No.195332

母親無双? (恋姫無双)

びっくりさん

すいません・・・つい勢いでやっちまいました。
突然浮かんだ電波&妄想ネタ。

どうぞ。楽しんでください。

2011-01-11 01:20:58 投稿 / 全18ページ    総閲覧数:21108   閲覧ユーザー数:16121

 

 

 

 

 

世は漢王朝の時代、王朝の力は廃れ賊が蔓延り弱者が虐げられていた時代だ。とある場所で戦が起こっていた。

 

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

 

兵士達の雄叫びと、金属がぶつかり合う甲高い音が響き渡る荒野。時折聞こえるのは肉を裂き、貫くような鈍い音と液体が噴出す音。その中心部で、桃色の髪に褐色の肌をしたグラマラスな美女が舞いを舞っている。近づく者達を冥土へと送る剣技という舞いを。

 

「堅殿!出すぎですぞ。自重なされ!!」

「何言ってるの?こんなのまだまだ序の口よ。さあ!勇士達よ。我に続けぇ!!」

 

遅れて、弓を構える銀髪の女性・・・と言うには少し若い。少女の言葉に耳を貸すこともなく、むしろ言葉を出された後のほうが積極的に前へ出ようとする堅殿と呼ばれる女性。彼女の名前は孫堅。江東の虎の異名を持つ、女傑である。彼女は周辺地域をその武力を持ってして瞬く間に制圧し、傘下に治めている今最も勢いのある勢力の頭であり、現在もその地を傘下に治めようと戦をしている最中であった。彼女は君主であるものの、他の君主とは違い、積極的に自らが戦に参加する。その姿を見た部下達は、彼女の勇猛さに引っ張られ士気を上げ戦に挑むという形になり、彼女の軍が精強であると言われる所以となっている要因であった。

 

「我が名は孫堅。江東の虎とは我のことよ!死にたい奴はかかってきなさい!」

 

今回もいつものように自らが先陣をきって攻撃している。先ほど言葉を発した配下、黄蓋も注意はしたものの、いつも通りの姿にあまり不安を感じていなかった。それは今回の相手に強敵がいなかったこともあった油断。その油断が、今回もいつも通り勝てる戦をいつもとは違った結末に導いてしまうのである。

 

「!?・・・堅殿!!」

「ん?・・・なっ!?」

 

それは誰が放ったかわからない。ただの流れ矢だったのかもしれない。ただ一つわかっているのは、その一本の矢が彼女の・・・彼女達の今後の運命を変えたということだけである。

 

「ガハッ!?」

「堅殿ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 

 

 

黄蓋の叫びも空しく、矢が胴体に刺さった孫堅はゆっくりと馬から落馬し、そこに敵兵がこれ幸いと群がっていく。

 

「そんな!孫堅様が・・・」

「嘘だろ・・・」

「孫堅様ぁああああ!」

 

その光景を目の当たりにした孫堅軍の兵達に動揺が走り、優勢だった戦況がひっくり返り劣勢をしいられることになるのであった。そんな状況になりながら、将軍としての責任から兵達に撤退の指示を出す黄蓋以下、孫堅軍の将軍達は大きな悲しみを抱きながら、撤退していくのであった。

 

「ぐっ・・・油断した。失態ね・・・」

 

落馬した態勢で己を罵る孫堅。よろよろと立ち上がるも、すでに自分は敵兵に囲まれていて、絶体絶命のピンチである。心配事は黄蓋以下、部下達の安否だが無事に撤退できたようなのでよしとしよう。自分は腹部を負傷、両腕は健在だが傷が思ったよりも深く、どこまで動けるかわからない。対して、敵兵は軽く見積もっても百人は超す。これは詰みかな?と腹をくくる覚悟をするのであった。

 

「へへへ、こいつを討ち取れば手柄だぜ」

「おう!小隊長どころか将軍も夢じゃないぜ!!」

「だが、こんないい女をすぐに殺すのももったいないよな・・・」

「確かに、あの体を一度は楽しみたいよな」

「やっちまうか?こっちはこんだけいることだしな」

「いいなぁ・・・」

 

そんな下衆な会話も聞こえるが、圧倒的に不利な状況では言い返す余裕はない。集中力を高め、少しでも抵抗する。簡単にやられてなるものか!江東の虎の名にかけて!!そんな強い思いで彼女は敵兵を睨みつけるのであった。

 

「へへへ・・・じゃ、いっちまおう「はぁああ!」ぎゃあああああああああ」

 

先に動いたのは孫堅だった。大勢で囲んでいる圧倒的有利な状況から生まれる油断。この隙を利用して、奇襲を仕掛ける。上手くいけば相手を混乱させ、その混乱に乗じて逃げられるかもしれないと考えながら。

 

「くそ!やっちまえ!!」

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」

 

