No.1030676

真・恋姫無双~魏・朱染剣士伝~

こんにちわ、アンドレカンドレです。
早速、魏・外史伝の派生短編の2弾目です。
しかし、短編と言っても小説を書くのはすごく大変ですね。
この話を書くのに1日があっという間に過ぎてしまいました。
しかし、楽しいです。

続きを表示

2020-05-24 12:40:33 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1653   閲覧ユーザー数:1578

真・恋姫無双~魏・朱染剣士伝~

 

 

―――俺が最後に見たのは、最愛の人が消える瞬間だった。

 

俺は何もできなかった。目の前で彼女を殺されたのに、仇を取ることも一矢報いることも叶わなかったんだ。

俺も殺されて、そして俺の全てを、奪われた。

奪われた、奪われた、奪われた、奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた

奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた奪われた

奪われた奪われた奪われたうばわれたうばわれたうばわれたうばわれたうばわれたうばわれたうばわれたウバワレタウバワレタウバワレタ

ウバワレタウバワレタウバワレタウバワレタウバワレタウバワレタウバワレタウバワレタウバワレタウバワレタウバワレタウバワレタ

ウバワ、レ、タ・・・・・・・・・

 

 

 

ここは天国だろうか、それとも地獄だろうか。

人間誰しも一度は考えたことはあるだろう、死後の世界。当然俺もその一人なわけだが、死後の世界とは意外に何もないんだな。

目の前に広がっているのは本当に何もない空(くう)。鮮やかな色などなく灰色に塗られた空しい世界だった。

「おや、気が付かれたようですね」

唐突に声がかかる。ここに俺以外の人間がいたのか。・・・いや、人間ではないか。

天国なら天使だろうか、地獄なら鬼だろうか。誰でもいいが、声の主が近づいてくる。

俺の視界の中に入ってきたのは、眼鏡をかけた白装束の人間の形をとった男だった。

更に男の立ち位置から、俺が横たわっていることに初めて気が付いた。

「私が見えていますか?」

頷く。もっとも、黒と白の二つの色しか存在しない俺の灰色世界では、それ以上の色を付けて認識することはできないけど。

「ふむ。反応したことから視覚と、あと聴覚も・・・問題ないでしょう。気分の方は如何ですか?」

最悪だ。祭さん達の晩酌に付き合った、翌日の朝のような気分だ。気を抜けばすぐに意識は失いそうだし

今にも吐きそうな気分だ。ただ頭痛がないのは救いなのだけど。

「まぁ、気分は良いとは言えないでしょうね。つい先程まで、あなたは死んでいたのですから」

死んでいた・・・、男が妙なことを言っている。それだと今の俺は死んでいないみたいじゃないか。

俺は生き返ったとでもいうのだろうか。まさか、死者蘇生なんて漫画やアニメだけの話だろう。

「今のままでは、喋ることも動くことも叶わないでしょう。もう少し情報を入れましょう」

男が何かをしたのか。以前の通りとはいかないものの、先程までは指先一本動かすことも出来なかった体が

何とか身体を起こして座位の体勢を維持できる程度には回復した。

「はぁー・・・」

肺に溜まっていた古い空気を吐き出し、新しい空気を肺に入れた。

「さて・・・、これでようやく話の方も次の段階に進めるというもの」

「・・・お前は、誰なんだ?」

「おっと、これは失礼。そういえばあなたは私とは初対面でしたね。于吉と申します、以後お見知りおきの程を」

「・・・・・・俺は」

「ああ、名乗る必要はありません。私の方はすでに知っていますので、北郷一刀殿」

「・・・何者なんだ、あんたは?」

「私が何者なのか?それは大した問題ではありません。事態は予想以上に悪い方向に向かっています。

死に体のあなたを酷使するのは心苦しいのですが背に腹は代えられません。使えるものは死体でも使わなくては」

「何、言っているんだ・・・」

于吉と名乗った男は俺が理解するよりも先に話を進めようとするが、全く理解が追い付かない。

記憶が混乱していて、ただでさえ今の状況が整理できていないというに。

「覚えていますか?あなたの身に起こった出来事を。外史喰らいの末端に殺されたことを」

聞き覚えのない単語が出てきたが、俺の脳裏にいくつもの場面がよぎった。

 

―――娘と一緒に買った髪飾り

―――瀕死で倒れていた思春

―――血に濡れた城内

―――刃で腹を裂かれ鮮血に濡れる蓮華

―――その蓮華を殺した男

―――俺も男に殺された

 

俺は男に殺された。蓮華も殺された。腹から血を流して死んだ。死んだ蓮華、死んだ俺。

俺、蓮華、が殺された。殺されて、死んだ。死んだ、死んだ、死んだ、死んだ、死んだ、死んだ死んだ死んだ死んだ死んだ

死んだ死んだ死んだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだ

しんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだしんだ

しんダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダシンダ

シ・ン・ダ―――ッ!

