No.660257

ランドシン伝記 第13話 (アーカーシャ・ミソロジー)

ついにヴィル達とハンターとの死闘に幕が下りようと
していた。
しかし、それは新たな追っ手の出現を意味していたの
だった。

2014-02-03 20:40:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:151   閲覧ユーザー数:151

 第13話 ゴブリンの姫

 

 獣使いのハンター、クエルトはトゥセに手を差しのばした。

 それに対し、あまりの事に、トゥセは-あっけに取られ、何も

反応できなかった。

 そして、少しの沈黙が降りた。

 しかし、その沈黙を斬り裂いたのは、トゥセでもクエルトでも無かった。

 クエルトの首元に、かぎ爪が突きつけられていた。

包帯「おい、クエルト、お前は、いつから-勝手に色々と決めれる程に、

   偉くなったんだ?」

 と、包帯の男は、仲間であるクエルトに対し、かぎ爪を

突きつけ、言うのだった。

 それに対し、クエルトは両手を挙げて、口を開いた。

クエルト「サギオスさん。私はスカウトも担当してるんですよ。

     これは、あくまで職権の範囲です」

 と、クエルトは包帯の男-サギオスに対し答えた。

サギオス「どうだかな・・・・・・。どうも、テメェは信用ならねぇ」

クエルト「それは残念です。信用してくださるよう、努力します」

サギオス「なら、黙って見てな」

クエルト「では、とりあえず」

 そして、サギオスはトゥセ達に-かぎ爪を向けた。

サギオス「ボスは皆殺しと言った。なら、それが全てだ。

     死ねよ、虫ケラどもが」

 そう言って、サギオスは魔力を高めた。

 それに対し、トゥセ達も魔力を高めるのだった。

 その時、サギオスの視線が上方を向いた。

サギオス「ありえねぇ・・・・・・」

 そのサギオスの言葉で、クエルトも-それに気付いた。

クエルト「サギオスさん・・・・・・」

サギオス「分かってる・・・・・・。依頼人の命令は絶対だ」

 と、サギオスは忌々(いまいま)しげに言うのだった。

 一方。カシムは気になって、サギオスの見た方向に目を

やった。

そこでは遠く-山の向こうから、煙が-あがっていた。

カシム(あれは、色が付いている?普通の煙じゃ無い。

    つまり、のろし-か何かか?だとすると、彼ら

    に対し、撤退の命令を告げる-のろし-でも発さ

れたという事か?)

 と、カシムは推理した。

サギオス「・・・・・・撤退だ。異論は-ねぇな?」

クエルト「ええ」

 そして、クエルトは新たな大ガラスを呼び、乗りこんだ。

サギオス「てめぇら・・・・・・俺は-てめぇらの顔を忘れねぇ。

     月の無い夜には気を付けな」

 と、サギオスは目をぎらつかせながら、言い放つのだった。

クエルト「ダーク・エルフのカード使いさん。私は-いつでも、

     あなたを心待ちにして居ますよ。あなたは-いずれ、

     必ず、私のもとへ来る・・・・・・。そんな気がするの

     です」

 すると、少女アリスが口を開いた。

アリス「じゃあね、ダーク・エルフの-お兄ちゃん。また、

    遊ぼうね」

クエルト「では、これにて・・・・・・」

 そして、クエルト達は、大ガラスを駆(か)り、空へと飛翔(ひしょう)して

いった。

 それをトゥセ達はポカンと見ている事しか出来なかった。

トゥセ「た、助かったのか?」

アーゼ「トゥ、トゥセ。お前・・・・・・モテモテだな」

 とのアーゼの言葉に、トゥセは身震いした。

トゥセ「や、止めてくれ・・・・・・。あんな奴ら-にモテたくねぇ。

    男にもロリにも興味ねぇよ・・・・・・」

カシム「それより、ヴィルさんは・・・・・・」

 その時、遠くでは、いまだ、魔力同士の激しい-ぶつかり合いが見て取れるのだった。

 

