No.105077

真恋姫無双 美陽攻略戦 第十二ターン

Thyleさん

第12回目の投稿です。
読みにくい点や日本語がおかしい部分があるかもしれませんが、宜しくお願い致します。
<穏と亞莎の長安観光案内>がオマケにあります。

※最近知った技ですが添付している図が読みづらいと感じた

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2009-11-03 22:55:19 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:1944   閲覧ユーザー数:1729

美陽攻略戦

 

 

 

 

 

      (はじめに)

 

         挿絵の作成に時間と労力をかけました・・・本文は面白いかは微妙な感じです。

 

                      ・・・・できれば読んでください。

           

 

 

 

                                 

 

 

 

 

 

      (前回のあらすじ)

 

           恋「・・・モグモグ、おかわり」、詠「ヒッ━━━!!」       

 

         本編の地図は三国志関連資料を参考にペイント機能で作成したもので

         目測による模写の為大まかな位置程度で、縮尺等は一切合っていません。

 

 

 

 

 

 

 

第十二ターン

 

 

 

                    『長  安』

       

        長安城は、前漢時代に高祖により京師(首都)として都市が造成され

        本格的になったのは二代皇帝の時代になって都としての最低限の都市

        機能が設備されるようになった。

 

           長安城は東西十八里、南北十五里の広さで

            城門は東西南面に三門、北面に一門、計十門である。

             門道は中軸線である南面中央の明徳門と東面の春明門

              と西面の金光門は五条である。

        中国の正月にあたる春節になるとさらに、他の三条の門が開放される。

 

          王宮は中央北部によっており北部に皇帝の居住区である宮城がおかれ

           南部に政治が行われる皇城が置かれている。

            祖先の魂をまつる宗廟、土地の神をまつる社、五穀の神をまつる

             稷つまり社稷は皇城内にあり

              左側(東側)に宗廟、右側(西側)に社稷がある。

 

 

        長安の台所である市場は二ヶ所に設置され朱雀大路を中軸線として左右対称を

         意識して置かれている。しかし、前漢において長安が京師のとき

          最盛期で人口100万人とも言われる大都市までに発展したが

           同時に食糧問題という致命的な問題を内包するようになった。

 

        長安の人口の食を賄うには関中地域のみでは長安の膨大な人口を支えるだけ

         の食糧生産は不可能であり、江南から大運河を通じて大量輸送を行うか、

          朝廷そのものを食糧搬入が容易な場所に一時的に避難させる必要があった。

 

 

        このような事情から、後漢時代においては長安は活性化してきた

          異民族の襲撃が受けやすいという地政学上の理由と食糧問題を

           解決すべく、今まで副都とされたきた洛陽に遷都することとなった。

 

        しかし、遷都により長安の戦略的価値は低下することはなく、異民族から洛陽

        を守る前線となる城塞都市としての特色が都市計画に盛り込まれるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

      長安城内では、城塞という名のとおり周囲を堀、土塁、城壁(市壁)などの防御施設

     によって囲まれている。この城壁は版築という建築工法により造成され、春秋戦国時代

     から城壁や墳墓などの大規模な建造物をはじめ、道路や家屋などにも用いられてきた。

 

      また、長安の立地ではその原料となる粒子の細かい黄土が安価かつ技術的に容易に入

     手でき、建築工法自体簡単であり黄土を入れて突き固める作業を続け、これを数十段重

     ねることにより高い壁を作りだされる。そしてこれを毎年繰り返し工事することにより

     旧城の城壁から毎年の増築部分により肥大化することで壁というよりむしろ土手のよう

     な厚さにまでなる。

 

      この鉄壁のような城壁と様々な守城兵器、鎮西府に駐留する官軍という守りで長安と

     いう都市は商業都市としての一面の他に軍事要塞という側面を併せ持っていた。

 

 

 

        司馬は鎮西府において、派遣される官軍の別部司馬の代理である周瑜との交渉を

        終えると足早に北西部にある市場に向かった。

 