 

 

 

 

「うぅ、・・・う、うぁあああああああああ・・・っ!?!?」

忘れていた記憶が何度もフラッシュバックする。今まで忘れていた感情が濁流の如くが勢いで心の中を駆け巡る。

俺は声にならない声を上げて頭を抱える。

「どうして・・・」

どうして・・・俺の中に渦巻く感情の嵐の中から表れた疑問の一つを言葉として紡ぐ。

「どうして、俺は生きているんだ。俺は、死んだんじゃなかったのか!?」

確かに、俺は死んだと思った。腹をずたずたに切り裂かれ、大量の血を失った俺は蓮華と同じ運命を辿るものだと。

だが、現実として俺は生きている。切り裂かれたと思った腹にそんな痕などなかった。

「ええ、確かにあなたは一度死にました。ですが、死んで消滅する前に私があなたを回収し、あなたに玉(ぎょく)を埋め込みました」

「なん、だって・・・?」

「要するに、蘇らせたのです。だからあなたは生きているのです」

蘇らせただって、本当にこいつは何者なんだ。以前誰かから聞いた、五胡の妖術使いだろうか。

まぁ、そんなオカルトめいた話なんて最初から信じていないけど。死者蘇生に関してはいったん置いておこう。

「お前は、俺を蘇らせて・・・何を企んでいる?」

そうだ。そもそもどうして俺を生き返らせたのか。人一人生き返らせるのだってきっと簡単なことではないだろう。

この男が何を企んでいるのか、俺は聞かないわけにはいかなかった。そして、于吉は少し困った顔で口を開いた。

「企む?それは心外ですね。愛する人達を殺され、自分を殺され、さぞかし無念だったことでしょう。

ですので、私はあなたに是非とも仇を討って頂こうと思いましてね。こうして尽力を・・・」

「・・・・・・」

「おやおや、信じてもらえていないようですね。これは悲しいですね・・・」

なんて白々しい。于吉の言葉を素直に信じる程、俺は生易しい世界で生きてきたわけじゃないんだ。

少なくともお前の言葉に真実味がないってことは分かった。こいつの目的は別にあるはずだ。

俺は無言のまま于吉を睨みつける。数秒ほどの沈黙が続いたが、于吉の方が先に折れた。

「・・・ふむ、建前だけで語るわけにはいかないようですね。

ですが勘違いしないでください、あなたに仇討ちをして欲しいというのは事実です。その仇相手『女渦』を倒して欲しい、

それこそ私達があなたに望むことなのです」

「女渦、それがあいつの名前・・・」

再びあの男の顔がフラッシュバックし、また俺を不愉快な気分にさせた。奴は一体何が目的で、あんなことを。

「そう、外史喰らいの末端の一人。我々の敵です」

「さっきも言っていたが、その・・・外史喰らいって何だ?」

そもそも外史とは、正史に採用されなかった歴史のことだがその外史を喰らうというのは今一つ理解しかねる単語だ。

于吉が言っている外史は俺が知っているそれとは違うのかもしれない。

「外史喰らいとは通称です。正式名称は『並行外史管理機構』、増え続ける並行外史が空間の許容量を超過しないよう

調整するために創られたシステムです」

聞いても全く理解できない、外史が何か分かっていない時点で当然といえば当然だと思うが。

その後、于吉は俺に色々な情報を与えてくれた。

まず、外史とは正史の中で発生した人の想念によって観念的に作られた世界。

正史の人間が作った物語の中とでもいうのだろうか。俺は登場人物の一人として物語に組み込まれていたようだ。

ただ、俺には外史の登場人物とは別の役割が与えられていた。それは、外史を開くための突端というものだ。

簡単に言えば、俺は火種のような存在なのだそうだ。外史は俺という存在無くして成り立たない。

外史が形成されるためには俺を起点として発生しなくてはならないのだそうだ。

次に、外史は最初一つしか存在していなかったようだ。だが、最初の外史を発端に新たな想念を得て別の外史が生まれた。

新たなに生まれた外史からまた新たな外史が生まれる。それを繰り返した結果、多種多様の外史が存在するようになった。

一種のパラレルワールド、並行外史というらしい。

今も外史は増えているらしいが、この状況が外史喰らいへと繋がっていく。

どうやら存在できる外史の数は決まっているのだそうだ。もっとも、その許容量は現在も増え続けているため、

本来であれば外史がいくら増えたところでその許容量を超える事はないらしい。

だが、外史が異常な速さで増え続けた場合、許容量を超えてしまう事があるらしい。これを『外史の過飽和』と言って、

