No.126922

恋姫異聞録 番外編 -月-

絶影さん

異聞録番外編

月の聖女伝とでも申しましょうか

ちょっと長めです。私の小説で月はこのようになりました

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2010-02-27 02:42:23 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:19844   閲覧ユーザー数:15727

「その邑は戦で行き場を無くした人達や、怪我や心に傷を居った人達を受け入れてる邑なんだ」

 

昭さんの話を聞き、私はその邑へと向かうことを即決してしまった、

今は馬車に揺られてその邑へと向かっている途中、私の我儘に詠ちゃんが付いてきてくれた

私の大事な友達、いつも側にいてくれる。詠ちゃんがいてくれるから私は頑張れる

 

「月、いいの?やっぱり僕は反対よ」

 

「うん、でもやってみたいの。お願い詠ちゃん」

 

許昌から約半日ほど馬車に揺られれば着くこの邑は、昭さんが戦が拡大する事で

増えていく深い憎しみや怒り、悲しみを背負った人達を受け入れてきた邑

 

そこでは敵対していた人々や憎しみあった人達が共に暮らしている。

そんな人達が御互い争うことも無く共存しているなんて、私には奇跡としか思えなかった

私はどうしてもその奇跡が見たかった、そしてそこに居る人達の力になりたかった

それがあの洛陽で、私の力が無いばかりに苦しんでいった人達の贖罪になると思ったから

 

「着きましたよ、御二人とも」

 

「ありがとう、月。着いたわよ」

 

「うん・・・」

 

私は馬車を降りると邑の異様な雰囲気に飲まれそうになる

重苦しいい空気、息が詰まるような緊張感、誰かに見られているような

 

「私はこれから運んできた物資を医師達に渡さねばなりませんので」

 

「ええ、それにしても・・・誰かにっていうか、邑の人達の視線ねこれ」

 

「うん、そうだね。」

 

「どうする?今のうちよやめとくなら」

 

「ううん、いこう詠ちゃん。長老さんのところに」

 

「ふぅ、しかたないわね。ホントなら今すぐ馬車に乗って引き返したいんだけど」

 

「ありがとう、ごめんね?」

 

詠ちゃんには悪いことをしてしまった。この邑の雰囲気は普通じゃない、あの人の言葉に

どこか油断をしていたのかもしれない、現実は甘くは無いと思い知らされた

きっとこんな雰囲気だけど、ここまでにするのにどれだけあの人は悲しみや苦しみを

乗り越えたのだろう、あの見え過ぎるほどの眼で

 

「月、僕の後ろから離れないでね」

 

「大丈夫、ここまで来て詠ちゃんに守られていたら、何の為に邑に着たのかわからなくなっちゃう」

 

「仕方ないわね、それじゃ手をつないで行きましょ」

 

そういって詠ちゃんは私の手を握ってくれた。それだけで私の心は強くなれる。

いつもそうだ、詠ちゃんは私を支えてくれる。昔も今も、ずっと変わらず私の側に居てくれる

 

「ようこそおいでくださいました。昭様から御話は聞いております」

 

視線を感じながら教えられた道を大通りを選んで進んでいると、前から車椅子に乗った

老人がゆっくりと近づいてくる。この人が長老さん?

 

「貴方が長老?僕達が来ることを聞いていたのね」

 

「ええ、昭様から早馬が来まして。御二人をこちらに送るのでよろしく頼むと」

 

「はい、私はこの邑の力になりたくて」

 

「申し訳ありませんが帰っていただけますか?私どもはもう誰とも関わりたくないのです」

 

「そんな・・・・・・・」

 

「どういうこと?昭は良くて僕達は受け入れられないと言うこと?」

 

「いいえ、そうではありません。昭様は特別です。あの方は私達の気持ちを受け止め

きってくれた、それだけで十分なのです。」

 

「つまり僕達にはそんな事は無理だと言っているのね?」

 