               呉の知将 周瑜が何の手も打たずタダで帰すはずがない。

 

        市場の人ごみが多くなったのを見計らって

               司馬はさりげなく物を買うフリをして横目で後方を見た。

 

               案の定、こちらの背後関係を調べるために尾行する者がいた。

 

        余程急に追わせたので、専門の訓練を受けた者ではないことから

                     余りにもお粗末で、簡単に見破ることができた。

 

 

             次の通りの角で、華琳が用意した護衛と接触することができる。

                   始末は彼らに任せればいいだろう。

 

           

        と考え、何食わぬ顔で市場に並ぶ品々を物色しながら

                         気取られないように目的地に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

           尾行をまく為に、角の近づいたら司馬は駆け足で曲がった。

           尾行の者も慌てて駆け足しだした。

 

 

        そして、司馬は合流地点である路地裏にきた。

        そこでは司馬の護衛としてつくはずだった者は皆地面に転がっていた。

        その周囲の石畳からおびただしい血が排水溝に向けて流れ込んでいった。

 

 

          護衛となる者は悲鳴を挙げる暇もなく、皆咽喉を掻き切られていた。

 

 

      司馬は彼らから流れた血の臭いによる催嘔吐性により胃液が逆流するような感じがした。

         

          彼らは華琳の精兵であり、そこらのチンピラ風情に到底負ける訳はない。

        つまり、司馬の後を尾行していた者は、こちらを油断させる為の道具に過ぎず、

               周瑜はこの界隈に逃げ込むことを想定し

                     先手を打って兵を配置させていた。

 

 

             さすが、周瑜、常に先を考えて手を打ってくるとは

           どうすべきか思案していたところ司馬の背後から声がした。

          

 

          「あなたにはもう逃げ道はないです。おとなしく投降しなさい。」

 

 

         振り向くと黒い長髪の少女が、

           水中でも動きやすいように改良された貫頭衣に

              腰に着けている小刀に右手を添えてこちらを見ていた。

 

       司馬は素早く周囲を見渡した。

              黒髪の少女と同じ服装をした者が数名屋根の上にいた。

 

              

                       囲まれた。

 

 

 

 

 

 

 

          彼らは抜き手で刀を持っていた。

          強行突破でも図ろうものなら頭上から攻撃してくるのは自明であった。

          

            殺されはしないが、手足の1本は失う覚悟がいる。万事休すだ。

          

              司馬は内心の動揺を抑える為、出来るだけ平静を装った。

 

            黒髪の少女は、司馬が観念したものと考え、 

                            ゆっくりと近づいてきた。

 

 

             (・・・ホンゴウ、困ッテイルヨウダナ・・・助ケテヤロウ・・・)

            

 

                     と司馬の脳に直接語りかけるような声がした。

 

           

         すると、周囲が一瞬暗くなり

            異変を察知し、黒髪の少女やその手勢は周囲に目を泳がせ警戒した。

              数瞬、囲まれていたはずの司馬が跡形も無く消えていた。

 

                       「どうゆうこと……」

 

          と少女たちはあわてて周囲を調べていると

                 大通りの方から数名の兵を引き連れた女性がやってきた。

              「明命、ヤツは捕縛できたか?」

              「……冥琳様、

               途中まで追い込みましたが残念ながら逃げられてしまいました」

          

         冥琳はこれを聞いて驚いた。

           明命ほどの手の者が仕掛けたワナから一般人はおろか、

              訓練された兵でさえ抜け出すことはほぼ不可能に近い。

           

              「捕縛して背後関係を調べたかったが・・・

               まあ、よかろう。明命は引き続き雪蓮の護衛に戻ってくれ」

 

           明命は、短く「御意」と言って片手を上げると

                      明命とその手勢は霞のように消えていった。

 

 

