No.1077255

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第138話

2021-11-15 22:41:18 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1827   閲覧ユーザー数:1479

~月の霊場~

 

「雷よ………あたしに力を!!」

「「こぉぉぉぉ……ハアッ!!」」

「オオオォォォ………らああああぁぁっ!!」

「蒼き力よ………高まれっ!!」

戦闘開始時、サラ、ラウラ、アンゼリカ、アッシュ、クロウはそれぞれ自己強化技で自分自身の身体能力を上昇させ

「ミッションスタート……行くよ。」

フィーは気配を完全に消して奇襲の機会を狙い始めた。

「「エニグマ駆動―――――」」

「いくわよ……ッ!」

「魔法(アーツ)は鬱陶しいかな。零の型―――――」

エリオットとエマ、セリーヌはアーツを放つ為にオーブメントを駆動させ始め、それを見たシズナはエリオット達に妨害技を放ってオーブメントの駆動を中断させようとしたが

「させないよ……!シュート!!」

「風の弾丸よ、切り裂け――――――エアブレイド!!」

「!」

シズナの行動を見たトワとマキアスはそれぞれの遠距離武装によるクラフトを放ってシズナの妨害攻撃を中断させ、妨害攻撃を中断させられたシズナは側面に跳躍して二人の攻撃を回避した。

「逃がさないわよ――――――メルトレイン!!」

「ぶっ放せ~!!」

「ハッ!!」

そこにアリサが炎の矢の雨を降り注がせ、ミリアムはオーバルギアに搭載されているグレネードを次々と放ったがシズナは大きく側面に跳躍してアリサとミリアムの攻撃範囲から外れて二人が放ったクラフトを回避し

「行くぞ――――――斬!!」

「竜巻よ―――――薙ぎ払えっ!!」

「砕け散れっ!!」

「ハァァァァァァ…………喰らいやがれっ!!」

「セイッ!!」

アリサのクラフトを回避したシズナにユーシス、ガイウス、ラウラ、クロウ、サラは一斉に襲い掛かった。

「フフ、荒れ狂え――――――嵐雪!!」

しかしシズナは大太刀で螺旋を描くと共に吹雪を発生させるクラフト―――――嵐雪を放って一斉に襲い掛かったユーシス達にダメージを与えると共に吹き飛ばし

(――――――そこっ!)

「零の型―――――双影!!」

「あぐっ!?」

気配を完全に消して奇襲を仕掛けようとしたフィーに逆に奇襲を仕掛けてフィーにダメージを与えると共に怯ませた。

 

「深淵の刃よ――――――アビスブレイド!!」

「おっと!」

セドリックが繰り出した広範囲を切り裂く漆黒の刃をシズナは跳躍で回避し

「ハッ、狙い撃ちだぜっ!!」

シズナが跳躍するのを見たアッシュは跳躍している間は無防備と判断し、シズナ目掛けて特殊な効果を付与したダーツの矢を数本放ったが

「ハッ!!」

「何ぃっ!?」

シズナは跳躍の最中に大太刀を一閃して襲い掛かるダーツの矢を弾き飛ばし、それを見たアッシュは驚きの声を上げた。

「フフ、これはどうかな?――――――ハアッ!!」

シズナが着地するとその瞬間を狙ったアンゼリカがクラフト―――――ゼロ・インパクトでシズナに詰め寄ると共に強烈な一撃を叩き込もうとしたが

「へえ、その年で零頚(ゼロインパクト)を修めているなんて”飛燕紅児”殿は良い弟子に恵まれたようだね。」

「!参ったね……まさかあの一瞬で私の”これ”の力を受け流すとはね……!」

何とシズナは利き手ではない片手でアンゼリカの零頚の力を別方向へと受け流すと共にアンゼリカの拳を受け止め、攻撃を受け止められたアンゼリカは疲れた表情で呟いた後すぐに拳を退いてシズナから離れ、それを見たシズナは追撃をしようとしたがそれぞれアーツを発動させたエリオット達に気づくをアンゼリカへの追撃を止めてエリオット達のアーツの対処を始めた。

 

