No.892062

九番目の熾天使・外伝 ~改~

竜神丸さん

βテスト編(カポネ襲撃編)

2017-02-06 02:41:26 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2745   閲覧ユーザー数:1219

管理局虚数課、特殊衛生隊本部…

 

 

 

 

 

「ガシャットの開発は順調ですか? バルキオさん」

 

「おや、これはこれはクリウス一尉殿。よくぞおいで下さいました」

 

パソコンやテレビの画面くらいしか光源が無いほど真っ暗な研究室。そこへやって来たソーマ・クリウスは、白衣の男性―――バルキオに導かれるように研究室を案内されていた。パソコンの画面にはミッドチルダ中に市販で販売されているガシャットのゲーム名がズラリと並び、テレビ画面にはバグスターウイルスの物と思われる病原菌の映像やゲーマライダーの開発設計図などが映し出されている。

 

「この特衛隊には現在、ガシャットはどれほどございますか?」

 

「既に20種類以上が完成間近です。どのようなガシャットが存在するかは……こちらの画面を直接ご覧に頂いた方が手っ取り早いかと」

 

クリウスはバルキオから手渡されたタブレットを凝視する。タブレットには…

 

 

 

 

 

 

『LUNKER OCEAN』

 

『KING VAMPIRE』

 

『KAITOU PHANTOM』

 

『MIGHTY KART X』

 

『LIBERTY PRISONER』

 

『JURASSIK HAZARD』

 

『IDOL TENGOKU』

 

『KIRAKIRA GALAXY』

 

『BUNBUN INSECT』

 

『SEIKEN RANBU』

 

『SAMURAI HEROES』

 

『CAPSULE MONSTER』

 

『CYBER METEROID KAI』

 

『HALLOWEEN OF NIGHTMARE』

 

『SENGOKU COMMANDER』

 

『BARABARA CUBE』

 

『SNOWMAN EXPRESS』

 

『TACTICS Ω』

 

『HYDRO RESCUE』

 

『CUSTOM WARS』

 

『AYAKASHI DAISENSOU』

 

『MIDNIGHT KILLER』

 

『SILENT HOLLOW』

 

『CHAOS DUNGEON』

 

 

 

 

 

 

…などのガシャット名がズラリと並んでいた。これら全てがプロトガシャット完成済みであるらしく、クリウスはそれを知って感心する。

 

「…なるほど。例のレベルXのガシャットは、この中から選定なさるのですか?」

 

「いえ。レベルXのガシャットは既に選定済みでして、現在はデータ採取の為のウイルス散布を行っている最中でございます」

 

「おやま、仕事が早いですね。誰が向かっているんです?」

 

「今はトライの旦那が向かっております。先日、何やら仕事に失敗した部下がいたらしく、それもついでに処分しに行くとか仰っていました」

 

「仕事熱心ですねぇ…」

 

「あぁそれから……チタニウムさんも、一応監視に向かっています」

 

「! チタニウムさんも…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……た、助けてくれぇっ!!!」

 

ミッドチルダのとある無人島。波の音やカモメの鳴き声が聞こえて来るこの無人島のジャングル内で、ボロボロのバリアジャケットを身に纏った金髪の男性が必死に走って逃げ続けていた。その後方からは黒スーツや赤いネクタイを身に着けた黒髪の男性が、足元の植物を踏み荒らしながら悠々と歩いて追いかけて来ている。

 

「逃がしませんよぉ~…っと」

 

「ぐぁあっ!?」

 

しかし追いかけっこに飽きてきたのか、黒スーツの男性は懐から取り出した拳銃で逃げている男性の右足を容赦なく撃ち抜き、倒れた男性との距離を素早く詰める。

 

「ッ……ま、待ってくれトライさん!! 頼む、俺を実験台にするのだけはやめてくれぇ!!」

 

「そういう訳にはいかないんですよぉ、コルスキーさん。あなたが採取に失敗したというファントマバグスターの行動記録……アレは我々特衛隊にとっては非常に貴重なデータなんです。それを何者かに邪魔されて映像を丸ごと処分された? ふざけた言い訳は大概にして欲しい物ですねぇ」

