No.682503

義輝記 別伝 その八 青州攻略編

いたさん

義輝記の続編です。 宜しければ読んで下さい! 4/30誤字、文章の修正をしました。

2014-04-29 16:37:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1335   閲覧ユーザー数:1170

【 曹孟徳 大反撃 の件 】

 

〖 曹操軍 本隊 にて 〗

 

本隊四千が三方に分かれて、黄巾兵に攻め込む! ただ、違うのは一方の手に武器を! もう片方には『筵』を持ち、足は『草履』に履き替え泥水に近付く!

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 曹操軍…二千 中央攻勢 にて 〗

 

愛紗「それぞれ持っている筵を、泥の上に被せるんだ! 慌てず敷き忘れがないように、一枚ずつ確実に敷き詰めろ!!」

 

真桜「大丈夫! ウチらの隊長が、ウチらに嘘こいた事あるんか? ないやろぉ? なら、安心して行動せえぇ!!」

 

沙和「ウジ虫共! お前達は泥の中で、腰動かして疲れる軟弱野郎か!? ただのクソ虫共は、泥の中でへばっているの! もし、違うのなら、このクソ虫共をヒイヒイ言わせて、お前達ウジ虫の方が雄である事を沙和に見せてみろ!!」

 

パサッ! パサッ! ポチャン! ギュッギュッ!

 

曹兵「おぉ! 足が滑らない! それに、泥で足を取られる心配もない! 少しずつ攻めたてるぞ!!」

 

曹兵「どんどん筵を持って来い!! 敵が少しずつ距離を取っていきやがる!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 曹操軍…千 右岸攻勢 にて 〗

 

霞「さーて、ウチらも行くでぇ!! 敵さんが弓を射てこようが、怖い事ありゃせんよぉ? 手に持っとる筵で、振り回すなり前に垂らせば、あんなヘナチョコ矢なんぞ───当たりゃせぇへんって!!」

 

春蘭「愛紗との対戦では良いモノを見せてもらった! 今度は、この夏侯元譲の武を刮目するがいい!!」

 

霞「へぇ~! ウチの目は武に関して、めちゃこえとるでぇ? なんやて颯馬軍師率いるアノ軍勢を見てるぅさかいなぁ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 曹操軍…千 左岸攻勢 にて 〗

 

凪「心配する事はありません! 役割をしっかり果たして、曹操軍を勝利に導くのです! 私達の手で!!」

 

風「大丈夫ですからねぇ~! 心配は不要ですよ~? この戦い必ず勝ちますから~!!」

 

★☆☆

 

〖 閔純 本隊 にて 〗

 

閔純「そんな、馬鹿な! 馬鹿な!! 我らが敗れる訳がぁ!? ハッ! う、後ろの部隊は!? 数十万の兵は!!!」

 

閔純は、後ろを振り返り、待機しているはずの部隊を見ると───

 

 

***   ***   ***

 

〖 本隊後方 数十万待機場所 にて 〗

 

??「ぶるるぅぅぅわあぁぁぁぁ──────!! 

 

誰ぇぇ──だれなのぉぉぉ────!! 私のお気に入りの下着を盗んだ人はぁ────────!!!!」

 

黄巾兵『か、神の怒りだぁ─────!』

 

黄巾兵『し、知らん! 俺は、コイツに脅迫されて………』

 

黄巾兵『俺も知らねぇぇ────!!』

 

??「早くぅ──! 私のぉ、お気に入りを返すのよぉ───!!」

 

 

謎の漢女が乱入し……『阿鼻叫喚の犯人』『跳梁跋扈する漢女』『喧々囂々たる黄巾兵士』となり、混乱・紛糾・驚愕・波乱・猥雑・混迷・動揺という二字熟語が並べられる程の状態に陥っていた。

 

 

***   ***   ***

 

閔純「は、はっはは……。 ハ─ッハッハッハッハ──! 

