No.123003

真・恋姫無双アナザーストーリー 雪蓮√ 今傍に行きます 第7話

葉月さん

7話目になります。
今回のお話はちょっと会話が多いです
色々試行錯誤して書いているので、書き方が変わると思いますが生温かい目で見てください。
それと、誤字もいっぱいあるとおもうのでorz
それでは、積極的になった雪蓮を見てください!

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2010-02-07 22:17:38 投稿 / 全17ページ    総閲覧数:10696   閲覧ユーザー数:8064

真・恋姫無双アナザーストーリー 

雪蓮√ 今傍に行きます 第7話

 

 

 

 

夢、夢を見ている……

 

そこは城内の広場に設置された休憩所

 

「姉さま!また昼間からお酒なんて呑んで!」

 

「いいじゃないのよ別に」

 

「よくありません!か――も何か言ってよ!」

 

「残念、か――は共犯よ♪」

 

「な!」

 

「ご、ごめん蓮華……」

 

「うふふ、さあ、どうする?蓮華」

 

「うぅ……もう知りません!、冥琳に報告に行きます!」

 

「あー、ずるいわよ!そこで冥琳を出すなんて!」

 

「仕事もせず、お酒を呑んでる姉さまがいけないんです」

 

「違うでしょ、私がか――といちゃいちゃしてて嫉妬してるんでしょ」

 

「ち、違います!」

 

「随分と賑やかですね雪蓮……」

 

「あ、冥琳、やっほー」

 

「やっほーじゃありません、さ、行きますよ」

 

「ちょ!そんな引っ張らないでよ冥琳!た、助けてか――っーーーー!」

 

「大丈夫です、ほんの一刻ほどお話を聞いてもらうだけですから」

 

「いやーーーーーー!」

 

――ジリリリリ……

 

「いやーーーーーー!……あ?」

 

目を覚ますとそこは自分のベットの上だった

 

「はぁ~、途中までいい夢だったのに」

 

雪蓮は起き上がりカーテンを開けた

 

「ん~!今日もいい天」

 

(ズキンッ!)

 

「う!……あ、頭が……痛い」

 

雪蓮は頭を押さえ蹲った

 

「な、んなのよこれは……はぁ、はぁ、う……」

 

雪蓮は這いずりながらベットに横になった

 

(な、なにこれ頭の中に何かが流れ込んで……)

 

雪蓮の脳裏にはうっそうとする森の光景が映し出されていた

 

(これはなに?どこかの森?)

 

場面は次々へと切り替わり

 

(あれは、お墓?あそこに居るのは……私?)

 

そこで光景は途絶え頭痛も治まった

 

「はぁ、はぁ……お、治まったみたいね」

 

雪蓮はゆっくりと起き上がった

 

「何だったのかしら今の光景は……それに、なんであんな森の中を……」

 

「雪蓮ーー!もう起きたの?学校遅刻するわよ!」

 

判らないことだらけであったが、母親の一声で我に帰った

 

「やば!早く着替えなきゃ!あ~!髪の毛がボサボサ~整えてる時間が無いよ~~~」

 

「雪蓮?あんたなにして……その頭なんだい、起きたばっかかい?」

 

「あ、母さん!違うわよ!そんなことより!髪の毛すばやく梳かす方法しらない!?」

 

「はぁ~ちょっと待ってなさい」

 

「急いでよ!」

 

「はいはい」

 

母親は呆れたように部屋から出て行き髪の毛を梳かすための道具を持ってきてくれた

 

「これでよし、ほら、1分もかからなかっただろ」

 

「すごい、こんな方法あるなら早く教えてよ」

 

「聞かなかったから教えなかっただけさ、ほら、それより早く学校に行きな」

 

「そうだった!行って来ます!それと学校じゃなくて学園よ!」

 

「まったく、どっちも一緒だろうにね」

 

母親はやれやれと手を腰に当てて雪蓮を見送った

 

「この調子なら遅刻しないで済みそうね」

 

雪蓮は少しひんやりした朝独特の空気を吸い込みながら学園へと急いでいた

 