 

「失敗した分は取り返すって何度も言ってるじゃねぇかよ!? なぁ頼む!! もう一度だけで良い、この俺にまたチャンスをくれ!!」

 

「そうですか……分かりました、良いでしょう」

 

「!! 本当か、ありがた…ッ!?」

 

金髪の男性―――コルスキーが安堵の表情を浮かべた瞬間だった。黒スーツの男性―――トライが拳銃でコルスキーの右腕を即座に撃ち抜き、コルスキーは苦痛の断末魔を上げる。

 

「ギャアァァァァァァァァァァァァァッ!!? ト、トライさん、何でだ!? チャンスをくれるんじゃ―――」

 

「何を言ってるんですコルスキーさん? ちゃんとチャンスをあげてやってるじゃないですか。バグスターウイルスの実験台(・・・・・・・・・・・・・)として。自分が死にかけていると分かれば、ストレスなんて簡単に溜まるものです」

 

「そ、そんな……ァ、ガ…ッ!!」

 

青ざめた表情を浮かべるコルスキーの全身が少しずつ透明化が始まり、全身に少しだがノイズも走る。どうやら既に感染させられているようだ。そんなコルスキーをトライが下卑た笑みを浮かべながら見下ろす。

 

「安心して下さい。バグスターのデータを採取した後はちゃんと助けてあげますよ? データの採取が終わる前に死ぬか、バグスターに乗っ取られて消滅でもされた場合は無理ですが」

 

「あ、ァア……あぁァ……ッ…!?」

 

「さて、映像として記録に残しておくとしましょうか。あなたの頑張る姿をね……ククククク…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と悪趣味な野郎だぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!!」

 

直後、トライの足元の地面に数発の銃弾が命中し、トライは素早く後退する。何者だと思って銃弾を放って来た人物の素顔を見たトライは、興味深そうな目でその人物を見据える。

 

「おやおや、これは珍しいお客さんですねぇ。まさかあなたと対面する事になるとは…」

 

銃弾を放って来た人物―――okakaは木の上から飛び降り、全身が消えかけているコルスキーの隣に着地。okakaはコルスキーの身体の状態を横目で見つつ、トライと真正面から対峙する。

 

「マランツァーノファミリーの一員、トライ・マランツァーノだな。マランツァーノファミリーとは過去に何度か戦り合った事があるからよく覚えてるよ……んで? 管理局によって既に壊滅してる筈の組織の一員が、何でこんな所にいるんだ?」

 

「司法取引という奴ですよ。私の裏社会における顔の広さを、最高評議会を始めとした上層部の連中が高く買って下さった訳です。その見返りとして、管理局に反抗の意志を持つ者、死んでも世間が騒がないような人間などの臓器を売って差し上げています。おかげで莫大な資産が私の懐に収まる訳なのですが……ここ最近、ギャンブルで負け続けてる所為ですぐに資金が尽きちゃうんですよねぇ」

 

「…ゲスな野郎だな。今ここで死にかけてる奴も、どうせ助ける気なんて無いんじゃねぇのか?」

 

「そこはあなたのご想像にお任せしましょう……しかしまぁ、私も困ってるんですよねぇ」

 

「?」

 

「我々ファミリーにとって、この無人島は役立たずを処分するのに最適な場所でしてね。言わば縄張りのような物なんですよ……無関係者に無断で入られては迷惑なのです」

 

「…で、何が言いたい訳よ?」

 

okakaはさりげなく右手を動かし、懐に隠していたガシャットを取り出す。自身のすぐ傍で倒れたまま苦しんでいるコルスキーの症状を見て、トライが彼に何をしたのかは容易に察しがついているようで、腰にはプロトディケイドライバーから変化させたゲーマドライバーを既に装着済みだった。

 

「しかし、せっかく来て貰ったんです。あなたはバグスターウイルスの実験台にするのではなく…」

 

