No.1011658

九番目の熾天使・外伝 未来編のちょっとしたお話

竜神丸さん

何となく書きたかった。それではどうぞ。

2019-12-01 07:07:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:900   閲覧ユーザー数:191

 

遠い先の未来。

 

様々な戦いを繰り広げてきたOTAKU旅団は、果たすべき目的を果たした事で再び離散し、皆がそれぞれの道を辿っていく事となった。

 

No.9のokakaを筆頭に一部のメンバーは、市街や島々などが存在するいくつもの巨大移民船で形成された新マクロス級超長距離移民船団【マクロスグランダー】に移住し、それぞれが穏やかに暮らしていた。

 

船団には人々だけでなく、他の世界から保護されたポケモン達も存在しており、船団内の広大な土地で野生として生きているポケモン、人々と同じ道を共に歩むポケモンなど様々である。

 

もちろん、ポケモンがいる以上、ジムやポケモンリーグも存在している。

 

今回は、そのジムを経営している、とあるメンバー達の会話を見てみよう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――はぁ」

 

とある艦内に存在する、雪国を再現して形成された艦【アイランドルーシ】。冷たい海水に囲まれた1つの島に、人工的に行われている気象制御により再現された雪が降り積もっている。

 

土地の大半を占める樹氷の森。その森の中に存在する氷の張った大きな湖。そんな寒い環境下でも元気に生きている人々が暮らす小さな町。

 

その小さな町の中央には、モンスターボールのマークが描かれた建物が存在していた。

 

【ルーシジム】……それがこの島に存在するジムの名前であり、この寒い島のイメージに違わず、ジムリーダーは氷タイプの使い手である。ここではOTAKU旅団と関わりの深い人物が、そのジムリーダーとしての職務を日々全うしていた……のだが。

 

「……何の用かな。今ちょっと忙しいんだけど」

 

『おっと、すまんすまん。御多忙だったかな?』

 

そのルーシジムのジムリーダーを務めていたのは、黒いコートを身に纏い、首元に水色のマフラー、耳に白いイヤーマフを付けた青髪の青年。彼はジム内部に展開された、全体に氷が張られたバトルフィールドを整備している真っ最中だった。面倒臭そうな表情で溜め息をついている青年のすぐ近くでは、彼の部下と思われるジムトレーナー達が暖かい服装を身に纏いながら、それでも寒そうな様子でせっせと体を動かして働いている。

 

『フィールドの整備か』

 

「その通りだよ……と言っても、挑みに来るチャレンジャーなんてほとんどいないけどね。おかげで普段から整備もそんなに時間はかからない」

 

『けど、挑みに来る奴もいるんだろ?』

 

「……ほんと、物好きな人がいるものだね。わざわざこんな寒い島に来て、僕なんかに挑みに来るなんて。ジムバッジが欲しいだけなら、他のジムに回っても別に問題ないはずなのに」

 

『それだけ、お前の強さをも越えたいと思っている、上昇志向の強いトレーナーがいるって事だ。良い事だと思わないか? スノーズ』

 

「さぁね。僕はただ、ジムリーダーとしての職務を全うするだけさ。岡島一城」

 

ルーシジムのジムリーダーにして、かつてはOTAKU旅団の協力者だった青髪の青年【スノーズ・ウィンチェスター】は今もなお、昔と変わらない不愛想な表情を浮かべながら、映像通信先の人物【岡島一城】と対話していた。スノーズは手にしていたスコップを雪の積もった床にザクリと刺しながら、今も忙しく働いているジムトレーナー達に目を向ける。

 

「それで? わざわざそんな事を言う為だけに連絡してきたのかい? それなら切らせて貰うけど」

 

『おいおい、世間話にも付き合ってくれないのか。たまには仲良く談笑しようぜ』

 

「そういう事なら他のジムリーダー達と一緒にすれば良いじゃないか……ほら、たとえばミュージックストリートの連中なんてどうだい? 特にラズ君、彼とは君も仲は良い方だろう?」

 