が、その目論見は成功しなかった。思った以上に彼らには余裕があったのだ。それは戦闘力ではなく、戦力の差である。両軍―――といっても、片方は一人なのだが、の数量が違いすぎた。これが10人、20人くらいなら混乱して逃げられたかもしれない。だが、今の状況はその数倍の違いがあるのだ。一人二人やられたところで、蚊に血を吸われるくらいのことでしかない。それが、混乱するところを逆上させ、怒りを抱かせる結果になってしまったのであった。1対多数の勝利する可能性が1%にも満たない戦いが幕を開けたのである。

 

 

 

 

 

 

「ぎゃああああああああ」

「ぐああああああああ」

「一人だけなのに・・・どうしがはっ!?」

 

「ほらほらぁ!さっきまでの威勢はどうしたのかしらぁ?私はまだまだいけるわよぉ!!」

 

先ほどの戦の再現か。彼女を中心にして死体の山が築かれつつある。いや、それすらも計算しているのか、ある程度山になると横に跳び、移動して再び場所を、足場を確保していた。彼女の経験から基づいた戦法なのかもしれない。よって、彼女の戦いの後にはまるで、ミステリーサークルのように円状に死体が転がっていたのである。

 

「ハァ・・・ハァ・・・どうした?私はまだ・・・まだ・・・よぉお!」

 

が、それも勢いがなくなっていく。それは、疲れによるものか、腹部の出血によるものか、はたまた両方か。いずれにしても、彼女の動きは次第と精彩を欠いていく。ここまでくると、敵兵も欲に塗れた考えなどなくなり、本気で彼女を仕留めにきていた。誰も、危険な思いをしてまでそんな考えなどもてないだろう。それに伴い、彼女の体に傷が増えていく。そしてついに。

 

ガクンッ

 

「あっ・・・」

 

膝から力が抜けてその場に倒れこんでしまう孫堅。新たな傷から出血量が増え、ついに体が限界に達してしまったようである。これを見逃す馬鹿はいない。

 

「よっしゃあああああ!手柄は頂いたぜぇええ!!」

 

孫堅は限界、今が好機!と彼女に群がる敵兵。孫堅も自分の死を感じ取り、受け入れようとしていた。

 

カァアアアアアアアアアアアア!!

 

「な、なんだ?」

「うお!眩しい!?」

「なんなんだよ。この光は!?」

 

いざ、孫堅にとどめをと群がっていた敵兵達の前に突如、眩いばかりに輝く光の球が。その直後。

 

ドォオオオオオオオオオオオオオオオン

 

大きな爆音と共に辺りに衝撃が走る。孫堅に近づいていた者達程、その衝撃の影響で後ろに飛ばされていった。光が収まった時、孫堅を中心に円状に吹き飛ばされている敵兵の姿と、地面が黒く焦げて煙を上げている様子。それと、中心部だけがなぜか無事になっている状態になっていた。その中心部には片膝をついている孫堅の姿と、彼女の前にまるで彼女を守るように立っている見たこともない太陽の光を反射して、キラキラ光っているような白い服を着た一人の少年がいた。片手に大きなバックを持って。

 

 

 

 

 

 

「ん・・・ここは?」

 

光の中から現れた少年は、驚くよりも先に自分が今危険に晒されていることに気付く。というのも、少年の前にいる防具を纏った男達の手に血のついた剣が握られていたからだ。

 

「あなたは・・・誰なの?」

「誰って・・・!?怪我してるじゃないですか!!早く手当てをしないと!?」

 

後ろからの声に振り向くと、腹部を負傷しているえらい美人がいたので意識を完全にそちらへ持ってかれる。急いでかけより片膝をついている美人、孫堅に肩を貸す。その少年の行動に孫堅も驚いた。

 

「馬鹿!この状況がわからないの?今、私達は危険な状況なの!逃げないと!!」

「う・・・それはそうですけど、怪我してる人を放って置けないですよ!」

 

正論を突きつけられるも、弱弱しく反論をする少年。本当なら、もっと言いたいことがあるのだが、そんな悠長なことを言う余裕はない。孫堅は簡潔に要点だけを言う。

 

「いい?アイツらは私を殺そうとしてるの。そこにあなたが現れたから邪魔したようなものね。だから、あなたも殺される。それが嫌だったらすぐに逃げなさい!・・・まぁ、逃げられればいいけど」

 

少年に逃げろと忠告をする。その後、相手の人数を思い出し、ボソっと思っていたことを零してしまったが。

 

「そ、そんな!あなたはどうするんです?」

「私はこの傷だもの・・・」

「そんな・・・一緒に逃げましょう!」

「それが出来たらやってるわよ!でも、あんな人数から怪我人がいる状況で逃げられると思ってるの!?」

「そ・・・それは・・・」

「出来ないでしょ?なら、私に構わず逃げなさい」

 

我ながら酷いことを言うと彼女は思った。逃げられる可能性が低いのにと。だが、そんなことしかいえないのが現状だ。逃げなさいとはせめてもの気遣いである。が、そんな精一杯の気遣いも、少年には伝わらなかったようだが。

 

 

 

 

 

「いえ。逃げるならあなたも一緒です」

「だから、私がいたら逃げられないって言ってるの!わからないの?」

「逃げ切って見せるさ!こんな美女を置いて逃げるなんて、男が廃る!!」

「なっ!?」

 

少年の甘ったれた言葉にカッとなって反論する孫堅。そんな言葉に対して少年は予想外の言葉で返してきて彼女を動揺させた。

 

「(び、美女だなんて。こんなとこで口説いてどうするのよ!?この馬鹿!!)」

 

そんな彼女の様子などお構いなしに少年は考えに耽った。ふと、横を見ると大きなバックが自分の持っていた物だと気付く。そのバックの中身を思い出し、ある妙案が思いついた。

 

「(これを!!)」

 

バックから取り出したのは小さな卵型の物体。少年はその卵型の物体に刺さっている紙を引き抜いた。

 

ピリリリリリリリリリリ!!