「大海よ、全てを呑み込んで――――――アラウンドノア!!」

エリオットが発動した水属性の上位アーツはシズナ目掛けて逃げ場のない巨大な津波としてシズナに襲い掛かったが

「奔れ―――――霹靂一閃!!」

「ええっ!?」

シズナは神速の踏み込みからの居合一閃で自身の通り道の部分の水を切り裂いた。すると一瞬だけ切り裂かれた部分が空白となり、その部分をシズナは神速で通り抜けてエリオットの上位アーツを回避し、戦場全体を攻撃する事から本来は逃げ場のないはずの上位アーツを回避したシズナを見たエリオットは驚きの声を上げ

「開け、異界の門――――――アヴァロンゲート!!」

「伍の型―――――凪。」

「う、動いていないのに、どうして魔法(アーツ)が……!?」

エマが発動した幻属性の上位アーツによって発生した異界の門から降り注ぐ光の雨に対して、シズナはその場で立ち止まって集中して自身に襲い掛かる光の雨のみを全て大太刀で高速で斬り刻み、シズナの高速の動きを全く見切れないエマはシズナは動いていないようにしか見えなかった為、魔法(アーツ)を次々と斬り刻むシズナの様子を見て困惑した。

「燃え尽きなさい――――――クリムゾンレイ!!」

セリーヌは火の上位アーツを発動し、発動したアーツはシズナの頭上に巨大な火球として現れてそこからシズナ目掛けて炎の光が降り注いだが

「滅せよ――――――斬魔!!」

「ハアッ!?」

シズナは全てを切り裂く必殺剣で”巨大な火球ごと炎の光を真っ二つに切り裂いて無効化し”、それを見たセリーヌは信じられない表情で声を上げた。

 

「う、嘘でしょう……!?たった一人相手にこんな大人数の攻撃が一撃も当たらないなんて……!?」

「上位アーツ――――――それも一つどころか、三つの上位アーツを剣で全部無効化するなんて一体どうなっているの……!?」

「一体何なんだ、彼女は……!?下手したらあの”劫焔”を超える”化物”なんじゃないのか……!?」

「ん……しかも、まだ”本気”を出していないっぽい。」

「クッ……ひょっとしたら、エリゼどころかカシウスさんやアリオスさんよりも上の”剣聖”かもしれないわね……!」

攻撃が未だ一撃も通っていないシズナを見たアリサとエリオット、マキアスは信じられない表情で声を上げ、フィーとサラは警戒の表情でシズナを睨んだ。

「実際にこうして対峙してみてわかったけど……さっきは匠王の娘達による”ヒヒイロカネ”製の輝きに誤魔化されたけど、その刀は”ヒヒイロカネ”製である事を抜きにしてもただの刀じゃないみたいね。」

「ええ……あの妖しき輝き……恐らく”魔剣”と呼ばれる類の武装でしょうね……」

「へえ、中々目敏いね。さすがは古き”魔女”の一族と言った所か。――――――お察しの通り、この刀は見る人が見れば”妖刀”と呼ばれかねない代物だ。なにせ常時刀身から妖の気を放ち続けている。普段はこの刀用に作られている特殊な鞘に抑え込んでおかないと、大変な事になってしまうだろう。」

目を細めたセリーヌと不安そうな表情を浮かべているエマの推測を聞いたシズナは興味ありげな様子で二人を見つめた後意味ありげな笑みを浮かべて答えた。

「た、”大変な事”って……」

「まあ、間違いなく”人死”が出るような出来事なんだろうねぇ。」

「今の話を聞く限り、どう考えても世に出したらヤバ過ぎる類の刀じゃねぇか……そんな刀を修理どころか、あまつさえ強化するとか、ホント余計な事をし過ぎだろ、あの嬢ちゃん達は……」

「えっと……騎神達の武装を強化してもらった上、皆さんはお三方の父君であるウィルフレド卿、僕とアッシュさんはセティさん達に作ってもらった特殊な武装を使っている僕達だけは、セティさん達に対して文句を言う筋合いはないような気もしますが……」

シズナの話を聞いてある事を察したトワは不安そうな表情を浮かべ、アンゼリカは疲れた表情で呟き、クロウはセティ達を思い浮かべて呆れた表情で呟き、クロウの言葉を聞いたセドリックは気まずそうな表情を浮かべながら呟いた。