 

我ら、青州黄巾兵がぁ! この人数でぇ! 曹操軍の数十倍の人数で!!  ────負けると、負けると言うのかぁ!!!! 」

 

曹操軍を優に越える人数で、攻め込んだ筈の閔純だが………堅固な砦、奇抜な策、精悍な兵士により悉く阻まれて、今に至る。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 黄巾賊 左右別働隊 にて 〗

 

左右の舌状台地上を攻める黄巾隊も、本隊を救おうと動く様子を見せるが、泥状の平原に踏み入れるのに躊躇している。

 

確かに、入れば、中央奥に居る総大将を救うために、泥の中を進むしかない! だが、それを行えば、間違いなく左右の砦より射かけられ、倒されるのは明白。 泥の中では避けるのは、至難である。

 

それと同時に青州黄巾兵達から、閔純に対する疑惑が沸き起こっていた。

 

漢王朝が『北郷一刀=天の御遣い』を不定した事は、青州黄巾賊にも知れ渡っている。 だが、元々漢王朝に反旗を翻し、不定するために立ち上がった集団。

 

その教祖『張角』が亡くなった後、ただの盗賊集団になっていた青州黄巾賊を纏めて組織化したのが、閔純である。

 

新たな『神の御遣いの代理』を標榜した閔純が現れ、数々の不思議な出来事を披露し、人心を掌握せしめて、青州黄巾賊の長となる。

 

( ………不思議な出来事の一つに、拷問に近い事を行っても興奮状態になり、恍惚の表情を浮かべたそうであるが…… )

 

その閔純率いる集団が、自分達の信じる『神の御遣い』と殆ど同じ容貌、知らざる知識、そして限られた者しか知らない筈の『天の言葉』を知っている事実に、心底驚きを隠せない!

 

しかも、閔純しか会わないと言う『神の御遣い』と違い、『天の御遣い』北郷一刀は、姿を現して前線で一般兵士と共に戦う!

 

そのような魅力溢れる人物を、閔純は完全不定し討ち滅ぼすべしと命じる。 こちらの代理は、本隊に腰を据え、顎で黄巾兵を駒のように扱うのに………。

 

 

────果たして、どちらを信じるべきなのか?

 

 

これだけの器の差を魅せられば、反抗する意志も無くなるのも無理はない。 それに『天の御遣い』に、これ以上仇なす事を恐れた結果もある。 

 

そのため、表向きは『砦からも矢を射かけられている状態ゆえ、すぐに行動を移す事が出来なかったという理由』で、閔純救出には素早く動かなかったのである。

 

★★☆

 

〖 曹操軍側 中央砦付近 にて 〗

 

鈴々「ふぅ───! 酷い目にあったのだぁ!!」

 

季衣「なにおぅ! ボクが助けなきゃ、ちびっこがやられてたんだからな!! ボクに感謝して当然なんだのに、文句いうなよ!!!」

 

鈴々「にゃあー! 服が泥だらけなのだぁ~! ────あれっ?」

 

季衣「───どうした? えっ? あ───っ! あの敵将!!」

 

鈴々「華琳お姉ちゃんに聞いた、敵で一番偉い将なのだぁ!!」

 

季衣「こらぁ! 華琳様と呼称を付けろ!! それより、早く捕らえなきゃ!! えーと、筵、筵……………」

 

鈴々「チビペタハルマキ! そんな所探しても無いのだぁ! ここから剥がして持ってくのが、早いぞぉ!!」

 

季衣「ハルマキ言うな! ──って、本隊砦で使用している筵じゃないか!? 壁を貼る間が無いから筵で誤魔化したって、兄ちゃん言ってたけど。 えっ? それを利用する気なのか!! 華琳様のお許し貰わなきゃ──!!」

 

鈴々「それじゃ逃げられるのだぁ!! 『兵は拙速を尊ぶ』と言うから、逃げるのも食べるのも、攻撃するのも早い方がいいのだぁ!!」

 