 

紙を引き抜いた瞬間、その卵型の物体から甲高い音が鳴り出す。そう、卵型の物体とは防犯ベルだったのだ。少年はこの音を聞いて助けを呼ぶ考えだったが、様子がおかしい。武装している男達の表情が恐怖に慄いているのだ。

 

「お、おい・・・なんだ?この音は!?」

「わからねぇ・・・なんなんだよ!これは!?」

「あいつ、何をやったんだ!?」

「これって、今まで殺した奴らの怨念の声か!?」

 

男達は未知の音に恐怖を抱く。当然だ。この時代に防犯ベルなど存在しないのだから。その甲高いを音を、今まで殺してきた人間の怨念の声だと勘違いしたのだ。少年には何故、彼らが恐怖を感じているのかわかっていないようである。少年のいたところでは普及している見慣れた物なのかもしれない。どうやら、少年と男達では認識にズレがあるようである。

 

「(もしかして・・・これはチャンスか!?)あの、すいません。走れますか?」

「大丈夫・・・痛っ!!」

「無理のようですね。背負うのはお腹に怪我があるのでダメですし。仕方ない」

 

少年は一人納得すると、バックを肩に担いだ後、孫堅を抱き上げる。俗に言うお姫様抱っこで。いきなり抱き上げられた孫堅は驚いてしまう。

 

「な、ななな!?」

「我慢してくださいね。後、これを持ってください」

「ひっ!?なんなの?これは・・・怨念の声?」

「怨念?これは防犯ベルというものですが・・・」

「暴反部瑠?なんなのそれ?」

「ただ大きな音を出して驚かすだけの道具なんですが、あいつらが勝手に怖がってくれてますから利用しましょう。それをあいつらに突きつけて脅してください」

「わ、わかったわ」

 

 

 

 

孫堅が納得するのを見て、極力揺らさないよう気をつけながら前へと駆け出す。それを見て、少年が向かう先の男達は後ずさる。未知の音が自分達に迫ってくるからだ。そこに少年の腕の中で孫堅は受け取った防犯ベルを相手に突きつけるように腕を伸ばし叫んだ。

 

「これは、お前達が殺してきた人達の恨みの声だ!!この方はその恨みを聞き入れ、貴様らに鉄槌を下すべく降りてこられた天の見遣い様だぞ!呪われたくなければ早々に去ね!!」

「「「「「う・・・うわあああああああああああああああああああああ!!」」」」」

 

蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う男達。孫堅が放った言葉はそれほど効果的だったようだ。それは、男達の前に現れた光の球体から現れた少年をその目で見てしまったことが、彼女の発言に信憑性を持たせたからに他ならない。

 

「えっと・・・走る必要もなくなったみたいだね」

「そうね。ねぇ、これ。どうやってとめるの?」

「ああ、ちょっと降ろすね」

 

少年は一旦、孫堅を降ろすと防犯ベルに先ほど抜いた紙を再び差し入れる。すると音はピタっと止まり、それが彼女をまた驚かせた。

 

「すごい・・・どうなってるの?」

「俺も詳しいことはわからないんだ・・・って、そんな落ち着いてる場合じゃないよ!!手当てしないと!!」

 

悠長に話している場合ではないことに気付く少年は、彼女の手当てをすることに。といっても、医学の知識があるわけもない少年に出来る治療は限られてくるが。

 

「部活帰りで救急バックがあって助かったよ」

 

彼が持っていたバックは救急バックだったようである。バックを開き、ガーゼとティッシュ、マキロン、テープを取り出す。

 

「ちょっと痛いけど、我慢してね」

「大丈夫よ。痛みには慣れて・・・・いった~~~~い!!」

「ほらほら。暴れないで。手当てが出来ないでしょ?」

「でも、いった~~~~~~い!痛い痛い!痛いってば~~~!!!」

「痛みには慣れてるんでしょ?我慢我慢!」

「うぅううう・・・後でひどいんだからね!!」

 

文句を言う孫堅を無視して少年は傷口にマキロンを吹きかけ垂れた汁をティッシュでふき取る。傷口を消毒したらそこにガーゼを当ててテープで固定した。再びバックの中に手を入れると、今度は包帯を取り出し彼女の体にきつく巻いていく。

 