その状況は今も継続しているのだそうだ。

外史と正史は別の次元に存在している。もし許容量を超えてしまうと、外史と正史の次元の境界が崩壊してしまう。

そうなれば、外史の存在が揺らいでしまい、・・・ここから先は説明されてもよく分からなかったが、要するに

外史が消滅してしまう可能性がある、ということだ。

そこで、増え続ける外史を管理し、外史の過飽和が起こらないようするために創られたのが、『外史喰らい』だった。

「外史喰らいは当初、その目的を忠実に遂行していました。ですが突如、管理者の手を離れ暴走を始めたのです」

管理者、外史喰らいを創った人物は南華老仙というらしい。創造主である南華老仙からシステム権限を奪い、

外史喰らいは必要以上の外史の削除を開始した。そして、根幹ともいうべき外史にまで手を伸ばした。

外史には二種類あり、無限に広がる並行外史の芯の部分の外史、そしてそこを起点として派生する枝の部分の外史。

俺がいた外史はその芯の部分なのだそうだ。

外史喰らいは本来、この枝の部分を対象に管理するよう設定されていたが、暴走した外史喰らいは芯の部分の外史の

削除に取り掛かったのだ。俺がいた外史を含め、すでにいくつもの外史が削除されており、残るはただ一つという。

このまま最後の外史が削除されてしまえば、芯となる部分を失った並行外史は自己崩壊を起こし外史は完全に消滅してしまう。

「・・・とまぁ、ここまで説明してきましたが、如何でしょうか?」

「・・・・・・」

長い説明を受けた俺は一考する。少なくとも、今が危機的状況だというのは分かった。

「システム権限を奪われた南華老仙には外史喰らいを止めることは出来ない。今、外史喰らいを止めることが

出来るのは玉の力を扱うことが出来る者のみ。例えばあなたのように」

「玉って、さっき俺に埋め込んだっていうやつか」

「玉といっても、実際は『外史を発生させるに必要な膨大な情報量』です。外史喰らいが外史を削除するのは

この玉を集めるためだと思われます。情報は、この外史においてエネルギーともいえる存在ですからね」

エネルギー・・・か。そうか、そんなものが俺の中にあるのか。死体をも動かす程のエネルギー。

まるでどこぞのホラーゲームに出てくるゾンビのようだな。

「さて、ここまで長々と説明してきましたが、今の危機的状況やそれを解決できる者が誰なのかは

分かっていただけたのではないでしょうか」

このままでは外史喰らいが外史を消滅させかねないという事、それを解決できる者の中に俺が入っているという事か。

そんなことを思っていると、于吉は前方に右腕を伸ばし右手を横にスライドさせる。すると空間が歪み、その中から

映像が現れた。鬱蒼とする森の中、山間を流れる河川、町とそこに住む人々の日常、于吉は何かを調べているのだろう、

映像を見ては別の映像に切り替え、その映像を見たと思ったらまた別の映像に切り替える。

「それでは、これからのことを話しましょう。まずは・・・」

「俺に、何をやらせようっていうんだ?」

俺の言葉に、于吉は作業を止め、不可解そうに眉をひそめた。

「ん?妙な事を言いますね。それは最初に言ったでしょう」

「・・・・・・」

分かっている。だが、今の俺には仇を討つとか、復讐するとか・・・もうそんなことはどうでも良いんだ。

俺はあそこで死ぬべきだったんだ。生き返らされても正直困るんだよ。半ば自暴自棄になっていた。

「・・・もしや、仇は取らない、と」

そんな俺の心情を察したのだろう。于吉は俺が言わずとも全て理解していた。

「女渦を殺して、何の意味があるんだ?」

女渦を殺せば、俺は何を取り戻せるんだ。

「・・・ですが、あなたから復讐心を取ったら何も残らないのでは?」

「元から俺には何も残っていないんだよ・・・」

蓮華達がいないなら、俺が生きている意味なんてない。外史がどうなろうが俺の知ったことじゃない。

もう放っておいて欲しい。さっさと俺を死に返してくれ。

「しかしですね・・・」

「いい加減にしろッ!!」

しつこく粘着してくる于吉に痺れを切らして声を荒げる。

「仇を取れば蓮華達が生き返るのか!?復讐を果たせば俺がいた世界が元に戻るのか!?違うだろう!!

今更何かしたところでもう手遅れだ!俺が守りたかったものはもうどこにもいないんだよ!戦っても意味はないんだ!!

結局、お前は自分の都合で俺を利用したいだけだ!利用するだけ利用して最後は捨てる気なんだろうが!