季衣「 (゚◇゚)ガーン …………ちびっこから正論を教えられた。 でも、そうだな! うん! すぐに取りに行こう!!!」

 

(───この戦い終了後、華琳より、その言葉の意味は違うと言われ、愛紗達と共に勉強を強行する事になった鈴々である。

 

孫子に曰わく『兵は拙速を聞くが、未だ巧久を睹ず』……『多少拙い戦い振りでも戦を早く終わらした話を聞いてるけど、長期に巧みな戦術使って勝ったよ!っと言う話は聞いたことないぜ!』が正解 )

 

◆◇◆

 

【 久秀、再び暗躍す の件 】

 

〖 渤海 麗羽居城 司馬懿仲達私室 にて 〗

 

久秀「───そう。 分かったわ、下がりなさい!」ヒラヒラ

 

白装束「───────」スゥ──

 

順慶「どうしましたの? 『 些細な事よ……青州黄巾賊が壊滅の危機に陥っているんですって 』 ──まぁ、私はどうでも良いですけど、貴女が困るのでは無いですの?」

 

久秀「誰がぁ? あぁ……久秀の玩具の事を心配しているのねぇ?」

 

順慶「………貴女の耳は、聞こえが悪いようですのねぇ? 一人称に貴女を使ったのに、なんで『おのこ』の心配になるのですか?」

 

久秀「取るに足らぬ事を言うから、耳から抜けただけよ。 勝敗なんて二の次の次なんだからぁ~」クスクス

 

順慶「久秀! 貴女は一体、何を狙いで手駒の兵を………」

 

久秀「クスクス……順慶如きに判断出来るか分からないけど……折角、話掛けてくれたんだもの。 説明をしてあげるわ……」

 

順慶「その高飛車な態度が気に入りませんが……分かるように説明して貰いましょう! もし、不十分な答えならば……殺しますよ!?」

  

久秀「────はいはい。 まず、黄巾賊の信仰の柱を張角より『神の御遣い』に替えた。 これは分かるわよね?」

 

順慶「私が役を演じたのですから、当然ですわよ? 貴女も、あの男に大道芸を少し教えたようですけど……………」

 

久秀「大多数の人は……自分が出来ない事を行える人物を尊ぶ、哀れで愛しい従属習性を持つ生き物。 中には認めない輩も居るけど、苦痛と快楽を相互に行えば、直ぐ素直に認めてくれるわ!」

 

順慶「貴女の調教哲学を聞いてる余裕はありませんのよ? 

 

それで、調教済みの手駒である青州黄巾賊を曹操軍にぶつけて、この状況ですけど、どうされるのですか?」

 

久秀「……選択は幾つか別れていたの。 

 

第一が『勝敗』、勝てれば曹操軍を壊滅させて、大陸統一直前まで行かせる。 だけど………この選択は、消えたわ。 

 

第二が『黄巾賊が、この後どうなるか』ね。 普通に殲滅すれば百万の軍勢ゆえ、怨嗟の声が周辺に広まるのは間違い無し。 そうすれば近隣の治安、新たな領地の民意が、素直に従うとは思えないけど…」

 

順慶「では、もし『賊達を取り込んだら』………?」

 

久秀「可能性としては高いわね。 麗羽との勢力差は圧倒的だし、挽回するには、精強で名高い青州黄巾賊が必要。 向こうに居る北郷一刀も、知識で知っている筈だもの…… 」

 

順慶「……………………」

 

久秀「………もちろん、そうなるように久秀が、お膳立てして上げた結果もあるのだけどね」クスクス

 

順慶「………フゥ」

 

(順慶は呆れて部屋を立ち去る…その途中……久秀が声をかける!)

