No.75867

真・恋姫無双外伝~覇王の願い~星詠編9

真恋姫(魏ED)のアフターです(’’
ようやく話が進みます。
最後はまぁ・・・エロゲではお約束ですよね(`・ω・´)

■帰還編1話⇒http://www.tinami.com/view/73594

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2009-05-27 17:04:38 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:9797   閲覧ユーザー数:8544

覇王の願い・星詠編・9話

 

『ケンカの相手は覇王様』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【薫】「なんで・・・」

 

 

楽進から逃げてきた先にいたのは、昨日の女。

 

【華琳】「・・・・・」

 

【薫】「・・・・・」

 

沈黙が流れる。

話す言葉がない。

当然だ。

昨日あれだけ揉めておいて今更何を話すというのか。

それよりも、

 

【薫】「私、今ちょっと忙しいんだ。だからそこどいてくれない?」

 

今は逃げなければ。

 

【華琳】「貴女、どうしてそんな格好してるの?」

 

【薫】「え?」

 

そいつから出てきた言葉は意外なものだった。

昨日のように罵倒するでも、否定するでもない。

 

【薫】「あんたに関係・・・ないじゃない」

 

【華琳】「質問に答えなさい」

 

なんで関わろうとするのか・・・・

 

【薫】「・・・・・・ちょっと追われてるだけよ」

 

【華琳】「・・・・そう」

 

関係ないのに・・・私のこと一瞬で嫌いになったくせに

 

【華琳】「なら、来なさい」

 

【薫】「・・・・はい?」

 

【華琳】「聞こえなかったの?ついてきなさいと言ったのよ」

 

【薫】「え、え、ええ・・・ちょ、ちょっと・・・」

 

突然何を言い出すのかと思えば、次にはもう私の手首をつかんで歩いていた。

そして、そのまま路地の奥へと連れて行かれる

全然意味がわからない。

なんでこいつにつれてかれなきゃいけないの?

 

【薫】「ちょっと!放してよ・・・」

 

【華琳】「そろそろ夕暮れだっていうのに、そんな格好で街を歩かせられるわけないでしょう」

 

【薫】「だからって、あんたに関係ないでしょ!?」

 

【華琳】「貴女、昨日私をあれだけ罵倒しておいて関係ないですって?」

 

【薫】「・・・・・それはそっちだって同じじゃん・・・」

 

【華琳】「それに、私の国でこういうことは覇王と呼ばれている者として見過ごせないのよ」

 

【薫】「???何言ってんの?」

 

覇王・・・

そう言った。

 

【華琳】「まだ・・・名乗っていなかったわね」

 

【薫】「・・・うん」

 

 

立ち止まって、こっち振り返り、そいつは言った。

今まで見たことないような綺麗な顔で。

 

 

 

 

【華琳】「私の名は・・・・曹孟徳。この国の、王よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

【凪】「く・・・・・」

 

まさか、あれをよけられるとは思っていなかった。

ガラガラと崩れ去る壁。少量の砂塵が舞い上がり、視界が悪い。

追いかけようにも瓦礫が邪魔だ。

飛び越えることも可能だろうが、足場が悪すぎる。

着地すらできるかどうか・・・・

 

【一刀】「・・・・凪」

 

【凪】「!??・・・隊長!」

 

【一刀】「ずいぶん派手にやったな~」

 

【凪】「あぅ・・・・申し訳ありません・・」

 

【一刀】「ははは、幸いケガ人もいないし、凪が無事ならいいさ。」

 

【凪】「隊長・・・」

 

隊長はいつもこうだ。

私が失敗しても叱ることなく、ただ無事ならいいと。

 

【一刀】「でも」

 

【凪】「!!」

 

急に抱きしめられる。

 

【凪】「た、隊長!?」

 

【一刀】「少し、皆を巻き込みすぎ。ここまでする必要はなかったのに」

 

【凪】「す、すみません・・・」

 

そして、またいつもどおり。

叱るともいえない責めを与える時は必ずこうする。

これでは言い逃れも何もあったものではない・・・。

 

【一刀】「気持ちは嬉しいけど、やりすぎないようにな。凪」

 

【凪】「・・・はい」

 

