No.674192

義輝記 雷雨の章 その弐拾弐

いたさん

義輝記の続編です。 また、よろしければ読んで下さい。

2014-03-28 00:00:24 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1640   閲覧ユーザー数:1425

【 ………颯馬 死す! の件 】

 

〖 洛陽、宮廷内にて 〗

 

月「詠ちゃん……。 洛陽の周辺は、どう?」

 

詠「…………思っていたより、状況が悪いわ。 禁軍の北軍、南軍を率いて、何進が頑張ってくれているけど、決めてが無いのよ!」

 

長慶「二人共すまない。 私達も何とかしようと、手を砕いているのだが……」クッ!

 

月「いいえ!! 長慶さんや一存さん、左近さん、小太郎ちゃん、果心居士様には、精一杯守っていただいています!!」

 

詠「えぇ、月の言うとおり。 ………しかし、禁軍の軍勢が、こんなに怠慢で訓練不足だと思わなかったわよ! 敵が普通の奴と違うと分かっただけで、腰抜かすなんて……新兵だってしないわよ!?」

 

     ダッダッダッダッダッ!!!

 

一存「いやぁ~、今回も疲れたぜ!」

 

長慶「一存! 部屋に入る時は、一声掛けろ!!」

 

一存「ご、ごめん! 姉さん! 月様! 只今、帰参しました! よおっ! 相変わらず、辛気臭い顔してんな! 詠は!?」

 

詠「ア、アンタね! 人が勝つための策練ってるのに、辛気臭いとは何よ! 辛気臭いとは─────!!!」

 

左近「おいおい、一存! 月様がいらしゃるのだ。 まず、月様に帰還報告をしてから、イチャイチャしてくれ!! ……月様、島左近! 只今、戻りました!!」ペコ

 

一存「おい! 左近! 俺はいちゃついてなど「一存!!」うっ!

分かった、分かりました!!」

 

月「はい! お二人共、お疲れ様でした。 お怪我はございませんでしたか?」

 

長慶「二人共、疲れている所を悪いが、現状況の説明を頼む!」

 

一存「あぁ、北軍八千、何とか耐えてるが……今日も百人以上討ち取られた! それに比べて、奴らは……いくら斬っても数が減らねえなんて……どうなっていやがる!!」

 

左近「私のところもそうだ…。 後、数日持つかどうかだ………」

 

一存「姉さん、陛下達の方はどうだい?」

 

長慶「陛下達には、万が一に備えて、禁軍の精兵数十人と果心殿に護衛をお願いしてある。 あの方が居れば、大丈夫だ!」

 

      ────────スタッン!

 

小太郎「───只今、戻りました! 月様!!」

 

月「小太郎ちゃん、お帰りなさい! どうでしたか!?」

 

小太郎「………見渡す限り『白装束』の輩ばっかりです! でも牙門旗も見あたらず、将の姿さえ分かりません!」

 

月「そうですか……将の姿が分かり、その者と交渉出来ればと思ったのですが…………」

 

詠「……月、気持ちは分かるけど、それは駄目よ。 相手が洛陽を攻め立てた時点で、交渉は不可! 今、ここで交渉なんかしたら、足元見透かされて、碌でもない要求してくるわ! ……辛いだろうけど、ここは耐えて欲しいの!!」

 

小太郎「…………………………」プルプルプル

 

長慶「どうしたのだ、小太郎? 具合が悪いのなら、報告は後で…「待って下さい! この場で…説明…致しますから」……分かった」

 

小太郎「まず、汜水関、虎牢関戦ですが、反董卓連合軍約十五万、お味方約二万五千! 今のところ、優勢に連合軍を翻弄しているとの事です。 後、天水にも五万の敵別働隊が、向かったそうですが、奇襲により壊滅したとの事!」

 

一存「戦勝報告じゃないか! それなら、数日後に颯馬が援軍引き連れて来てくれる 「颯馬様は……来れないのです……」……何!? どういう意味だ!?」

 

小太郎、一存除く全員「!!!!!」

 

小太郎「虎牢関終盤戦において………新たに任命された『天の御遣い』が現れて、人質を取り脅し……連合側の将と真剣勝負を……挑ませたとの事……です!!」ポロポロ ポロポロ

 