         冥琳は転がっている無数の死体に一瞥をくれると

               このような場所にはあまりにも場違な長方形の紙があった。

         冥琳はそれを拾い上げると

          なにやら神代に書かれた文字を彷彿させるようなものが書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

        司馬は暗転した目が正常に戻ると今いる場所に驚きつつも恐怖を感じた。

       

       司馬がいる場所は、

           華琳が長安に滞在する為に買い上げた没落貴族の邸宅であった。

 

       司馬は戸を開けて、

          内庭に出て隣接する厩や倉庫に触れ、幻ではないことを確信した。

 

         

         邸内のいたるところに二人一組でチンピラ風の若者が巡回している。

          彼らは全て華琳の私兵であった。

           近隣住人には許で商いをする者で、長安の鎮西府に武器や馬を売る

            為に厩や倉庫に収められていると触れ回っている。

         しかし、これは官軍が負け反乱軍が長安に侵攻したとき、

         巡回している私兵はこれらを着用し、許まで華琳を護衛する為の装備であった。

 

 

                   「司馬、アナタ何しているの」

 

 

                 という声を聞いて、司馬は振り返ると

        己の主である華琳とその数歩後ろに精魂尽きた様子の桂花がこちらを見ていた。

 

         「華琳様、お気にする必要はありません。

              そもそも男は本能と欲求不満で動くモノですから。

                アンタなんかビキニパンツ穿いた筋肉ダルマに・・・うげぇ」

              と桂花は何かを思い出したのか口に手を当てて池の方に走って行った。

 

         その様子を眺めていた華琳であったが、司馬と二人きりになり

 

         「 一刀、

           これから桂花の報告を受けるから貴方も同席しなさい。

                        ……ところで、呉の周公瑾はどうだったの」

 

       司馬は先ほどの醜態を取り繕うとして、咄嗟に思っていたことを言ってしまった。

    

           

            さすが天下の周公瑾 恐るべきほどムネがデカかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

                 「・・・・以上です。」

         

         と華琳に報告を終えた桂花であったが、

          その顔には精気がなくこの会議が終了したら倒れそうな程やっれていた。

 

         一方、先に華琳に報告を終えた司馬は、

              濡れた布を頬に当てて冷やしながら桂花の報告を傾聴していた。

 

          両名の報告を聞き終えた華琳は、

                   目を瞑り指先で肘掛を叩きながら何か思案していた。

 

        「桂花、去年の暮れあたりで、

          ……朝廷の少府で治水工事をする工部と財政を扱う度支に

                          頻繁に出入りした者は調べたかしら?」

         

        桂花は顔を曇らせたながら

           「該当者が一名います。涼州の馬安仁 という人物です」

        しかし、この男はろくに仕事もせず都で羽目を外し、朝廷の侍女を

                 追っかけたり等をして最後はたたき出されたとのことです。

              

                華琳はその人物はどこの家柄かと質問した。

         

        桂花はあまり中央にまで名声が鳴り響く人物ではない為、多くの者は

          田舎から来た者という認識しかありませんので情報はありませんと答えた。

                 華琳は今度は司馬にその話を振ってみると

            『そいつは馬騰の一族で……」と言いその人物の略歴を答えた。

 

 

               これを聞いていた桂花は驚いた顔で司馬を見ていた。

 

        そもそも、この時代で都まで鳴り響く著名人になる為には有名な私塾の門下生、

       郷里の有力者の後ろ盾、武勇を挙げる等により名声が伝播する必要がある。

        また、なかには知名度を挙げたいものは同じような同志を互いに褒めあい知名

       度を挙げる輩もいる。このように様々な手段を使わなければいくら国士無双の人

       物であったとしても人々の饒舌の人物にならなけれな、ただの人として歴史に埋

       没してしまう。

 

 

        しかし、この司馬は朝廷どころか志井の噂にもならない人物を熟知していた。

 

 

 

 

 

 

             桂花は気持ち悪いのすら忘れて、司馬を見つめていた。

  

       この司馬、司馬という姓すら昔司馬職という軍事に就いていた家系がそれを誉れ

      として姓に使用することが多々あり余程名門の司馬でない限り、市井での司馬は偽

      名に近いものである。

       