「ちょっとキツイんだけど・・・」

「ごめんね。止血の意味もあるから・・・これはあくまで応急処置だから後でちゃんと医者に見せないと」

「ありがと。あなたのおかげで助かったわ」

「いえ、あなたのような美しい人を放っておけなかっただけですから」

「!?・・・また、そんなこといって。もう!あなたってば、女たらしなのね」

「女たらしってひどいな~。本当のこと言ってるだけなのに。それに、今までモテたことなんてないし。たらしはないんじゃないかな~?」

 

 

 

 

 

 

包帯を巻きながらそんな会話をする二人。窮地を二人で脱したからか、初めて会ったときのような壁が感じられない。前から友人だったような気軽さで会話をしていたのである。

 

「どう?」

「うん。さっきより楽になったわ。ありがと」

 

手当てが終わった後、相手の名前がわからないと気付いた二人は互いに自己紹介をすることになった。

 

「俺は北郷一刀。聖フランチェスカに通う高校生だよ」

「聖不蘭地絵巣華?なんか、わからないけど珍しい名前ね。姓が北、名が郷、字が一刀でいいの?」

「違うよ。姓が北郷、名が一刀。字ってないんだ」

「へぇ。まぁ、服からしてここの生まれじゃないみたいだし。どっか他国の人なのね。私は姓は孫、名は堅、字は文台よ」

「孫堅?」

「ええ。他からは江東の虎とか呼ばれることもあるわ」

「え?ちょっとまって!三国志じゃあるまいし・・・そんなことって・・・」

「何よ~?私、嘘なんてついてないわよ?失礼しちゃうわね~」

 

少年――一刀は混乱していた。知り合った女性の名前が、孫堅。その名前は彼の世界では有名な歴史書に登場する武将の名前と同じだったからだ。さらによく考えると、部活帰りだったはずの自分が気付いたら知らないところにいる。一体何があったのかと。

 

「えっと・・・ここってどこになるの?」

「ここは、荊州の襄陽よ」

「荊州の襄陽・・・って中国じゃん!?」

「中国?聞かない名前ね。ここはそんな名前じゃなくて漢よ?」

「うぇえ!?漢だって!?待ってくれ!じゃ、今国を治めているのって・・・」

「劉宏陛下よ。常識よ?」

「うっそ~~!!!」

 

孫堅と話している内に疑念が、解消していき、予想が現実となっていく。そおれに従い混乱も極みに達してついに爆発した。一刀は日本にいるはずが、いつの間にか古代中国にきてしまっていたのだ。これで、先ほどの男達の行動も納得がいく。三国志の前の時代に防犯ベルなんてないからだ。そんな一刀の様子に最初は自分の言うことを信じてもらえず、苛立っていた彼女だったが次第に心配へと変わっていく。

 

「ちょ、ちょっと・・・どうしたってのよ?」

「・・・孫堅さん。実はね」

 

 

 

 

一刀は孫堅に事実を話した。自分はこの時代より1800年以上も経った時代の人間で、この国の東にある島国の生まれであること。彼女の存在は自分の世界では歴史上の人物として書物に記載されていること。自分のいた世界では、彼女は男として書かれていることなど。第三者がいればそんな突拍子もない話など信じられないだろう。しかし、彼女は光の球体から彼が現れたところを目撃している。そして、何より。

 

「(私の勘がこの子は嘘を言ってない。全部本当のことを話してるって言ってる)」

 

自分が絶対の信頼をおいている“勘”が真実だといっているのだ。それに助けられてもいる。孫堅は一刀のことを信じることにしたのであった。驚愕の顔が次第に面白い物を見るように変わっていくのも仕方ないことだった。

 

「へぇ・・・じゃ、これもさっきのも一刀の時代の物なのね?」

「うん。そうだよ。さっき、孫堅さんに「芙蓉(ふよう)よ」え?」

「私の真名。今度から私のこと芙蓉って呼びなさい」

「・・・えっと、真名って何?」

 

自分が信頼する人にだけ教える大切な名前、それを許した。それはどれだけ勇気がいることだったか、そんな思いをしてまで許したのに・・・。彼女の覚悟は、一刀の無知によって無駄になってしまったのだった。

 

「いいの?そんな大切な名前を」

「あなたは私の命の恩人よ?呼ぶ資格は十分じゃない」

「わかった。ありがたく呼ばせてもらうよ。芙蓉」

 

キュン!

 

一刀に真名を呼ばれた瞬間、彼女の胸はときめいてしまった。思えば、自分に面とむかって美人だとか、放っておけないなど言う人はいなかった。彼女の夫ですらも。それは自分が王である責任から常に先頭へ立ち、皆を引っ張っていたからに他ならないのだが。そんな彼女に初めてかけられた美人という言葉を発した人物に、優しげに微笑まれながら真名を呼ばれたことによって、ときめいてしまった孫堅であった。

 

 

 

 

 

「さ、近くの村に行こう。そして医者を探すんだ」

「そうしましょうか。別にこのままでも問題ないと思うけど」

「ダメだよ。ちゃんと見てもらわないと。俺は医学の知識があるわけじゃないからその傷が本当に処置されているのかわからないんだ。もし、間違っていた場合、芙蓉の体がおかしくなるだろ?それに、綺麗な体なんだからもっと大切にしないと」