「あ、ちなみに今の話は他言無用でお願いするよ。――――――もし破ったら、幾ら可愛い弟弟子の友人達であろうと、”女神の許へと向かわせる”かもしれないからね♪」

「だったら、そんなとんでもない話を最初からオレ達に聞かせるなっつーの!?」

そして笑顔で口にしたシズナの物騒過ぎる念押しにその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アッシュは疲れた表情で声を上げてシズナに指摘した。

 

「それにしても……うーん、みんな、年齢や大半が”学生”である事を考えると悪くない実力だけど、やっぱりもう一つのリィンの元クラスメイト達の予想通りの実力っぽいかな~。」

「”もう一つのリィンのクラスメイト”――――――”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”出身の人達の事か……!」

「あの人達はボク達の実力をどう予想しているの~?」

困った表情で呟いたシズナの言葉を聞いたガイウスは真剣な表情で声を上げ、ミリアムはシズナに問いかけた。

「”学生という部分で考えれば実力自体は悪くないけど、敵の命を奪う事を避けているから、自分達よりも実力が上の強敵達との戦いになるとリィン頼りになる半端者達”――――――それが彼らが予想している君達の実力だよ。」

「フン、俺達が”半端者”とは言ってくれる……!」

「それに我らは決してリィンばかりに負担をかけて等いない……!」

シズナが口にした言葉を聞いたアリサ達がそれぞれ血相を変えている中ユーシスとラウラは怒りの表情で声を上げた。

「――――――実際、”半端者”じゃないか、君達は。”戦士”でありながら”人の命を奪う”覚悟がないのだからね。――――――ああ、勿論その中には”既に人の命を奪った事のある”紫電と妖精、蒼の騎士も、彼らに染まっているんだから当然”半端者”の中に含まれているよ。」

「教え子達と同年代のアンタに評価されるなんて、随分と舐められたものね……!」

「ハッ、随分と上から目線の言い方だが、その言い方だと”Ⅶ組”の中で唯一シュバルツァーについたアルフヘイムもその”半端者”の中に入るんじゃねぇのか?」

「………………」

「セレーネ……」

シズナの指摘にサラが厳しい表情で声を上げた後アッシュは鼻を鳴らしてセレーネに視線を向け、アッシュの言葉を聞いて複雑そうな表情で黙り込んでいるセレーネをリィンは心配そうな表情で見守っていた。

 

「そうだね。――――――だけど彼女は他の”Ⅶ組”の面々と違って、リィンが多くの人々の命を奪う事になる道を歩むと知ってもなお、唯一共に歩む事を決めて、実際にこの戦争でリィン達と共に多くの敵兵達の命を奪っている。そんな彼女は”半端者”ではなく、”一人前の戦士”だよ。君達と唯一違う点である”竜族の潜在能力”を抜きにしても、君達”Ⅶ組”の中で彼女だけは肝心な戦いはリィン頼りじゃない戦力さ。――――――だからこそ、黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の面々も彼女もそうだが、彼女のようにリィンを支える為に”一人前の戦士”になったエリス達の事は君達と違って、高評価して自分達の仲間として受け入れているんだと思うよ。――――――それこそ、例え戦争相手の国の皇女や騎士見習い、大貴族の当主であったとしてもね。」

「シズナさん………」

「………………」

一方シズナはセレーネにとっては予想外の高評価を口にし、シズナの自分に対する評価を聞いたセレーネは呆け、シズナの口から出たセレーネ以外の人物達――――――アルフィン、クルト、ミュゼを思い浮かべたリィンは目を伏せて黙り込んでいた。

「――――――ふざけないで!幾ら相手が”敵”だろうと、その人にはその人の人生や帰りを待っている人達がいるのよ!?貴族派と革新派の争いによって生まれる一人でも多くの人達の不幸を防ぐ為にも、オリヴァルト殿下は私達”Ⅶ組”を立ち上げて、私達も殿下の理念に賛成して”第三の風”として今の状況を少しでも変える為にも、この場にいるのよ!そんな私達の覚悟を”半端”だなんて、言わせないわ!」

「ハッ、そもそも最近リィン達に力を貸すようになった”新参者”のお前に俺達の”覚悟”をわかってたまるか!」

「ふふっ、いい啖呵だ。――――――そこまで言うからには、君達の覚悟が”半端”ではない事を私に証明してくれよ?」

怒りの表情で声を上げたアリサと厳しい表情で呟いたクロウの言葉を聞いたシズナは静かな笑みを浮かべて大太刀をアリサ達に向けてアリサ達を挑発した。

 