それに対しトライも、取り出したゲーマドライバーを腰に装着。スーツの右袖からまるで暗器のようにガシャットを取り出した。

 

「…臓器をいくつか、頂いて行く事にしましょう」

 

≪クライムマフィア!≫

 

「…残念だが、そいつはお断りしておこうか」

 

≪マイティアクションX≫

 

二人が同時にガシャットを起動し、周囲のジャングルがそのままゲームエリアに変化する。チョコレートで出来たブロックや銀色のトランクケースがフィールドアイテムとして配置される中、okakaはガシャットを持った右手を左から右へ大きく回してからガシャットを左手に持ち替え、トライは左手の親指で首を切る挑発のような動作をしてから、両者同時にガシャットをゲーマドライバーに装填する。

 

「「変身!」」

 

≪≪ガシャット! レッツゲーム! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! ワッチャネーム? アイム・ア・カメンライダー!≫≫

 

okakaはPDエグゼイド・レベル1に、トライは黒帽子に左目の下の傷跡が特徴的な戦士―――仮面ライダーカポネ・マフィアゲーマーレベル1に変身した。PDエグゼイドは即座にゲーマドライバーのレバーを開く。

 

「(この男、既にバグスターとは分離済み……ならばレベル1で戦う理由は無い)…大変身!」

 

≪ガッチャーン! レベルアップ!≫

 

≪マイティジャンプ! マイティキック! マイティマイティアクションX!≫

 

すかさずレベル2の姿に変化したPDエグゼイドが動き出そうとしたその時…

 

『ハッハァー!!!』

 

「!? チィ…!!」

 

ジャングルの木々を薙ぎ倒しながら、一台の黒いオープンカーが物凄いスピードで突っ込んで来た。ギリギリでそれを察知したPDエグゼイドは素早くオープンカーの突進を回避し、ガシャコンブレイカーを構えてリムジンを見据える。

 

「ッ……フランチェスか、犯罪行為が主となるクライムアクションゲーム『クライムマフィア』に登場する敵ファミリーのボスだったな…!!」

 

『フハハハハハ!! ファミリーよ、この俺が手を貸そう!!』

 

「えぇ、頼みますよ。フランチェスさん」

 

オープンカーの後部座席に座っていたのは、グレーのスーツに帽子、左胸のポケットに刺している赤い薔薇が特徴的なマフィアのような怪人―――フランチェスバグスターだった。運転席にもマフィアのような黒服を着たバグスター戦闘員が座っており、オープンカーは方向転換をして再びPDエグゼイドに迫る。

 

『喰らえぇい!!』

 

「喰らえと言われて素直に喰らうかよ…!!」

 

オープンカーの突進を回避して反撃に出ようとするPDエグゼイドだったが、突進を回避されたオープンカーはすぐさまUターンし、フランチェスバグスターは右腕と一体化しているマシンガンを乱射し始める。

 

『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、だ!! 死ねぇ!!』

 

「ッ……面倒臭ぇ!!」

 

≪ジャ・キーン!≫

 

ガシャコンブレイカーのAボタンを押し、ハンマーモードからブレードモードに切り替えて全ての銃弾を的確に防ぐPDエグゼイド。そんな彼の後方に立っていたカポネは、ゲーマドライバーのレバーを開こうとしていた。

 

「こちらも出ましょうか……システム、バージョン2」

 

≪ガッチャーン! レベルアップ!≫

 

≪クライクライクライ! クライムなアクション!(犯・罪・上・等!)クライムマフィア!≫

 

レベル1の手足パーツがパージされ、人型の等身大サイズの姿に変化したカポネ。グレーのボディに黒いスーツを模した軟質装甲を纏い、黒帽子や左目の下に傷跡が付いたスカーフェイスが特徴的な仮面ライダーカポネ・マフィアゲーマーレベル2は右手を高く上げ、パチンと指を鳴らす。

 

『『『『『ゲッゲッゲッゲッ!!』』』』』

 

「!? おいおい、戦闘員まで自在に従えられんのかよ…!!」

 

「当然ですとも」

 

