No.127086

恋姫異聞録23

絶影さん

袁紹軍との激突です
花郎でファランと呼びます^^

相手は油断しているのでサクッと行ってしまいます
ですが4州を制覇してないのでまだまだ上に北に行きます

2010-02-27 22:22:58 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:22116   閲覧ユーザー数:17102

俺達は軍議を終えたあと許昌から下邳城へと向かい進軍をした

袁紹軍は国境に迫った時に我らの軍が攻めていることに気がついたようで

国境の守りは無いも同然だった。どれだけ油断をしているんだ一体、それとも

国境にまで手が回らないほど徐州の民が居なくなったのか?

 

「さて、ここからどうしたものか」

 

「どうしたもこうしたも、とりあえず攻め落とすしかないでしょう」

 

「まあそうなんだがな、民とは国そのものだ。確かに土地はあっても民が居なければ国としてなり立たない」

 

土地と民、両方揃っていなければ国として成り立たない、つまり劉備は国ごと移動したといっても過言ではない

民は土地さえあれば住むところをつくり、土を耕し、王はその上に成り立つ

 

「大丈夫ですよーお兄さん。詠ちゃんの言う通り、攻め落としてから国境周りを兵で固め、中の土地に

徐々に民を住まわせれば良いんです。素晴らしいことに華琳様の国に入りたいと言って来る民は大勢居ますから」

 

「さすがは曹操様だな。民の方から統治をされたいと我らの国に住もうとするとは」

 

「そりゃねぇ、魏はここいらでも一番治安がいいもの。ところで稟の姿を見かけないんだけどどうしたの?」

 

「ああー、それなら馬にまたがれないとかで、輜重隊の荷車に立ち乗りしてますよ」

 

「え?なにそれ、お尻でもぶつけたの?」

 

その話に俺は少々やりすぎたかと少し反省した

このまえ曹操様にやりすぎるなよと言われたのに、まぁ手加減はしたのだ

それにいくら仲間でもしてはいけないことと言うことがある

 

「それでここからどうするんだ?」

 

「そうね、軍師だけで集まって話し合いをした結果、真直ぐ進んで下邳城の近くの丘で陣を張るわ」

 

「おいおい、大丈夫なのか?」

 

「大丈夫よ、相手はあせって兵をかき集め始めたようだけど遅すぎるわ。それよりむしろ僕達の行軍速度を上げないと」

 

「だから真直ぐか、早ければ早いほど相手は罠を張る暇も無いわけだな」

 

「ええ、今の行軍速度も十分だけど、だからって気を抜いたら駄目よ」

 

国境を過ぎ、下邳城眼前まで来ると陣の設営に入った。

予定通り真直ぐに進み、途中は罠など無かった。やはりよほどあせっているのだろう斥候の報告からは

あわただしく動く下邳城の兵士達の報告を受けた

 

「陣の形成後すぐに戦闘に入る。昭、無茶はしないでくれ」

 

「ああ、大丈夫だ。それよりも良く俺が出ることを許してくれたな」

 

「本当は今も嫌だ、しかし一馬の腕を、昭の眼を信じているから」

 

「ありがとう秋蘭、俺を信じてくれて」

 

俺はそういって頬を撫でた。秋蘭は俺の手に手を重ねて眼を塞ぎ頷いてくれた

 

「まったく、そんなに心配しなくたって大丈夫よ。僕達は右翼後方から後詰をすることになったわ、だから

昭にも出ていいなんて言ったんでしょ?」

 

「そうだ、それにこの戦力差ならそうそう負けるという事はないが、万が一と言うこともある」

 

戦力差は我が軍3万に対し袁紹軍1万5千、この間の時とはまるっきり逆になったわけだ

しかも篭城戦で補給物資が無く、救援部隊も時間がかかりすぎる。となれば撃って出る可能性もあるな

 

「篭城戦で耐えようとしても我らには真桜の作った兵器がある。よく考えれば新兵だけなのに昭の部隊が

一番多様性があるな」

 

「ああ、確かに騎馬隊、工作隊、突撃兵、弓兵、あらゆる兵科の集まりだ」

 

秋蘭の言う通り、考えて見れば俺の部隊で一つの独立した小隊になってしまう

もしや曹操様が軍師を俺に付けたのもそうするためなのだろうか?