月「け、結果………は? 天城様は……? 天城様は、どうされたのですか!!! 教えて下さい、小太郎ちゃん!!」

 

小太郎「……連合側の将『楽文謙』と対峙、互いに応酬の末……引き分けたと…………。 

 

……ただ、颯馬様が……頭に酷い怪我を……負われ……

一時は回復したものの…………数刻後に……息を……引き取った……そうなんですよ!! ウワァ~ン!! 颯馬様!! 」

 

月「───────────!!!」フラッ~

 

詠「しっかりして、月!!」

 

一存「馬鹿な! あの颯馬が………死ぬなんて!! 何かの冗談だろう!! なぁ? なぁ! なあぁぁ!!!」ガクガク!

 

小太郎「わ、私だって──、わ、わ、私だっ、て、信じ、たく、な~~~~~~いぃぃぃ!!」ガクガク

 

長慶「止めないか、一存!!!」ツカッツカッツカッツカッ! パシィーン!

 

一存「痛ぅ、姉さん…! 姉さんは!! 颯馬が死んだ事を、そう簡単に受け止めるのかよ!! 俺の弟分であり、姉さんに取っては実の弟より可愛い奴じゃなかったのか「馬鹿者!!」───!!」

 

長慶「───私だって、悲しいさ! 思いっきり泣き叫びたい!! だがな………颯馬が、そんな事を望むか? 

 

あの心優しき『弟』が…だぞ!! ………ならば、残された私達は、颯馬の残した仕事を受け継ぐのみ!!! ……それに、お前が居なくなっても…同じ事だ!! お前も私の可愛い『弟』なんだからな!!」

 

一存「姉さん…………………すまない。 言い過ぎた」 

 

左近「……………………月様! このような時に、申し訳ありませんが、私は任務に戻らせていただく!! この状況を……一刻も早く覆したいので!!!」

 

詠「左近! まだ月が……!?」

 

月「………詠ちゃん、ありがとう。 だけど……大丈夫だよ。 

 

天城様はね、臣下として忠を尽くし、役目を果たして……天に帰られたんだよ、きっと………………………。 

 

……だから、今度はね。 私が……君主として、『董仲穎』として、天城様に報いたいの! こんな私を支えてくれた『天の御遣い』様の願いを叶えるために!! 」

 

詠「月…………………」

 

月「左近さん、貴女も……天城様に殉じるのですか?」

 

左近「颯馬とは親しい友であり、良き仲間、尊敬すべき軍師、そして……いや、言いますまい。 アイツの目指した『戦乱の無い世』を具現化するなら、ここで止まっていても、変わりありませんので!!」

 

    ダッダッダッダッダッ!!

 

一存「左近! 待てよ!? 

 

………くそっ! おなごの将がしっかり前を見て歩もうとしてるのに、女々しく落ち込んでたなんて、颯馬に知られたら……あの世で馬鹿にされちまう!!! 月様! 俺も行かせて貰うぜ!! 『鬼』二匹が王都を守護するんだ!! …必ず勝利してみせるさ!!」

 

     ダッダッダッダッダッ!!

 

小太郎「ウワァァァァァ─────────ン!!」

 

月「長慶さん………この部屋の中は……今、四人だけですよ?」

 

長慶「でしたら……門番にちょっと離れて貰いましょう」

 

 

詠「…………………ボクは、別に…………」

 

月「……そんな事言って、目尻に涙が溜まってる」フフフ…

 

 

長慶「………お待たちを致しました。 四半刻(約15分)は、離れているように頼んできました」

 

月「それでは……天城様を悼んで……泣きましょう! グスン、続きは……この戦に勝って………から!!!」

 

『ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

護衛は、後に『部屋から漏れ聞こえる涙声に………ただただ、胸が張り裂けそうな痛みを………受けました……』と、語る。

 

◆◇◆

 

【 何進、兵達に『友』を語る の件 】

 

〖 洛陽内 練兵場 にて 〗

 

 

何進は、禁軍の兵を緊急収集し………今回の吉報と悲報を告げる。

 

何進「 皆、今日まで…よく洛陽を守りぬき、住民達に成り代わり礼を言わせてもらう!! 」

 

様子は陽気な大将軍が何時もと違うため……兵達は戸惑う。

 

ここに、居る兵は禁軍洛陽市街の守備兵。 禁軍は約二万人程、洛陽守備のため颯馬が割り振った兵。

 

北軍に八千、南軍に八千に分け、担当守備を北門、東門を北軍に、南門、西門を南軍を配置して抵抗していた。

 

残りの兵は、洛陽市街を守備すると共に、北軍南軍の予備兵として存在していたのである。

 

何進「 二刻前に一報が入った! 反董卓連合軍壊滅の報が!! 」

 

『うおおぉぉぉーーーーーーー!!!!』と、喜びの声を爆発させる洛陽守備兵達! 

