No.1064068

新・恋姫無双 ~呉戦乱記~ 第2話

4BA-ZN6 kaiさん

ストック分を投稿します。
正直久しぶりに恋姫を書いているのでキャラが違うかもしれませんがご了承を。

主人公はかなり大人びた口調ですが基本はゲームと同じ年齢です。

2021-06-11 12:41:05 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:502   閲覧ユーザー数:465

・・・・また夢を見ている。

 

この前見た夢と同じだ。泣き続ける女性とそれを聞いている俺。

 

誰?誰が泣いている?どうして俺はこの声を聞いて胸が締め付けられるのだろう・・・。

 

 

不思議な夢。だけど無視することも忘れることもできないそんな夢。

 

胡蝶の夢。頭にそんなことがよぎった瞬間強烈な衝撃が体にかかり一気に覚醒する。

 

「これ起きんか!ん?なんじゃようやく目を覚ましおったな。儂は黄蓋、お前を鍛えるよう周瑜に命じられた者ぞ」

 

目を覚ますと妙齢な美人な女性が・・・。もはや女性であることにはなんの驚きもしなくなったが黄蓋という名前に驚きはあった。

 

「黄蓋?あの黄蓋ですが?」

 

「お?なんじゃ坊主、お前儂を知っておるのか?」

 

「は、はい。有名人ですから」

未来でね。心で付け足したが有名であると聞いて黄蓋は嬉しそうに鼻をならす。

 

「そうかそうか!儂の美貌も天下太平に響き渡るとは嬉しく思うのぉ」

ガハハハと笑いながら背中をバンバン叩いた。痛い、すごく痛いです黄蓋さん。

 

「はははは、そりゃもちろん・・・」

 

「ふふん?そんなお世辞を言って儂の鍛錬を逃れようとする魂胆か?なに案ずるな、儂がついていれば一人前の雄々しい男にしてやるゆえ。まずはコイツに着替え終わった後着いてこい」

 

ニカリと笑うと兵士が来ている服を無造作に渡された。その笑顔が無邪気ゆえに逆にどれだけ恐ろしい訓練に襲われるのか内心不安に駆られたが孫策の言葉が頭によぎる。

 

『その誇りをもち孫呉のために邁進してくれること期待してるわ』

 

郷に入れば郷に従えという諺がある。ここの時代にこの世界に来たことの理由を考える時間はない。今は生き残る、そのために今できることをするしかないのだと。

 

俺は覚悟を新たに黄蓋のトレーニングを受ける決意をしたのだった。

 

 

それからは厳しい訓練が続いた。乗馬訓練、体力トレーニング、そして武器の使い方など基本的なコトから始まり用兵論や文書の読み書きなども学ばされた。

 

周瑜も度々ではあるが読み書き等の勉学に顔を出してくれては色々と教材持ってきてくれたり、自らが教鞭をふるったりとよく面倒を見てくれた。俺は彼女の厚意を無駄にはできないと懸命に語学の習得に励んだのだった。

 

 

・・・だがこの訓練を受けていて違和感を覚えている自分がいた。

 

それは違う世界で訓練を受けるという違和感というのももちろんある。慣れない環境で以前とは違う環境で生きていくというのはストレスが多大であるからだ。だが俺はそういったストレスに違和感を覚えるというのではなく、この『訓練を前に受けたことがある』という既視感からくるものであった。

 

乗馬、ありとあらゆる武器の使用方法や防具の装着、全てが既視感があった。

 

そしてそのぼやけた既視感がどんどんと鮮明になっていく。違和感が大きくなり俺が普段の俺ではない、もうひとりの全く違う別人が自分を支配しているようで不安を駆り立てる。

 

自我境界があやふやになり強烈な不安と気持ち悪さに支配されるがその不安を消そうと訓練にさらに励むのであった。

 

 

「ふむ、武術は初だという割にはナカナカやる」

 

彼を訓練しておよそ半年、黄蓋も毎日洗練されていく北郷の姿を見て驚く。最初は基礎訓練からとみっちり、と考えていたがこの調子なら・・・。

ただ彼女からすれば彼の訓練での動きは「忘れていた動きを思い出す過程」のように見えてならなかった。だが孫策が信頼できるという太鼓判を押したがゆえ不審な人間ではないのは確かはずだ。

 

話してみても倫理整然としているし言動も考えが今のところぶれない。いい兵士になるだろう。

 

