアアアアアアアア――――――ッ!!??わ……た……し……は……ラ……ウラ………」

「!父上、私はここにいます!どうか正気に戻ってください!」

「どうやら子爵閣下が正気に戻りかけているみたいだね……!」

「それにさっき聞こえてきた”声”ってもしかして……!」

「ああ……恐らく子爵閣下を蝕んでいた”呪い”だ……!」

エステルが放った神術の焔によってアルゼイド子爵が正気に戻りかけている所にラウラはアルゼイド子爵に声をかけ、その様子を見て状況を察したアンゼリカは驚きの表情で呟き、謎の声が気になったトワの言葉に頷いたクロウは虹色の焔に燃やされ続けている黒い瘴気を睨んで推測を口にした。

 

「あの様子だともう一押しね……!――――――七耀のみんな、あたしに力を貸して!!―――行くわよ!たぁぁぁぁぁぁぁっ!神技!セプトブラスト!!」

 

グギャアアアアアアアアア――――――ッ!!??

 

「グガアアアアアアアアア――――――ッ!!??」

追撃にエステルが放った神技によってアルゼイド子爵を纏っていた黒い瘴気は断末魔を上げると共に霧散し、更にアルゼイド子爵も悲鳴を上げると共に仮面が粉々に割れ、地面に倒れた所で幻視は終わろうとした。

 

馬鹿ナアアアアアアアアア……!!アノ女以外ニモ、吾ヲ消ス事ガデキル者ガイル等、認メヌゾオオオオッ!!

 

オノレ……オノレ……オノレエエエエエエ……ッ!!!200年待ッタ我ガ願イ、ドノヨウナ想定外(イレギュラー)ガ起コロウトモ、総テ吾ノモノニシテ、必ズ叶エテヤル……!必ズダ……ッ!!!

 

そして幻視が終わる直前イシュメルガの怨念じみた妄執の言葉を最後に幻視が終わった。

 

「これが……残された真実の全てか……」

「……団長が亡くなったのも、ううん、結社の依頼を請けるように仕組んだのも……」

「”黒のアルベリヒ”……でも、彼さえもまた……」

「ジョルジュ君……」

「私達との出来事を”夢”とは言ってくれるじゃないか……」

幻視が終わるとクロウとフィー、サラは静かな表情で呟き、トワは悲しそうな表情で呟き、アンゼリカは静かな怒りを纏った。

「どうやらジョルジュ先輩とはまた違う形みたいですね。」

「ああ、アリサの父上の自我を乗っ取るように現れた別の自我……?」

「……”地精の長”という人格が乗っ取ったって事なのかしら?」

エマとマキアスがそれぞれ考え込んでいる中、セリーヌは推測を口にした。

 

「うむ……妾とは違う形で不死を実現した存在のようじゃな。恐らくは、優秀な地精の子孫に寄生・融合することで永らえる……」

「…………父様………」

人間の姿に戻ったローゼリアの説明を聞いたアリサは悲しそうな表情を浮かべた。

「そしてアリアンロード――――――いや、リアンヌ・サンドロッドの真実。250年にわたり”彼”と帝国の行く末を真摯に案じ続けていたとは……」

「そんなサンドロット卿が異世界の聖騎士――――――シルフィア卿に”全て”を託した理由は、メンフィル帝国ならば”全ての元凶”を滅ぼす事ができると判断してメンフィル帝国――――――いえ、リウイ陛下達が受け入れるであろうシルフィア卿に”全て”を託したのかもしれませんね……」

ラウラとセドリックはそれぞれ複雑そうな表情である推測をした。

「……ずっと疑問だった事がある。どうしてユーゲント陛下はあそこまで宰相を立てるのかとな。」

そしてユーシスの疑問を聞いたその場にいる全員は血相を変えた。

「そうか……そうだったんだ!陛下は知っていらっしゃったんだ!皇帝家の”黒の史書”によって……!」

「……250年前の獅子戦役を終わらせた帝国中興の祖にしてトールズの創立者……――――――かの獅子心皇帝の生まれ変わりがギリアス・オズボーン宰相であることを。」

「まさかオジサンがあの”獅子心帝”の生まれ変わりだったなんてね~………」

「オカルトなのは異世界だけでなく、こっちの世界でもとはな……」

「……よもや残されし真実がそのようなものだったとはのう。阿呆共が――――――リアンヌもドライケルスも何故妾に相談せぬ!?妾はヌシたちの朋友(とも)……!そう言ってくれたではないか……!?」

