No.680535

義輝記 別伝 その六 青州攻略編

いたさん

義輝記の続編です。 宜しければ読んで下さい。

2014-04-21 22:11:57 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1489   閲覧ユーザー数:1327

【 一刀の計略 の件 】

 

〖 兗州 山陽郡 鉅野県近辺 にて 〗

 

雲一つ無い晴天の日、普段は長閑なお昼頃、青州黄巾賊は到着し、ワイワイガヤガヤと、昼食の準備と野営地の設置を始める。

 

   ザッザッザッザッザッザッ!

 

黄巾兵「──────あそこです!」

 

閔純は、案内された場所を見て驚く。

 

前方は緑に包まれた大山が聳えたち、大自然への敬いを思いださせるような偉容を現す! 

 

そして、そこから人間の腕のように伸びる『舌状台地』、周りを囲むように流れる河が、青州黄巾賊の侵入を拒むように、障害物として行く手を阻む。 

 

古来より『竜穴』の地と言われるような場所になるのだが、真ん中より、河川の流れがあるため、その働きは軽減されていると思われる。

 

しかし、平地を流れていたと思われる川筋には、水が少ししか流れていない。 よく見渡せば……平地は、よく肥えているようで、丈が少し長い草が風に靡かれ揺れている。

 

閔純は、案内した黄巾兵が指す方向を見ると……右側に見える舌状台地の先端にある『 砦 』。 三方を岩肌晒して侵入を阻み、更に上には、木の板の壁が押し出されて設置されている。

 

気になるのは、砦の間から伸びる『筵(むしろ)』?

 

何故、足場も無い絶好の場所に、わざわざ取り付く場所を設置したのか? ───疑問は湧くが、答えは分からない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

少し経ち、不満を押し殺しながら──配下の将に命じる!

 

閔純「──あれが、曹操軍の砦か? 一万以上滞在していたと聞いているが、たかが小砦ではないか。 二万の軍があれば、充分落とせる! 誰か『左校』を呼んでくるように!! 」

 

黄巾兵「はっ!」

 

 

   ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

左校「──呼びましたか! 大将!」

 

閔純「来たか……! 『左校』よ! お前に二万の軍勢を与える。 あの曹操軍の砦を落とし、曹操を俺の眼前に晒して見せよ!!」

 

左校「承知しましたぜ! 大将!!」スクッ ダッ!

 

閔純「先陣を任せれば、必ず落とす『先駆けの将』だ! これで軽く落とされば、曹操など高が知れる。 だが、曹操の知謀は『軍師顔負け』と言う話でもある。 まずは、拝見させて貰おう!!」

 

 

☆☆★

 

 

〖 右舌状台地 先端部 にて 〗

 

 

曹操軍─三千 守将『秋蘭』 軍師『朱里』

 

 

秋蘭「敵が攻め込んできたぞ! 弓隊…矢を用意! 放て!!」

 

シューン! シュン! シューン! トス! ドス!

 

黄巾兵「ぐはっ!」  黄巾兵「グフッ!」

 

 

雛里「………切った丸太を、転がして落として下さい!」

 

 

ゴロゴロ ゴロゴロ ガン! ブシュ─! 「────!」

 

 

30㌢ほどの長さで落とす丸太は、登ろうとする黄巾賊達の頭に衝突、上から覗くと……赤い花が幾つか、咲いたように見えた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

───── 二万人が隙あればと一斉に登るためため、幾人かが砦に手を掛ける、少し手前までたどり着く。 

 

 

ヒラヒラ ヒラヒラ パタパタ パタパタ!

 

 

下では……血みどろの戦いが、繰り広げられているのに、筵の動きは緩慢として、平和な日常を思いださせる。 

 

一人の黄巾兵が掴み、引っ張ると意外にしっかりしている。

 

もしかすると、岩場を足掛かりにしなくても、安心して行けるのではないか? 第一、これが邪魔で、上に登れない! 

 

少し踏み外せば、十数㍍離れた地面か同志と、熱烈な衝突をする事になりかねない! 優しく受け止めてくれると考える奴など、誰もいない。 ………いないはずだ。

 

そこまで、思考した黄巾兵の一人は、筵を掴み登った。

 

それを見た、何人かが……同じように登り始める。 

 

たが……何故───始めに、思い着かなかったのだろうか?