 

反董卓連合の兵数は凡そ二十万近くと噂が流れていた。 ……それなのに、天下の要害と知られた虎牢関に籠もるとはいえ……董卓軍のみの二万五千が阻むだけ。 

 

そんな絶望的な中を、どうやって勝てかは判らないが…『勝利』と言う言葉に酔いしれた。 

 

そんな圧倒的多数の中に、少なからず疑問を抱く者も居た。

 

『 ……………勝利すれば、喜ばれそうな大将軍が……何故、あんな悲しそうな顔を、されているのだろう……………? 』

 

何進は、雄叫びが下火になるのを確認した後、話を切りだした。

 

汜水関、虎牢関で、大軍を数々の策で手玉に取り、勝利へと導いてくれた『 伏竜の軍勢軍師 天城颯馬 戦死 』の報告を…………。

 

何進「 ────俺は、お前達の上官であり、大将軍という武官最高位の地位に着いている。 お前達を顎で使い、さぞ優雅な生活をしているだろうと思うが……はっきり言うと……孤独な毎日だ!

 

周りには、宦官のように媚びへつらい、妬みの眼差しを向けられるか、どこかの太守のように、その後釜を狙いにくるような野望溢れる者しか集まらない!! 元肉屋のオヤジである俺が言うのだ、信用出来ないかもしれんが、事実だ!!

 

そんな中で……アイツ……天城だけは……俺を立てながらも、気安く接してくれたんだよ!

 

……一つ尋ねよう。 お前達の中に、俺がボケたら、ツッコミを入れる事が出来るのは何人居る? お前は……? お前はどうだ? 

 

……………………………………………………………

 

……………やはり誰も…………居ないか。 

 

だがな! 天城は……数少ない対面に関わらず、神速のツッコミを何回もしてくれたぞ!! 己が『天の御遣い』だろうと、俺が『大将軍』の地位に着く肉屋だろうと、全く関係無しに痛烈にな…… 」

 

『シ──────ン』と静まり返った中で、何進の涙ながらの野太い声が響き渡る────。

 

『軍師、天城颯馬』 『伏竜の軍勢』 『天の御遣い』の事を聞き、幾人かが『 あの方が……… 』と、声を挙げる。

 

兵達の中でも、幾人か世話になった者が居た。 

 

少なからず仕事を手伝ってもらったチャカリな奴も居た。

 

中には、命を救われた者も……居た。

 

そんな事を一人が呟くと、俺も俺もと、言い始めた。

 

何進「 ………お前達の中で、『 俺は恩も借りも無い! 』と、言う者が居れば……俺は激しく其奴を叱り飛ばしてやる!! 

 

『 本当に何も無いと答えられるのか!? 』とな!

 

この洛陽に襲いかかるはずだった、連合軍を阻止してくれたのは、どこの誰だと応えてみせよと!!! 」

 

その言葉を聞いて『 あっ! 』とした顔を見せる者達!!

 

何進「 ……我々は……今、滅亡の危機に瀕している! 確かに危ない、明日には落とされるかも知れない! 

 

だが、怯えていて何になる!! 己の大事な者さえ守れきれず、あの世で『 天城颯馬 』に顔向け出来るか!! 

 

兵達よ! 立ち上がれ!! 

 

我々が勇敢に戦い抜き、『 天城颯馬 』の恩に報いる事が出来たと、勝る働きは出来なかったが、劣らぬ働きは出来たぞと、胸を張って言ってやるがいい!!!! 」

 

禁軍兵『 オオオォォォォ─────────!!! 』

 

◇◆◇

 

【 駆け巡る訃報 の件 】

 

〖洛陽 宮廷内 皇帝私室 にて〗

 

金糸「……此方只望………是否?」

 

訳(私達は……ただ傍観しているだけで……いいのでしょうか?)