 

「兄者、設営が終わりました。」

 

「ああ、では出陣だな。曹操様の下へ向かう」

 

さぁ、戦の始まりだ。前を見ろ、その眼に焼き付けろ。これからの光景を決して忘れるな

そして心を固めるのだ、戦場で甘さを見せれば俺の部下が死ぬ。

 

「いい顔をしてるわね、久しぶりだわ貴方のその顔」

 

「はい、では参りましょうか」

 

俺達は本陣から下邳城へ進軍するとやはり麗羽たち三人は撃って出てきた。

おそらくは斗詩が進言したのだろう。いい判断だ、だが国境に兵を配置していない時点で負けだ

両軍が一定の位置で止まり、曹操様と麗羽の舌戦?が始まった

 

「華琳さんっ!なんて卑怯なのかしらっ!私達の周りに兵が居ないことを良いことに狙ってくるなんてっ!」

 

「何を言うかと思えば、そんなのは貴方が悪いんじゃない。攻められたくないのならば国境くらい固めておくものだわ」

 

「きいー!!私だってそのくらいわかっていますわっ!でも民が一人も居ないなんてっ!」

 

「それなら一度兵を引くなり、徐々に土地を統治していくなり手はあったでしょうに」

 

「くぅっ!いわせておけばっ!全て華琳さんが悪いんですわっ!ここで貴方を討ち取って、一生側仕えとしてこき使って

あげますっ!おーほっほっほっ!」

 

「はぁ、貴方と話しても疲れるだけだわ。話はおしまい、ここからは戦で語りましょう」

 

「望むところですわっ!」

 

曹操様は私達に向かい強いまなざしを向ける。その顔は笑顔

 

「これより袁紹軍を撃ち滅ぼし、徐州を追い出された民達の心に報いるっ

劉備はよほど良い統治をしていたのでしょう、皆劉備と共に我が領地を抜け無事逃げ延びたわ

民の平穏を脅かした袁紹軍にもはや義は無い、我らの勝利は天が保障をしてくれている死を恐れず進めっ!」

 

「「全軍突撃!!」」

 

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

 

叫び声と共に俺たちは突進をする。俺達は右翼の後詰、そして俺の役目は動きを見ることだ

俺達の前は秋蘭の部隊、わざわざ俺の前に部隊を配置するとは心配しすぎだよ

対するは猪々子の隊か、敵左翼は猪々子、中央に斗詩、右翼を麗羽に任せてる。

麗羽がいつでも逃げられるような体制は作っているようだな

 

「昭、秋蘭の部隊が引き着けながら敵を中央から外側へ引き剥がすわ」

 

「解った、ならば俺たちは中央と敵左翼の間を突き破り、猪々子を孤立させた跡、秋蘭と共に挟撃に入る」

 

「ええそうね、伝令っ!突撃をかけるわ、部隊は凪と真桜、後方から沙和が弓で援護を。」

 

「一馬、お前の騎馬隊を我ら中央に配置、引き付けている秋蘭の援護をする」

 

「了解しました、花朗に伝え、中央に隊を移動させよっ!」

 

「一馬?今、李通の真名を言わなかったか?」

 

「えっ、あっ!!」

 

「なるほど、最近帰りが遅いと思ったらそういうことか」

 

 

俺の言葉に一馬は赤くなる。李通の真名は結婚する相手にしか呼ばせない

代々一族でそう決まっているようだ、だから私も曹操様も呼ぶ事はなかったのだが

 

「ならば余計に死ぬ事は出来ないな、しっかりと勤めを果すぞ」

 

「はいっ!後でこの事は報告しますっ!」

 

「あんたらしっかりやってよね、まったく!それでどう?昭の眼から見て」

 

その言葉で俺は戦場に視線を戻す。さすがは凪だ、凄まじい突撃力で中央から引き剥がしていく

それを真桜が広げ、沙和が二人の援護をする。挟撃は成功するだろう、ところで他はどうだ?

中央では春蘭の部隊と斗詩の部隊が戦っているが・・・・・・?

斗詩が変な動きをしてる、あれは・・・焦りと、心配、これは逃げる気だっ

 

「斗詩が焦りと心配の顔をしている。逃げる気だ」

 

「なっ!早いわねっ!こんなに早く諦めるなんてっ!ならば一度後方に引いてこちらの挟撃されている方を

後方から助けに入るはず」

 

「二倍の戦力さなら仕方ないだろう、しかし何故猪々子の方に?麗羽の方じゃないのか?」

 

「違うわね、早いうちなら文醜を救った後、二人で袁紹の元へ合流し、三人で逃げられる。まだ兵が居るうちなら

袁紹の方は保つもの」

 

なるほどな、斗詩なら二人を心配してそういったことを考えるだろう。だから中央か、左右どちらが攻められても

対応が聞くからな

 

「引いて合流するだろうから強引にでも中央の春蘭部隊には追撃してもらいましょう!伝令っ!」

 

詠の伝令が走り春蘭の部隊が無理やり中央を更に押し込む、斗詩は一度退こうとしていた為

部隊が崩れだしてしまう

 