『いや、アイツはなぁ……アイドル達のライブ中にまたサイリウム振ってやがったもんでな。シバき倒してから今は仕事に集中させてる』

 

「……懲りないものだね、あの音楽馬鹿も」

 

『全くなぁ……って、今はそれを言いに来たんじゃねぇんだ』

 

「じゃあ何だって言うんだい?」

 

『あぁ、少しな。ちょっと前にキーラさんとスチアさんから連絡があったんだ……あの2人に勝利したチャレンジャーがいるらしい』

 

「……!」

 

一城の報告を聞き、スノーズの目が少しだけ驚きの感情を露わにする。それを映像越しに確認した一城は、スノーズが話題に食いついて来た事を察してニヤリと笑みを浮かべ、話を続けた。

 

『で、今はそのチャレンジャーが2人、8個目のジムバッジを手に入れる為に次のジムに向かって来ている。もうじき、俺とお前に出番が回って来るって話だ』

 

「……驚いたね。片やメガシンカ使い、片やZワザ使いだろう? よく勝てたものだね」

 

『俺も驚いたよ。大半のチャレンジャーは俺達をスルーして他のジムに向かうってのに、わざわざ俺とお前の所に向かおうとしてるんだからな。これは俺も燃えて来るものがあるぜ』

 

「そうは言うけど君、ジムリーダーやれる時間なんてあるのかい?」

 

『……そこを突かれると痛いな』

 

スノーズと同じくジムリーダーをやっている一城だが、残念ながら彼は他の仕事も忙しい為、ジムリーダーの仕事をやっている暇はそうそうない。そんな状態でよくジムリーダーの座に就けたものだとスノーズは当初呆れた態度を見せていたが、そこはそれ、一城も対策は打っていた。

 

『ま、俺がいない間はエンターが上手くやってくれるさ。アイツはゲームも上手ければポケモンバトルも上手いからな』

 

「ふぅん、良かったね。優秀な代理人がいてくれて……それで? そのチャレンジャー達はいつ頃来るのかな」

 

『お、スノーズも興味が湧いてきたか?』

 

「仕事のスケジュールを確認したいだけだよ。さっさと予定を組んで、さっさと終わらせたいからね」

 

『相変わらずクールだねぇ。お前もちっとは、チャレンジャーに対しても興味を持ってみたらどうだ?』

 

「弱いトレーナーに興味はないよ」

 

スノーズはバッサリと言い捨てる。このルーシジムは元々、島その物がかなり寒いのもあって、挑戦しに来るチャレンジャーは少ない。おまけにその挑みに来るチャレンジャー達も、スノーズにとっては大して興味も湧かないくらい弱いトレーナーばかりで、そのせいで彼はジム戦に対する熱意が若干薄れつつあるのだ。

 

「ここ最近は手応えのないトレーナーばかりで退屈に思ってるよ。どいつもこいつも、バッジを7個集めて天狗になってたからさ。全員メガシンカで遠慮なく叩き潰してあげたら、全員泣いて他所のジムに行っちゃったよ」

 

『いやおいおい……少しは遠慮してやればどうだ? ジムリーダーはあくまでチャレンジャーを試す立場なんだからよ』

 

「Zワザを遠慮なく使ってる君にだけは言われたくないよその台詞」

 

『別にメガシンカは使っちゃいないさ。スチアさんだってZワザ使ってるし、これでも有情な方さ』

 

「有情って何だろうね……」

 

メガシンカを使って来るジムリーダーに、Zワザを使って来るジムリーダー。どちらも一般トレーナーからすれば嫌過ぎる相手である。おかげでこの2人はジム戦の戦績が全ジムリーダーの中でも非常に高く、大半のチャレンジャーから強く恐れられているのだ。

 

「メガシンカやZワザに勝てないようじゃ、どうせジムバッジを集め終えたところで、ポケモンリーグはおろかチャンピオンロードで止まるだけさ」

 

『いやぁ、チャンピオンロードはマジで魔境だもんなぁ……前に視察しに行ってみたら、野生のバンギラスとボスゴドラが当たり前のように縄張り争いしてるんだもんなぁ』

 