違うか!!」

俺は溜めに溜め込んだ感情を言葉に乗せて、目の前の男に叩きつけた。

この男に俺の気持ちなんて分かるはずがない。だから、俺の気持ちを言ったところでどうせ何も感じないだろうが。

そんな俺の姿に呆れたのだろう。于吉は俯いて軽く溜息をつき、眼鏡を掛け直した。

「確かに我々はあなたを利用しようとしています。それは間違いありません。

しかし、女渦を討てたならばあるいは・・・奪われたものを取り戻すことが出来るかもしれません」

その言葉に、俺ははっと我に返る。

「・・・何だって」

「勿論、女渦を倒すだけでは意味がありません。我々が外史喰らいの暴走を収め、正常に戻す必要があります。

おそらく、今までに削除した外史の情報は外史喰らいが管理しているはずです。ならば、その情報をもとに外史を

再構築する事も可能でしょう」

「・・・・・・」

外史を再構築する。それが出来れば、蓮華達が生き返るのか?にわかに信じがたいことだが、だが・・・もし本当に

それが叶うのならば・・・。

「お前に協力すれば、女渦を殺せば、・・・蓮華達は生き返るのか?」

俺は藁にすがってでも・・・。

「絶対とは断言できませんが、最善の努力はしましょう」

・・・俺の覚悟は決まった。

「・・・・・・于吉、俺は何をすればいい?」

そして、于吉は不敵な笑みを浮かべた。

「では、これよりレクチャーを開始します」

于吉から玉の力の使用方法を一通り受けた後、これから向かう外史について説明を受けた。

ここの俺は曹操と出会い、それを突端として開かれた外史とのことだ。

現在は魏の曹操、呉の孫策、蜀の劉備が三国同盟を結び大陸を統一しているらしい。

そうか、雪蓮は生きているのか。だけど、祭さんは赤壁の戦いで死んでいるという。

俺が誰に拾われたかでこうも違うんだな。その肝心の俺は歴史改変というチートをやりすぎてこの外史から消滅。

だが、外史喰らいの介入によって、今この外史に戻ってきているようだ。

そして、外史喰らいはこの外史を削除するためにその末端である、伏羲、祝融、そして女渦の三人を送り込んだ。

それに対抗するために南華老仙と左慈が先行し、北郷一刀と接触、玉の力を託すという算段らしい。

この戦いの命運は、この外史の北郷一刀に懸かっている。俺じゃない俺っていうのが何とも不思議な感覚だが。

「何かあった際はこちらから連絡をしますので、基本的にはご自由に行動してください」

そんなことを言いながら、于吉は空間に出現した、外史の様子だと思われる映像を確認している。

俺は俺で外史に降りるための準備をする。今気づいたが、学生服が白くない。俺の目に映るのは白と黒の二色しか

存在しない灰色の世界。今の俺には学生服が黒く映って見える。

心当たりはいくらでもあった。これは血だ。思春の、皆の、蓮華の、そして俺の・・・血だ。

学生服が皆の血を吸っておそらく赤く染まっているんだろう。天の御使いが随分と血みどろに濡れてしまったものだな。

「あぁそれと」

その声に反応し、俺は于吉の方を見る。

「行動する際は細心の注意を払ってください。あなたが北郷一刀と認識されれば、あなたの行動が制限される恐れがあります。

ですのでこちらを、こちらを装備するといいでしょう。『現』!」

その一言と同時に、俺は両目を覆う眼帯と膝下まであるだろう黒色の外套を羽織っていた。

「眼帯はあなたの顔を隠す他にも、失った左目の代わりもしてくれます」

女渦によって失った左目。確かに眼帯をしたことで、死角となっていた左側にも視界が広がり視認性が上がった。

「その外套にはあなたの存在を隠し追跡を阻止する、ジャミング機能が搭載されています」

ジャミング機能付きの外套とか、何というハイテクな。丈夫に出来ているようだが非常に軽い仕様になっている上、

俺の動きの邪魔にならない。中々に悪くない。

「それとこちらを。あなたにとって忘れ形見なのでしょう。死んだ後もずっと握りしめていましたよ」

近づいてくる于吉が両手で持っていたのは、間違いようがない、南海覇王だ。

そうか、お前は生き残ったんだな。剣に対して妙な親近感が湧いた。

「ですが、こちらはあまり使わない方が良いでしょう。その剣も、当然ながらあの外史に存在していますからね。

もっとも、あなたがそれを手放すことはないのでしょうから、私の方で別の剣を用意しました。『現』!」

再びその一言に合わせて、俺の右手の中に剣が現れた。黒色の鞘に納まった、日本刀に似た刀身の剣。

「なまくら程度の代物ですが、玉の力を行使すれば問題はないでしょう」

俺は二つの剣を受け取り、外套の内側に入れる。

さぁ、準備は出来た。後は為すべきことを・・・為すだけだ。

「では、ご武運を。あなたの復讐が見事果たされますよう応援していますよ」

俺はこれから復讐のために外史に降り立つ。愛するもの全てを奪った者を、この手で殺す為に―――。

 

 


 
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