≪ガシャコンケイン!≫

 

木々の間から出現した複数のバグスター戦闘員が、PDエグゼイドの周囲を一斉に取り囲む。バグスター戦闘員による包囲網の周囲ではオープンカーが走り続けており、カポネも自ら包囲網の中に入り、杖型のガシャコンウェポン―――ガシャコンケインを左手に持った後、右手には黒いガシャットを持ってPDエグゼイドに見せつける。

 

「我々はこれを所有している故、ウイルスの散布は容易なのです」

 

「!? それはプロトガシャット……何故お前等がそれを持っている!!」

 

「教える義理はありませんねぇ。何故ならあなたは……我々がここで始末するのだから!!」

 

カポネが指を鳴らすのを合図に、バグスター戦闘員達が一斉にPDエグゼイドに襲い掛かり、PDエグゼイドはガシャコンブレイカーで片っ端から斬り伏せていく。しかし数が多過ぎる上に、オープンカーからフランチェスバグスターがマシンガンを乱射しており、更にはカポネ自身もガシャコンケインでガシャコンブレイカーを弾いてPDエグゼイドに攻撃を当てていく。まさに多勢に無勢だ。

 

「ほら、どうしました? このままではジリ貧ですよ?」

 

≪ズ・バーン!≫

 

「ッ…ぐぉあ!?」

 

カポネはガシャコンケインの持ち手に取り付けられたAボタンを押し、鞘から仕込み刃を引き抜いて斬撃モードに変化させてからPDエグゼイドのボディを斬りつけ、PDエグゼイドを大きく吹き飛ばす。地面を転がされたPDエグゼイドはすぐに立ち上がるが、そこへフランチェスバグスターが容赦なく弾丸を乱射し、レベル3のガシャットを取り出そうとしたPDエグゼイドの動きを上手く封じていく。

 

「くそ…!!」

 

「さぁ、ジワジワと痛めつけて差し上げましょう…」

 

悪態をつくPDエグゼイドに対し、カポネは仮面の下で醜悪な笑みを浮かべながらジリジリとPDエグゼイドに迫ろうとした……その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――なーんちゃって♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪GIRIGIRI CRITICAL FINISH!≫

 

-ドガガガガガガガ!!-

 

『『『『『グェゲゲゲゲゲゲゲッ!?』』』』』

 

「!?」

 

『んな!? 何だ……グホァ!?』

 

突如、何処からか飛来して来た無数の矢がバグスター戦闘員達を貫き、一斉に爆発。何事かとオープンカーから乗り出したフランチェスバグスターだったが、そんな彼にも一発の矢が命中し、オープンカーから大きく吹き飛ばして大木に激突させる。

 

「何ですって…!?」

 

「余所見してて良いのか?」

 

≪フィーバーカジノ! ガシャット!≫

 

「!? しま…ぐぅっ!?」

 

2本目のガシャットをゲーマドライバーに装填したPDエグゼイドは、ガシャコンブレイカーでカポネのボディを斬りつけて蹴り飛ばした後、ドライバーのレバーを閉じてからガシャコンブレイカーを投げ捨てる。そこから右腕を数回大きく回してから再度レバーを開きレベルアップする。

 

「ブラストパンツァーの次は、コイツの性能テストだ……大・大・大変身!」

 

≪ガッチャーン! レベルアップ!≫

 

≪マイティジャンプ! マイティキック! マイティマイティアクションX!≫

 

≪アガッチャ! 弾けろフィーバー! 掴めドリーマー! フィーバー・フィーバー・フィーバーカジノ!≫

 

背後のゲーム画面から出現したカジノディーラー姿のユニット―――カジノゲーマがバラバラに分離し、上半身に白黒の装甲、右腕にスロット型マシンガン、左腕にトランプデッキ型ホルダー、頭部にチップ模様の描かれたマスクが一斉に装備され、仮面ライダーPDエグゼイド・カジノアクションゲーマーレベル3の姿となる。

 

≪一城!≫

 