「あ、一刀だ……よーし♪」

 

雪蓮は前を歩いていた一刀を見つけ走る勢いをあげた

 

「か~ずと!」

 

「うわ!っとっと!」

 

雪蓮は一刀の後ろから思いっきり抱きついた

 

「おはよ一刀♪」

 

「おはよう雪蓮、元気だね」

 

「もちろん、私はいつも元気よ♪」

 

「今日はいつにもまして元気な気がするけど?」

 

「そう?気のせいじゃない、うふふ」

 

「あ、あの、そろそろ降りてくれないかな」

 

「あら、なんで?」

 

「歩けないし、その……」

 

「ん?なにかしら?」

 

「背中に当たってるんだけど……」

 

「うふふ、当ててるのよ、それ♪」

 

(もう、一刀ったら可愛い!)

 

雪蓮が一刀をからかっていると

 

「あーーー!一刀君だ!おっはよ~~~!」

 

「あ、優未さ、優未、おはっ「とう!」?!」

 

優未もまた一刀に飛びつき横から抱きついた

 

「ちょっと優未?一刀が恥ずかしがってるじゃない、離れなさいよ」

 

「なに言ってるのよ、雪蓮こそ離れなよ~」

 

「いやよ、最初に抱きついたのは私なんだから」

 

「そんなの関係ないも~ん、ね!一刀君!」

 

「え?あ、うん?」

 

「ちょっと一刀?私と優未のどっちを取るのよ!」

 

「そうだよ、どっち?」

 

「ええ?!」

 

「はぁ~、あなた達、こんな道路の真ん中でなにイチャイチャしてるのよ」

 

「あ、琳おはよう」

 

後ろに振り向くと琳が片手を腰に当てて呆れていた

 

「あら、琳じゃない、おはよう」

 

「うげー、なんであんたが居るのよ~」

 

「あら、つれないわね、優未?それと、いい加減名前を呼んでくれないかしら」

 

「いやよ、私あんたのこと嫌いだもん」

 

「あらあら、随分と嫌われたものね、残念だわ」

 

しかし、琳はさほど残念がってはいなかった

 

「それよりいい加減一刀を放したらどうかしら?彼、顔が青くなってるわよ」

 

「「あ……」」

 

「ぐ、ぐるじぃ……」

 

雪蓮が首に抱きついたままだったので一刀の首を絞める状態になっていた

 

「ちょっと一刀!大丈夫?」

 

「ああん!一刀君!しっかり!」

 

「だ、大丈夫だから、で、出来ればは、離れて……」

 

「え~!いやよ~、一刀と離れたくな~い」

 

「ぐぅ!な、ならせめてく、首絞めないでっ!はぁ、はぁ」

 

「ぶ~、それじゃ、ここなら良いでしょ♪」

 

雪蓮は一刀の左腕を取り抱きしめた

 

「まったく、朝っぱらから見せ付けるわね」

 

「へへーんだ、いいだろ~」

 

「……ねえ、雪蓮」

 

「ん~?なに?左腕は譲らないわよ」

 

「違うわよ、ちょっと優未を借りたいんだけど」

 

「なんで、私があんたなんかと一緒にならないと「いいわよ♪」っ!雪蓮ひどい!」

 

「だって~、一刀を独り占めしたいし♪」

 

「ありがと、さ、行きましょうか」

 

「ふーんだ、そう簡単に一刀の腕は放さないんだから!」

 

「あら、簡単なことよ、ふふふ、覚悟なさい」

 

「雪蓮のバカ~~~~~~~!」

 

「さ、優未、私と楽しくお話しましょうか」

 

「じゃね~、学校で会いましょ、優未♪」

 

優未は琳に首根っこをつかまれ連れられて行ってしまった

 

「い、いいのかな、優未をほっておいて」

 

「大丈夫、大丈夫」

 

「いいのかな~」

 

「いいの、いいの、さ!行きましょ一刀♪」

 

雪蓮は一刀の腕に抱きつき学園へと向った

 

「しぇ~れ~ん~~~~~!」

 

教室に着くと優未がゆらりと現れた

 