「斗詩だけ抜け出したな、少数で強引に合流するつもりだ」

 

「ちっ!春蘭の押し込みがたりなかったわね、逃がすもんですか!凪に伝令っ!わざと隙間を空けて

敵を合流させなさい、その後隙間を埋めて完全に包囲するわよっ!」

 

「少数ならば合流させても問題なしか」

 

「ええ、私達の強みは隊の多さよ。兵科でかき回してやるわっ!」

 

斗詩が凪の空けた隙間に飛び込むように入り、猪々子と合流する。

そしてここから詠の本領発揮とばかりに凄まじい速さの伝令が飛び交う

 

「秋蘭に伝令、右翼に援護向かうように、ここは私達で十分だと!凪に伝令、槍部隊で突撃!真桜に伝令

敵を逃がさないように左右に隊を広げて!沙和に伝令、弓隊で隙間から逃げる兵を撃ち漏らさないように!

李通に伝令、騎馬隊で背後に回り中央突撃っ!」

 

挟撃をしていた秋蘭が右翼に向け進軍すると凪は突撃をし、そこから敵を囲むように左右に広がる

囲んだ敵を後方から騎馬隊が貫く、まるで円を半分に割ったように

 

「内部の騎馬隊はそのまま中をかき乱しなさいっ!凪はそこを不動の地としてっ!真桜は無理をせず囲みを

壊さないように、抜けた兵は沙和に任せてっ!」

 

 

猪々子と斗詩はどう動く?どうやら兵が己の身を盾にして逃がそうとしているな、さすがは猪々子達の兵だ

これが麗羽の元の兵ではこうはいくまい

 

「なんですって?文醜達を兵が盾になって逃がしてる。それほど人望があっただなんて」

 

「ああ、知ってるよ猪々子だからな。ここは任せた、一馬行くぞ」

 

「ちょっ!昭っ!」

 

「良いのですか兄者?」

 

俺は頷くと一馬の後ろに飛び乗り囲みから逃げ出した猪々子たちを追いかけた

追撃をかける兵たちは猪々子を逃がそうとする兵たちに押さえ込まれるが一馬ならば抜けられる

 

「ここは通すものかっ!将軍達の元へはいかせんっ!」

 

「甘いっ!」

 

体を盾にし道を塞ぐ兵士達の頭上を飛び越え一直線に追いかけ猪々子達の前に回り込み行く手を塞ぐ

 

「はぁっ、はぁっ!ア、アニキっ!」

 

「うぅ、お兄さんっ!」

 

「ここは行き止まりだ、観念してもらおう」

 

そういって俺は馬を下りると棍を構え向けた

猪々子はかばう様に斗詩の前にでて俺に剣を構える。相変わらず優しいな猪々子

 

「い、いくらアニキでも斗詩をやらせないっ!」

 

「文ちゃん」

 

「俺を倒しても、俺の部隊がすぐに追いつくぞ。」

 

「それでもっ!アタイは斗詩を守るっ!斗詩だけはっ!」

 

その言葉に斗詩は涙ぐむ。まったく、お前達は元々戦いなどに出る事は無かったんだ

それなのに麗羽が好きだから、ここまで来てしまったのだろう。戦いになど出なくても幸せになれたはずなのに

 

「猪々子・・・・・・貸した金何に使った?」

 

突然俺がそんなことを言うので猪々子は眼を丸くしていたが、

思い出すと俺の方を見ながら頭を掻き顔を赤くしてしまった

 

「う・・・あの金は、アニキと中央であった後、小さい兄弟がおなかすかせて道端で泣いてたんだ。

聞いたら親も居ないって言うから」

 

「・・・・・・文ちゃん」

 

「アタイお金なかったし、丁度近くにアニキがいたし、前にアニキから孤児院の話を聞いてアタイも何かしたかったんだ」

 

「それで?」

 

「それで近くに金持ちの商家があったから、そこに働けるように一緒にお願いしに行って、たまに見に行って

それから・・・・・・」

 

優しい奴だ、あのときの猪々子の眼はとても良い眼をしていたから何かあると思ったが、そうか

俺はその話しを聞いて顔が自然と笑顔になってしまう

 

「・・・・・・行け」

 

「え?い、いいのかアニキ?」

 

「おにいさんっ!」

 

「いいさ、その代わりもう戦には関わるな。約束しろ」

 

「う、うん!約束するっ!ぜったいだっ!」

 

そういうと二人は涙目になりながら俺達の間を抜ける。将二人逃がした事は償わねばな

 

「そうだ、待て二人ともっ」

 

「えっ!い、今更無しだなんてだめだからなっ!」

 