【霞】「うぉっほん!・・あ~~~、もうええんとちゃうかな~~」

 

【凪】「し、霞様!」

 

あわてて隊長から離れる。

 

【一刀】「おわっ・・・・・」

 

【霞】「そろそろ司馬懿が路地抜けるで。うちらもいそがんと」

 

【一刀】「あ、ああ。そうだな」

 

【凪】「・・・・・・」

 

【霞】「凪も惚けてらんと、行くで!」

 

【凪】「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【一刀】「季衣、流琉!」

 

【季衣】「あ、兄ちゃん!」

 

【流琉】「兄様!」

 

薫が出てくるであろう場所に向かうところで二人がいた。

 

【一刀】「司馬懿は?」

 

【季衣】「う~~ん、まだきてないみたい」

 

【稟】「途中で立ち止まったのか、倒れたのか・・・別の道に入ったとは考えにくいですが・・・」

 

【風】「ここから先ほどの場所まではほぼ一本道ですからねぇ」

 

稟と風が路地の影からでてきた。

 

【一刀】「こっちから行ってみるか?」

 

【稟】「それが早いかもしれませんね。」

 

そして、俺たちは路地の中を進んだ。

 

【流琉】「それにしても兄様、薫を捕まえてどうするんですか?」

 

【一刀】「ん?捕まえてっていうか、ただあいつ昨日倒れたんでね、あまり動かないようにして欲しかっただけなんだけど・・・まぁ、ここまで暴れるようなら大丈夫か。」

 

【季衣】「え?じゃあ、もう薫捕まえなくていいの?」

 

【一刀】「いや、薫に少し話があってね。」

 

【稟】「仕官の件ですか?」

 

【一刀】「うん・・・まだ薫には話していないんだ。」

 

【流琉】「え、じゃあ断られちゃったらどうするんですか?」

 

【一刀】「断ることはないと思うけどね・・・あいつ、こっちの宮廷で働くのが目標だったし」

 

【霞】「へぇ~」

 

話し込んでいる間に、凪が崩した瓦礫が見えてくる。

 

【一刀】「いない・・・?」

 

【稟】「そんな・・・ここまで抜け道などなかったというのに・・」

 

【風】「遅かったんでしょうかねぇ~」

 

【一刀】「仕方ない、戻ってみよう。見落としていたところがあるかもしれない。」

 

【霞】「そうやな」

 

【季衣】「は~い」

 

【流琉】「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【薫】「あんたが・・・曹操・・・様?」

 

【華琳】「ええ」

 

と言ってはみたが、理解できていない。

目の前にいるのが曹操。

大陸を制覇し、天下三分を成した覇王。

憧れていた・・・英雄。

ここで働き、出世しようというのも、曹操に仕え働くということ。

それが、今目の前にいるというのだ。

 

 

【薫】「・・・・」

 

【華琳】「・・・・・何よ」

 

・・・・。

 

【薫】「嘘だッ!!!」

 

【華琳】「は!?」

 

【薫】「私が憧れてた曹操がこんなちっちゃいのなんて信じられるわけないでしょ!?」

 

【華琳】「な!?・・・自分の勝手な妄想をおしつけないでちょうだい!」

 

【薫】「曹操って言ったら、こう胸とかお尻とかばい~~ん!!な、お姉さま系想像してたのにぃ・・・」

 

【華琳】「何でもかんでも大きけりゃいいってものじゃないでしょう!?」

 

【薫】「うわぁぁ~~~~~ん、私の英雄像がくずれていく~・・・・」

 

【華琳】「だから・・・・」

 

【薫】「はぁ・・・」

 

【華琳】「・・・もういいわ。湯だけ用意してあげるから、さっさと来なさい。」

 

【薫】「え、ほんと!?・・・・でも・・・なんで、急に私にかまうの?」

 

【華琳】「さっきも言ったでしょう。この国で暮らしている以上、貴女も私の大切な民の1人なのよ。それを捨て置くのは王として許さないわ。」

 

【薫】「・・・・ふぅん」

 

【華琳】「・・・・なに?」

 

【薫】「ううん」

 

【華琳】「そう。なら、はやく来なさい。」

 

そう言ってまた、私を引っ張り出す。

 