 ・・・・・・・・・・

 木人(きびと)テヒシと-ヴィルは、ハンターのボスであるファントムと

さらなる激しい死闘を繰り広げていた。

 ファントムは火炎の中級魔法を木人テヒシに放った。

ファントム『燃えろ、燃えろッ!フハハッ!』

 しかし、テヒシは魔力を全開にし、炎をかき消した。。

ファントム「チィッ!」

 そして、ファントムはテヒシに近寄ろうとするも、

ヴィルが立ちはだかり、剣を振るってきた。

 ヴィルとファントムは高速で移動しながら、剣技を発動して

いった。

 しかし、斬れるのは互いに残像だけで、共に-かすりもしなかった。

 とはいえ、だんだんとファントムは追い詰められ、一気に、

後方へと下がった。

ファントム『ハハッ。舞い踊れ、鉄鎖(てっさ)の茨(いばら)よッ!』

 と、ファントムが叫ぶや、地中から鉄で出来た茨(いばら)が出現し、

次々と枝分(えだわ)かれして、ヴィル達を襲った。

 木人テヒシは右腕を犠牲にして、鉄の茨(いばら)を防御した。

 しかし、茨(いばら)はテヒシの体内へと侵入し、肩の方まで昇(のぼ)っていった。

 一方、ヴィルは剣技を発動し、テヒシに食いこむ茨(いばら)を切断した。

テヒシ『すまぬッ・・・・・・』

ヴィル「ああ。それよりッ!」

 そう言いかけ、ヴィルはファントムの次なる魔法を避けていった。

 そして、ヴィルとファントムは一瞬で、剣を何度も打ち合った。

 しかし、純粋な剣技ではヴィルに分(ぶ)があり、ファントムは

たまらず、大きく跳躍(ちょうやく)して避けた。

 その隙(すき)をテヒシは見逃さず、巨大な拳をファントムに向けて

放った。

 しかし、ファントムは器用に-それをかわし、それどころか、

そのまま、テヒシの体を伝(つた)い、テヒシの顔面まで一瞬で、登っていった。

 ファントムは狂った笑みを浮かべ、テヒシの眼に剣を突き立てようとした。

 しかし、次の瞬間、ヴィルの投げナイフがファントムを襲い、

ファントムは仕方なしに-それらを弾(はじ)いた。

 さらに、ヴィルは遠距離用の剣技『飛燕(ひえん)』を構築し、

ファントムに魔力の斬撃を放った。

 この鋭(するど)い一閃(いっせん)には、さしものファントムも避けるしか無く、

ファントムはテヒシの体から離れ-地面へ降り立つのだった。

 すると、ファントムは笑い出した。

ファントム「ハハッ!楽しいなぁ、フハッ!僕をこれ程、楽しませて

      くれるとは、ヴィルッ!なる程、ヴィル。

      お前がドワーフどもの国や辺境で-そう呼ばれて

      居るのも分かる。フフッ。『無名の英雄』と

      呼ばれているのもッ!」

 すると、指笛が上空から聞こえた。

 それを聞き、ファントムは周囲を見渡した。

ファントム「これは・・・・・・。チッ、撤収のノロシか・・・・・・」

 と、ファントムは遠く、山の向こうから昇る煙を見て呟(つぶや)いた。

ファントム「残念だが、カーニバルの時間は終わりだ。

      だが、ヴィル、お前は僕にとり、最高の

      オモチャだ。いずれ、再び、戦う事も

      あるだろうさ。それを・・・・・・楽しみに

      しているよ」

 と言って、ファントムは大きく跳躍(ちょうやく)した。

 それを大ガラスが-さらっていき、ファントムの姿は-すぐに

見えなくなった。

ヴィル「・・・・・・終わったのか・・・・・・?みんな・・・・・・は」

 すると、ヴィルは視界が歪(ゆが)むのを感じた。

 ヴィルの全身は猛毒(もうどく)により、ひどく熱くなっていた。

 そして、ヴィルの意識は白く染まっていった。

 