「あら、意外と早かったわね」

 

「あら、意外と早かったわね、じゃな~~い!酷いよ!私だって一刀君と一緒に登校したかったのに!」

 

「あら、恋は早い者勝ちよ」

 

「ぶ~、いいもん、今日だって一刀君にお弁当作ってきたんだから!」

 

「なんですって!……私も早く起きればよかったわ」

 

「ふふーん、3年間お弁当の私をなめるなよ!」

 

「わ、私だってお弁当くらい作れるわよ」

 

「あ、あの……」

 

「え~、雪蓮がお弁当~?無理無理」

 

「言ったわね、見てらっしゃい絶対、一刀に美味しいって言わせるんだから」

 

「天音様、音無さん……」

 

「なら一刀君が美味しいって言ったら雪蓮が言ったこと一つだけ聞いてあげるよ」

 

「あら、そんな約束していいのかしら?」

 

「せ、先生が来てますよ……」

 

「望むところよ!」

 

「後悔させてあげるわよ優未」

 

「あ、先生が……」

 

「ほほう、どう後悔させてくれるのかしら?」

 

「そりゃもう……え?」

 

「あ……」

 

「あなた達、とっくに授業開始のチャイムは鳴り終わったんだけどな~」

 

「「あ、あはははは……」」

 

「罰として今日の授業はあなた達ばかり指名するからそのつもりでいなさい」

 

「ええ~!」

 

「なにかしら音無さん、なんなら放課後のお話会でもいいわよ?」

 

「っ!いいえ!是非、指名してください!」

 

「うんうん、素直でよろしい、天音さんもいいわね」

 

「は~い、わかりました」

 

「よし、それじゃ授業始めるわよ~、今日は確か、黄巾の乱からだったわね」

 

担任教師は教壇に戻り授業を再開する

 

「も~、雪蓮のせいなんだからね!」

 

「あら、私のせいなのかしら?」

 

「そうだよ!あの時、雪蓮が華澄にいいなんて言わなければ!」

 

「お~と~な~し~さ~ん~~」

 

「げ!せ、先生……」

 

「いい度胸ね、それじゃ、黄巾党の発起人である人物を言ってもらおうかしら」

 

「え、え~っと……ちょう……張……梁?」

 

「はい残念、惜しいわね、それじゃ、天音さん」

 

「張角だったかしら?」

 

「はい、その通り、音無さんが言ったのは弟の方ね、もう一人は張宝」

 

「うぅ~、不覚」

 

「ちゃんと勉強してるの?」

 

「してるよ~……たまに」

 

「それはご立派ね」

 

「う~!こうなったらお昼に一刀君に慰めてもらうからいいもん」

 

「も~、雪蓮ったら急に積極的になってやっぱり、あれが原因だったのかな」

 

授業が終わり自宅に戻ってきた優未

 

「でも、お昼は一刀君にお弁当食べてもらえたし、ま、いっか!」

 

「何が良かったのだ?」

 

「うわ!ひ、卑弥呼様!急に出てこないでくださいよ」

 

「ふむ、そのつもりは無かったんだが、気をつけよう」

 

卑弥呼は反り上がった髭を整えながらうなずいた

 

「今日はどうしたんですか?」

 

「うむ、前に言っていた曹孟徳のことが判ったのでな」

 

「わかったんですか!」

 

「うむ、どうやらあの曹操殿は魏が天下をとった外史の曹操殿のようだ」

 

「え、それってどういうことですか?」

 

「これを見てみるが良い」

 

卑弥呼はどこからとも無く銅鏡を取り出し優未にみせた

 

「……」

 

銅鏡は淡い光を発し始め映像が映り始めた

 

『一刀……一刀っ!』

 

「これって……一刀君?」

 

「うむ、この話をするには彼女に来てもらったほうが良いと思ってな」

 

「彼女?」

 

「うふふ、はじめましてかしら、太史子義さん、ここでは音無優未さんとお呼びしたほうがよろしいかしら?」

 

「えっと……どちら様?」

 

「私は管輅と申します。この銅鏡に映し出された映像のご説明を致しましょう」

 

