No.472651

魔法少女リリカルなのはmemories 第五章 ベルカ時代の記憶(メモリー) 第五十八話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2012-08-19 22:30:55 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2302   閲覧ユーザー数:2218

「じゃ、じゃあ今までレイジングハートはなのはにも隠していたというのか?」

「そういう事だと思う」

 

 レイジングハートの正体がまさかテュディアと対となるロストロギアだとは思わず、はやては驚きながらもユーノに聞き、ユーノは頷いてから言うのだった。

 人工知能を持っているレイジングハートであるのでその事はレイジングハート自身が知っていなければおかしいことであり、そうなるとレイジングハートがベルカ時代に存在していたという事をマスターであるなのはにも隠していたという事になる。今のなのははその事を知っているかもしれないが、それでもなのはに隠していたことは事実であるのは変わりがなかった。

 

「だけどこの歴史書を読んでいる限り、エクスティアとカリべリティア、今のレイジングハートとテュディアはデバイスではなかった(・・・・・・・・・・)ような事が記されているんだ」

「っていうことは、ベルカ時代から現代の間に何者かがレイジングハートをデバイスへと組み込ませてたという事?」

「そうだと思う。テュディアの方はデバイスではないが、レイジングハートはフェイトが言った通り何者かがデバイスへと組み込ませたのだろう。その時にインテリジェントデバイスを組み込ませたとしたら、人工知能もその時に組み込まれたのだと思う。ある意味それはレイジングハートにとっても得だったのだと思う」

 

 後に人工知能を付け加えられたとしても、それ以前の事は何となく覚えていたりするのだろう。そうでなければ自分がどんなものか理解できないし、知能を組み込まれただけなので組み込まれえる以前の事を覚えていてもおかしくない。

 それにレイジングハートが過去の事を覚えていなかったとしても、レイジングハートもそれを望んだことだという事には変わりなく、なのはもそれを了承したという事でもあるのだ。

 

「だが、インテリジェントデバイスでミッドチルダ式という事はここ数十年の間にデバイスとして組み込まれたことになる。そしてそれから数年経って僕の方へ偶然回ってきて僕が使うには無理があったのだけど、なのはにレイジングハートを持たせるとデバイスを起動することが出来た。どうしてなのはが起動できたかといえば魔力総量が大きいからだと言えるかもしれないが、もしかしたらレイジングハートが起動できる相手を決めていたのかもしれない。まぁ、最後のに言ったのはもしかしたらの話だが」

「仮にユーノ君が最後に言った言葉が事実じゃなかったとしても、レイジングハートがあの聖王オリヴィエに似た人物と何か関わりがあるというのは変わりあらへん。それに、聖王教会もそろそろ黙っていないだろうしな」

 

 はやてはこの状況的に動きだそうとしているかもしれない聖王教会の事を言い出す。

 オリヴィエの復活。それは聖王教会にとってはかなりの一大事の事であり、黙っているわけがない。その人物に接触しようとするかもしれないし、場合によってはその聖王と共に管理局側に攻撃を仕掛けてくるという可能性も考えられた。

 今は聖王に似た人物が誰なのかというのは後回しにした方が良い、状況によっては最悪な事になりかねないとはやては思った。

 

「けど、とりあえずそっちは私に任せてくれへんか? 一度カリムに会って話し合いをした方が良さそうやしな」

「それだったら私も行くよ。特に今はすることもないし、ヴォルフラムの修復が終わるまでは全員ここで待機と言われているし」

「確かにそれでもええんやけど、フェイトちゃんにはちょっとヴィヴィオとアインハルトの事を時間がある限り見ておいて欲しい。なんか、胸騒ぎがするんや」

「胸騒ぎ? あぁ、そういう事ね」

 

 一体はやては何を心配しているのだろうと思うが、すぐになんとなく理解した。ヴィヴィオは聖王オリヴィエのクローンだし、アインハルトは覇王イングヴァルトの直系子孫であるから、もしかしたらはやては狙われるのかもしれないと思ったのではないから、自分に二人の事を任せたのではないかと思った。

 本当ならイクスヴェリアも任せたかったのしれないが、そっちは聖王教会に居ることだし、さすがに三人を見るのはフェイトにも無理があると思って、はやてはヴィヴィオとアインハルトの二人を念のため見守るように任せたのである。

 

「どうやら私が気にしている理由が分かったようやから、フェイトちゃんに任せてもええよな?」

「うん、この数日はヴィヴィオとなるべく一緒に居るようにするよ。アインハルトの方はノーヴェにも任せるとは思うけど」

「その辺りはそっちに任せるから。とりあえずよろしく頼むな」

 

 フェイトが近くに居る限りヴィヴィオが狙われることは少しはなくなるだろうと思いながら、はやてはフェイトに言うのだった。

 

「さて、僕もレイジングハートとテュディアについて分かったらすぐに伝えるよ。これはもう、なのはに関係なくただ事ではなくなっているからね」

「分かった。それなら私たちは行くな」

「アルフもまたね」

 

 フェイトとはやては無限書庫から離れていき、無限書庫にはユーノとアルフの二人だけになるのだった。

 フェイトとはやての姿が見えなくなると、ユーノはアルフに向けて言う。

 

「さて、こっちもなるべく早く情報を手に入れてフェイトやはやてなどに伝えないとね」

「フェイトの役に立つためにも、頑張らないとね」

 

 アルフはそう言ってからフェイトとはやてが来る前にユーノに頼まれていたことを再開させるのだった。

 

「……だけど、レイジングハートとテュディアを調べていくのは良いが、あの聖王みたいな人物は本当になのはではないのか? いや、それを否定させるためにも調べる必要があるんだ」

 

 アルフに気づかれないぐらいの言葉で言い、それからユーノはアルフ同様に先ほどフェイトとはやてが来る前にやっていた作業を再開させるのだった。

 だがそれはユーノ自身を苦しめてしまい、フェイトとはやてにも苦しめてしまう事をまだ知らない。聖王みたいな人物の正体はユーノが思っていた通りなのはであるのだから。

 そして、その事を知るのはあと数日へと近づいていたのであり、その日はフェイトも聖王みたいな人物の正体を知る日でもあった――


 
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