 

 ・・・・・・・・・・

 話は三日前に遡(さかのぼ)る。

 ゴブリンのレクク達の居た古代迷宮では、魔導士達による

調査が行(おこな)われていた。

 また、その護衛として、聖騎士の中隊も派遣(はけん)されており、

大がかりな調査となっていた。

 すると、一人の魔導士が隠し部屋に置いてあった布を見て、

血相を変えた。

 彼は上司である上級-魔導士へと、急ぎ報告に行った。

「ドルフェ様、これを・・・・・・」

 と言って、魔導士は上級-魔導士へと布を見せた。

 それを上級-魔導士ドルフェは-じっくりと読みこみ、目を

大きく見開いた。

ドルフェ「これは・・・・・・。何と言う事だ・・・・・・。いかん、

     急ぎ、ハンター達を止めねば。これは、場合に

     よっては、ククリ島への侵攻に戦略的な意味を

     もたらす-やもしれん」

 その-やり取りを端(はた)で聞いていた聖騎士が口を開いた。

聖騎士「どうなされた?ドルフェ殿」

ドルフェ「この布を見てくだされ。ここには、ゴブリンの言語

     で-こう書かれておるのです。『勇者カル・ヘトと、

     センルの王-ヤン・ファトの永遠の友情を示す』と」

聖騎士「ヤン・ファトとは、十年前の獣魔-大戦にて、この大陸で

    死んだゴブリンの王の名前でしたな」

ドルフェ「ええ。そして、勇者カル・ヘトとは、獣魔-大戦に

     こそ参加しなかったものの、ククリ島いちの力を

     持つ戦士と呼ばれて居ます。その二人の友情の証

     の布が、ここに-あったのです」

聖騎士「どういう事か、ドルフェ殿?」

ドルフェ「つまり、この布を持つと言う事は、そのゴブリンは

     センル族の王であるヤン・ファトの血をひいた者で

     ある可能性が高いのです。何故、この大陸に居るのか

     は分かりませぬが、恐らく、逃げ遅れたのやもしれませぬ」

聖騎士「・・・・・・そう言えば、獣魔-大戦のおり、ゴブリンの王に

    子供が出来た、という話を聞いた事があります。

    そして、確かに、それから一週間、ゴブリン達は

    攻めて来ず、斥候(せっこう)の報告では宴(うたげ)を

    開いていた、と」

ドルフェ「ハンターを急ぎ、止めねばなりませぬ・・・・・・。

     もし、逃げたゴブリンが王の血をひいているならば、

     ククリ島-侵攻の際に、人質として、多いに役立つや

     も知れませぬ」

聖騎士「確かに・・・・・・。急ぎ、ハンター達を止めるよう、要請

    します。おいッ、紙とペンを」

 と、聖騎士は従士(じゅうし)に命じるのだった。

 

 そして、結果、ハンター達は任務を途中で解かれたのだった。

 