 

銀糸「お姉様…………」

 

金糸「……虎牢関敵味方相阻止…包囲洛陽、謎軍対味方! 因果我守護…………! 」

 

訳(虎牢関では、董卓軍が反董卓連合を洛陽進出を阻み、洛陽を包囲する得体の知れない軍勢には、叔父上と董卓達が対処してくれている! だが……原因になった私は、ただ守られるだけなんて……!)

 

銀糸「ですが、皇帝とは、そういう者だと…………」

 

金糸「…昔日、先帝曰『天上地下忘却否支柱、支柱倒天落必然』…」

 

訳(……『上に立つ者は、下で支えて貰っている者の事を忘れてはいけない。 下の者が倒れれば、必然的に上も倒れる』 昔、病に倒れる前の父上は、そう仰いましたよ………)

 

銀糸「………………………!!」

 

金糸「……原因玉座我不幸、罪人敵渡、禅譲新帝…………」

 

訳(…………元はと言えば、私が皇帝の玉座に座ったのが間違い! 

少し遅いかもしれませんが、銀糸に皇帝の座を禅譲し、私を反董卓連合軍に引き渡せば……………)

 

銀糸「止めて下さい!! 姉上!! 姉上は立派に皇帝としての責務を果たしておいでです!! 『天城颯馬』も、申していたではありませんか? 必ずこの状況を覆せれると!!!」

 

        スッ!

 

果心「………お二人共、緊急の事態が…入りました……」

 

金糸「…………!」

 

銀糸「虎牢関が………落とされましたか!?」

 

果心「いえ、逆に反董卓連合軍壊滅の報告が参りました。 颯馬達は、上手く撃退出来たようです、くつくつ………」

 

銀糸「……じゃあ、吉報!?」

 

金糸「…………」

 

訳(………にしては、果心殿が……とても悲しそうですが……?)

 

果心「…『天城颯馬』戦死の報告も、同時に届きましたよ………」

 

金糸、銀糸「「 !?!? 」」

 

果心「………月殿から……頼まれましたよ。 もし、禁軍敗れしときは……お二人と一緒に難を避けて欲しい………と」

 

金糸「─────────────────!!」

 

銀糸「──────────そんな!?」

 

 

 

◇◆◇

 

【 狐と狸の化かし合い の件 】

 

〖 虎牢関 門前 にて 〗

 

華琳「………………ねぇ、こんな虚言を報告させて、大丈夫なの? 『天城颯馬』? 」

 

颯馬「……………大丈夫じゃないが、これしか方法が思い着かなかった。 洛陽の皆を騙すのは気が引けるが………………」

 

 

☆★☆  ☆★☆  ☆★☆  ☆★☆  ☆★☆

 

虎牢関の戦いは、俺達『董卓軍』側の勝利に終わる! 

 

 

新たに『天の御遣い』を名乗った劉岱は、袁遺が召喚した三将に討たれて戦死。 三将も『天の御遣い』を討てた事により、仇討ちに満足したらしく、声にならない声と剣をあげて勝利を祝いつつ、消滅していった──────

 

     ………………………………………

 

…………俺が、凪殿と信廉殿の肩に掴まり外に出れば………味方の姫武将達に揉みくちゃにされる……………

 

義弘「馬鹿! 馬鹿!! 颯馬の大馬鹿あぁぁぁ!!」

 

信長「この空け者(うつけもの)めがあぁぁぁ!!」

 

特に……この二人が涙ながら罵倒されてるには、心が痛む。

 

無論、『申し訳ないな……』と思うのは、この二人だけではなく、笑いながら涙を流す光秀、義輝、姜伯約殿、謙信殿。

 

頬を膨らませ、此方を睨む信玄殿、歳久殿、ねね。

 

素直に笑い喜んでくれている家久殿、忠勝殿、信廉殿、義久殿、郭奉孝殿、昌景殿、三太夫、霞、華雄、恋。

 

二人の名が挙がるのは、普段との落差が激しいので、印象に残ったから。 うん、それだけ……………。

 

後、凪殿が仲間に入った事に、相当な反発があるかと思えば……『陳留の武神』の名が良いように広がっていた事、俺を攻撃した事はやむを得ない事だからと納得されたらしく……文句は出なかった。

 

だが……何故、盛大な溜め息を皆で吐いたのか、是非に事情を説明願いたい!!! なぁ、三太!? むっ………逃げたられたか!