「望む所だ――――――ゴールドハイロゥ!!」

「おっと!さっきの会話の間にオーブメントの駆動を終わらせて”不意打ち”をするとは、やるじゃないか。」

そしてシズナの言葉にユーシスは答えると同時にアリサ達とシズナの会話の間に密かに駆動させていたオーブメントを発動させて攻撃アーツをシズナに放ち、ユーシスのアーツによって発生した襲い掛かる無数の黄金の球体を回避したシズナは口元に笑みを浮かべてユーシスを評価した。

「行くよ……ッ!アリサちゃん、フィーちゃん、マキアス君、エマちゃん、エリオット君、セリーヌちゃんは左右に散開して遠距離攻撃で波状攻撃を仕掛けて!」

「「「「はい!」」」」

「了解(ヤー)!」

「わかったわ!」

その時ある作戦を思いついたトワはオーブメントを駆動させた後アリサ達に指示を出し、指示を出されたアリサ達は次々とシズナ目掛けてクラフトを放った。

「貫け――――――ミラージュアロー!!」

「排除する。」

「石化弾――――――発射!!」

「白き刃よ――――――お願い!」

「常世の鐘よ―――――鳴り響け!!」

「燃え尽きなさい――――――クリムゾンテイル!!」

「フフ、左右から尽きる事のない波状攻撃か。悪くない判断だ。」

シズナは次々と襲い掛かる幻影の矢、無数の銃弾、石化効果がある弾丸、闇夜に響く白銀のベル、白き霊力の刃、セリーヌの尻尾から放たれた霊力の業火をギリギリのタイミングを見計らって次々と回避した。

 

「オーブメント駆動……!ラウラちゃんとミリアムちゃんは正面から、ガイウス君とアッシュ君は上空から、ユーシス君と皇太子殿下は左右から接近攻撃を仕掛けて!」

「承知!」

「はーい!」

「「ああ!」」

「いいだろう!」

「はい!」

アリサ達の攻撃が終わる頃、”エニグマではないもう一つのオーブメント”を駆動させ始めたトワの更なる指示に答えたラウラ達はそれぞれシズナに攻撃を仕掛けた。

「吼えろ――――――獅吼滅龍閃!!」

「ぶっ潰せ~!!」

「そこだっ!!」

「喰らいやがれっ!!」

「光よ―――――斬!!」

「炎よ、全てを断ち切れ――――――ブレイズカット!!」

シズナに接近戦を仕掛けたラウラは薙ぎ払いから蒼き獅子の闘気を飛ばし、ミリアムはオーバルギアに搭載されている武装にパワーを溜め込ませた後強烈な一撃を放つクラフト―――――メガトンプレスを放ち、ガイウスとアッシュはそれぞれ跳躍して地上にいる敵であるシズナに攻撃するクラフト―――――サベージファング、ランブルスマッシュを放ち、ユーシスは霊力を宿した剣で一閃し、セドリックは炎を宿した剣で縦一文字斬りを放った。

「三の型―――――晴嵐!!」

逃げ場のない怒涛の攻撃に対してシズナは高速の剣撃を繰り出して自身の周囲に嵐の如く暴風を巻き起こす剣技を放ってラウラ達の攻撃を防ぐと共にラウラ達を攻撃してダメージを与えると共に吹き飛ばした。

 

「それっ!――――――カラミティクロウ!!」

「……ッ!?これは……」

シズナがラウラ達を吹き飛ばした後トワは駆動を終えた一つ目のオーブメントでアーツを発動し、トワが発動したアーツによって発生した漆黒の牙は足元からシズナを蝕んでシズナの身体能力を下げた。

「”アークス”駆動―――――ダークマター!!」

「”二つ目の戦術オーブメントによるアーツ”……!?く……っ!?」

更にトワは駆動を終えたもう一つのオーブメント――――――”アークス”で吸引の効果がある空属性攻撃アーツを発動した。一方シズナはトワが二つ目のオーブメントでアーツを発動させた事に驚いた後すぐに回避行動に移ろうとしたが、トワが発動した身体能力を著しく下げるアーツによって下がっていた為回避行動がとれず、トワのアーツによってダメージを受けると共に吸引によって身体の動きが封じ込められた。