エリオットの説明に続くようにガイウスは重々しい様子を纏って呟き、ミリアムとアッシュは複雑そうな表情で呟き、ローゼリアは重々しい口調で呟いた後辛そうな表情で声を上げた。

 

「いや……どうして妾はこの250年ずっと気づけなんだ……」

「お祖母ちゃん……」

「ロゼ……」

すぐに後悔し始めたローゼリアをエマとセリーヌは心配そうな表情で見守っていた。

「……ローゼリアさん。”黒の騎神”――――――イシュメルガとはどういった存在なんですか……?」

「…………………ぁ…………」

「た、確かに……エステルさん達も言っていたけど、さっきの幻視の事も考えるとどう考えても全ての元凶は……」

セドリックのローゼリアへの質問を聞いたアリサは呆け、エリオットは不安そうな表情で呟き

「……尋常ではないオーラを漂わせる騎神だとは思っていたけど……」

「その割には英雄王達にアッサリやられたり、自分を”消す”事ができるアイドスやエステルの存在に焦っているようだったけどな……」

「ハッ、さすがの”全ての元凶”もあんな”化物”連中がこの世に存在するなんざ、考えた事も無かったんじゃねぇのか?」

「実際、”黒の騎神”はエステルやアイドスの事を”想定外(イレギュラー)”と言っていたものね……」

重々しい口調で呟いたアンゼリカに続くようにクロウは肩をすくめ、クロウの言葉に対してアッシュは鼻を鳴らして推測を口にし、サラは真剣な表情考え込んだ。

 

「わからぬ……だが千年もの間、殆ど姿を現さなかった謎の騎神じゃ。250年前の獅子戦役は勿論、900年前の暗黒竜の時もいなかった。じゃが―――……」

一方セドリックの疑問に対してローゼリアは静かに首を横に振って答えた後ある推測をし

「その両方……ううん、帝国の忌まわしき歴史の”ほぼ全て”に関わっていたとしたら……?」

トワがローゼリアの推測を口にするとその場にいる全員は血相を変えた。

「ま……さか……」

「…………………………」

「ヴァリマールにせよ、オルディーネ達にせよ、騎神にはそれぞれ”自我”があった。だが、その”自我”が何らかの形で悪意に目覚め、力をつけていけば……」

トワの推測を聞いたマキアスは呆然とし、アッシュは黙り込み、ガイウスは真剣な表情である推測を口にした。

「……元々争っていたとはいえ、1200年前、地精と魔女は和解しました。”巨イナル一”の封印のみならず、帝国の創設にも共に力を貸したそうです。なのに800年前の帝都奪還を最後に彼らは一切の交渉を断った……」

「恐らく背後にいたのは”黒の騎神”―――それこそ地精を”眷属”として取り込んじまったのかもしれねぇな。いや、むしろ”下僕”として魂まで隷属させたというべきか……」

「……そして団長の件以外にも色々な所にちょっかいをかけて……”黒い種”をまき散らしていった……」

「……ええ、この瞬間にも。まさにアルベリヒ自身が言っていた、”呪い”そのものね。」

エマとクロウの話に続くように呟いたフィーの推測にサラは真剣な表情で頷き

「その目的は”巨イナル一”……?”七の相克”の果てに自分自身がそれになろうと……?」

「そんなことの為にボクやアーちゃんは……」

「……ッ……!」

不安そうな表情で呟いたアリサの推測を聞いたミリアムは辛そうな表情を浮かべ、ユーシスは唇を噛みしめた。

 

「……ええ……許せませんね……」

するとその時セドリックは全身に瘴気を纏い始め

「ちょ、アンタ……」

それを見たその場にいる全員が血相を変えている中セリーヌは焦った様子で声を上げた。

「……黒の騎神のせいで帝国は……周りの地もずっと苦しみ続けてきた……クロウさんやサンドロット卿、猟兵王も不死者となり、僕はミリアムさんの命を奪わさせられた……クレア少佐の家族やレクター少佐の父親、犠牲になった無数の人達……アリサさんの父親にジョルジュさん……リィンさんの母親やオズボーン宰相、それにリィンさんすらも……」