管輅は優未に説明を始めた

 

「それじゃ、一刀君はその大局に背いたからその世界から消えちゃったってこと?」

 

「はい、そして、外史の終端によりあの世界も終わりを迎えました。しかし、終わりがあれば始まりもある。あの世界が終わったことによりあらたな外史が生まれました。」

 

「それがこの世界?」

 

「はい。ですが、外史には二つの物語が生まれることはありません」

 

「え!それじゃ、この世界は?」

 

「そうです。イレギュラーに生まれた外史です。よってまだ不確定なことが起こる可能性も否定出来ないのです」

 

「そんなことが起こる可能性は普通無いんじゃないんですか?」

 

「そのはずです。一体なにが原因で「それは私が説明しようかしらん?」あら、お久しぶりですね」

 

「うふ、管輅ちゃんも元気そうね、安心したわ」

 

「貂蝉さんも相変わらずのお体で。お元気そうでなりよりです」

 

「……なんで普通に出てきてくれないんですか、卑弥呼様も貂蝉様も……」

 

「あら、私は普通に出てきたじゃないのよん」

 

「どこが行き成り背後に現れて普通なんですか」

 

「ふふふ、相変わらずのようですね貂蝉さん」

 

「それじゃ、あの華澄もその時の記憶を持ってるんですか?」

 

「それは判らないですね、孫策さん見たいに卑弥呼さんの力を使って記憶消去を間逃れたわけではないですからね」

 

「でもあの様子は変ですよ、一刀君に会って直ぐに買い物に誘われたんですよ?それに行き成り呼び捨てでお互い呼び合ってたししかも自然に!」

 

「あらあら、優未さんはヤキモチでもやいているのですか?」

 

「そ、そんなんじゃないですよ!一刀君はそんなだれかれかまわず、女の子と……イチャイチャなんて……」

 

「そう言えば、蜀に居たご主人様はいっぱい女の子とイチャイチャしてたわねぇ」

 

「う゛……」

 

「あら、それを言ったら魏でもそうだったようですよ、『魏の種馬』なんて呼ばれてたくらいですから」

 

「う゛う゛……」

 

「ふむ、それを言ったら「あー!卑弥呼様まで言わなくて良いですから!」だそうだ」

 

「それに、この世界でもそれなりにご主人様のこと好きになってる子は居るのよん」

 

「知ってますけど……」

 

「まぁ、その話は置いておきましょう。曹操殿……ここでは華澄琳ちゃんでしたね、とにかく彼女にはあの世界での記憶が無いのは確かです」

 

「では本能的に感じ取っているということか」

 

「その可能性は大いにあります。なんせ魏の覇王と呼ばれていたのですから」

 

「それなら学園でのことは私と優未ちゃんとで監視をするわ、学園外では管輅ちゃんとお師匠様にお任せしてもいいかしらん?」

 

「ええ、お任せください」

 

管輅は口元に手を当てて微笑みながら言った

 

「ふむ、それが妥当なところであろうな、それでよいな太史よ」

 

「いいですよ、どうせ、私は一刀君と雪蓮しか見ませんから!華澄は貂蝉様に任せます!」

 

「あら、ものすごい敵視してるわね」

 

「そりゃそうですよ!だってあいつのせいで雪蓮は毒矢で死んだんですよ!」

 

「……卑弥呼さん?あの事はお話になっていないのですか?」

 

卑弥呼は黙って頷いた

 

「?あのことってなんですか?」

 

「あの毒矢での暗殺は曹操殿の意思では無いということよ」

 

「え?!どういうことですか!だって、あれは攻めてきた時で!」

 

「ええ、孫策殿たちが打ちこぼした許貢の残党による命令無視だったようですね」

 

「そんな……」

 

「ですが、それは呉で起きたお話。魏では正々堂々と孫策殿と曹操殿は戦いました」

 

「落ち着くのだ太史、今はこの状況についてだ」

 

「そうですね。それともうひとつお話しないといけないことがあります」

 

「ん?何だというのだ管輅よ」

 