「―――――今です、サラ教官!クロウ君とアンちゃんもお願い!」

「ええ!」

「おっしゃあ!」

「フフ、この時を待っていたよ!」

そしてトワがサラ達に号令をかけるとサラ達はそれぞれSクラフトを発動した。

「あたしの本気――――――見せてあげる!だぁぁぁぁぁっ!ハッ!セイッ!!」

全身に凄まじい紫電を纏ったサラはシズナに強化ブレードと銃による乱舞攻撃を叩き込んだ後一旦距離を取り

「遅れんじゃねぇぞ、ゼリカ!」

「フフ、そちらこそ!」

クロウとアンゼリカは互いに視線を交わして頷いた後同時にシズナに向かい

「風織紡ぎ!」

「大地を断つ!」

それぞれシズナの周囲を回りながら連携攻撃を叩き込んで竜巻を起こしてシズナを空へと舞い上げ

「「天招風縛刹!!」」

「ぐ……っ!?」

止めに空へと舞い上げたシズナに二人は渾身の飛び蹴りを見舞った。二人の渾身の飛び蹴りをまともに受けたシズナは地面に叩きつけられ

「ノーザン――――――ライトニング!!」

地面に叩きつけられたシズナに一瞬で詰め寄ったサラは止めの一撃を叩き込んだ。

「フフ、痺れたかしら?」

そして止めの一撃を叩き込んだサラがウインクをして決め台詞を口にするとシズナを中心に紫電の大爆発が起こった!

 

「よし……!決まった……!」

「へへーん、ボク達の力、思い知ったか~!!」

爆発に巻き込まれた様子のシズナを見て勝利を確信したマキアスとミリアムは明るい表情を浮かべていたが

「フフ、今のは結構効いたよ。」

「オイオイ、マジかよ……!?」

「ですが、このまま連携を続ければ……!」

「ちょっ、いつまでやらなくちゃいけないのよ……!?」

爆発の煙が晴れると何とシズナは立っており、それを見たアッシュは信じられない表情で声を上げ、エマは真剣な表情で呟き、セリーヌは疲れた表情で声を上げた。

「うん――――――凄くいい感じだ。弟弟子からの戒めはあるけど……剣聖として先程君達が見せてくれた”覚悟”に敬意を表させてもらおうかな。こおおおおっ………」

満足げな笑みを浮かべてアリサ達を見回したシズナはその場で集中を始め

「神氣合一!!」

何とリィンのみしか扱えなかった強化技――――――神気合一を発動した!

 

「ええっ!?ど、どうしてシズナさんがお兄様のみしか扱えなかったあの技を……!?」

「………………」

シズナが発動した技を見たセレーネは驚き、リィンは口をパクパクさせ

「な――――――”神気合一”だと……!?」

「ど、どうして貴女がリィンしか扱えないあの技を使えるのよ……!?」

ラウラは絶句した後驚きの表情で声を上げ、アリサは信じられない表情で声を上げた。

「これは以前、彼が披露したものを私なりに再現してみた紛い物かな。」

「紛い物とはいえ、リィンのあの技を再現するとは……!」

「め、滅茶苦茶過ぎるよ……!?」

「狼狽えるな!所詮は紛い物だ!このまま一気に攻め続けるぞ――――――」

シズナの話を聞いたガイウスは厳しい表情でシズナを睨み、エリオットは表情を引き攣らせて声を上げ、ユーシスが仲間達に激励をしたその時

「せーの――――――そこだぁっ!」

「え――――――」

「は、速すぎる……!?」

シズナはアリサ達目掛けて神速の早さで詰め寄った後アリサ達の周囲を縦横無尽に駆けながら目にも止まらぬ無数の剣閃を一挙に浴びせ始め、シズナが放った秘技を受けたトワは呆け、サラは信じられない表情で声を上げた。

「秘技―――――九十九颯!!」

そして無数の剣閃を終えたシズナが大太刀を一振りするとシズナが宣言した人物達――――――アンゼリカ、クロウ、ラウラ、フィー、サラ、アッシュ、セドリック、ガイウスはまだ戦闘続行な様子で立てていたが、それ以外の人物達――――――アリサ達は全員戦闘不能になり、地面に膝をついていた!