「皇太子殿下、どうか落ち着いてください!」

「”贄”としての呪い……!」

「チッ……”空の女神”お手製の腕輪をつけているのに、どうなってんだ……!?」

「アレはあのエステルって娘達も言っていたように”外部”からの干渉を防ぐもので、内部――――――既に身についてしまっている”贄としての呪い”には対応していないのよ……!」

”贄”としての呪いに蝕まれ始めたセドリックを見たアンゼリカは声を上げ、エマは不安そうな表情でセドリックを見つめ、舌打ちをしたアッシュの疑問にセリーヌが厳しい表情で答えた。

 

「くっ……刺激が強すぎたか!」

「チッ、何とか押さえて――――――」

一方ローゼリアは厳しい表情で声を上げ、厳しい表情を浮かべたクロウが仲間達にセドリックを押さえるよう促したその時

「落チ着クガイイ、我ガ起動者(らいざー)ヨ。」

何者かの声が聞こえた後テスタロッサが転位術でその場に現れた!

「テスタロッサ……!?」

「なんて温かな……」

テスタロッサの登場にエリオットが驚き、テスタロッサを包む光を感じたアリサが呆けたその時アリサ達は位相空間に転位させられた。

 

「こ、ここって……」

「騎神と起動者と契約する位相空間……?」

「いや……それとは違うみたいだな。」

突然転位した場所をトワは戸惑いの表情で見回し、セリーヌは困惑し、クロウはセリーヌの推測を否定した。

「……テスタロッサ……喋れるようになったのか……工房の本拠地の時とも違う状況みたいだね……?」

「ウム、一時的ニデハアルガ呪イノ”枷”ヲ外セタヨウダ。カツテノヨウニ感情れべるハ大幅ニ抑エラレテイルガ……イズレ現実世界デモ言葉ヲ取リ戻シテミセヨウ。」

「そうか……」

「よかった……本当に。」

自身の問いかけに答えたテスタロッサの答えを聞いたセドリックは纏っていた瘴気を霧散させて落ち着き、エリオットは安堵の表情で呟いた。

 

「聞クガイイ―――――せどりっくニ準起動者タチヨ。全テガ”黒”ノ仕業トイウ訳デハナイ。人ノ未熟サガ招イタ事デモアルノダ。ソノ事ヲ理解セネバコノ先ノ女神達ニヨッテ歪メラレタ”黄昏”モ超エラレマイ。」

「テスタロッサ……」

テスタロッサの話を聞いたセドリックは呆けた表情を浮かべた。

「モウヒトツ―――――”黒”ニツイテダガ。カノ騎神ノ力ハ余リニ絶大……理(コトワリ)カラ外レタ存在ト言エルダロウ。極言スレバ全テニ勝利デキルガ、ソレデハ『闘争ノ果テノ再構成』ノ条件ハ満タセヌ。恐ラク最後ハ、アル構図トナル事ヲ狙ッテイルダロウ。即チ他ノ五騎ノ力ヲ手ニ入レタ一騎ガ僅カデハアルガ勝利ノ可能性ヲ手ニシ――――”黄昏”ノ極マリシ刻ニオイテ”黒ノ騎神”ト対峙スルトイウ構図ニ。」

「候補は猟兵王の”紫”、聖女の”銀”、皇太子の”緋”、エリスの”金”、クロウの”蒼”、そしてリィンの”灰”の6騎って事になるよね。」

「だったら俺らが目指す道は一つしかないんだが……」

「聖女の”銀”、エリスの”金”、リィンの”灰”、そしてクロウの”蒼”と皇太子殿下の”緋”を含めると既に6騎の内5騎は争う必要はないな……」

「そうだね……しかも連合側はその”黒の騎神”に対してセリカさん――――――”神殺しという黒の騎神をも軽く超越した存在”を充てる上先程の幻視の”黒の騎神”の様子からするとアイドスさんもそうだが”空の女神”の神術や神技を受け継いだエステル君を恐れていたようだから、リィン君達にセリカさん達、アイドスさんやエステル君達もそうだが、”空の女神”の一族とも連携すれば勝率は更に上がるだろうね。」