「き、綺麗って!!ま、また、そういうこという!!やっぱり、女たらしよ!!」

「ひどいな~。っと、もう行くよ。診てもらうならなるべく早いほうがいいからね」

「ちょ、ちょっと!!またこの格好で行くの?」

「うん。あまり動くと傷が開くかも知れないし」

 

芙蓉の言葉を断ち切るように一刀は、お姫様抱っこで彼女の体を抱き上げると歩きだした。芙蓉は顔を真っ赤に染めて成すがままになるのであった。

 

「で。これから一刀はどうするの?」

「ん~、行く宛はないからね。どうしようかな?この大陸を見て回りながら元の世界に戻る方法を考えるかな」

「だったら、私達のとこにこない?命の恩人だし、出来る限りもてなすわよ?」

 

歩き出してから数分、ただ無言で歩いているだけでは退屈である為、二人はたわいのない話をする。家族のこと、家のこと、面白かったこと。とにかく、暇を紛らわせる為に話し合った。そこで出たのは、今後の方針だ。芙蓉は自分の領地がある。しかし、一刀は何も頼るものがないのである。そんな行く宛のない一刀を自分の領地へと誘う芙蓉。助けてもらった恩を返したい思いもあったが、何よりも一刀とこのまま離れたくなかったから。しかし、一刀はその意見を断った。

 

「ごめん。申し出は嬉しいんだけどね。お断りさせてもらうよ。芙蓉は見てるからいいけど、他の人は俺みたいな得体の知れない男を受け入れ難いと思うよ」

「そんな器量の狭い人間はうちにはいないわよ。それに、元の世界に戻る方法なら私達が調べてあげるわ」

「う~ん、嬉しい申し出なんだけど。やっぱり、自分のことは自分で調べるよ。それにこの時代の村を見て回るのも面白そうだしね」

 

それから度々、勧誘するものの一刀はそれを受け入れなかったのであった。

やがて、村に到着すると早速医者を探す。この時代、全ての村に医者がいるわけではない。もしかしたら、いないかもしれない。むしろ、いない可能性のほうが高いのだから。が、幸運なことに医者がいた。

 

「わかった。すぐに診て見よう」

「頼むわね」

「ああ、絶対に治して見せる!!」

 

やたらと熱い男であった。

それから数分もしない内に治療は終わった。

 

「これで大丈夫だ。処置がしてあったから簡単な診察と治療で済んだな」

 

とは医者の弁。そして、治療費の話なのだが・・・。

芙蓉の話ではかなりの格安とのことだった。その男曰く、自分は全ての人の病魔、怪我を治すのが指名であり、金が欲しくてやっているわけではない。だから、そんなに高いお金を取らないのだという。中にはお金を払うことが出来ないほど貧しい人がいるからだと。

一刀と芙蓉はその男の言葉に感心するのであった。治療費を受け取った男は次の街に行くべく、軽い挨拶をすると旅立ってしまった。もし、少しでもこの村に到着するのが遅れていたら、彼はいなかったかもしれない。そんなことを考えると自分達は運が良かったと思う一刀だった。

その日は、怪我をしているのであまり動き回るのは控えたほうがいいのと、ちゃんとした寝床で寝るほうが怪我の治りがいいという理由から、その村の宿をとることにした。

 

 

 

 

 

「実は敵兵の懐からちょっと取ってきちゃった♪」

「いつの間に・・・」

 

こんなやりとりがあったとか。

一刀達は数日間、その村に滞在した。そして、芙蓉が多少痛むが自分の力で歩けるようになった為、村を出ることを決める。

 

「よし、それじゃ芙蓉の家まで送ってくよ」

「そのまま、私の家にいればいいのに・・・」

「だから、それは何度も断ってるのに。まだ、諦めてないの?」

「当然じゃない!私の気がすまないもの!!」

 

芙蓉は一刀を自分の家にいさせることをまだ諦めていなかった。ここ数日間、一緒にいて、怪我のため自由に動き回ることが出来なかった彼女を、一刀はずっと補助してくれていた。一刀の優しさに触れることで、どんどん諦めたくない気持ちが強くなっていたのである。ここまでくると完全に自覚してしまう。自分の気持ちに。

 

「(私は一刀に完全に、恋しちゃってるのね)」

 

だから、諦めたくなかった。

二人は汝南、寿春を経由して建業へと向かうルートを辿っていた。まだ完治していない芙蓉の体に気をつけながらゆっくりと進み、豫州を抜けようとしていた時だ。ある村に滞在し、明日からは芙蓉の家がある揚州に差し掛かるといった場所まで来た二人。

 

「今日はここに泊まろうか」

「そうね。じゃ、夕餉を食べに行きましょう?」

「うん、いいね」

 

泊まっている宿で夕餉を食べてようと降りてきた。そこには先客がいたようですでにお酒を飲んでいた。

 

 

 

 

「い~な~・・・」

「まだ、ダメだよ。完治してないんだから」

「ぶーぶー!一刀のケチ~!!」

 