 

「う……く……」

「馬鹿な……」

「つ、強すぎるよ……」

地面に膝をついたアリサは呻き、ユーシスとエリオットは信じられない表情で呟いた。

「みんな……!?」

「ハァ……ハァ……何とか耐えられたけど……他の人達が……」

「化物が……!クソ……ッ!」

「同感だぜ……下手したらあのマクバーンよりも”化物”な気がしてきたぜ……」

「ハハ……リィン君も忠告していた通り、同じ”剣聖”のエリゼ君とは桁違いの強さじゃないか……」

「くっ……エリゼどころか、カシウスさんやアリオスさんとも互角か、ひょっとしたらそれ以上なんじゃないの……!?」

「この強さ……多分、団長をも超えている……!」

「これが”白銀の剣聖”の実力の一端……一度攻勢に出ただけで、この惨状を作り出すとは、リィンが言っていた通り、我らの中で彼女とまともにやり合えるのは父上しかいないかもしれないな……」

一方まだ戦闘不能になっていないガイウスは戦闘不能になった仲間達を心配し、セドリックは疲弊した様子でアリサ達を見回し、悪態をついたアッシュの言葉にクロウとアンゼリカは疲れた表情で同意し、サラとフィー、ラウラは厳しい表情でシズナを睨んだ。

 

「フフ、それじゃあ続きを始めようじゃないか――――――」

そして不敵な笑みを浮かべたシズナがサラ達に追撃を仕掛けようとしたその瞬間

「―――――そこまでだっ!」

何と一瞬で”神気合一”を発動したリィンがシズナに詰め寄って、シズナの大太刀を自身の得物である”神剣アイドス”で受け止めた。

「お兄様……!?」

「おや、彼らの加勢をするつもりはなかったんじゃないのかい、弟弟子?」

リィンの突然の行動にセレーネが驚いている中シズナは興味ありげな表情でリィンを見つめながら問いかけた。

「アリサ達が”条件”を満たした以上、止める必要があると判断したから止めただけだ……―――――”アリサ達がシズナにまともな一撃を与えれば、アリサ達の勝利とする事が俺とセレーネの代わりに君がアリサ達の相手をする事に対して約束してもらった条件”であった事を忘れたとは言わせないぞ。」

「へ………」

「リィンさんがシズナさんに対してそのような条件を……」

「なるほどね……まさに”化物”クラスの”剣聖”であるその女相手に”光の剣匠”を始めとした協力者達の大半がいない状態の今のアタシ達が勝つのは厳しい……というか、”ほぼ無理”と判断してそんな条件を出したんでしょうね……」

「だったら、さっきのサラ達の攻撃が決まった時点で”条件”は満たしているじゃないか~!」

リィンがシズナに向けて言った言葉を聞いたマキアスとエマは呆け、セリーヌとミリアムは疲れた表情で呟いた。

 

「君の予想以上に奮闘した彼らに対して戦闘意欲が高まる気持ちは理解できるが、俺達のここでの役割はこの霊場での儀式に必要となる”闘争”をするだけで”お互いの勝ち負けは関係ない。”役割もそうだが約束も忘れて、私情で戦闘を続ける事は”剣聖”を名乗る者として相応しい行為ではないと俺は思うが?」

「……うん、返す言葉もないね。」

リィンの指摘に対して少しの間黙り込んだシズナは苦笑した後”神氣合一”状態を解くと共に大太刀を鞘に納め、それを見たリィンも”神気合一”状態を解いて太刀を鞘に納めた。

「それにしても……フフ、咄嗟の判断とはいえ一瞬で”力”を解放して、あまつさえあの状態の私の攻撃を受け止めるなんて、私の技を盗んだことといい、増々可愛さが増して君の姉弟子として誇らしいよ、弟弟子♪」

「ちょっ、いつも言っているようにみんなの前で”これ”は止めてくれ……!」

そして無邪気な笑顔を浮かべたシズナはリィンの頭を撫で、シズナの行動にリィンは恥ずかしがり、その様子を見ていたその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。