そう感じる。だが彼女を唸らせるほどの成長曲線を描く彼を黄蓋はやはり不審がるのは無理のない話だった。

 

実際訓練の様子は孫策や周瑜もよく見に来ていたがその成長する姿に最初は喜んではいたが次第に訝しがる姿勢が見えるようになった。

 

「雪蓮、北郷の姿どう思う?」

 

「そうね、武人の目で見るのなら北郷は凄まじい成長速度だと思う。彼、本当に武術の経験がないのかしら?あの動きそれにあの身のこなし・・・まるで孫呉の兵士よ」

 

孫策は怪訝な目で訓練に励む北郷を睨みながら周瑜に返す。周瑜もやはり同じ考えであったのか深く頷くと深い溜息を付いた。

 

「やはり未来からの知識の助けということか?」

 

「いや、儂はそれはないと思うがな。武術はどれだけ知識がついていても実施するのは結局は生身の人間。もちろん知識も重要じゃが「知っている」とそれを「できるようになる」は違う。経験が物を言うからの」

 

「私も祭の言うとおりだと思うわ。あれだけの動きは経験がないとまずできない。う~ん嬉しい誤算ではあるけれどなんか釈然としないわねぇ・・・」

 

「雪蓮、北郷を監視させようか?」

 

周瑜は北郷が何か嘘をついていると考えたようで敵勢力のスパイではないかと疑い孫策に監視を提案するが孫策は首を横に振る

 

「その必要はないわ。彼には敵意がないのは分かるし、それに・・・」

 

「「・・・・?」」

 

周瑜と黄蓋は孫策の話に耳を傾ける。

 

それは敵意や裏切りに敏感であるという彼女の天性の冴え渡る直感を彼女たちは知っているからだ。

 

「北郷の動きに迷いがないのよね。常に透き通る綺麗な川のように流れる、清廉とした動き。あれは武人として悪人であるとは思えないのよね・・・」

 

孫策はどこからか持ってきたのか酒をお猪口に注いで飲む。いつもは執務中の酒を煩く叱る周瑜も注意することはせず孫策の意見に同意するかのように深く頷く。

 

「ゆえにその矛盾に雪蓮は迷っていると?」

 

「まぁね・・・。何度も言うけれどあの動きは間違いなく「人を殺してきている」動きだわ。それもかなりの数をね。彼、経験がないと言っていってるけどそこが引っかかるのよね・・・・」

 

「・・・・そうじゃな、儂もあの小僧の動きが心底恐ろしく思うことがあるよ。迷いがないという事はどんな事をしても自分の信念を貫くというもの。北郷は・・・一体何者か・・・」

 

いま3人が見てる模擬戦を行っている北郷だが相手にしているのは連隊長だ。だが連隊長の斬撃を苦もなく交わすと一気に距離を近づけ体術を繰り出す。

 

足払いを避けたあとを見越して北郷は腹部に素早く潜り込むと同時に素早い動きに同調させての強烈な推底を食らわせる。連隊長は苦痛に歪めよろめくがその一瞬の隙をつき剣を持っている腕をねじり上げ合気道の要領でフワリと投げ飛ばす。

 

勝負あった。

 

「いつつ・・・なんてやつだ・・・」

 

連隊長は苦痛に歪めるが北郷は彼の腕をとって立たせてやった。と同時に連隊長の男が苦笑した。

 

「お前にはかなわん。全くお手上げだよ」

 

「まだまだですよ。さらに精進します」

 

「やれやれ、お前みたいなバケモノ相手にされる俺たちが心底悲しくなってくるよ・・・・」

 

北郷の謙遜に連隊長が嘆くと同時に黄蓋の怒号が飛ぶ。

 

「貴様、孫呉の正規兵でありながらこのザマとはなんじゃ!もう一度鍛え上げてやる!!ついてこい!!」

 

「は!!ご教授よろしくお願います」

 

連隊長は黄蓋の怒号を受け止めると更なる訓練に励むべく体を動かす。

 

北郷は孫策と周瑜が見ているのを気がついたのか、笑顔で手を挙げてこちら見てくる。

 

孫策は椅子から立ち上がると北郷のもとへとスタスタと歩いていく。演習場に孫家の人間が入ることで兵士たちの緊張は高まり、敬礼をおこなう。

 

「ん、私はいいから訓練を続けなさい」

 

孫策は片手を上げて兵士に促すと俺をじっと見つめてくる。暫くするとニヤリと笑う。

 

「さ~て私も書類書類で体がなまっていることだし・・・・。北郷相手にしてくれる?」

 