相当なお酒好きらしい芙蓉には残酷な光景である。怪我している為にお酒が飲めないのだ。本来は禁止されても飲んでしまう性質の芙蓉。だが、今は隣で一刀が目を光らせている為、飲ませてもらえないでいた。とにかく、気がつく一刀。それは彼女が無理して怪我を悪化させないように、過敏気味な気の使い方ではあるのだが、知らず知らずの内に、芙蓉の飲酒を防止する役目を果たしていたのである。そんなわけで怪我して以来、お酒を飲めずにいる芙蓉だった。今回も飲めなさそうで、心で涙しながら注文を頼もうとしたとき。先客の会話が聞こえてきた。

 

「いや~、でも揚州は大変なことになってるみたいだな」

「ああ、なんでも孫堅様が亡くなられちまったからな。家臣がどんどん離れていったらしいぜ。娘の孫策様がお継ぎになられたみたいだが、孫堅様のように実績がないもんだからいまいち信用されなかったみたいだ」

「それで、どうなったんだ?」

「なんでも、軍は袁術様に吸収されたらしいぞ」

「「!?」」

 

話の内容に危うく声を出してしまうところだった。二人は先客の会話で、初めて今の呉の状況を知ることになったのだ。自分の死、娘の継承、軍の吸収、など彼女にとって無視できない内容であった。

 

「芙蓉・・・」

「・・・大丈夫よ。気にして「夕餉は部屋に持ってきてもらうよう頼んだから、行くよ」うん」

 

明らかに表情が曇っているのに、平気と強がる芙蓉。そんな芙蓉を気遣い、部屋で夕餉を食べることにしたのであった。

 

「芙蓉」

「え?な!?一刀?」

 

部屋に戻った二人は同じベットに腰掛ける。すると、一刀が突然、芙蓉の体を抱きしめたのだ。一刀の行動に慌てる芙蓉。今まで一緒だったが、抱きしめるとか大胆な行動をとることのなかった一刀が、自分を抱きしめている。そう考えると、胸がドキドキしてたまらなくなる芙蓉だった。そんな芙蓉の気持ちなど知る由もなく、一刀は静かに語りだす。

 

「俺さ・・・いきなり、この世界に来て本当だったらすっごく不安になってないとおかしいと思うんだ。それこそ、一人で泣き喚いてばっかりだったかもしれない」

「一刀?」

「けど、不思議と不安なことってないんだよね。寂しいと思う気持ちもないことはないけど、実際そこまでひどいものじゃないし」

「・・・・」

 

突然の独白に、緊張は収まり静かに耳を傾ける。

 

 

 

 

「なんでかな?自分ってそんなに薄情だったかな?って考えたけど、わかったんだ」

「どうして?」

「君がいてくれたから。芙蓉がいたから俺は不安に感じないし、寂しいと思うことなんてなかったんだって」

「え?」

「いつも隣に君がいて、笑いかけてくれていたから。俺は平然としていられたんだって思ったんだ」

「○□☆△×?!」

 

今までで最大で、最高の殺し文句に言葉にならない言葉を発する芙蓉。瞬間沸騰して頭から湯気が出ているかもしれないと思うほど、顔は熱く赤くなっている。

 

「だからこそ、今悲しんでいる君の力になりたいと思った」

「あ・・・」

「少しくらい俺に頼ってよ。芙蓉」

「一刀・・・一刀ぉおおおおお!!」

「よかった。ちゃんと、見せてくれた」

「一刀ぉおおおお。ぁあああああああああああああ!!」

 

一刀の言葉に心が暖かくなり、芙蓉の中で壁が壊れた。一粒の涙が目から零れ落ちると、次から次へと零れとまらなくなり、直後子供のように一刀にしがみ付いて大声で泣いた。一刀はそれをしっかりと受け止め泣き止むまでずっと抱きしめていたのであった。その後、夕餉が届くまで芙蓉は一刀から離れることはなく、夕餉が来てからは会話もなくなり、その日は就寝したのである。

 

 

 

 

 

「一刀、おっはよ~♪」

「おはよう。芙蓉。元気になったみたいだね。よかった」

 

翌日、目を覚ますと普段の元気を取り戻した芙蓉を見た。実は無理しているのかと思ったが、そんな風には見えない。自分が少しでも力になれたなら嬉しいと思う一刀。前日の暗い雰囲気などなかったように楽しそうに朝餉を食べる二人がいたとか。

 

「じゃ、いきましょ」

「そうだね。今日から揚州に入るもんね」

 

いよいよ、揚州に入り芙蓉の家へと近づいてきた。それは二人の別れも近づいているのと同じだった。芙蓉との別れは寂しいが、彼女に頼りっぱなしではいけないと考える一刀。別れるときは笑顔でいられるように心に決めておくのであった。

 

「見えてきたわよ。あれが、建業よ」

「あれが・・・そうか。じゃ、ここでお別れだね」

 

ついに見えた建業の街、そして訪れた別れの時。

 

「今までありがとう。芙蓉のおかげでなんとかこの地でも生きていけるよ」

 