「ふふふ、ほんとこの外史はありえないことが起きますね」

 

管輅は笑いながら優未を見た

 

「?」

 

「どうやら優未さんのライバルがまた増えそうですわよ」

 

「えええ?!ど、どういうことですか、管輅さん!」

 

「あらん?もしかして……」

 

「その通りですよ貂蝉さん、どうやらあとお二人こちらの外史に居るみたいですよ」

 

「ふ、二人も?!」

 

「あら、それならあの二人かしらね、なんせご主人様一筋だった二人だもの」

 

「ひ、一筋?!」

 

「太史よ驚きすぎだ」

 

卑弥呼は呆れたように優未に言った

 

「だ、だって二人ですよ二人!あ、ありえな~~~い!」

 

「と言う事は、すでに学園に居るということかしら?」

 

「ええ、居ると思います。やはり、北郷さんはなにか秘めた力でもあるのでしょうかね」

 

「管輅さん!笑い事じゃないですよ!」

 

「あら、ごめんなさい。でも、管理者である私たちにはどうすることも出来ませんもの」

 

「そ、そんな~~~」

 

優未は両手で頭を抑え天を仰いだ

 

「さて、わたくしはそろそろお暇させていただきましょう。何か相談があればいつでもわたくしの所に来てくださいね、優未さん」

 

「あ~~、……え?あ、は、はい!わかりました……どこに行けば?」

 

「ああ、そうでしたね。しばらくここで占いをしているので気兼ねなく来てくださいね」

 

管輅は優未に一枚のチラシを渡した

 

「では、我々も帰るとしよう」

 

「そうね、理事長である私が学園を空にするのも悪いわね、それじゃ優未ちゃんまた学園で会いましょ」

 

貂蝉は優未に投げキスをしてベランダに向った

 

「またですか!普通に帰ってくださ「ぶるぅああ!」って!言ってるそばから!」

 

「あ~、今日も疲れた。未だに、不動さんに一本も取れないよ」

 

一刀は一人、校舎内を歩いていると

 

「うんしょ……うんしょ……わ、!わわわ!」

 

「え?」

 

階段に差し掛かった時、上から危なそうな声が聞こえてきた

 

「わ!っとっと、ふぅ……危な……っ!あ~!わわわ!……あれ?」

 

ふと、背中に固いものを感じた少女は振り向くと一刀が支えていた

 

「ふぅ、危ないところだったね」

 

「えっと、どうも……」

 

「うん、どう致しまして、これどこに運ぶの?」

 

「え?美術室です、けど、あ!待ってください!」

 

「女の子が一人でこんな重たいの運ぶのは危険だよ」

 

「で、でも、私が頼まれた仕事ですから!」

 

「でも、階段でフラフラだったよ?」

 

「う……それは~……え、えへへ」

 

「気にしなくていいから、いくら日が延びたからといっても女の子が遅くまで居たら危険だよ、早く済ませちゃおう」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

一刀と少女は美術室へと向った

 

「あ、ありがとうございました!」

 

「いいって、気にしないでよ」

 

「で、でも……」

 

「気にしない、気にしない、それじゃね」

 

「あ!……行っちゃった。優しい人だったな~、確かうちのクラスの友達が言ってたっけ、なんでもすっごい優しい人が同学年に居るって、確か名前は……北郷一刀、さんだったかな?」

 

一刀が居なくなったほうを見て少女は呟いていた

 

「えへへ、確かに優しかったな、今の人が一刀さんだったらいいな」

 

少女はうれしそうに頬に手を当ててクネクネしていた

 

「あ、いけない!先生に報告に行かなきゃ!」

 

少女は来た道を戻り職員室へと向っていった

 

「か~ずと!おはよ♪」

 

前を歩く一刀に挨拶をする雪蓮

 

「おはよう、雪蓮、今日は随分とご機嫌だね」

 

「ふふふ♪そう見える?」

 

「ああ、何かあったの?」

 

「秘密、後でのお楽しみよ」

 

「そっか、それは楽しみだな」

 

「あ、!一刀君!おはよ!」

 

「おはよ優未」

 