 

一同に緊張が走る。孫策の技量は正規兵を当然大きく凌ぐ実力であり、鬼神と言われるほどの技量の持ち主であったらだ。孫策も並みの兵士たちじゃ相手にならないのを知ってか演習場にはほとんど顔を出さなかった。

 

今回はたまたま北郷という知り合いが演習を行うから見に来た・・・・。と思っていたが・・・・。

 

「わ・・・・私が孫策様と、ですか?」

 

「そうよ。あなたなら私のイイ相手になるかなぁ・・・なんて思って。受けてくれるわよね」

 

模擬刀を!と孫策はいうと黄蓋が渋い顔で差し出す。北郷ではまだ危険だという思慮が働いてのことだろうが孫策は黄蓋にお構いなく機嫌よくそれを受け取ると凄まじい速さで模擬刀を振り回す。

 

「あ~あ、やっぱりなまってる!!体が重いわぁ。それに南海覇王じゃないから使い勝手がねぇ」

 

と模擬刀に文句を言いながらもどこか嬉しそうに言いながら模擬刀で準備運動のごとく舞う。その舞う姿は恐ろしくもあり、そして一切の迷いのない美しい剣筋に皆が恍惚となり憧憬の念が灯る。

 

「・・・・・・・・・・おい、冥琳。貴様策殿をとめんのか?!」

 

黄蓋は周瑜に抗議をするが周瑜もお手上げだというふうに両手を見ろげ首を左右に降る。

 

「雪蓮がこうなったとき止めるのには血を見ることになりますよ、祭殿。ここは北郷に・・・・尻拭いをさせようかじゃありませんか」

 

「ふん・・・・どうなっても知らんぞ?」

 

周瑜は北郷の戦闘が研ぎ澄ませれ、日々それがよく切れる刀のごとく鋭さを増しているというのは実感していた。ゆえに北郷は孫策相手にどれだけできるのかというのが知りたかったのだ。

 

孫策もそんな思いを抱いたのだろうがと同時に武官の、戦士の血が騒いだ。ということなんだろう。孫策の顔つきは高揚し、目はギラつき血走っている。

 

北郷は断るという逃げ道を孫策の強圧から強制的に奪われ、覚悟を決め模擬刀を構えた。

 

「へぇ?私の前で逃げないのは感心したわ。やっぱりこの手合わせはやり甲斐がありそうねッ!!!」

 

孫策がそう言うと同時に凄まじいスピードで北郷までの距離を詰め、剣を振りかざす。

 

「?!・・・・速い?!」

 

北郷がそう呟くと同時に孫策の斬撃を紙一重で躱す。その回避に見ている兵士たちからどよめきが走る。孫策の神速の斬撃は常人では決して見えない斬撃であったからだ

 

「ふふふ・・・・、そうこなくっちゃねッ!!!」

 

北郷の急所めがけて的確に剣技が舞う。模擬刀では本来は当たったとしても死ぬということはない。せいぜい打撲がいい程度ではあったが、この速度でさらに急所となれば話は別だ。左右に縦にと一切の間がなく機関銃のように振るわれる剣撃を北郷は体を捻る、剣で受け流すと回避に徹する。

 

「ホラホラどうしたの!!それじゃ私に勝てないわよ。ホラァ!!」

 

孫策は剣技の舞をさらに激しくしながらも間合いから一気に距離を詰める。

 

「?!」

 

北郷も孫策の間合いの詰めに反応が遅れる。

 

「アハハハハっ脇が甘いわよ!!北郷!」

 

強烈な回し蹴りを間合いを詰る突進したスピードに乗じる形で繰り出す。北郷の脇腹がグニャリとめりこむ。

 

「ぐあ?!」

 

北郷は自分の脇腹の骨が折れる音を聞くと同時に気がつくと地面に顔を叩けつけられる。

だが孫策は倒れた北郷相手に容赦はしない。追撃を加えようと彼の顔元で近づきそのまま足を高く上げ踵落としで顔めがけて振り下ろす。

 

「あら?これで終わり?もっと出来ると思ったけど残念・・・ね!!!」

 

孫策の歪んだ笑みが北郷を刺す。が北郷もここで負けるわけにはいかないと粉骨砕身で反撃を繰り出す。

 

「ぐぅぅぅう」

 