長老さんはゆっくりと頷き、私の目を覗き込んできた

深く暗い眼、怒りや憎しみではなく虚無。心を感じない、ただ虚空を見つめているような眼

疲れ切ってしまった。私の眼でも感じ取れてしまうほど長老さんの心は乾いていしまっていた

それでも、それでも私はこの邑を作ってしまった原因の一つなのだ、諦めてはいけない

 

「それでも私は力になりたいです、どうかお願いします。」

 

「月・・・」

 

私はしっかりと長老さんに顔を向けて頭を下げお願いした。あのひとだって始めはきっと

受け入れてなんかもらえなかったはずだ、それに一度断られたからといって引き下がるなんて出来ない

 

「・・・仕方ありませんね。昭様のご紹介ですから」

 

「あ、ありがとうございますっ!」

 

「それではこちらへどうぞ」

 

「月、変わったわね。強くなった」

 

「え?そ、そんなことないよ詠ちゃん」

 

詠ちゃんは私のほうを見てにこっと笑ってくれた。少し変われたのかな?私

 

「始めは医師たちの補助と怪我人達の介護をお願いします」

 

そういってつれてこられた場所は怪我をした人や病を持つ人を診療している診療所

ここはあの人が一番初めに作った施設らしい。まず一番に命を救うことを考えた。実にあの人らしい

 

「医師の方、申し訳ないがこの御二人は昭殿の紹介でこちらに手伝いに来てくださったのだ

どうか介護の手ほどきをしていただけないか?」

 

「おお、昭殿の!我らが師のご友人の紹介ならば喜んで!」

 

「よろしくおねがいします!」

 

紹介を受けた医師の方はどうやらあの人のご友人の弟子らしい

私達に握手を求め、包帯の巻き方から緊急の処置の仕方などを丁寧に教えてくれた

 

「では怪我人の包帯を取り替えてもらってよろしいですか?回収した包帯は熱湯に入れて

消毒しますので外の甕に入れておいてください」

 

「わかったわ、行きましょうか月」

 

「うん、がんばろうね」

 

私達は一人ずつ包帯の取替えに取り掛かった

傷口をぬぐい、お酒の匂いのする不思議な液体で消毒し綺麗な包帯を巻く。簡単なようで難しい

患者さんになるべく痛みを感じさせないようにやっているつもりだけれど、傷をぬぐわれる患者さんは苦痛の

表情を浮かべてしまう

 

「くうっ!」

 

「あっ、ご、ごめんなさい」

 

「へたくそがっ!もお良いっ!」

 

「ちょっとアンタっ!」

 

「まって、良いの詠ちゃん。ごめんなさい、次はもっとうまくなります」

 

そうだ、私が下手なのがいけない。練習しよう、患者さんが痛くないように、今の私に出来ることを

精一杯やらなくちゃ

 

「ね、詠ちゃん。後で練習付き合ってくれないかな?」

 

「・・・・・・はぁ、仕方ないわね。ホント変わったわ月、だからそんな顔しないで」

 

「なぁ、あんたそんなことなんかしなくてもいいからこっち来て俺たちを楽しませてくれよ」

 

「どうせ慰安婦みたいなものだろう?」

 

「な、なんですってっ!?アンタ達っ!もう一度言ってみなさいっ!!」

 

二人の男性、一人は膝から下の片足が無く。もう一人は左腕が変な方向に曲がり指が二本しかない

その二人が私達に向かい慰安婦だと言ってきた。詠ちゃんはその言葉に私が穢されたと思ったのだろう

二人につめより手を上げようとしていた

 

 

「やめてっ!詠ちゃんっ!」

 

「月っ!でもっ!」

 

「どうした?やらないのか?せっかく楽しめると思ったのに、お前達が手を上げれば遠慮なく

お前達を好きなように出来たのに」

 

「まったくだ、俺たちにきっかけをくれよ。どうせ無くすものなんか無いんだ」

 

乾いてる。私はそう思った、あの人でも彼らの苦しみを受け止め続けることしか出来てないんだ

この人達を立ち直らせるまでには至っていない、かろうじてあの人の言うことを、心を救ってくれたあの人の

言うことを聞いているだけなんだ、どうしたらいいだろう。

 