 ・・・・・・・・・・

 その頃、聖騎士達は会合を開いていた。

聖騎士A「しかし、ハンター達の報告では、ゴブリンや反逆者

     と接触を果たしていたそうでは無いか。ハンター達を引き上げ

     させるのでは無く、任務を捕獲に変更すべき-だったのでは?」

聖騎士B「いや、しかし、ハンターどもを信用し過ぎるのも

     どうかと思うがな。捕獲の際(さい)に、暴れられたから-

     など言って、ゴブリンの死体を持ち帰られたら、

     たまらぬ」

聖騎士A「しかし、なら、誰を捕獲に回す。ククリ島への侵攻

     の準備で相当の人員が-そちらへと割(さ)かれている。

騎士団として動かせる人員は限られて居るぞ」

 すると、一人の聖騎士が手を軽く挙げた。

聖騎士B「これは聖騎士-ロー。いかが-なされた?」

ロー「いえ、適任が居ると思いまして。白百合(しらゆり)-騎士団など、

   どうでしょう。ちょうど、位置も近いですし」

聖騎士A「確かに・・・・・・あの小娘達なら、適任やもしれませぬな」

聖騎士B「彼女らをククリ島へと連れて行くワケにもいきませぬ

     からなぁ。ゴブリンに犯され、ゴブリンの子供を

     はらみでもしたら、大変どころの騒ぎでは無い。

     特に彼女ら-の多くは貴族ですからな。余計に

     問題が-あっては困る」

ロー「その意味で、今回の任務は良いのではないでしょうか?」

 すると、威厳のある-老人の聖騎士が口を開いた。

 彼こそ、獣魔-大戦の英雄である老将軍ダンファンであった。

ダンファン「うむ、聖騎士ローの案でゆこう。彼女ら-は若いが

      腕も確かだ。それに一個中隊であたれば、問題は

      あるまい」

 とのダンファンの言葉に、皆は頷(うなず)いた。

 

 ・・・・・・・・・・

 そして、白百合-騎士団に急ぎ、伝令が放たれた。

 一方で、ダンファンはローと私室で話をしていた。

 二人は椅子に腰掛け、酒を酌(く)み交(かわ)わしていた。

ダンファン「ローよ。本当は-お前自身が捕獲の任につきたかったのでは無いか?」

ロー「・・・・・・いえ、むしろ、私は彼らとは戦いたくないですね」

ダンファン「そうか・・・・・・。しかし、ヴィルは-剣の院にて-お前と同期であった・・・・・・」

ロー「ええ。彼は信用できる男です。正直、今回の件も、何か

   理由が-あったとしか」

ダンファン「・・・・・・ローよ。ワシにはヴィルの気持ちが

      分かる気がするよ」

ロー「と、言いますと?」

ダンファン「あやつは優しすぎるのだ。だから、恐らく、

      ゴブリンを殺せなかったのだ。話に聞けば、

      そのゴブリンは少女だと言うでは無いか」

ロー「・・・・・・ええ。さらに、傭兵ギルドのメンバーや

   剣聖シオンからの話では、ゴブリンの少女を

   守るために、ククリ島へ行くと・・・・・・。正直、

   冗談か何かかと思いましたが、やはり、本気

   なのでしょうね」

ダンファン「あやつは-そういう男だ。あまりに純粋で

      それ故、騎士団を去る事となった。だが、

      歳(とし)をとると-思うかな。あやつのように

      生きてみたかったと」

ロー「・・・・・・私もです。しかし、誰かが、この鎖に繋がれ、

   束縛された騎士団にて戦わねばならない」

ダンファン「そうだ・・・・・・。我々は皇国(おうこく)の剣なのだからな」

 と言って、ダンファンは酒をあおるのだった。

 

 ・・・・・・・・・・

 白百合(しらゆり)-騎士団は貴族の娘達で構成された小部隊であった。

 その特性上、彼女らは危険な任務に就く事は無く、

騎士達からは貴族の道楽くらいにしか思われていな

かった。

 しかし、その団長であり、中隊長であるミリトは、必死に

部隊を鍛え上げていた。

 ミリトは自身も人一倍、努力をし、他の隊員の誰よりも-

早く起き、稽古(けいこ)をし、誰よりも遅くまで処務(しょむ)をこなしている

ものだった。

 そんな彼女のもとに伝令の早馬が来た。

 そして、受け取った書状を読み、目の色を変えた。

ミリト「急ぎ支度(したく)をしろッ!急(きゅう)の任務だッ!

    さぁ、何をもたもた-している。そんな事では、戦場で

    奇襲を受けた時、対処できないぞッ!」

 と、叫ぶのだった。

ミリト(・・・・・・ようやく、私達の部隊の実力を示せる機会

    が来た。見せてやる、私達の実力を。いつも、

    いつも、私達を女性だからと馬鹿にしてきた、

    中央の連中に。そして・・・・・・あの聖騎士ローにッ)

 と、心に誓うのだった。

 今、白銀の鎧を着た乙女達が、ヴィル達を追う事となるの

だった。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 


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