「フン、人目もはばからずにセレーネやエリゼ達に同じ事をしているお前だけは他人(ひと)の事は言えないだろうが。」

「それに”いつも”って事は、”灰獅子隊”の面々がいる前でもやっているんだろうね。」

「というか、リィンが”アレ”をされているなんて、何だか新鮮だよね……」

「まあ、彼女がリィンの”姉弟子”との事だからというのが一番の理由とは思うが……」

「フフ、”姉属性”は数多くの女性達を侍らしているリィン君にとっても新鮮だろうね。よく見たら容姿も相当な上スタイルも平均は超えているし、何よりも彼女は今までリィン君の周りにはいなかった”姉同然の存在”だから彼女の戦闘能力を抜きにしても、アリサ君にとっては新たなる強力な恋の好敵手(ライバル)の出現かもしれないね♪」

「ちょっ、何をおかしなことを言っているんですか、アンゼリカ先輩……!?」

我に返ったユーシスとフィーは呆れた表情でリィンとシズナを見つめ、エリオットとラウラは苦笑し、からかいの表情を浮かべたアンゼリカの指摘にアリサは顔を真っ赤にして反論した。

 

その後シズナとの戦闘でダメージを受けたアリサ達はセレーネの治癒術によって回復してもらった。

 

「皆さんの回復は終わりましたわ、お兄様。」

「わかった。―――――ベルフェゴール、頼む。」

「はいは~い♪」

アリサ達の回復を終えたセレーネの言葉に頷いたリィンはベルフェゴールを召喚し、召喚されたベルフェゴールは転位魔術を発動し

「……やっぱり二人とももう行くのね。」

その様子を見たアリサは残念そうな表情を浮かべながら問いかけた。

「ああ。次の作戦まで時間があるとはいえ、やる事がない訳ではないからな。――――――”次の作戦”は今までアリサ達が介入してきた”戦場”とは比較にならない”酷な戦場”になるだろうから、アリサ達は介入しない方がいい――――――いや、内戦から今まで”身内の保護”を大義名分にどんな厳しい状況であろうとも介入したアリサ達には言うだけ無駄か。」

アリサの問いかけに対して頷いて答えたリィンはある事を忠告しようとしたがすぐに複雑そうな表情を浮かべて忠告が無駄だと悟った。

「”次の作戦”に介入してきた場合の君達”紅き翼”の足止めは”俺以外の黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)出身のメンバーから複数名”と鉄機隊から2名、そしてシズナとレン皇女殿下が雇った裏解決屋(スプリガン)が担当する事になっている。」

「お、お兄様!?」

「へえ?」

表情を引き締めたリィンはアリサ達にとって驚愕の情報を伝え、リィンが口にした情報を聞いたアリサ達がそれぞれ血相を変えている中自分達にとっても想定外の事――――――アリサ達を足止めするメンバーの詳細を口にしたリィンの行動にセレーネは驚き、シズナは興味ありげな表情を浮かべた。

「子爵閣下とシャロンさんを取り戻した今の君達が歴代の”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の中でも逸材揃いと言われていた上”皇帝三軍将”の一人に担任をしてもらい、卒業後は輝かしい道を歩み、更にはこの戦争で更なる成長をした”黒獅子達”とシズナ達を超えられるなんて、正直”絶対に不可能”だと思っている。――――――だけど、かつてのⅦ組の――――――トールズの一員としてアリサ達の武運を祈っているよ。」

「お兄様………――――――私もかつてのトールズの一員として皆さんのご無事とご武運をお祈りいたします。――――――”次の作戦”、どうか誰一人も欠けずに生き残ってください。」

「ちなみにさっきリィンの話にあった私と裏解決屋(スプリガン)は”光の剣匠”を始めとした君達”紅き翼”に協力している”協力者達”の相手を担当する事になっているから、姉弟子(仮)には『弟弟子(リィン)と違ってあまり期待していないけど、老師(せんせい)の孫娘としての実力はどんなものなのか楽しみにしている』って伝えておいてね。その代わりに黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の面々には君達は”半端者じゃない”って事を実際に刃を交えた私――――――”白銀の剣聖が保証する”って事を伝えておくからね~。」

そしてリィンとセレーネ、シズナがそれぞれアリサ達に伝えたい事を伝え終わるとベルフェゴールの転位魔術が発動してリィン達は転位魔術でその場から消え去った。

 