【薫】「え、でもこの先行き止まりだよ?」

 

【華琳】「ここを誰の街だと思っているの?」

 

【薫】「え・・・・?」

 

それ以上何も言わないでただ奥に向かって歩いていく。

そして、行き止まりにたどり着いた。

 

【華琳】「ここね」

 

そういって石の壁に手をあて、押す。

 

ズズズズズズ・・・・・・

 

 

【薫】「嘘・・・・」

 

【華琳】「ここのことは私と春蘭・・・夏候惇しか知らないわ」

 

石の壁は奥へと沈んでいき、通路が現れる。

 

【薫】「こんなのどうやって・・・」

 

【華琳】「私だって子供だったときはあるのよ」

 

【薫】「・・・・秘密基地?」

 

【華琳】「・・・そうよ」

 

【薫】「あはは」

 

本当に、信じられない。

この子があの曹操だなんて。

 

カツカツと通路を進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて、外の光も届かなくなるほど奥へ来ると、壁に突き当たった。

 

【薫】「あれ、行き止まり?」

 

【華琳】「ここも入り口と同じよ」

 

そして手を当て、壁を押していく。

 

ズズズズズ・・・・・

 

【薫】「秘密基地ていうか秘密通路だね」

 

【華琳】「宮廷の裏庭に出るようになっているわ」

 

壁が開き、光が差し込む。

少しまぶしいと感じたのは、夕日が真正面から覗き込んでいた。

外に出ると、そこはたしかに宮廷。

見覚えがあるわけではないが、その雰囲気で、わかる。

 

【華琳】「こっちよ」

 

【薫】「あ、うん」

 

ただ、ついていくしかなかった。

不思議と、逃げようとは思わない。

思わせてくれない雰囲気がこの子にはあった。

ついていこうと思わせられる。

昨日はあれほど、嫌な感じがしたのに。

 

 

【華琳】「だれか、いるかしら?」

 

【侍女】「あ、はい!いかがされましたか?」

 

曹操の声にすぐに近くにいた侍女らしい人が反応する。

 

【華琳】「悪いのだけど、湯の用意をしてくれる?」

 

【侍女】「かしこまりました・・・そちらの方は?」

 

【薫】「あ、・・・どうも」

 

軽くお辞儀をしてしまった。

 

【華琳】「私の客よ。」

 

【侍女】「そうでしたか、ではすぐに用意いたしますね」

 

【華琳】「お願い」

 

侍女はそういうと、急ぎ足で行ってしまった。

 

【薫】「・・・・・ほんとに曹操なんだ」

 

【華琳】「そんな嘘はつかないわよ」

 

 

 

 

 

少し時間が経って、さっきの人が湯が出来たといいにきたので

そのまま湯にいれてもらった。

自分の状況が信じられなかった。

朝起きて、楽進をだまして、逃げ回って

いつの間にか魏の武将の半分の人数から追い回されて

それを助けてくれたのが、昨日出会った瞬間に大喧嘩した女で

その女は実はずっと憧れてた曹操で。

その上、今私は風呂に入っている。

なかなかできる経験じゃないよね~・・・・

 

【薫】「はぁ・・・」

 

考えると、いきさつはどうあれ、

 

【薫】「ほとんど魏の国そのものにケンカ売ったみたいなもんじゃない・・・・」

 

よりによって、曹操とケンカしてたなんて、自分が信じられない。

信じられないが、事実だ。

そして、その曹操に助けられたのも・・・事実。

 

【薫】「とりあえず出よ・・・」

 

湯から上がり、脱衣場へ向かう。

そして脱衣場に入り、体を拭こうと持っていた布をはずした。

 

 

【一刀】「・・・・・・・え?・・なんで・・・?」

 

 

そこに今日いろんな意味で助けられた女たらしがいた。

 

 

【薫】「・・・・・・・・」

 

 

自分は風呂上り。

当然身につけるものもなく・・・

 

 

【一刀】「ま、まて・・・おちつけ、薫・・・」

 

 

【薫】「ば・・・・・・・」

 

 

【一刀】「・・・え?」

 

 

 

 

 

【薫】「馬鹿あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

 

魏国内に少女の叫びが響き渡った・・・・

 


 
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