No.99831

連載小説19

水希さん

第19回

2009-10-09 09:10:18 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:350   閲覧ユーザー数:350

私は意気揚々と、続きを話し始めた。

 

 

「んでね、先生が言ったのね。『今月の月刊忘れ物大将には、次の課題、

モデルの刑を処す!』て」

「ほうほう。人物デッサンですかな?」

「~~~~っ! えりか、言わなくていいっ!」

 ふっふっふ。ここで止めようと、話の流れは伝わってるだろうに。キヒヒ

「今更無駄だと思うけどねぇ」

「くっ!」

 ふっふっふ。楓に一矢報いなきゃ、納得できないね!

「楓さん、モデルやらされたんでしょ?」

「そういう事。なんだけど、これがただの人物デッサンじゃなくてさ」

「~~っ!」

 こういう話は楽しいもんだ。私は話を続ける。

「なんていうか、シュールレアリズムのデッサンで」

「て事は…ピカソみたいな?」

 ピカソみたいか…木谷さんは察しがいい!

「ピカソでもいいし、他のでもいいし」

「くっくっく! ごめん、楓さん。笑いをこらえるのが…っ!」

「もういいよ。だけどさ…あれはひどいと思わない? 普通のデッサンなら」

 当時描かれた絵を思い出す。まぁ、爆笑だったのは言うまでもない。

「でも、変じゃないと罰ゲームにならないしねぇ」

 罰ゲーム…だららこそ笑える。もう、全てがおかしかった。

「とはいえ楓、なんであんなに忘れ物してたのさ。不自然なくらい」

「ん? 深い理由はないよ。だから厄介なんじゃん」

 何? それであれだけの忘れ物をしたのか。理由がないなんて…

「驚きだね」

「驚きもそうだけど楓さん、じゃあ高校でも忘れ物クイーンになるんじゃ?」

「実はそれを心配している」

 平然と言い放った楓には、かける言葉がなかった…

 

 

楓、またやらかすんじゃ…

 

 

~つづく~


 
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