 

 

『これが………此処に垂らしてある《理由》とは?』

 

 

基本的な事を忘れた黄巾賊の一兵卒……数人は、ほぼ同時に、その答えを味わう事になった。 『後悔』と言う二字の名の下で!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ギシッ! ギシッ! ギシッ!ギシッ!

 

 

曹兵「夏侯将軍! 敵兵が筵に掴まりました!!」

 

曹兵「こちらもです!」

 

秋蘭「よし! 紐を解け!!」

 

 

シュルッ シュルッ──!  パッ!!

 

 

黄巾兵「─────なっ!?」 黄巾兵「─────えっ!?」

 

 

────シュッッッ───────ドォン! ドス!

 

 

雛里「………皆さん、次の筵の準備を!!」

 

曹兵「はっ!!」

 

雛里「……………ご主人様………」グスン

 

秋蘭「雛里! 案ずるのは後だ! 案ずるのは、まずここを死守してからにしてくれ!!」

 

雛里「はっ! はぁい!!」

 

秋蘭「北郷の事だ! …………信じよう!!」

 

 

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

北郷一刀の計略  その壱  

 

《 芥川流 蜘蛛糸の計 》

 

▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼

 

 

 

◆◇◆

 

【 『御遣い』 の件 】

 

〖 黄巾賊 野営地 にて 〗

 

《 夕刻 》

 

 

閔純「ちっ!! 夕刻になったか………! 仕方が無い、『左校』を引き上げさせろ!! 明朝より、もう一度攻めさせよう! 」

 

黄巾兵「はっ!」

 

閔純「………まぁ、いい。 少しは歯応えが無ければ面白みが無いからなぁ。 明日は、山を迂回させて包囲を果たしてみよう!」

 

 

☆☆★

 

 

〖 舌状台地の間 平原 にて 〗

 

《 夜間 》

 

曹操軍─三千 守将『一刀』 軍師『風』 

 

他………鈴々、季衣、流琉

 

 

赤い夕焼けから暗き夜になるには、そう時間が掛からず………辺りは言葉通り『一寸先は闇』となる。

 

しかし、今日は満月だったので、雲の流れが変われば、月明かりが道を照らしてくれる。

 

 

一刀「では! 行くぞ! 鈴々、季衣、流琉…えっと、風様?」

 

鈴々「行くのだぁ!」 

 

季衣「ちびっ子なんかに負けないぞぉ!」 

 

流琉「はい!」

 

風「──────ツーン、ですー!」

 

一刀「えーとぉ、何か気を悪くする事しました? 風様?」

 

風「………風は、物凄く機嫌が悪いのですー!」プィ!

 

宝譿「──鈍いなぁ、兄ちゃん! そんな畏まった言葉じゃ風の機嫌は収まらないぜぇ! 

 

折角、『真名』許して貰ったのなら、言葉を普通にしなきゃな! 曹孟徳様と同じような考えで、言えばいいさ!」

 

一刀「……でも、筵の依頼、受けていた時に、郭奉孝様から『 言葉使いに気を付けなさい! 』って、厳しく指摘されたけど……」

 

宝譿「あの時は、風の事を知らないのに、あの受け応えじゃ叱られて当然だな。 今は、『真名』と言う信頼を預けられたんだぁ! 普通に喋らないと、逆に失礼だぜぇ!?」

 

一刀「………本人が、それで良いなら『本人じゃねえぞぉ!』はいはい、それじゃ………行くぞ! 風!!」

 

風「──行きますよ!」ピョン! ヒョイ

 

一刀「………なんで、俺の背中に?」

 

風「風の機嫌を、著しく損ねたからですよぉー!」

 

一刀「はいはい。 ──時間が無いから行くぞ!!」

 

一同『ジィ────────!』

 

一刀「───ほらぁ!! 気付かれる前に行くぞ!!」

 

 

★★☆

 

 

〖 舌状台地 付け根中央部分 にて 〗

 

曹操軍─四千 総大将『華琳』 軍師『桂花』

 

他………愛紗、春蘭、真桜、沙和、霞、凪

 

 

華琳「私達も、準備を! 敵が一刀達を攻撃してきたら、木々を切り倒して、大音響を轟かせなさい!! 入り口側の倒木は、直ぐに邪魔にならない所に寄せておく事!」

 

曹兵「承知しました!」

 

華琳「それと、私達が出撃する事になったら、篝火を焚きなさい!

