私は意気揚々と、続きを話し始めた。
「んでね、先生が言ったのね。『今月の月刊忘れ物大将には、次の課題、
モデルの刑を処す!』て」
「ほうほう。人物デッサンですかな?」
「~~~~っ! えりか、言わなくていいっ!」
ふっふっふ。ここで止めようと、話の流れは伝わってるだろうに。キヒヒ
「今更無駄だと思うけどねぇ」
「くっ!」
ふっふっふ。楓に一矢報いなきゃ、納得できないね!
「楓さん、モデルやらされたんでしょ?」
「そういう事。なんだけど、これがただの人物デッサンじゃなくてさ」
「~~っ!」
こういう話は楽しいもんだ。私は話を続ける。
「なんていうか、シュールレアリズムのデッサンで」
「て事は…ピカソみたいな?」
ピカソみたいか…木谷さんは察しがいい!
「ピカソでもいいし、他のでもいいし」
「くっくっく! ごめん、楓さん。笑いをこらえるのが…っ!」
「もういいよ。だけどさ…あれはひどいと思わない? 普通のデッサンなら」
当時描かれた絵を思い出す。まぁ、爆笑だったのは言うまでもない。
「でも、変じゃないと罰ゲームにならないしねぇ」
罰ゲーム…だららこそ笑える。もう、全てがおかしかった。
「とはいえ楓、なんであんなに忘れ物してたのさ。不自然なくらい」
「ん? 深い理由はないよ。だから厄介なんじゃん」
何? それであれだけの忘れ物をしたのか。理由がないなんて…
「驚きだね」
「驚きもそうだけど楓さん、じゃあ高校でも忘れ物クイーンになるんじゃ?」
「実はそれを心配している」
平然と言い放った楓には、かける言葉がなかった…
楓、またやらかすんじゃ…
~つづく~
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第19回