 

久秀「待ちなさい! 貴女には大事な仕事があるのよ。 今から言う二人を攫ってきて! ○○○と◎◎をね………」

 

◇◆◇

 

【 鈴々の策 にて 】

 

〖 閔純本隊 中央平原 にて 〗

 

閔純「幾ら……苦しいのが……好きだと言っても、こんな敵に追われる……苦しみなど、嫌だああぁぁぁ───────!!」

 

閔純は、泥沼と化した平原を馬で逃げ惑う。 周辺には、自分が率いていた兵士が屯って(たむろって)いたが、お構いなしに跳ね飛ばす!

 

ドンドン! 「グハッ!」 「──び、閔純さまぁ!!」 グシャ!

 

閔純「俺は『神の遣いの代理を担う者』!! 俺が──死んだら、誰が、その役を担うんだぁ!? だからぁ! 俺は死んではならん! 味方が何百、何千、何万が死のうと、俺一人が遥かに尊い!!」

 

───途中で、馬が力尽き……それを打ち捨て、ひたすら泥の中を進む閔純! 全身泥だらけになるが、そんな事に構ってられない!

 

他の曹兵達が、捕らえようと筵を用意するが、馬で移動していた分、体力が残る閔純の逃げ足は早く、準備した分では足りない!

 

このまま行けば、逃げ切れると思いきや、そこに立ちふさがる二人の将が居た!!

 

鈴々「筵は持ってきたのだぁ! こっちから攻めたてろぉ!!」

 

季衣「………理由は分からないけど、言うとおりに動けぇ!!」

 

鈴々と季衣は、多数の筵を用意して兵士に分け与えて、指示を出す。

 

    ある一帯に追い込みために───

 

閔純「ハァー ハァー! しつこい奴らだ───ああぁぁぁ!?」

 

 ドバァ────ンッ!!!  

 

閔純「ブハッ━━━━!!」

 

閔純は、急に足へ何か引っかかっり、泥沼へダイブする!!

 

閔純「な、なんだぁ!? 何が起こったんだぁ!?!?」

 

慌てて見れば、平原の草が……左右で結ばれアーチ状の罠が作られている!! 泥沼と化しているが、短時間のため草も根付きがよく、そう簡単には抜ける事はない!!

 

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

鈴々の奇計

 

《 ?泥草足刈の計? 》

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

鈴々「街の子供達と遊んでいた時、教わった罠だのだぁ!!」

 

季衣「──────ちびっこ! 凄いじゃないかぁ!!!」

 

鈴々「お兄ちゃんの合図が来た時に、逃げれる準備していた物が、役に立ったのだぁ………。 ニャハハハハ────!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

閔純「おのれぇ──!! 童の遊び如きに引っかかるなんてぇ!」

 

  ガバッ!! ダッ!    ────グィ!! 

 

  

  ドバァ─────ンッ!!  

 

 

閔純「ガハッ───!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

鈴々「そう簡単には、逃れないのだぁ!! 兵の皆に周辺一帯に結んでもらったから、無理だよ~だぁ!!!」

 

季衣「えっ? 兵士達に? 何人に頼んだんよぉ~!?」

 

鈴々「え~とぉ、五百人で数回結んで貰って………」

 

季衣「ボクと流琉が伏せていた時か……って、それじゃ、あいつのとこまで、どうやって行けば………」

 

華琳「お手柄ね! 鈴々!! 」

 

季衣「華琳様~! だけど、あいつを捕らえるのに、罠だらけじゃ此方も引っかかりますよぉ~!!」

 

華琳「あら? 貴女達の筵は、そのために用意したのではないの? それを被せながら通れば、罠に掛からず取り押さえる事は可能よ?」

 

季衣「────あっ!?」

 

鈴々「華琳お姉ちゃん、頭いいのだぁ!!」

 

華琳「こんな機転も利かなきゃ、覇王なんて目指してないわよ! 