「僕が前に行った時は、そこに野生のギャラドスやハガネールも参戦してたのを見た事があるよ」

 

『え、何その怪獣大決戦』

 

「それを言うなら、その怪獣大決戦を突破した今のチャンピオンや四天王は一体どうなってるんだろうね……」

 

『あの5人を基準にしてはいけない』

 

「……さっきの発言を撤回するよ。僕等はまだまだ温情派だったんだね」

 

『な、だから言ったろ?』

 

チャンピオンロード、マジ魔境。そんな強過ぎる野生ポケモンが跋扈する試練を難なく突破し、今の地位に登り詰めた現チャンピオンと四天王も冷静に考えてみればおかしいなんてレベルじゃない。自分達がまだ生易しい部類である事を改めて認識させられるスノーズと一城であった。

 

『……だいぶ話がズレたな。とにかく、その2人のチャレンジャーを迎え撃つ準備はしとけって事だ。エンターもかなりやる気になってたしな』

 

「やる気が削がれるような相手じゃないと良いんだけどねぇ……」

 

『まぁ聞けよ。噂に聞いたところ、片方はメガシンカ使いらしくてな。その子はお前の方に向かってるらしい』

 

「……ふぅん?」

 

同じメガシンカ使いだとわかって、何か思う物があったのか。スノーズの眉がピクリと反応したのを、一城は見逃さなかった。

 

『できる事なら俺も勝負してみたかったんだけどなぁ……だぁ畜生め、仕事が俺を逃がしてくれねぇ!!』

 

「ご愁傷様……ま、期待しないで待っているとするよ」

 

変に期待したところでどうせ裏切られるだけだろうと。そう考えながらスノーズは映像通信を切り、改めて目の前のバトルフィールドを眺める。

 

(整備はもう終わったみたいだね……)

 

氷に光が反射して輝きを放っているバトルフィールド。そんな綺麗なバトルフィールドが滅茶苦茶に壊れてしまうくらい、やりがいのあるポケモンバトルは一体いつになったらできるのだろうか。叶うかどうかもわからない願いを胸に秘めながら、手に持ったスコップを片付けに向かおうとスノーズが移動し始めた……その時。

 

「スノーズさん!」

 

ちょうどそこに、ジムトレーナーである部下の女性が声をかけてきた。

 

「どうしたんだい?」

 

「久々のチャレンジャーです! スノーズさんに挑戦したいって子が!」

 

「……!」

 

噂をすれば、早速やって来た。チャレンジャーの到着を聞いて少しだけ表情が変わるスノーズだったが、すぐに目を閉じていつもの不愛想な表情に戻る。

 

(こんなに早く来るとはね……さて)

 

一城の言っていた通り、期待通りの強い相手なのか。

 

今まで通り、口先だけの弱者でしかないのか。

 

それを自分の目で冷静に見極めるべく、スノーズはジムトレーナーの女性にスコップを預け、バトルフィールドの方へと向かい定位置に立つ。それから数十秒後、スノーズが立っている位置とは向かいの位置まで、1人のチャレンジャーがコツコツと歩いて来た。

 

「ふぅ……寒っ」

 

スノーズの目に映ったのは、長い黒髪が特徴的なクールな雰囲気の少女。この島に上陸する際にレンタルして来たであろう灰色の暖かいコートに身を包んだその少女は、それでも寒そうな様子で白い息を吐きつつも、向かいに立っているスノーズとしっかり目線を合わせて来た。

 

「初めまして、渋谷凛と言います。ジム戦をお願いします!」

 

「……やぁ、ようこそ。僕はスノーズだ。よろしく」

 

クールな雰囲気を醸し出した黒髪の少女【渋谷凛】は礼儀正しく挨拶してからペコリとお辞儀をし、スノーズも静かな口調で自己紹介を済ませる。しかし互いに自己紹介を終えたその直後……凛は更なる寒気に襲われた。

 

「わざわざこんな所にやって来たという事は……凍える覚悟はできていると、そう思って良いんだね?」

 

「ッ……」

 