そしてPDエグゼイドの隣に、予め変身して待機していた仮面ライダーレーザー・チャンバラバイクゲーマーレベル3が着地する。ティーガーバグスター戦の時と同様、今回もPDの人格が入っているようだ。

 

「おうPD、援護射撃サンキューな」

 

≪予め変身した状態で待機していたのは正解だったようだね。このまま一気に畳みかけてしまおう≫

 

弓型の武器―――ガシャコンスパローを構えるレーザーに、PDエグゼイドも同じように構える。その一方で、起き上がったカポネはPDエグゼイドのレベル3の姿を見てクククと小さく笑い始めた。

 

「これはこれは、面白そうなガシャットをお持ちのようで」

 

「褒め言葉どうも」

 

「そのガシャットはぜひとも……この私が手に入れるとしよう!!!」

 

「だが断る!!」

 

PDエグゼイドは両手拳をガツンと打ちつけてから両腕を突き出す。すると右腕のスロット型マシンガンからは無数のメダルを、左腕のトランプデッキ型ホルダーからは無数のトランプカードを射出。それらが一斉にカポネに襲い掛かる。

 

「!? 何だ…がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

メダルとトランプカードは命中すると同時に一斉に爆発し、大きく吹き飛ばされたカポネは近くの大岩を粉砕するように叩きつけられ、そこにフランチェスバグスターがマシンガンを構えようとする。

 

『おのれ若造がぁ!! もう容赦はしな…ッ!?』

 

≪君の相手はこの私だ≫

 

『あ、ちょ、待て、これジャムって……ゴワァァァァァァッ!?』

 

しかし、そんな真似はレーザーがさせない。ガシャコンスパローから放たれた1本の矢がマシンガンの銃口に上手く突き刺さり、マシンガンが暴発してフランチェスバグスターを自滅させた。

 

「うし、まずはお前から潰すか」

 

≪ガシャット! キメワザ!≫

 

左腰のスロットホルダーにフィーバーカジノガシャットを装填し、ボタンを押して構えるPDエグゼイド。そして再度ボタンを押し、必殺技を発動。狙いはフランチェスバグスターだ。

 

≪FEVER CRITICAL STRIKE!≫

 

『!? な、何だ…グァッ!?』

 

トランプデッキ型ホルダーから射出された2枚のトランプカードが巨大化し、1枚はフランチェスバグスターの背後に回り、もう1枚がフランチェスバグスターのボディに突き刺さり、背後のトランプカードに縫いつけるように拘束。その間にPDエグゼイドはスロット型マシンガンのスロットを回転させてから停止させる。揃った絵は3つ全て7の数字だ。

 

「スリーセブン、大当たりだ!!」

 

『!? ま、待て…ヌォワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!??』

 

≪会心の一発!≫

 

大当たりの影響だろうか。スロット型マシンガンからは大量のメダルが射出され、それが一斉にフランチェスバグスターに命中。ほんの数枚ですら高い殺傷力を誇るメダルが山のように射出されている以上、フランチェスバグスターはそれに耐えられず無惨に爆散してしまった。

 

≪GAME CLEAR!≫

 

「うし!」

 

≪一城、まだ彼が残っている≫

 

「おっとそうだった」

 

フランチェスバグスターを倒しても、まだカポネが残っている。二人が改めて武器を構え直すと、先程粉々に砕けた大岩の向こう側からカポネが姿を現し、既に砕けている大岩を更に蹴り砕く。

 

「クハ、クハハハハハハハ……良いなぁ、ここまでコケにされたのは産まれて初めてだ……欲しいなぁ……何としてでも手に入れたいなぁそのガシャットだけはぁっ!!!」

 

「おぉう、遂に口調が荒っぽくなり始めたぞアイツ」

 

≪気を引き締めてかかろう……ところで一城、そこの患者はどうするつもりかね?≫

 

「ん?」

 

「ッ……はぁ、はぁ……ぅ、う…!!」

 

PDエグゼイドとレーザーのすぐ傍には、近くの樹木に寄り掛かって身体を休めているコルスキーの姿。感染していたフランチェスバグスターが消滅した為か、既にゲーム病は完治しており、透明になりかけていた全身も今は元に戻っている。