(月、笑ってごらん。笑顔は人を安心させる。自分に力が無く、それでも人の苦しみを少しでも和らげたいなら

笑顔を向けて、そして相手を信じることだよ)

 

そうだ、笑顔を、そして信じなければ。私は詠ちゃんみたいに頭が回るわけではない。私に出来る事は

ただ素直に相手を信じることだ

 

「皆さんはそんなことはしません」

 

「そうか?なら試してみるか?俺たちは何でもいいんだ、なんなら俺達のように脚の一つでも失って見るか?」

 

「私は貴方を、貴方達を信じます」

 

「・・・・・・月・・・」

 

信じるんだ、眼を見て、そして笑顔を。私に出来る精一杯のこと、全てを相手に見せなければ

相手だって信じてくれない

 

「・・・・・・ちっ、行けよ。どっちにしろ昭様から争いをするなと言われている」

 

「はい、絶対に次はうまくなります。包帯の巻き方も練習します。行こう詠ちゃん」

 

「え?あ、う、うん」

 

その後、一通り患者さんに包帯を取り替えて長老さんの屋敷に戻ると包帯の練習をしながら

詠ちゃんに怒られてしまった

 

「ごめんね、詠ちゃん」

 

「ほんとよ、あまり無茶しないで。見てるこっちがハラハラするわ!」

 

「うん、でも私皆の力になりたいの」

 

「ちょっとまだやるつもりなのっ?駄目よっ!」

 

「お願い、これだけは最後までやりたいの・・・」

 

「・・・はぁ、まったく!」

 

「詠ちゃん」

 

「そこ、巻き方違うわよ。僕の腕で練習しなさい」

 

詠ちゃんは優しく笑うと腕を私に差し出して練習に付き合ってくれた。

私はやっぱり一人では何も出来ない、でも詠ちゃんとならきっと何でも出来る

 

「孤児院はどうするの?しばらくここにいるつもりでしょ?」

 

「うん、半日で行き来できるから。馬車で眠って一日交代で働くのはだめかな?」

 

「無茶しないでって言ったばかりでしょう?向こうは昭にお願いしましょう、向こうへ

行く運び手に手紙でも渡しておくわ」

 

「うん、でもね孤児院も私達がいないと皆悲しむと思うの」

 

「こればかりは駄目、言うこと聞かないなら戻るわよ」

 

「詠ちゃん・・・」

 

「駄目ったら駄目ー!」と叫ばれて私は仕方なく了承した。

孤児院の事もあるから後一週間しかここに居られない、後は時間があるときにここに

来るしかなくなる。居られる間は私に出来ることを精一杯やろう

 

それから私達は怪我をしている人の包帯を取替え、怪我や病に犯された人達を介護した

次第に介護事態には慣れていったが患者さんや邑の人達との距離は縮まらなかった

私は邑の人達の力になれているのだろうか?あの人が言ったような光に私はなれないのではないか?

わからない、でも諦めるわけにはいかない。私の贖罪の道は始まったばかりなのだから

 

「明後日は最終日よ、ようやく僕も安心出来るわ」

 

「うん・・・」

 

「そんな顔しないで、貴方はよくやったわよ月」

 

「私、許昌に戻ってもたまにここに来ようと思うの」

 

「ちょっと、月。何言い出すのよっ!」

 

ガシッ

 

詠ちゃんが私の言葉を反対した瞬間誰かに脚を捕まれた

脚につかまった手はブルブルと振るえその男の人の顔は真っ青になっていた

 

「たったすけてくれっ!」

 

「ど、どうしました?なにがあったのですか?」

 

「妻がっ妻が急に血を吐き出してっ!」

 

男の人が指差す方向を見ると女性が道端に倒れ口からは大量の血を吐いている

いけないっ!私は急いで駆け寄り頭を抱き上げた

 

「大丈夫ですかっ?!しっかりしてください!」

 

「アンタ医師を呼んできてっ!早くっ!だれかっ!手を貸してっ!」

 

私は急いで心の臓に耳を当て音を確認する。音が弱くなってる、このままじゃ危ないっ

 

「ちょっと!見てないで手伝いなさいよっ!・・・・・・コイツラっ!!」

 

「なぜ助けなければならない?死なせてやったらいい、どうせそいつも怨みと苦しみを持っているのだ」

 

「その通りだ、楽にしてやったらいい」

 

「何言ってるのよっ!何のためにあいつがっ!昭がどれだけ苦しんでこの邑をっ命をっ・・・・」

 

ガフッ!