私達が一刀達を救助した後、目印にするから!!」

 

曹兵「御意!!」

 

愛紗「 ( ご主人様───! どうか御無事で!! ) 」ギュウ!

 

春蘭「────北郷! 季衣! 流琉! 必ず生きて帰って来い!」

 

真桜、沙和『 隊長…………! 』

 

凪「風様……!」

 

霞「曹孟徳様! 良ければ…ウチに兵を百、預けてくれへんかぁ?」

 

華琳「?」

 

 

★★★

 

 

〖 左舌状台地 先端部 にて 〗

 

曹操軍─三千 守将『星』 軍師『朱里』

 

他………桃香

 

 

星「…………始まったか!」

 

朱里「………ご主人様の策が、成功しますように!」

 

 

     ポン! ポン!

 

(──二人の後ろから手が伸びて、肩に手を置く───)

 

桃香「二人共、心配なのは分かるけど……ご主人様を信じよう? あの洛陽で、皆を生かす為に策を実行してくれたんだから。 今度も、必ず私達の下に、戻ってきてくれるからね!」…ブルブル 

 

星「桃香殿…………そうですな!」

 

朱里「─────はい! はいっ!!」

 

 

◇◆◇

 

 

【 一夜三砦の計 の件 】

 

〖 舌状台地の間 平原 にて 〗

 

 

 

(平原の真ん中に向かうと、刈り取りられた平地が見つかり、そこに部隊を三つに分ける。 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一刀隊は柵作りを開始。 兵は千名

 

一刀「資材は持ってきたか? 篝火を焚きつけろ!」

 

曹兵「はっ!」

 

 

***   ***   ***

 

 

鈴々隊、兵千名は……平地の砦より離れた場所で草弄り。

 

鈴々( 結ぶのだぁ…! 足元に気をつけるのだぁ………! )

 

曹兵達( はぁ! ) 結び……。 結び……。

 

 

***   ***   ***

 

 

季衣、流琉隊 兵数は千名。 

 

各五百に分かれ、柵の左右に伏せる。 

 

季衣「兄ちゃんには、指一本触れさせないぞぉ!」

 

流琉「頑張ろう!」

 

 

★☆☆

 

 

〖 黄巾賊 野営地 にて 〗

 

夜が深まり、さっきまで晴れて、月が照らしていた大地が……再び闇に覆われた頃……『それら』が始まった………………

 

   ガァーン! ガァーン! ガァーン!

 

閔純「────ん? 何の音だぁ?」

 

早々と寝入っていた閔純の下に、黄巾兵が転がり込む!

 

黄巾兵「も、申し上げます! 敵、曹操軍の陣営から、篝火の灯りと大きな物音が響いています!!」

 

閔純「何ぃ! ────すぐ行くぞ! 案内せよ!」

 

黄巾兵「はい!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

黄巾兵「こちらです!」

 

閔純「───────!」

 

平原の地に、篝火が数カ所、煌々と焚かれ……その中を複数の曹兵達が杭を打ち込む!  

 

そして、白色の上下の服を篝火で輝けながら、複数の曹兵を駆け抜け指示する────北郷一刀。 

 

その姿は、篝火の力を得て、一段と神々しくを浮かび上がらせ、傍に寄り添う『頭に人形を乗せた金髪の少女』が偉容さを更に高めた! 

 

 

黄巾兵1「あ、あれが……天を二分して……敗れ墜ちた御遣い!」

 

黄巾兵2「閔純様から伝え聞く『白装束の神の遣い』!」

 

 

       ガタン ガタガタン! カタン!

 

この様子を見た黄巾兵達の何人かは、武器を落として、拝み始める!

 

 

閔純「ち、違う! あれは『神の御遣い』様では無い!! 『神の御遣い』様は、金髪の女性だ!!」

 

黄巾兵3「あの『御遣い』様の傍にいらっしゃる方は、『金髪』、『女性』だぞ!? 間違い無いではないかぁ!!」

 

黄巾兵4「『神の御遣い』様は閔純様にしか会えないと言うがな? 