この時代の人間でない一刀は、常識を知らない上、文字も読めなかった。が、芙蓉が旅の間に、基本的な知識を教えてくれた。文字は読めるまでにはいかなかったが、自分で職を探すことは出来る。肉体労働系の仕事につけば文字が読めなくてもそんなに困らないだろう。

 

「今生の別れじゃない。いつか遊びに来るから」

 

そう、いつか自分の世界に帰れる方法を見つけたら帰る前に会いに来ると。そういって、握手して別れるはずだった。一刀の考えでは・・・。しかし、芙蓉の考えは違っていた。

 

「嫌よ」

「え?」

「このまま別れるのは嫌って言ってるの」

「ええ!?」

 

なんと別れない宣言である。もしや、まだ自分の家に連れて行くのを諦めていなかったのか?そう考える一刀だったが、それも違った。

 

 

 

 

 

「で、でも、俺は断ったよね?」

「ええ。だから、連れて行くのは諦めるわ」

「じゃあ、ここでお別れじゃないか?」

「それは嫌♪」

 

連れて帰るのは諦めたらしい。でも、別れるのは嫌だという。つまり、考えられるのは一つしかない。

 

「私も一緒に行くわよ」

「ええ!?」

「何よ?その反応は?まさか、私が一緒なのが嫌なの?」

「そんなことないよ!でも、自分の家に帰らなくていいのか?」

 

芙蓉の言葉に驚いた一刀、その反応が気に入らない彼女は少し拗ねたように口を尖らせる。

 

「いいの。私ってすでに死んでることになってるのよ?それに、雪蓮にもそろそろ王の座を譲ろうと思ってたし、ちょうどいいわ」

「はぁ・・・」

「もう、袁術に軍も吸収されちゃったみたいだし。今更私が実は生きてるって出ていっても結果は変わらないと思うの。むしろ、私が出て行ったら家臣は戻ってくるでしょうけど、待っているのは袁術との戦よ。袁家の兵力は侮れないの。質では負けてないけど、圧倒的に数で負けてるわ。本気で戦っても勝てる気がしない・・・それくらい数に差がありすぎるの。だから、よろしくね?」

「やれやれ・・・わかったよ。こうなったら聞かないでしょ?芙蓉は」

「あら、わかってるじゃない♪」

「今までの付き合いでわかるって」

「うんうん♪じゃ、行くわよー!!」

 

こうして、二人の旅が始まったのであった。この後、しばらくこの二人は表舞台からは消え去る。が、その間、二人は結構歴史を変えるような重大なことをしでかしまわっていた。

 

徐州で陶謙の兵に襲われていた曹操の親である曹嵩を助けたり。

 

「受けた恩は必ず返すわ。じゃないと私の誇りが許さないの」

 

幽州で劉備の親である劉弘が住んでいた村が賊に襲われたときに防衛したり。

 

「その服は・・・桃香ちゃんがいっていた天の見遣い様ですね!ここであなたに出会えたことは天の導きだと思います。ご恩を返す為にも御一緒させて下さい」

 

涼州で自害しようと(実際は肺の病)していた馬騰を止め、偶然出会った芙蓉を助けてくれた医者の青年と協力して治したり。

 

「なんだか、面白そうだな。よし!あたしも一緒に行くよ!助けてもらった恩もあるしな」

 

戦が激化する荊州で民を避難させようとしていた司馬徽(水鏡)に協力したり。

 

「ここも戦火が激しくなってきましたし。あなた達と共に参りましょう」

 

旅する人数も増えていた。彼らが再び表舞台に立つときがきた。それは・・・。

 

 

 

 

「母さん、ようやく母さんが造った私達の国が独立できそうよ」

「はははっ、こんなところで護衛もつけず一人で来るとはな。死ね!!孫策っ!」

「しまっ・・・!?って、あれ?」

 

森の中で、大きな石に酒をかけている桃色の髪の美女が一人。彼女の名は孫策、呉の王である。彼女は母の墓参りついでに近況を報告してたら、後ろから暗殺させかけた。気付いたときにはすでに手遅れ、彼女は致命傷を負う・・・はずだった。

 

「おっかしいわね?今、敵の気配がしたと思ったのに・・・」

 

一度、感じた気配が急に消えたのだ。もう間に合わないとまで思ったくらいの気配が、不思議に思い首を傾けていた彼女に妹の孫権が緊張した面持ちで駆け寄ってくる。

 

「お姉様!!」

「どうしたの?蓮華」

「曹操が攻めてきました!!」

「!?・・・わかったわ。すぐ行く!!」

「急いで下さい!」

「・・・じゃ、行ってくるわね。母さん」

 

妹がもたらしたのは魏の曹操が、攻め込んできたという報告だった。覚悟していた時がついにきたと気を引き締める孫策。急いで本陣に帰還しようとする前に、墓に振り返って最後の挨拶を済ますと本陣にかけていった。

 