スノーズが向けて来たのは冷たい目。それが自分を威圧してきているのだと察した凛は、それでも決して屈しはしなかった。寒気を必死に我慢し、手袋をはめた右手でモンスターボールを構える。

 

「凍える覚悟? そんなのする暇はないよ……私達はいつだって、全力で駆け抜けるんだから!!」

 

「……へぇ」

 

少し威圧すれば怖気づくだろうかと考えていたスノーズだったが、どうやらその予想はハズレらしい。闘志を失う事なくこちらを睨み返して来た凛に対し、スノーズは少しだけ感心した様子でモンスターボールを構えた。

 

「その言葉……口先だけじゃない事を祈ってるよ?」

 

敢えてスノーズは挑発染みた返事を返し、凛の睨む目が更に強くなったのを感じ取った。なるほど、確かにこれは単なる弱者ではないようだ。スノーズがそんな事を想う中、ジムトレーナーの男性が審判役として声を上げる。

 

「これより、チャレンジャー・渋谷凛とジムリーダー・スノーズさんによる、ルーシジム戦を始めます!」

 

審判の声に、凛はモンスターボールを握る力が強まり、スノーズは変わらず落ち着いた表情で凛を見据える。

 

「両者共に、使用ポケモンは3体! どちらかのポケモンが全て戦闘不能になった時点で、バトルは終了となります! なお、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます!」

 

どのジムでもそうだが、ポケモンの交代が認められているのはチャレンジャー側のみで、ジムリーダーは基本的に自分のポケモンを交代させる事はできない。しかし、これまで様々なジム戦を挑んで来た凛はわかっていた。その程度のハンデなど、ジムリーダーは物ともしないという事を。

 

「それでは両者、ポケモンを!」

 

「敵を穿て……ラグラージ!!」

 

「―――ラグゥ!!」

 

凛の投げたモンスターボールから繰り出されたのは、魚類のムツゴロウを模した青いボディのポケモン【ラグラージ】。バトルフィールドに降り立ったラグラージは僅かにフィールドを陥没させ、気合いの入った鳴き声と共に両手の拳をぶつける。

 

「パルシェン、行ってらっしゃい」

 

「―――パルゥ!!」

 

それに対し、スノーズのモンスターボールから繰り出されたのは、紫色の2枚貝を模したボディに黒い頭部を持ったポケモン【パルシェン】。フィールドに立ったパルシェンは、頭部と2枚貝からそれぞれ生やしている鋭い棘をギラリと光らせ、不敵な笑みを浮かべながらラグラージと対峙する。

 

「随分威勢の良いラグラージだね。これは確かに僕も楽しめそうだ(・・・・・・・・)

 

「ッ……ラグラージ、油断しないで!!」

 

意図的に挑発染みた台詞を放つスノーズに対し、凛はほんの僅かに眉を顰めつつも、その挑発には乗るまいとすぐに思考を切り替える。両者のポケモンが戦闘態勢に入ったところで、審判は高らかに宣言した。

 

「それでは……バトル、開始!!」

 

「ラグラージ、『マッドショット』!!」

 

「ラグァッ!!」

 

「パルシェン、『つららばり』……!!」

 

「パァァァァ……ルルルルルルルルルル!!」

 

ラグラージが口から泥を吐く攻撃『マッドショット』を繰り出し、パルシェンは頭部の棘から鋭利な氷柱を連続で放つ攻撃『つららばり』を繰り出した。両者の攻撃が相殺されて爆発が起こる中、すぐにラグラージが氷の上を滑るように動き出す。

 

「続けて『アームハンマー』!!」

 

「『れいとうビーム』で迎え撃て……!!」

 

「ラァァァァ……グウゥッ!!!」

 

「パァァァァ……ルウゥッ!!!」

 

拳を握り締めた右手で放たれるラグラージの『アームハンマー』と、それを迎え撃つべく放たれるパルシェンの

冷気の籠った光線『れいとうビーム』。ここから両者の戦いは、より激しいものとなっていく。

 

果たして勝者はどちらか?

 

その結末を知るには、しばらく時間がかかりそうだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……?

 

 

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