 

「一応助けるさ。アイツの部下である以上、何かしら情報は持っている筈」

 

≪なるほど、そういう事か≫

 

しかし…

 

 

 

 

 

 

-ズドォンッ!!-

 

 

 

 

 

 

「が!? ぁ―――」

 

「「ッ!?」」

 

≪!? 今の銃撃は…!?≫

 

何処からか飛んで来た1発の光線が、コルスキーの眉間に小さな風穴を開けてしまった。当然コルスキーは即死してしまい、PDエグゼイド逹は周囲を見回す。

 

≪…!? 一城、あそこだ!!≫

 

「!! アイツは…」

 

レーザーが指差した先には、樹木の枝に立っている1体の怪人の姿があった。銀色のボディを持ったロボットのようなその怪人は、背中に身の丈ほどのサイズを誇る大剣を背負っており、左手の指先からは白い煙が僅かに噴き出ている。彼が光線を撃った張本人で間違いないだろう。

 

「ッ…!?」

 

しかし、PDエグゼイド逹以上に動揺していたのは他でもないカポネだった。そのロボットのような怪人は人差し指をクイクイと動かすのを見て、カポネは悔しそうに仮面の下で歯軋りをした後、ゲーマドライバーのレバーを閉じてガシャットを抜き、変身を解除する。

 

≪ガシューン!≫

 

「お迎えが来てしまったので、残念ながら今回はここまでのようです」

 

「…そのようだな」

 

PDエグゼイドとレーザーは警戒を解かなかった。彼等が一番警戒しているのは目の前のトライではなく、遠く離れた位置にいるロボットのような怪人の方だ。それはトライも何となく察しており、同時に彼にとってはこの上ない屈辱でもあった。

 

「次もまた、お会いする事があるでしょう。その時は……お前のそのガシャットを俺が頂いてやるからな…!!」

 

「…上等だ。何度でも返り討ちにしてやる」

 

「…チッ!!」

 

トライは分かりやすい舌打ちをした後、転移魔法ですぐにその場を転移。それを見たロボットのような怪人も全身にノイズが走った後、一瞬でその場から姿を消した。

 

≪行ったようだね≫

 

「…あぁ」

 

警戒を緩めたPDエグゼイドは、その場に勢い良く倒れて大の字となる。そんなPDエグゼイドを見下ろしながらレーザーが問いかける。

 

≪あの怪人、一体何者だったのだろうか…?≫

 

「たぶん、アレもバグスターだろうな。しかもあの雰囲気、あの行動、トライよりも上の立場なのは確かだ。あんなのが敵側にいるとはねぇ…」

 

≪結局、情報は手に入らず…だね≫

 

「相変わらず口封じだけは早いんだよなぁ管理局の連中め……さて、どうしたものか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

首都クラナガン、先端技術医療センター…

 

 

 

 

 

「…分かった。準備が整い次第、そちらに向かうよ」

 

防音設備が整ったとある一室にて、白いナース服を身に纏っていたオレンジ髪の女性―――ステラは何者かとの通信を切った後、呆れたような表情で溜め息をついていた。

 

「トライの奴め、旅団に邪魔されるとは良い気味じゃないか。おかげでこっちも少しだけ気が晴れるよ……さて」

 

ステラは机に置かれていたトランクケースを開ける。その中に入っていたのは、あの秋水やトライが使用しているのと同形状のゲーマドライバーと、『CASTLE DEFENSE』と描かれたライダーガシャットだった。ステラはそれらが入っているトランクケースを閉じた後、自身が着ているナース服に手をかける。

 

「あまり奴等に従いたくはないけど、他に打つ手も無いだろうし……僕もそろそろ動くとしよう」

 

表向きの仕事着であるナース服をその場に脱ぎ捨て、下着姿となるステラ。彼女はこれから自身が遂行するべき任務に備え、裏の仕事をこなす為の仕事着に着替え始めるのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

See you next game…

 


 
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