「よかったの?声をかけなくて?」

「うん。まだ、そんな状況じゃないわよ。声をかけるならこの後にしないとね。それに知られちゃったら面白くないでしょ?」

「全く、あなたときたら・・・で、でも、本当にやるの?」

「当然よ。その為に衣装も揃えたのよ?覚悟を決めちゃいなさい」

「そうですよ~。それにこの衣装、可愛いじゃないですか~」

「か、可愛いって・・・私には恥ずかしい服にしか見えませんよ!!」

「じ、実はあたしも恥ずかしいんだけど・・・こんなフリフリだし」

「我慢なさいな♪さっ、愚図愚図してる暇はないわよ~。ほらほら、準備準備♪」

「全く!ほら、一刀からも何か言いなさい」

「無理・・・そうなった芙蓉はとまらないよ」

「でしょうね・・・ハァ」

「我慢してやるしかないね」

「自分がやらないからって、他人事ね」

「そ、そんなことないよ?」

「鼻の下伸ばして言われてもね。ハァ・・・もう、やってやろうじゃない!」

 

さきほど、孫策を狙っていた兵がいた草むらから顔を出したのは一刀達である。彼らは孫策を狙っている刺客の存在に気付き、狙いに集中している隙に背後から襲ったのである。だが、刺客を殺したわけではない。まだ、この兵には役目が残っていた。彼らは再び姿を晦ます。次の舞台の為に。

 

 

 

 

 

「さあ、孫策。決着をつけましょう」

「その前に・・・刺客を送ってくるなんて舐めた真似してくれたわね。覇道?力で統一?聞いて呆れるわ」

「なんのことかしら?」

「あくまで白を切るつもり?ふ~ん・・・」

「白を切るも何も、私はそんな命令は出してないわ」

「配下も管理出来ないのね」

「(カチン)そういう言いがかりはよして頂戴。大体、あなたは無傷じゃない。刺客に気付いて返り討ちにした?なら、その本人を出しなさい。もしくは首を」

 

魏軍と呉軍が陣形を整え構えている中央で、各国の王が最後の舌戦を行っていた。互いに自分が正しいというような口調で話し、次第に熱を帯びていく。このまま、熱くなり、怒りに任せて開戦するというような雰囲気になったときだ。

 

「両軍そこまで!!」

 

 

一人の男が割って入ってきた。その男――少年は白く光り輝く服を纏っている。舌戦をしていた彼女達にとっては見たこともない服である。その珍しさから、少年に意識を持っていかれ、しばらく呆然としていた。そこにさらに別の声が聞こえてくる。

 

「その桃色の髪の子が言っていることは本当のことよ」

「誰!?」

 

 

「我らは、北郷一刀に仕えし、忠実なる侍女!」

 

「我は敵を貪る虎!赤連者!」

 

笑顔満面に胸を張って叫び剣を構える芙蓉。

 

「我は戦場を駆ける疾風!緑連者!」

 

顔を赤くしながらも、開き直ったように大声で叫び槍を構える馬騰。人はそれをヤケになるという。

 

「我は心を癒す薬!桃連者!」

 

意外とノリノリで張り切ってスカートの裾を抓んで首を傾けるポーズを決めている劉弘。

 

「わ、我は・・・た、正しい方向へみ、導く道・・・・き、黄連者///」

 

顔を真っ赤に染めて、どもりながら腰に手を当てて本で口元を隠すポーズの司馬徽。

 

「我は、勇ましく成長させる水!青連者!!」

 

済ましたように言うが、羞恥で染まった赤い顔は誤魔化せない腕を組んで横立ちのポーズの曹嵩。組んだ腕の間に鎌を挟んでいる。

 

「我ら五人揃って!北郷戦隊・・・」

 

「「「「「侍女連者ぁあ!!」」」」」

 

「この戦!私達が預かるわ♪」

 

妙齢の美女がフリフリの衣装を着て、会心のポーズを見事に決めた。最後はウインク付の決め台詞である。言ったのは一番ノリノリの芙蓉である。

 

 

 

 

 

 

「「「「「「・・・・」」」」」

 

妙に気合いの入っている芙蓉達とは反対に孫策達は呆然と佇んでいる。いきなり現れた乱入者のわけのわからない口上に固まってしまったのだ。それと孫策、曹操に始まり、乱入してきた彼女達と関係がある者にとっては死んだと聞いていた人が生きていた喜び、久しぶりに見た姿があまりにもアレだったこと、何故今まで知らせてくれなかったのかと様々な思いが複雑に渦巻いてどれから対処すべきかわからなかったからでもある。

 

「そして、我らが主であり、天の見遣いである・・・」

 

「北郷一刀だ。彼女もいったけど、この場は俺達が預かるよ」

 

このとき、再び一刀達が表舞台に出た瞬間であった。この後、彼らがどのように生きたか、それは皆様のご想像にお任せしてこの物語は幕を閉じよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめんなさい。完全にネタです(笑)

急にふってわいたネタ。

 

水鏡先生ぬいたら、完全にお母さん無双なんですけどねw

水鏡先生も朱里や雛里を育てた母親といってもいいかもしれませんが・・・。

 

というわけで、楽しんでいただけたら幸いです。

 


 
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