             時々春蘭が間違えて『ホンゴウ』呼び慌てて訂正するが

                 多分これが本当の名前なのだろう。

 

 

       許で華琳様の御前で政略について協議したとき

        司馬は

       「何進大将軍に仕えている劉表が、一年後に現在の荊州刺史王叡の後任となる」

                                     ことを語った。

       そして、この劉表は二年後に起こる袁紹との戦では袁紹に加担し、

         荊州の持つ軍・財力を使い魏は二面作戦を展開する窮地に立たされる。

       これを防ぐには、一年後に袁術の客将と庇護下に入る孫策を当たらせれば、

         劉表と袁術は一触即発となり、袁紹・袁術の共闘も出来なくなる。

 

      と具体的な年月までいい、あたかも識緯(未来を予言する書)のように語った。

 

         このような胡散臭い話と桂花は聞いていたが、

            華琳様や秋蘭(春蘭は論外!)は神妙な顔でその話を聞いていた。

 

       しかし、今回の朝廷での情報収集の過程で何進に近い者しか知られていない

      劉表の荊州刺史就任の話があった。荊州は交通の要所でありここを抑えれば各州

      に軍を派遣できる。その為、反何進大将軍の陣営はこの話を聞けばあらゆる手段

      で就任取り消しの工作をすることからこの情報は側近の側近にしか知られていない。

      

            司馬はこのような話をどこから入手しているのだろうか

     と桂花が思案していると、司馬の説明を聞き終えた華琳は桂花に話が振られてた。

 

           「桂花、田豊いえ袁紹はどのように動くが案を言いなさい。」

 

     「ハッ ハイ、華琳様、おそらく袁紹は、

       官軍派遣賛成派である何進大将軍との強い結びつきを望んでおりますので

        この官軍が敗れることがあれば何進将軍の朝廷での発言力は低下いたします」

 

                    桂花は華琳からのイキナリの質問に慌てて答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

       桂花の動揺する様子を見た華琳は何を思ったのか、桂花が話し始めたのを見計

      らって司馬に寄りかかるようにしたり、先ほど叩いた頬を撫でたり等して横目で

      桂花が嫉妬する様子を楽しみ出した。

                

                 桂花は激情するほど、妙案がでる。

 

       華琳の思惑どおり、桂花は何であんな不快な男に華琳様は戯れ付くのかと内心

       怒っている様子が伺えたが、華琳に案を提示することに神経を集中させていた。

 

            袁紹は何進将軍に最も派手で一番効果が高い時を狙って

             直接又は間接的な支援をするでしょう。

              そして、その時に袁紹は持てる軍備・財力を総動員して

               官軍の勝利を華々しくさせると考えられます。

            

               「ですから、華琳様も早急に官軍側に・・・」

       

        と桂花が言い続けようとしたが華琳は司馬をからかっているのに夢中で話を

        聞いておらず、桂花は怒り心頭に発して騒ぎだした。

 

             「華琳様そのような不潔で何を考えているかわからない男に、

                    戯れ付く等したら華琳様の玉体が汚されます!!

                  それよりアンタ何時まで華琳様に抱きつきボーッと……」

 

        と言い掛けて桂花は虚ろな表情をしている司馬の目の前で手を振ってみた。 

             

                        反応がない。

 

             「チョット、アンタ大丈夫! 華琳様、司馬の意識がありません!!」

 

        華琳も司馬に戯れ付いていたが、桂花の話に全神経を集中していた為、司馬の

       様子等気にしていなかったが桂花の狼狽ぶりで華琳も慌てて司馬の肩を揺らして

       怒鳴った。

       

                「かっ、一刀、しっかりしなさい。 どうしたの」

        