 

───兵士達よ! 曹孟徳が命じる! 敵将を捕らえよ!! 生きている者も救助せよ! 刃向かう者は容赦するなぁ───!!!」

 

曹兵『ははあぁぁぁ─────────!!!』

 

 

 

《《《━━━━━━━━━━━━━━━━━》》》

 

結果

 

青州黄巾賊…………約百万

 

戦死………約一万五千  負傷者………約二万人

 

曹操軍………………約一万

 

戦死………約三千    負傷者………約二千

 

投降兵士及びその家族………約六十万

 

 

《《《━━━━━━━━━━━━━━━━━》》》

 

 

◆◇◆

 

【 戦後処理 の件 】

 

〖 曹操軍 野営地点 にて 〗

 

左校「どうかぁ! どうかぁぁぁ!! お願いしますよぉう!! 何卒、我々を………貴方様の配下の末席に入れて下さいぃぃ!!! 」

 

大洪「青州黄巾賊一同、貴方様に従いますぜぇ!! 旦那!」

 

一刀「……………どうすればいい、華琳?」 

 

華琳「ふん! 私から独立して青州で牧でもやってみる? 桃香達が大喜びするわよ!! 『おい、冗談でも───』 冗談じゃないわよ? 猛威を振るった青州黄巾賊達が、一刀に全員仕えたいって、どういう事なのよ!? 」

 

左校「我々は、貴方を『天の御遣い』として信じています!! あの未知な策、その風貌、そして……書かれた『天の文字』! 紛れもない御遣い様です! どうか、我々をお救い下さい!!」

 

一刀「いや、あれは教科書の知識………」

 

桂花「─────全く! アンタねぇ、私達に相談も無しに、変な策立てないでよ!! アンタの事…べ、別に心配する訳じゃないけど、段取りと言う物があるのよ! 段取りがぁぁ!!!」

 

雛里「ですが~、私達の修正が幾つか入っているとはいえ、元は一刀さんの策ですから、関連の仕方は予測できません!! 変に弄くると策が変化して、私に被害が及ぶ可能性も………!」

 

朱里「一刀さん!! 是非、あの策を教えて下さい! 元を知れば更なる進化した策を作り出せると思いますので!! 鈴々ちゃんだって、あんな凄い策を立てられたら──軍師としての立場が!!」

 

一刀「え、え──と ………これらの策の元は………」

 

 

▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼

 

☆芥川流 蜘蛛糸の計……『現国』に書いてあった物語より。 

 

仏の慈悲である蜘蛛の糸を、己自身だけで助かろと願い使用して切れた哀れな男の話より。

 

 

★墨俣、石垣 一夜二城の計……『歴史』に記載。

 

ある天下人の『足掛かり』と『とどめ』となった陣地造り。

 

 

☆莚返しの計 火炎莚の計……天の国で見た隠し芸及び料理から。 

 

年末年始でよく見た大道芸(テーブルクロスを引いて上の品を残す)、筵じゃないけど、何かを巻いて焼いて調理したのを参考。

 

 

★赤坂、千早城の謀計……『歴史』に書いたあった策。

 

とある忠臣の華麗なる戦い振りを書いてあったのを拝借。

 

 

☆唐人凧 の計……『地理』に書いてあった策。 

 

『天の国』にある童の遊び。 『顔』は、ある場所の民芸品から。

 

 

★火遁 灰神楽の術……『忍び』の本より使用。 

 

『囲炉裏』で使用したと記載があったのを、大規模に!!

 

 

☆泥枷遅速の計……『歴史』の本から。 

 

上杉対徳川の戦いで考案された策。 

 

(実際の戦いでは、徳川が途中方向転換して、使用されず)

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

 

───────と説明をする一刀。

 

『やはり、天の御遣い様だ──────!!』と叫び、飛び付く左校と大洪。 ちなみに……二人共……男性である。 

 

桂花「どう考えれば、そんな策を『物語』から編み出せるのよ! この加虐思考妄想家、猟奇趣味的非現実主義者、脳内暴虐発想転換変態男!!!!」

 

春蘭「おおぉぉ────っ!? 秋蘭! 桂花の罵倒って何と言っているのだぁ!?」

 