 

詠ちゃんが叫びだす瞬間、女性は口からまた血を吐いた。血のせいで息が出来ないんだ

鼻まで血が詰まってしまってる、ならっ!

 

「お、おい・・・・・あれ」

 

「ゆ、月・・・・口で血を・・・・・・」

 

口の中の血を私が吸い出すしかない、早くしなければこの人は息が出来ず命を落としてしまう

 

「はぁ・・・はぁっ・・・・・・た・・・たすけ・・・て」

 

不安になってる。安心させなければ、笑顔だっ笑顔を作るんだこの人を救うために

 

「大丈夫、必ず助けます。安心してください」

 

「・・・あ・・・あり・・・・・・が・・・と」

 

うまく笑顔になっているだろうか、少しでもこの人に安心を与えられただろうか

信じろ、信じて、この人が助かることも信じるんだ

 

「患者はどこですっ!?」

 

「あ、あそこよっ!早くっ!」

 

良かった着てくれた。この人は助かる。絶対に助けてみせる

 

「これは・・・体の病魔を取り除くことになるどこか部屋を」

 

「わ、私の店を使ってくれっ!」

 

「俺も手伝うぞっ!何をすればいいっ!」

 

「皆・・・・・すまない、では部屋を借りる。貴方は運ぶのを手伝ってくれ」

 

皆が手を貸してくれる。私も行かなければ、彼女を助けなければ

 

「貴方は御湯を沸かして、それから切開をするから刃物をっ!

部屋には貴方と貴方っそれと旦那のアンタが入って手伝ってっ!」

 

「刃物は湯に着けて消毒する。師匠より頂いた針で局部麻酔を行い病魔の巣食う臓器を取り除く。」

 

「私は何をすれば?」

 

「貴方は、笑顔を。私の手がこの方を救えるよう、信じていてください。それが私に彼女を救う力をくれる」

 

私は頷き、膝枕をして女性に笑顔を向け彼女に安心を与える。そして医師さんを信じる

それが私の出来る精一杯、だから、だから私は・・・・・お願い、この人を救ってください

 

「これより術式を開始する。」

 

詠ちゃんはそっと私の手を握ってくる。私に笑顔を向けて、私の笑顔が曇らぬように

ありがとう詠ちゃん、ありがとう神様。私にこんな素晴らしい友達を与えてくれて

 

医師は少女のまなざしと笑顔に導かれ、流れるように体を切り裂き、病巣を除去していく

信じれらている、それがこれほど自分に力をくれるのか。私が彼女の笑顔を、信頼を裏切ってはならぬ!

 

「・・・・・・術式終了。」

 

「妻は、妻はっ」

 

「大丈夫です。成功しました。後は診療所で投薬治療をします。」

 

「あ、ありがとう・・・・・・ございます、あり、がとう・・・・ううぅっ・・・ううううううう」

 

その言葉に私は、私は涙が止まらなかった。よかった、本当によかった

 

「詠ちゃん、えいちゃん、えい・・・ちゃ・・・・・」

 

「うん、月がんばったね」

 

「ううぅ、ありがとう。たすかってくれてありがとう・・・ううっぅ」

 

「泣かないで月」

 

「うん、うん・・・ごめんね、ごめんね詠ちゃん」

 

詠ちゃんはずっと優しく頭を撫でていてくれた。それから気が抜けた私は

気を失ってしまったらしく、気がついたら長老さんの部屋で寝ていた。

詠ちゃんから聞いた話では皆で私を運んでくれたらしい、誰が私を運ぶかで

喧嘩になりそうだったけど詠ちゃんが「アンタ達なんかに僕の月を触らせるわけ無いでしょっ!」

と一蹴してしまったらしい

 

 

「今日で最後だね、詠ちゃん」

 

「そうね、なんだかんだで濃い日々を送らせてもらったわ」

 

今日で最終日、戻ってしまえばなかなかこられない。悔いを残さないよう今日もがんばろう!