      暫くすると、司馬の瞳に光が戻り、動揺している二人に

      今日の交渉で疲れていたんだと言って心配かけてすまなかったと弱々しく謝罪した。

     これに対して、

      桂花は「ふっ、ふん。疲れているなら早く寝ることね」と言って先ほどの狼狽ぶりを誤魔化し、

      華琳に至っては「その位の仕事で疲れるならこの先が思いやられるわ。早く寝なさい」

 

                          

                と言われて二人に部屋から追い出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

       部屋から出てすぐ曲がった角にきて、司馬は壁に寄りかかるようにしゃがんだ。

              全身から冷や汗が出て、心臓は肋骨の中で脈打ち、

                骨を突き破って、胸にじかにはりついて

                  動悸しているかのように思われた。

 

 

         自分の会ったことのない人間が生きようが死のうがどうなろうと興味はない。

             しかし、自分の知っている人が死ぬのは耐えられない。

                  しょせん、自分は定命の人間なのだ。

 

 

 

   

              桂花が案を示したとき、桂花の話を聞いていた司馬は

               いきなり桂花の話が止まり、

                司馬に戯れ付いてた華琳も同様に動かなくなった。

            

             それだけではなく部屋の明かりである灯籠の火も動かず

               火の光に寄ってきた蛾も空中で止まっていた。

 

         司馬は異変に気づき周囲を見渡すと、椅子に座っている自分を見つけ驚愕した。

 

                 突然、背後で泣き叫ぶ悲鳴のような声が聞こえた。

         ふり向いた司馬は、何か吐き気を催させるものが壁の隅に出現したのを見た。

                 それは真っ黒で見るものに不快な印象を与え、

                 絶えずよだれのような粘着質の液体を垂れ流し、

              正視するにはあまりにも耐えられない異様な形をしていた。

                   

                       (・・・魏か、)

                     

                   と司馬はただひとことだけつぶやいた。

         するとその黒い物体のあったところに見惚れるような美しい青年が立っていた。

         青年はしゃべった。

                それは耳を塞いでも直接脳に届くような美しい声で

                小さく同情に満ちていたが男らしい響きであった。

         この声を聞いた者はその足元に身を投げて、慈悲を請う衝動にかられるだろう。

      

                       (北郷・・・)

          

           青年は澄んだ宝石のようなゆったりした道衣をきていたが

           まばゆいとは感じなかった。腰には法鞭と呼ばれる竜の姿をかたどった鞭

            をさげていた。背は司馬を上回り、見下している眼には知恵と歳月が

             宿っており、間近いで見ると年ふりた自信満々の邪さがのぞかれた。

           

                      (北郷・・・)

             

             再度囁かれた声に司馬はその場にしゃがみこむ衝動に駆られた。

            しかし、静止している華琳や桂花を見て、その衝動をなんとか抑えた。

        

         (魏老爺(ラオイエ)、このような場に御降臨とはどのような要件でしょうか?)

      司馬の精一杯の虚勢を嘲るかのように、氷のように冷たい絹のような指先で司馬の頬を撫でた。

         

           (余は 左慈や貂蝉と違い、余の麗しい奴隷には寛容なのだ。 北郷よ)

         (魏老爺、貴方のおかげで今日のような窮地を脱したことには感謝しております。

                      しかし元の世界に戻して頂くという盟約以外では……)

           と言い掛け司馬は、魏老爺の美しい、傲慢と自信に裏打ちされた笑みを

           ふくんだ顔を見るや全身が総毛立つのを覚えた。

       

          (運命はその織物にちょっと変わった綾をおるかもしれぬが、

              結局は初めに考えたとおり織り上げるものだ。愛しき駒よ。

                       だがその運命という名の天秤に逆らえばこうなる)

 

        魏老爺は空中から無造作に丸い球体を取り出し、それを司馬の足元に放り投げた。

        

        魏老爺は親しげな笑みを浮かべているが、その遥か過去・未来・現在を映す瞳

        はそのうわべを偽っているにすぎず、司馬は警戒しながら足元に転がっている

        球体を見た。

        

                 それは引き千切られた自分の頭部であった。

   

