No.99830

連載小説18

水希さん

第18回

2009-10-09 09:09:30 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:464   閲覧ユーザー数:463

楓のばらされたくない秘密とか、過去の失敗談とか、

探そうったって出てくるもんじゃない。

 

「むぅ~~~」

「ん? ちょっとえりか、どうしたの?」

「ホントに。倉橋さんどうしたの?」

 い、いかん、どうやら本格的に悩みモードになってたらしい…

「え、えっと…ちょっと、脳内の過去を漁ってたんだけど…」

「過去の何を漁るっての。全く」

「あ、分かった。楓さんの情報でしょ。さっきの仕返し的な」

 おぉ、鋭い。

「なんで分かったの?」

「だって、話の流れと態度と…たまーにちらちら楓さんの方見てたのと…」

「ちょっとえりか、なんてもんを漁ってたのさ。私に恥ずかしい過去なんてない!」

 そうだったかなぁ…

「あ、一個思い出した」

「何々? 教えて教えて!」

 興味津々のこの態度。多分、友達になって日の浅い木谷さんだ、

好奇心がデータを吸収しようと必死になってるんだろうな。

「忘れ物の話なんだけど…」

「ほうほう」

「そ、そんなのあったか? 私忘れ物は人並みにしか…」

 おぉおぉ、脳内を検索しておる検索しておる。忘れてるな?

「ふふふん♪ 楓とは、中二の頃一緒のクラスだったんだけど、

なぜか美術の時間だけ忘れ物女王で」

「ほうほう」

「あーっ!」

 お、思い出したね? キヒヒヒヒ♪

「ちょっと楓、叫ぶと周りの迷惑だよ。んでね、忘れ物女王で、

いっつも絵筆やら絵の具やら、色々忘れてたんだけど」

「ちょっと、そこから先は言わなくていい、言わなくて」

「楓さん、私は聞きたいけど」

 ほほほ、いい風向きだ。

「というわけで、話すからね」

「ぐぐぐ…」

 はっはっは、心地いい流れだ♪

 

私は、意気揚々と続きを語り始めた。

 

~つづく~


 
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