北郷は脇腹の激痛を無視し、両腕をクロスにしガードをして彼女の踵落としを受け止めると足払いをするが予想していたかのように孫策は後ろに下がる。北郷は直ぐ様足払いの後反動を活かし体をひねるようにして立ち上がると突進をする。

 

「うぉおおおお!」

 

「ふん!結構根性あるじゃない?・・・お姉さんはそういうの好きよ」

 

孫策は余裕を崩さないがその余裕に反比例するかのように強烈な闘気を北郷に向け彼の反撃に受けて立つ。

 

二人の演習を見て皆が背筋を凍らせる。いま演習場は誰かが宣伝でもしたのか城中の人が見ている。

 

北郷の模擬刀での突きを横に躱すと同時に彼の突きでがら空きになった彼の腹にストレートの殴打が炸裂する。

 

「「?!」」

 

皆が一同に息を飲んだが孫策は動揺の色を少し見せる。北郷は彼の殴打を剣を持っている方とは逆の手で彼女の手を掴んでいた。

 

「つかまえた・・・・」

 

「なんですって?!クッ・・・・?!」

 

腕を掴んだと同時に彼女の手首をサッと下に曲げると捻ると同時にフワリと彼女を投げ飛ばした。

 

「あの突きは誘いだったのか?!」

 

周瑜は思わず叫ぶと

 

「あれだ・・・・あの投げ技で・・・・」

 

誰ともなく声をあげる。それは先ほど投げ飛ばされた連隊長の男か。

 

だが孫策は驚異的なバランスで着地し北郷から距離をいったん取ろうとする。

 

「この私を投げるなんて・・・・え?!」

 

北郷は一気に距離を詰めると剣を捨て飛び上がり両走の太ももで彼女の顔挟むとそのままの勢いを利用し体をねじり地面に叩きつけた。

 

孫策は胴体を打ち付けられ体中の酸素が奪われ暫く立つことが出来ない・・・・が北郷も先ほどのダメージと動きが祟ったか崩れおち膝をついてしまい立つことができない。

 

「そこまで!!」

 

黄蓋が声を張り上げる。この勝負は引き分けに終わった。孫策が油断をしてはいたがまさか北郷が劣勢の中孫策と戦い抜いたのだ。

 

 

その事実に皆がポカーンと呆気にとられるがそれを見た孫策は顔を真っ赤にする。

 

「ちょ・・・・・まだ勝負はついてないでしょ?!勝負はこれからよ!!!」

 

孫策はこのままでは自分の面子が丸つぶれだと声を張り上げたがそこに周瑜が割って出る。

 

「そこまでだ、雪蓮」

 

「ちょっと冥琳?!」

 

「雪蓮、お前はあそこで投げられたあと戦場なら既にやられていた。北郷相手に油断をした自分に反省することだな。それに・・・これは演習だ。命のやり取りをする場所ではない!北郷、大丈夫か?!」

 

ギロリと周瑜が睨みつけると。孫策の闘気も萎んでいきやがて深い溜息をついた。

 

「はいはい!分かりましたよ~だ。なによ・・・ちょっと熱くなっただけよ・・・」

 

ブーブと文句を言う孫策を無視し周瑜は全く・・・と呟くと北郷を心配してか声をかける。北郷は自分では立てず、ぜーぜーと息を吐いて項垂れている。

 

それを見て周瑜は振り返り孫策を睨みつけ声をあげる。

 

「このバカモノが!誰が北郷を半殺しにしろといった!これは演習だから~って言ったのはお前だろうに!」

 

「だって!アタマに血が昇っちゃったんだもん!!しょうがないでしょ!?」

 

と孫策の言い訳が飛んでくるが城中の人間が見る中で言い訳がましい言動は流石に訳ないと気がついたか、気まずそうに溜息をついて頭をかく。

 

止めなかったおぬしも同罪じゃぞ!と後ろで言われギクッとなりうなだれる周瑜。珍しく立場が逆転している周瑜と黄蓋を尻目に孫策はそのまま立ち上がると、立てないでいる北郷の肩を担いで立たせてやる。

 

「ほら!しっかりなさい。孫呉の兵はこれくらいで倒れたらいけないのよ!」

 

「すみません・・・・孫・・策様・・・」

 

孫策に肩を担がれると弱々しく声をあげる北郷。それを見ると孫策はやりすぎたなと少し罪悪感に駆られる。

 

「医務室に連れて行くわ!ほら道をあけなさいな!」

 

孫策に言われると皆が一斉に道を開ける。孫策はそのまま北郷を医務室に連れて行ったのであった。


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