「ったく、”メンフィルと協力関係を結んでいる勢力でもない俺達にこの戦争の行く末が決まる重要な作戦内容を漏洩する訳にはいかない”んじゃなかったのかよ。」

「もしかしたら彼女――――――シズナ君が私達が”条件”を満たしていたにも関わらず戦闘を続行する所か、”本気”を出して攻勢に出た事に対するリィン君なりの”詫び”かもしれないね。」

リィン達が転移した後クロウは溜息を吐いた後苦笑し、アンゼリカは肩をすくめて推測を口にした。

「だけど、わたし達にとっては貴重な情報だったね。お陰で、”次の作戦”に介入した時にわたし達を阻む相手が前もってある程度の予想と対策ができるのだからね。」

「黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)……”黒の工房”の時は協力し、その後も今までの介入で実際に刃を交えたのはルーレのアンゼリカ先輩の実家の時くらいだが、ついに本格的にオレ達を阻む相手になるようだな。」

「姉さんの推定ですと、一人一人が”執行者”候補クラスの上、”先輩”と”副級長”に関しては”執行者”クラスの戦闘能力との事の上、その方達が複数で阻んで来るのですから、厳しい相手になりそうですね……」

「ん……しかも向こうもお互いクラスメイト同士だったんだから、わたし達のようにチームワークも抜群だろうね。」

「そっちも相当厄介だけど、”執行者”クラスに加えて達人(マスター)クラスまでいる”鉄機隊”から二人に加えて、さっき戦ったまさに”人外”としか思えない強さのあの”化物”――――――”白銀の剣聖”とやらまでが阻んで来るんでしょう?あの”化物”が相手の時点で、”対策”の立てようがないんじゃないの?」

「実力が”化物”クラスに加えて、リィンの”神気合一”まで使えるとか、冗談抜きで”チート”な存在だよね~。」

真剣な表情で呟いたトワの言葉に続くようにガイウスとエマ、フィーはそれぞれ考え込み、セリーヌとミリアムは疲れた表情でシズナを思い浮かべながら呟いた。

 

「……ま、”白銀の剣聖”自身の話によると、次の作戦であたし達を阻む時はあたし達じゃなく、協力者達――――――子爵閣下達を阻む相手の担当をするらしいから、その点があの女をどう出し抜くかの鍵となるかもしれないわね。」

「そうですね……ただシズナさんの話通りだと、裏解決屋(スプリガン)という存在まで子爵閣下達を阻む担当をするとの事ですから、そちらに対する対策も考えなければならないでしょうね。」

「ハッ、あのチビ猫が雇ったって点は気にはなるが所詮は遊撃士のモグリ野郎なんだから、大したことねぇだろ。」

「そ、そうかな……?僕はむしろ、”あのレン皇女殿下が雇った”という点が怖いんだけど……」

「ああ………レン皇女殿下の性格を考えると、その”裏解決屋(スプリガン)”とやらにも”何か”あるんだろうな……」

静かな表情で呟いたサラの言葉に頷いたセドリックは考え込み、鼻を鳴らして嘲笑したアッシュの推測に対して戸惑いの表情で答えたエリオットの推測にマキアスは不安そうな表情を浮かべて同意した。

 

「―――――いずれにせよ、今は”真実”を知る為にも攻略を再開すべきだな。」

「ああ。次に待つ”最後の相手”の事も考えると、気合いを入れ直した方がよさそうだな。」

「ええ!――――――行きましょう!!」

そしてユーシスの意見に頷いたラウラの言葉に力強く頷いたアリサは仲間達に号令をかけて、攻略を再開した――――――

 

 

 

シズナ戦はある程度予想できたと思いますが、案の定シズナ無双でしたwそれとお気づきの方もいらっしゃると思いますが、シズナのこの作品のオリジナルクラフトとして去年話題になった某作品の技がいくつかありますが、シズナの実力なら実際に使えてもおかしくないのが洒落にならない気がwまあ、それを言ったらリィンも”炎”や”日”あたりは使えてもおかしくないでしょうねw某作品の技の大半は刀技ですから、リィンとシズナの相性に良すぎるwwまあ、それを考えたらアリオスやリシャール、この作品のエリゼとも相性がいいでしょうけど、アネラスは……ちょっとわかりません(酷っ!)

 


 
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