 

幽州より伝え聞いた、あの『天の御遣い』様は、民の為に立ち上がり、民の為に罪を得て、天へ帰れなくなったと聞いたぞぉ!?」

 

 

口々に非難の声を挙げる黄巾兵に、閔純は苛立ち怒鳴りつける!!

 

 

閔純「馬鹿者共が! 考えても分かるだろう! 

 

我々の崇める『神の御遣い』は、官軍になど力を貸さぬ! 洛陽の『御遣い』や『墜ちた御遣い』など我らを阻む敵だぁ!!!

 

それに、大事な御遣いを、最前線に少人数で出す訳が無いだろう!! あれは、偽者だ! 我々を混乱させる罠だ!! 」

 

 

      タッタッタッタッタッタッ

 

黄巾兵5「た、大変です! 左側の軍に奇襲! その数、約四百!」

 

閔純「やはりか! 全員持ち場に戻れ!! あれは囮だ! 本体がどこからか攻めてくるかもしれん!! 持ち場に戻れ!!!」

 

 

ノロノロ…… ノロノロ、ノロノロ………

 

 

閔純「くそぉ────!!」ダァ!

 

 

★★☆

 

 

〖 黄巾賊 左翼野営地 にて 〗

 

 

霞「オラァオラァ! もう終わりかぁ───? 弱過ぎて、おもろう無いわぁ──────!!」  ブ───ン!

 

ガッ! ドッ! ザシュ! 「グハッ!」 「ブハッ!」

 

凪「とおっ! でえやぁぁぁ!!」 シュ────!

 

バキッ! ゴッ! メキッ! 「あべしぃ!」「ぶべらぁ!」

 

 

霞の後方に、四百近い数の松明が、威圧的に隊列を整える!

 

今── 暴れているのは、霞と凪だけ。 

 

『兵卒は傷付けない』との条件で借り受けた曹兵達に、戦闘には参加させずに、松明だけ持たせている状態。

 

その松明の灯りで、敵の目を集めた隙に、顔を泥で塗った霞と凪が、左右同時に踊り掛かり、敵を混乱に貶めていた!!

 

 

『敵だぁ──! 敵が来たぞぉ!!』  ドドドドドドッ!!

 

 

凪「霞様! そろそろ退いて下さい! 敵が纏まりつつあります!」

 

霞「そぉかぁ! 凪ぃ─! それじゃ例のヤツ、一発頼むわぁ!!」

 

凪「はい!! 『猛虎蹴撃ぃ─────!!!』」 

 

 

バシュ━━━━━━━!   ドォゴォーン!!

 

モワモワ モワモワ モワモワーーーーーー! 

 

───────ドタバタ ドタバタ ドタバタ!!

 

 

 

敵陣直前に、猛虎蹴撃の気弾を放ち、敵の混乱を誘った後、一斉に転身して逃走した霞、凪隊。

 

 

 

『 ───────────! 』

 

 

態勢を立て直した閔純の軍が、改めてて見れば……先が見えない暗闇が前を覆っていただけだった…………。

 

   ーーーーーーーーーーーーーーーー  

 

 

〖 曹操陣営付近 にて 〗

 

 

霞「ゼェー、ゼェー! ………はっはっはっ! えろぉおもしろかったなぁ、凪ぃ~?」

 

凪「……………寿命が縮みましたよ…………」フゥー

 

 

さっきほどまで、雲に隠れていた月が、辺りを照らし出す。

 

武器を杖代わりに立て、笑い声をあげながら、語りかける──霞。

 

心底疲れたと言わんばかりに、溜め息を吐く───凪。

 

それぞれの楽な状態で、各自で休む『百名』の兵士達………。

 

兵の背中には、背負えるように改良された『四つの松明を括り付けた棒』が…………。

 

凪が、ふと思い出したように、霞に語りかける。

 

 

凪「北郷殿の道具を、無断で拝借しましたが………」

 

霞「かまへん、かまへん! 覇王様に許可えたんやし、問題なんてあらへんよ? その分、ウチらが活躍すれば良いだけだもぉん!!」

 

凪「はぁ……」

 

 

★★★

 

 

〖 黄巾賊 野営地 にて 〗 

 

 

双方局地的な一戦は、ここだけ。

 

曹操軍側では、杭が打たれる音、木が切らる、倒れる音が響き渡るが、黄巾賊達は………無視した。

 

具体的には、閔純からの命令だった。

 

『 ───お前達が騒ぎ出し隊を乱すと……全軍に波及する恐れがある。 その者達は戦終了まで謹慎を申し渡す! 