秋蘭「フッ、余程………一刀、鈴々の策に嫉妬しているのだろう」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 同じく野営地 別場所 にて 〗

 

桃香「……………愛紗ちゃん。 黄巾賊の家族の人達って見た?」

 

愛紗「───はい、この目で見ました。 私達の守る民達と何も変わりは………ありませんでした。 ここの賊達が精強な理由……それは『守るべき家族』が居たためだったからかも……しれませんね? 」

 

桃香「一刀さんを『御旗』として、あの時…頑張ってきたけど……私達は、敵対する人達と話をした事ってあったのかな…………?」

 

愛紗「…………………………」

 

星「……私が知る限りは、一度もありませんでしたぞ? 『桃香様』」

 

桃香「あはは……、久しぶりに様付けで呼ばれるね、星ちゃん?」

 

星「……今の桃香様は、君主の顔をしていた為、呼称を付けさせて戴いたまで。 それに、華琳様の目も無いもので………」

 

桃香「………私は、忘れていたのかな? 『周りの人を笑顔にしたい!』と願って立ち上がったのに…………私に刃向かう者を容赦なく討伐して、いい気になっていたかも知れないね………」

 

愛紗「そんな事は………!」

 

星「あるだろう? 黄巾賊討伐戦で董卓軍を悪者と名指し、汜水関で敵将に叩かれて、涙目になって座り込んでいたのは……どこの誰かさんは、忘れてしまったのかな?」

 

愛紗「~~~~~~~!!」

 

星「董仲穎様や天城颯馬殿は、決して暗愚でも野心家でもありますまい。 もしかすると、漢の忠臣しかもしれませんぞ?」

 

桃香「だけど………私や華琳様に、様々な仕打ちを………」

 

星「 ───今一度考えられよ。 我々を壊滅させる時が、何度もあった筈だが……何もせず、このように自由にさせている。 これを不思議に思わんか? 桃香様、愛紗よ?」

 

愛紗「だが! 今回のこれは、どうだ!? 一万対百万……どう考えても勝てる要素はなかったぞ? ご主人様の活躍が無ければ……!」

 

星「確かに主の活躍は認める。 

 

だが、一番重要な情報を調査したのは、お主が毛嫌いしている『天城颯馬』配下のおかげと知っておくがいい。 

 

しかも、主が危ない時に、張文遠殿と凪が少数の奇襲を仕掛けて、相手を混乱させたと聞いているぞ? 

 

愛紗「確かに、張文遠や凪の活躍は知っているし、感謝している。 しかし、情報を得るために、奴らからの手を借りたのか!? 」

 

星「 雛里の話から聞いたが、かなり悩んでいたそうだ……あの覇王様がな。 『黄巾賊』と名の賊徒だと思っていたが、向こうも『天の知識』を流用して、情報を遮断していたらしい…………」

 

愛紗「なら、天城達の罠ではないか!? これらの戦いは自作自演で我々を滅ぼすことも、恩を着せる事も自由自在! あやつらの手の上で踊っていたに過ぎぬのかぁぁ!!!」

 

星「………今、捕らえた敵将と主に取り入ろうとしている将達の話からして、教えたのは『金髪、白い服装の女』だ!」

 

愛紗「天城の仲間は急に増える! 別に不思議では無かろう!!」

 

星「………いや、思い当たる節がある。 天城殿達と敵対する『御遣い』が一人いてな? 危なく命を落としそうになった………」

 

愛紗、桃香「「なっ───────!!」」

 

星「孫策軍の周幼平殿に救われ、共闘して何とか対峙できた武人がいる。 最終的に天城殿配下の者に救われ、無様に逃げて来たがな…」

 

桃香「…………その事を知ってる人って居るの?」

 

星「……私以外に朱里、真桜、沙和の三人。 強いて言えば、共闘してくれた周幼平殿となります」

 