 

 

卑弥呼と華陀は、用が出来たと早々に陣から去り、礼を言う暇さえもなかった。 …………心の中で礼の言葉を呟いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺達が、兵を集めて死傷者の確認を行い指示を出していると、反董卓連合の盟主と副将二人がやって来た。

 

 

颯馬「───まだ居たのか! 洛陽が大変な事は、郭奉孝殿が伝えてくれた筈! この機を逃せば、どうなるか判断できるだろう!?」

 

 

一刀「天城様、俺の話を聞いて欲しい! 実は……グッ!」グィ!

 

麗羽「『御遣い様』、ここは華琳さんにお任せしましょう! あの軍師に対抗できるのは、残念ながら…華琳さんしか居ません。 私達は見守るしか無いのですわ…………」

 

 

華琳「その事で話があり参上した次第。 改めて紹介をさせてもらう。 我が姓は曹、名は操、字は孟徳!」

 

颯馬「存じていると思うが、『天城颯馬』と申す! 字と真名は無いため、如何様に呼ばれようが構わないので! 後、口調も普通で結構ですよ………」

 

華琳「では、天城殿! どなたか…私達に同行を求めたい! このまま行軍して、敵と見なされ攻撃されれば、私達も黙っている訳には、いかなくなるのよ!!」

 

颯馬「………ふむ、それはあり得ますね。 それでは、誰か「私達は天城颯馬を要望したい!」……私ですか?」

 

華琳「貴方なら、洛陽側にも面識があり、絶大的な影響力を及ぼしていると思われるから。 どう? この推測、間違い無いと思うけど?」

 

颯馬「…………成る程。 私を人質に取り、背後からの攻撃に備える考えですか。 抜け目がありませんね、曹孟徳殿?」

 

華琳「……拒否するなら、洛陽救出は無「良いでしょう! 同行致しますよ」あら? 返事が早くて大変助かるわ!」ニヤリ

 

颯馬「いえいえ、『彼を知り、己を知れば、百戦して殆うからず』 が実現できますからね。 強敵になりそうな将を、じっくり観察する事が出来る良い機会ですよ………」ニヤニヤ

 

華琳「………それは、負け惜しみかしら? 

 

確かに、戦では言いようにやられたけど、今のやり取りに関しては、私の方に分が有るわよ? それに、『私が、逆に貴方を知る事が出来る機会を得た』とも、言い換える事が出来るのではないの?」

 

颯馬「ふふふ、それはどうでしょう? 

 

曹孟徳殿は……私の仲間達を侮っておられないか? 

 

五万に包囲される中、洛陽と連絡を取れ合う事が可能な諜報部隊『忍び』ですよ? 仲間に頼めば、貴女方が味方だと洛陽に知らせるのは容易な事。 私を人質に取っても、脱出など朝飯前です。

 

さて、私がこんな事を申せば………貴女は考える筈。 

 

『何故、解決策が出ているのに、要望を承諾したのか?』と。

 

………如何でしょうか? 曹孟徳殿?」

 

 

華琳「…………………」

 

 

颯馬「それに、貴女が私の事を知ると言いますが、短時間で私の事をどこまでわかるのでしょうかね? 

 

……私も、北郷殿と同じ別世界の人間です。 

 

北郷殿の居た世界より、数百年前の時間の住人になりますが、この世界の事象、人物には同じように知識があります。 その事を踏まえ、今の貴女を照らし合わせれば、大方…判明するでしょう。 

 

ですが……貴女には、勿論そんな知識はないでしょう? それなのに対等と考えるのは、片腹痛いと申し上げるのです! 」

 

華琳「……………負けたわ。 

 

どう? 今からでも遅くはないわ! 私の『……誰が誰の下へ勧誘する気だぁ? 曹操!』ビクッ!!」

 

信長「この『青二才』が!! 才気ばかり走るのみで、身体が成長しておらんではないか!? 颯馬を誘惑したければ、私みたいに成長を遂げた後にしろ!! 」

 