「というかそもそもエステル達が”相克”を発生させないように、各地の霊脈を遮断しまくっているから、”相克”を発生させることもできないでしょうから、起動者を説得するしかないのよね……」

「ん、団長を何とか説得できれば……」

テスタロッサとミリアムの話を聞いたクロウとガイウスは困った表情を浮かべ、アンゼリカは静かな表情で呟き、疲れた表情で呟いたサラの言葉に続くようにフィーは静かな表情で呟いた。

 

「みんな、本来だったら共闘してもおかしくない立場なんだったな……」

「甘くはねえだろうが……何とか光は見えてきたかよ。」

「まあ、問題はリィン達と猟兵王、それに嵐の剣神達と空の女神の一族をどうやって味方に引き込むかでしょうね。」

マキアスは複雑そうな表情で呟き、アッシュとサラは静かな表情で呟いた。

「でも味方を増やし、力を蓄えてオズボーン宰相と対峙できれば……」

「”真の元凶”を倒せる勝機に繋がるって事だね……!」

「ウム――――――ソレデヨイ。」

一方アリサとトワは明るい表情である推測をし、アリサ達の会話を見守っていたテスタロッサは頷いた。そして位相空間は消え、アリサ達は霊場に戻った。

 

「あ……」

「夢じゃ……なかったんだね。」

「お祖母ちゃん……今のって……」

「”月冥鏡”が用意した場……夢と現実(うつつ)の狭間の邂逅じゃろう。妾が先代から役割と使命を継いだ時も同じ状況じゃった。こんなオマケもあるとは……長らく守った甲斐があるものじゃ。」

「そうね……本当に。」

元の場所に戻るとアリサとエリオットは呆け、エマの質問にローゼリアは答え、ローゼリアの言葉にセリーヌは頷いた。

「ありがとうございます、ローゼリアさん。――――――エマさんにセリーヌさんも。」

「ヴィータに羅刹も含めて随分と世話になっちまったな。まあ、リィン達……というか”白銀の剣聖”に関しては微妙だが。」

「テスタロッサは再び沈黙したが……彼らの魂は確実に存在している。」

セドリックはローゼリア達に感謝の言葉を述べ、クロウは苦笑し、ユーシスはテスタロッサを見つめて呟いた。

「我らの道が決まった以上、迷う必要はどこにも無いだろう。」

「ま、アンタら魔女の助けがなければ詰んでたかもしれねえな。……一応、礼を言っておくぜ。」

ラウラは決意の表情を浮かべて呟き、アッシュは溜息を吐いた後静かな表情で呟き

「私も――――――父の事、改めてちゃんと向き合えると思う。」

「サンクス。全部エマたちのおかげ。」

アリサは決意の表情を浮かべ、フィーは感謝の言葉を口にした。

 

「ふふっ……」

「ア、アタシは別に……跡目の話だったみたいだし。……でもまあ、よかったわね。」

「フフ……妾にとっても長年の肩の荷が下りた心地じゃ。新たな事実――――――妾からヴィータやリィン達、星杯の”吼天獅子”にも伝えておくとしよう。」

お礼を言われたエマは微笑み、セリーヌは恥ずかしがり、ローゼリアは苦笑していた。

「……私も当代の巡回魔女として真実を伝える手助けができてよかった。お母さんや姉さんたち……お祖母ちゃんが護り続けたこの地で。」

優し気な微笑みを浮かべながら答えたエマはローゼリアの両手を握った。

「……ありがとう。ずっと私達魔女を導いてくれて。それからありがとう――――――私を魔女として育ててくれて。」

「ちょっ……何をいきなり!ババアは涙もろいんじゃ!そういう不意打ちをするでない!そもそも一人前にもなっていないのじゃから、そういう事はせめて一人前になってから言って欲しいのじゃ!」

「……やれやれ。」

エマに心からの感謝をされたローゼリアは恥ずかしがり、その様子を見たセリーヌは苦笑した。

 

その後ローゼリアと別れたアリサ達はカレイジャスに戻り、霊場での出来事を報告した――――――

 

 

 

オーレリア戦、ロゼ戦はめんどくさいのでカットしました(オイッ!)


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