 

「おや?月さまではありませんかっ!今日も診療所へ?」

 

「えっ?」

 

「お待ちしておりました。私どもも手伝います。どうぞ何でも言いつけてください」

 

「ささっ!こちらへっ!」

 

「あっあのっ・・・へぅ」

 

月は皆に囲まれ診療所へと入っていってしまう

 

「ふぅっ!まったく現金ねぇアイツラは」

 

「そうでもありませんよ詠様」

 

「長老、どうしたのいきなり詠様だなんて?長老もあいつらと一緒?」

 

「フフフッ、あの方と貴方様はそれだけのことをなされたという事です」

 

「僕はなにもしてないわ、全部月がしたことよ」

 

「昭様は言っておりました。月様は強い光、だが光だけではいつか燃え尽きてしまう、それを支えるものが詠様だと」

 

「なにをいってるんだか、アイツ眼が腐ったんじゃないの?」

 

「フフッ、昭様は我らの業を取り除いてくださった。しかしそれだけでは人はなかなか立ち直ることが出来ません

しかし月様と詠様は我らに心を与えてくださった。この乾いた老骨の心が温かいもので満たされる」

 

「甘いのよ、アイツが苦しんで影で泣きながらアンタらの気持ちを受け止めてきたので立ち直りなさい

アイツの眼にはアンタらの苦しみが直に入ってるはずだわ」

 

「その通りでございます。昭様の優しさに甘えていただけ、あの方にも悪いことをしてしまった」

 

「謝る必要はないわ」

 

「華琳っ!」

 

「そ、曹操様っ!」

 

「昭は望んでその道を歩んでいる。そのことに後悔するような人ではない」

 

「は、しかし・・・」

 

「いいのよ無徒、この邑も昭が作ったもの。そのくらいの覚悟は出来ている」

 

「ところで華琳、アンタなにしに来たのこんなとこに」

 

「孤児院と一緒よ、私が見てないと昭は無理をしてその身を滅ぼすわ」

 

「まったく、アイツは皆に心配かけてるわね」

 

「話を聞いたわ。月に似合うと思ってもって来たの、あの子の服血まみれだったしちょうど良かったわね」

 

「ちょ、ちょっとなにこれ?こんなヒラヒラしたの着ろって言うの?」

 

「めいど服というそうよ、月は喜んで着てくれたわ」

 

診療所の奥では着替えた月が皆に囲まれ赤い顔をしていた

 

「はぁ・・・」

 

「フフフッ、詠様。私の名は張奐、真名を無徒、どうぞ御預かりください。この邑にて貴方達をいつでも

歓迎いたしましょう」

 

「ありがたく受け取っておくわ、また来ることになりそうだし」

 

そういって月の方に目を向けると赤くなりながらこちらに走ってくる

 

「詠ちゃーん、皆が手伝ってくれるって」

 

「そうですよ!詠様、聖女様が仰るとおりです」

 

「え?聖女?ちょっと僕の月に何勝手に変な呼び名けてるのよっ!」

 

「どうやら心配はいらなかったようね、後は頼むわ無徒」

 

「はい、私達は聖女様と共に必ずや魏に報いましょう」

 

こうして私の邑での一週間は終わった。理想を貫くために現実を苦しみ生きる、そのことを

強く感じさせてくれた、そして人の心を信じることの大事さを学んだ。これからも私はあの人と

同じ、いや似た道を歩む。その道はとても似ているから、交わることもあるだろう

そのときは成長した私を見て欲しい、貴方の眼に評されたように強い光となった私を

 

 

 


 
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