「そうじゃない、コイツを持って行け。路銀は必要だろ?後で返せよ猪々子」

 

俺は懐から財布を取り出し、猪々子に投げる。おそらく一文無しだろうからな

逃げるにしても色々と入用になる

 

「え、そんなっ!アニキっ!」

 

「早く行け、じゃないとつかまるぞ」

 

二人は俺に頭を下げると駆け出し去っていく、本来は逃がしてはいけない

彼女らも責任を負わねばならないのだ、だけど救いたい、優しい心を持つあの子達を

きっと何時か罪を償うと信じている、俺のわがままだな

 

「兄者・・・」

 

「心配するな、大丈夫だ」

 

後方を見れば袁将軍を撃破し敗走する麗羽を追撃する春蘭と秋蘭が見えた

麗羽もこれで終わりだな、あとは北の四州をどう攻めるかだ

 

 

「で?貴方は二人を取り逃がしたと言うわけね」

 

「はい、将二人に追いついたのですが私の腕が及ばず取り逃がしてしまいました」

 

戦が終わった後、下邳城に入城し報告となり、俺は一馬達が止めるのも聞かず二人を取り逃がしたことにした

どうやら麗羽は逃げ落ちたようだ、運が良いなアイツも

 

「アンタ何やってるのよっ!しかも二人だけで前に出て将とあたるなんてっ!命令違反よっ!」

 

「・・・昭、それは本当のこと?」

 

「はい、偽りありません」

 

「華琳様っ!」

 

「桂花、少し静かに、眼をこちらに見せて、私の顔を良く見なさい」

 

曹操様は膝を着き頭を垂れる俺に近づいてきた。俺は臆する事無く見上げ、目線を向ける

そばで見ている秋蘭は悲しく苦痛にゆがめたような顔をしてしまっている。すまないそんな顔をさせてしまって

 

「・・・・・・解ったわ、昭を命令違反と将を取り逃がした罪で鞭打ちの刑とします」

 

「なっ!華琳様っ!どうかお許しを、我が義兄に力ないことを知りながら前に出たのは私の責ですっ!」

 

「貴方は昭の命に従っただけでしょう、責は無いわ。桂花」

 

「いいんだ一馬、下がってろ」

 

「しかしっ!兄者」

 

「あまり俺を困らすな」

 

一馬は顔を下に向けてしまった。そんなに心配するな一馬、桂花からは「馬鹿ねアンタは」と呆れられた

その通りだ、俺は馬鹿だよ。秋蘭を悲しませてしまったんだから

 

俺は皆の前で百ほど鞭を喰らい耐え切った後気絶をした。眼を覚ませば暗い地下牢?にいた

 

「うぅぅ、いたたたっ・・・・・・」

 

何とか体を起こし壁に寄りかかる。傷がひどく痛むがこのくらいは仕方がない、むしろこの程度で済ましてくれた

曹操様に感謝しなければ、死罪にならなかったのだからな

 

「起きたのね」

 

?だれだ?曹操様・・・・・・。俺が姿を確認すると牢を空け、俺の隣に腰掛ける

 

「・・・・・・さっきの嘘でしょ」

 

「は・・・はははっ・・・・・・なんのこと、でしょう?」

 

「解るわよ、言ったでしょ?貴方は顔に出るし、優しすぎる」

 

「・・・・・・しりませんねぇ・・・」

 

「私が、華琳が聞いているのよ」

 

「・・・さっきのは、うそですよ・・・・・・わたしは・・・あなたにうそはつかない」

 

「ええ・・・・・・ごめんね」

 

「いいえ・・・曹操様の下した罰は、軽すぎるくらいです・・・・・・こちらが感謝せねば」

 

「秋蘭に憎まれてしまうわね、私」

 

「それは・・・ありませんよ。秋蘭は、私と同じで曹操様が大好きですから、曹操様が

罰を軽くしたのも・・・解っているはずです」

 

「ありがとう、しばらくはここで養生しなさい。秋蘭を貴方の見張りとしてここに置くわ」

 

「曹操様、大丈夫ですか?今の貴方は辛くて仕方ない顔をしている」

 

「・・・・・・うん、麗羽と戦ったわ。知り合いと戦うのは辛いわね・・・」

 

「はい・・・・・・」

 

「もう行くわ」そういい残し牢から出て行ってしまわれた。

もしかしたら曹操様も麗羽が逃げ延びて安堵してるのかもしれない

知り合いと殺し合いをしているのだ、それがどんなに些細なつながりの者であろうと

気持ちの良いものではない、俺はあの方を支えていかなければ、これからはそういった機会が

増えていく可能性だってある、あの方の心を守らなければ。

 

 


 
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