華琳「なっ! 何ですって!? もう一度ほざいてみなさい!!」

 

信長「何度でも言うてやろう!! 貧………」

 

颯馬「おい! 信長、止めろ! 止めろって!!!」

 

一刀「華琳! 止めてくれ!! 今はそれどころじゃ無いはずだ!」

 

麗羽「華琳さん、いい加減になさい!! な、何ですの? 私の胸を睨みつけ………あぁ、羨ましいです「違うわよ!! 馬鹿!!」 キィィィ────そんな事を仰る方が馬鹿ですわぁ!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

こんな……馬鹿げたやり取りしていた時に、三太夫が呆れた顔をしながらやって来て告げる。 

 

洛陽に居る小太郎配下の忍びが、状況確認で来たと。

 

その報告を聞き、少し考えた……………。 

 

この現状での方策を、どうするべきかと。

 

…………今から出発しても、数日はかかる。 もし、その間に洛陽が落ちてしまえば、月様や皇帝陛下、皆が危ない!! 

 

ならば、背水の陣を引いて頑張って貰おうと思い、策を練った結果が……『天城颯馬は虎牢関の戦いで戦死』との捏造報告だった。

 

『伏竜の軍勢』で皇帝陛下まで名を知られているのは、俺だけと言う単純な考え。 『やっぱり、名の知れた奴が死なないと、奮起してくれないからな……』と皆に言うと、一斉に再び溜め息が────!?

 

何? 俺じゃ知名度低過ぎて、駄目なのか!? やはり大将である義輝にしようかと、慌てふためくと………叱られた。 

 

………何故か、曹孟徳殿に……………!?

 

華琳「私達を……散々な目に合わせた策の軍師が、知名度低い!? 何戯れ言ほざいているのよ!! サッサッと実行なさい!!!」

 

…………………………orz

 

まぁ、そんな訳で報告を義輝経由で流し、俺は、反董卓連合軍と共に洛陽に向かう事になった。

 

………無論、俺一人では、襲われた時の対応ができない。 こうやって普通に話す事には問題無いのだけど。 

 

そのため、護衛として『楽文謙』、『織田信長』、『武田信玄』、『本多忠勝』、『呂奉先』、『華雄』、『百地三太夫』が付いてきてくれる事になった。

 

他の皆は、休息後、簡単に後始末をしてから、洛陽に向かってくれる事になっている。

 

☆★☆  ☆★☆  ☆★☆  ☆★☆  ☆★☆

 

幾度からのやり取りをする内に、曹孟徳の器がぼんやりと見えだす。

 

『一人の虚勢を張る女の子?』………いやいや、そんな馬鹿な……

 

俺は曹孟徳と会話を続ける。 相手を更に知るために。

 

華琳「……確かに、策としては……それが上策と言うのは分かるわ。 けど、洛陽に居る皆の『心』が納得してくれるのかしらねぇ? 」

 

颯馬「……………その時は、土下座してでも許して貰うよ。 皆が無事であれば………」

 

華琳「───あっ、一刀がよくやってる『天の国で行われる最大の謝罪姿勢』ね!?」

 

颯馬「…………連発されると、価値が暴落するんだが…………」

 

華琳「『一刀』だから、許してあげているのよ……」

 

颯馬「ふむ、『モノ自体』に価値が有るため、附属部分の価値は下がらないか………。 成る程、覚えておこう!」

 

華琳「……何となく桃香達が、貴方が一刀に似ていると言う意味、分かった気がするわ………」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最期まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

別に『4月1日』が近いから考えた…ワケではないんですが。

 

何故か、『嘘』、『馬鹿』が散りばめた話になりました。

 

ユックリするつもりが、結局いつも通りとなり作品を考案中。

 

何故か、洛陽戦じゃなくて、次の舞台の策作りに一生懸命です。

 

策の一部は、『棘(いばら)砦の計』、『牝馬の計』(本物の馬です)として使う予定です。 特に『官渡の戦い』で。

 

『青州の戦い』でも、『○夜○の計』などを用意しようかなと。

 

当分先の話ですので、予定変わるかもしれません。

 

また、よろしければ読んで下さい。

 


 
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