 

他の者も、曹操軍の音、光、形で惑わされる恐れがあるから、夜間は見張りのみ、外出禁止とする!    閔純   』

 

そんな訳で、早朝になり曹操軍の構える砦を望むと………

 

 

黄巾兵7「 ───────────! 」ガタガタ

 

黄巾兵8「 て、天の………き、奇跡だぁ─────!!」

 

 

始めは、右舌状大地の上に立つ砦だけだった。 木の板に囲まれた脆い砦、数万人で攻めれば……数日で落とせる筈だった!

 

それが、対する左舌状台地に同じ砦が、平原にも……少し小さめな砦が、そして数段高い場所───大山中腹部に───堅固な砦!!

 

 

 

『 曹操軍は──《一夜》で《要塞》を作り上げた!! 』

 

 

 

後日────冀州、青州で──そんな噂が流れたと言う。

 

 

◆◇◆

 

 

【 嵐の前の静けさ の件 】

 

〖 舌状台地 付け根中央部分 にて 〗

 

 

華琳「思いの外、黄巾賊に動揺が走っているようね?」

 

桂花「『曹操軍には《天の御遣い》が、力を貸しているからだ!』と、近隣よりも噂されているようです。 

 

ですが、あまり大きな噂になれば……《天の御遣い》を詐称したと、洛陽側から抗議と罰則を負わされる事になりますが………?」

 

華琳「それは大丈夫よ。 私達は自ら名乗っていないから。 勝手に様子を見て判断した民や敵が言い出したもの。 

 

───────そうでしょう? 稟? 風? 」

 

稟「──今回は、その通りですね。 幾ら皇帝陛下の権力を持っても小鳥達や烏(からす)の囀りを止める事など、出来ませんから……」

 

風「稟ちゃん……烏って囀るのですかー? 風は聞いた事ありませんがー? 」

 

稟「……………。 

 

ですが、『強き風』が『幻を映し出す霧』を吹き消してしまえば、小鳥達は驚き、直に鳴き止む事になりますよ? 」

 

華琳「その可能性も、あるわね。 …………益々、欲しくなったわ、貴女の事……どう? 私の下へ………」スッ──  

 

稟 パシッ! 「私には、関係無い事! 失礼します!!」

 

風「失礼しましたぁ~!!」

 

華琳「 フフフ………………… 」

 

 

★☆☆

 

 

〖 舌状台地の間 平原 にて 〗

 

 

一刀「何とか仕上げれたな!」

 

ほんと、身体がボロボロだよ………。 この歳で、徹夜明けの重作業、幾ら鍛えているったて、限度があるよ。

 

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

北郷一刀の計略  その弐  

 

《 墨俣、石垣 一夜二城の計 》

 

▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼

 

 

俺が献策した『一夜二城の計』を聞いた軍師達は、更なる効果を高める為、冀州地内で理想な場所を探しだしだ。

 

それがここ……なんだけどね。 

 

何となくエジプトのギザ、大スフィンクスの形を思い出すんだよ。

 

両側、中央、最奥に砦を作れば、威圧的で攻めにくいと言う理由と、これだけの人数で、砦が2つ、3つでは少なすぎると言う現実的な問題のため。 

 

それで、喧々囂々と討論した結果、半要塞化した訳だ。

 

………横では、鈴々、季衣、流琉が、寝台で窮屈そうに寝ている。

 

俺を守るんだぁ! っと言って、夜通し起きてくれてたんだ。

 

風は、眠い目をこすりこすり、華琳達に報告に向かった。

 

俺も眠いが、寝る訳には行かない! 

 

 

─────これからが、俺達の戦いだからだ!!!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

性懲りもなく作品投稿です。

 

勝敗の結果は、多分お分かりの結果になりますが、久秀もある意味望んでいます。 次の策略を仕掛けるために。

 

また、宜しければ読んで下さい。

 

 


 
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