愛紗「だが…………黄巾賊に知恵を授けた者が、その者かどうかなど………わかる筈が…………」

 

星「はぁ……疑り深い馬鹿姉殿だ。 そう思って敵の将『閔純』と申したか、あやつに会いに行き、鎌をかけて同一人物か確かめてみたのだ!」

 

***   ***   ***

 

星『────お前達の御遣い様も捕らえたぞ! ほれ! 頭に付けていた装飾具《 白いリボン 》だ! 洗いざらい吐いてしまえ!』

 

閔純『馬鹿め! あの御遣い様がお前達に捕らえられるハズがない!! ほれ、その証拠に……御遣い様の頭の装飾具は、黒とお決まりになっている! 下手な虚言を─────!!』

 

***   ***   ***

 

星「………と暴露してくれた。 他にも顔立ちや体型、性格も同じようにしたら、実に素直に話してくれたよ。 

 

結果は、間違いなく──あの御遣いだったがな。

 

フッ……お主も、あれくらい単純なら助かるのだが。

 

いや、失敬……そのくらい疑り深ければ、弄り甲斐があるというものか」クククク……

 

愛紗「分かった! それ以上喋るな!!」

 

星「……後、これだけは言わせてくれ! 

 

私と雛里は共に、董仲穎様と天城颯馬殿が主と会見した場に居たのだ。 その分、人柄も分かる……私見で言えば、あの御仁達の目指している場所は、我らより高いぞ!! 」

 

桃香「一刀さん……は? 一刀さんは、董仲穎様や天城…様をどう思っているの!?」

 

星「………今までの行動を省みれば、申し上げるまでもないでしょう!!!」

 

桃香、愛紗「───────────!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 曹操軍 野営地 にて 〗

 

稟「『天の国の教科書』と言う軍略書。 読んで妄想すれば……軍師の勉強が出来るという素晴らしさ……。 そして、それを読む私のすぐ傍に何進様と颯馬殿が左右より近付き、私の耳元に…そっと息を吹きかけて……そのまま寝台に………… 」

 

風「稟ちゃーん、北郷のお兄さんの服を、紅白模様に変える気ですか? 祝いの席にピッタリですが…血生臭いのは…ちょっと…勘弁して下さいねー?」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 同じく 〗

 

鈴々「お兄ちゃん!! 鈴々ねぇ! 鈴々ねぇ!! 大活躍したのだぁ!! 誉めて誉めてぇ!!!」

 

雛里「……はぅ! 落ち込むますよぉ…落ち込んじゃいますょぉ…」

 

朱里「……鈴々ちゃんまで……あんな策を準備………してたんだもん……私だって……落ち込んじゃうよ」ガクッ

 

季衣「ボクだって、ちびっこ助けたり大活躍したのにぃ──! あれっ? 流琉……顔が赤いけど……………?」

 

流琉「う、うん! 大丈夫! 大丈夫だから!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 同じく 〗

 

霞「北郷一刀かぁ……凪っちは、勿論知ってるな? どんな男や

? 宗茂が佩刀を切られたと言うて、道雪はんと紹運はんにドえらい勢いで叱られ、ベソかいてたがぁ───」

 

凪「私は……その時、颯馬様に背負っていた……だいて……その、気絶して……たので、詳しい状態が分かりません! でも、『天の国の武術』を嗜んでいるという事で、私も教えていただきました」

 

霞「ふ~ん、結構強くて、ウチらが知らんやり方で攻め寄るかぁ? ───おもろいなぁ!! ウチも相手して貰おっと!!!」

 

凪「………やれやれ………」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

    

    『 曹孟徳、青州黄巾賊を下す! 』

 

 

 

その報、大陸各地を巡り、他の軍閥は警戒を露わにする。

 

この後、陳留に帰還した後、青州黄巾賊を取り込んだ曹孟徳は、その中から三十万の精兵を選びだし、『青州兵』と名付け軍の要と据えた。

 

ただ、青州兵側と約定が結ばれ、『 我らが忠義を尽くすのは、《 北郷一刀 》のみ! 北郷一刀が亡き後、我らは元の青州農民に帰す事とする! 』とした。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

曹孟徳の臣下達は、北郷一刀の謀反やら独立の恐れを訴え、約定を許可しないようにと曹孟徳に諫言したが…………

 

『一刀が私を見限るのなら、天が私を見限ったのと同じ事。 それなら甘んじて受けねば、覇王として、曹孟徳としての矜持が許さない!! 