       (それは呉に行き、英傑と共に戦う宿命を持つ介添人であったが

                          余に逆らった。そしてその代価がそれだ。)

  

 

             魏老爺は姿を消し、声だけが司馬の頭蓋骨に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          この魏白陽が望むことは、命果てるまで燃やす遊び場を創ることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               「・・・・・、しっかりしなさい。 どうしたの」

            そして、司馬の意識は元に戻り世界は何事もなかったように動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   警告にきたか、化け物め。

                                

 

 

 

 

 

 

 

 

<穏と亞莎の長安観光案内>

 

亞莎「……穏様、後ろで売り飛ばされるとシクシク泣いている女の子達がいますが?」

穏 「亞莎ちゃん、蜀のお子様軍師には五大古都の1つ長安の観光という大任はムリなのです!」

亞莎「はぁ、この地図は唐の時代に作製されたものを元に模写したものなのですね」

穏 「はい!地図特に都市図等は戦略上重要なもので何処に何があるか等は国家機密なのです。

   その為、安定した紙の供給と天下泰平の世になってやっと施設の位置が記載されるように

   なりました」

亞莎「穏様、三国時代と唐の時代の長安はどうちがうのでしょうか?」

穏 「基本となる城・門・道路・市場はあまり変わりません。前漢では二代皇帝恵帝(劉邦の子)

   が『周礼』に基き王宮は都城の中心に置き、皇帝の居住区である宮城の前に政治を行う皇

   城を配置し、市場は王宮より北側に置く。王宮前の左側に祖先の魂をまつる宗廟を置き、

   右側に土地の神をまつる社、五穀の神をまつる社稷を置く。とされています。

   余談ですが、五丈原で反抗的な焔耶さんをブチ殺す為ブラック朱里ちゃんが地雷を設置す

   る話がありますが、コレは後年の談話師や演義作家が孔明の英才を表現する為に書き足し

   たもので今で言うサイエンスフィクションです」

亞莎「この観とか駅とか色々ありますがこれはなんですか?」

穏 「観は道教の寺院です。唐の時代には国家宗教は道教から仏教に変わり原本では沢山の寺が

   ありましたが削除しています。代わりに珍しい古代キリスト教の寺院があります。これは

   時の政権が西洋と交易する為の優遇政策として宮中の近くに設置されております。

   この周辺は大体貴族・高級官僚等の居住地となっております。駅は国の役所、署は地方の

   役所のように考えてください。あと、長安で有名なのは『大雁塔』という高層建物があり

   詩に書かれるぐらい有名な観光名所となっております」

亞莎「唐の時代には様々な学問が発達していたそうですが?」   

穏 「そうなんです。勉強の嫌いだった亞莎ちゃんも通える位厳しい『国子監』という今で言う

   大学があります。これは隋時代にでき長安・洛陽・開封・南京の四都にしかありません。

   これが出来る土壌となったのは、何と!前漢の武帝が、全国から数万巻の書簡を買い集め

   長安に作った自分専用の書庫にため込み自分と司書にしか触らせなかったという逸話があ

   ります。恋姫で凪ちゃんが城の書庫から書を借りていくイベントがありますが、あれは曹

   操さんだから出来た話で、実際には死罪になるぐらい厳しいものだったそうです。

   そのおかげ長安には研究する為の書が豊富にあり、書淫にとってはパラダイスなのです」

亞莎「ハッ! だから朱里ちゃんや雛里ちゃんを縛って出てきたわけですね」

穏 「そうです。血も涙もない鬼軍師がいないうちにいきましょう!ハアハア…」

 

 

 

 

 

 

 (あとがき)

 

 

      はじめまして、この度は  美陽攻略戦 第十二ターン をご覧になって頂きまして

 

      ありがとうございました。

 

      諸般の事情(色々あったのです……)で限定投稿となりまして皆様にはお手数をお掛

      けして申し訳ありません。

           

      

      最後まで、本編を読んで頂きまして大変ありがとうございました。

 

 

    


 
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