 

………それに、あの戦いの功績は、あのバカのお陰なのに、相変わらず自分の功績を認めないのよ。 

 

《 自分は戦えない分、知恵を出した! 真の功労者は、俺じゃなくて実際に命掛けで命令に従ってくれた兵士の皆だ!! 》って。

 

だから、伝え聞いた兵士達が感涙するわ、北郷様に褒美を!と署名集めて挙げてくるわで、大騒ぎ!! これくらいしなきゃ収まり着かないのよ……。 少しは……私の事も考えてくれてもいいのに… 』

 

と、気のせいか……ちょっと頬を膨らませて、諫言を却下したと云う。 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

そして、体制を整えた後日、青州へ曹操軍、徐州に旧劉備軍が進行!

 

青州は、曹操軍に刃向かう者は制裁を下し、臣下に下る者は心よく迎え入れ軍を強化。 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

徐州は、旧劉備軍が戦を好まず、まず話し合いから行い説得、有無を言わせず戦いを挑む者は打ち倒し、徐州牧『陶謙』の居城へと向かう。 

 

『陶謙』は、今の世を自分のような古き者が、国の舵取りしても良くないと考え、劉玄徳の説得に応じて対談。 その人柄を探っていた…………。

 

劉玄徳は、陶謙の顔をジッと見つめながら、徐州に侵攻した事の意味を話す。 

 

桃香「青州黄巾賊を曹孟徳様が討伐しましたが、これで平和になった訳ではありません! いつどこで、青州黄巾賊並みの兵団が現れるかなんて、殆どの人が………わからない事ですから!!

 

ですが、私達は漢王朝の臣です。 民の為に、命を捨て守らなければならない義務があります! 

 

しかし、現実に漢王朝へ進言し手助けを待っていても、助けてくれるまで何日もかかり、待つ間に多数の被害を被る事になるでしょう!! 

 

ですから、曹孟徳傘下に入って下さい!! そうすれば、曹孟徳配下の優秀な将軍が時間を置かずに助けてくれます! 統治に関しても、近隣にも噂は流れてるほど良好ですから! どうか、民への被害が及ぶ前に、是非、お願いしたいのです!!」

 

陶謙は考えている。 曹孟徳の治世は、目に見張るものがあるのは事実! 人材も多いため将来も有望だ。 

 

それに、徐州侵入に武力を率いながら、あえて使わず、各地の城を数人の家臣と共に、説得に当たる様子を聞いていたため、好意的に捉えていた。

 

『──噂に聞き及んでいた優柔不断さは確かに見える。 しかし、目の奥に光る決意の意志は、他の若者には見えぬものだ。 背後に、あの曹孟徳がいる事だしな。 間違いを起こす事は………少なかろう! うむ!! 』

 

陶謙は、総合的に判断して劉玄徳を信じる気になり、徐州牧の印を渡し、徐州牧を譲り渡す事になった。

 

────────────────

 

洛陽側は、帰ってきた稟、風達より報告を受け、新たな州牧任命の勅命を発行し使者を出す。

 

古き秩序を潰し、有能な者を残す『蠱毒の計』を実行する颯馬。

 

果たして、結末は如何に…………

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

これで、青州攻略編終了となります。

 

次回から『官渡の戦い』を準備したいと思います。

 

颯馬達の話も、多少入れたいとは思いますが。

 

また、宜しければ読んで下さい。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
8
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択