「うん!おはよう!」

 

「ふふふ、おはよう優未、昨日の話覚えてるわね?」

 

「覚えてるよ、まさか本当にやるつもり?」

 

「当たり前よ、約束忘れるんじゃないわよ」

 

「望むところよ」

 

「あ、あの、二人とも?どうしたの?」

 

「なんでもないわ。ね、優未」

 

「うん、なんでもないよ、気にしない、気にしない♪」

 

「う、うん」

 

「本当、昨日といい今日といい賑やかね、あなた達は」

 

「でたな!ラスボス!」

 

「誰がラスボスよ、どうやら、まあお話が足りなかったかしら?」

 

「ふん!そう簡単に琳につかまるわけ無いでしょ!」

 

「「「……」」」

 

「あ、あれ?三人ともどうしたの?」

 

「優未あんた、いつから名前呼ぶように?」

 

「え?!い、今私名前呼んだ?」

 

「ああ、琳って」

 

「う、嘘~~~~やだ!なんで!くぅ~~、不覚!」

 

なぜか悔しがっている優未に琳は

 

「ふふふ、いいわ、その顔ゾクゾクしちゃう、雪蓮?また優未を借りるわよ」

 

「え、ええ……」

 

「ぬぬぬぬぬ~~~……あ、あれ?」

 

「さ~、また私とお話しましょうね、ゆ・う・み♪」

 

「いや~~~~~~~」

 

小さくなっていく優未と琳をただじっと見ていた

 

「……私たちも行きましょうか」

 

「そうだね」

 

雪蓮と一刀は見なかったことにして学園へと向った

 

「さぁ!食べて!一刀♪」

 

「こ、これをかい?」

 

「そうよ、丹精籠めて作ったんだから!」

 

「か、一刀君、無理に食べなくても良いんだよ?」

 

優未の顔もいささか引きつっていた

 

「だ、大丈夫だよ優未。そ、それじゃ頂きます」

 

「うん、食べて食べて♪」

 

「ぱく、もぐもぐ……」

 

「どうどう!美味しい?」

 

雪蓮は目を輝かせて一刀を見ていた

 

「うん、お、おいしい、よしぇ・れ・ん」

 

「本当!?本当においしかった?」

 

「あ、ああ、お、おいしかったよ」

 

「一刀君……男だよ……」

 

「どう、優未!一刀美味しいって言ったでしょ?」

 

「あ、お、俺部室に顔出さないといけなかったんだ、ごめん、雪蓮に優未先に戻るね」

 

「うん!また作ってくるからね一刀♪」

 

「た、楽しみにしてるよ」

 

「あ、それなら一刀君これもっていって!」

 

「ありがとう優未」

 

一刀は顔を引きつらせながらも笑顔で答え部室へと向っていった

 

「さ、優未、一つ言うこと聞いてもらうわよ。ふふふ、何にしようかな」

 

「……雪蓮さ、これ味見した?」

 

「え?してないけど?」

 

「食べてみなよ」

 

「なによ、一刀が美味しいって言ったんだから美味しいに……っ!げほげほ!しょっぱい!」

 

「はぁ~、やっぱりね。一刀君無理して食べたんだよ、雪蓮一度も料理したこと無かったでしょ」

 

「うぅ~、ないけど……」

 

「あとで、ちゃんと謝らないとダメだよ」

 

「はい……」

 

(ま、仕方ないよね、こればっかりは)

 

優未はやれやれといった感じで雪蓮を見ていた

 

「まだかな一刀……」

 

「部活も終わった頃だしそろそろだと思うよ」

 

雪蓮と優未は校門の前で一刀を待っていた

 

「あら、あなた達こんな所で何をしているのかしら?」

 

「げっ!なんで琳がこんな時間まで居るのよ!」

 

「私は自習よ、ここの学園の学力はそこそこだけど、もう少し上を習いたいからね」

 

「勉強熱心だことで」

 

「それは褒め言葉としてとっておくわ。で?あなた達はなんでこんな所で一刀を待っているのかしら?」

 

「っ!一刀君のことなんて一言も言って無いのにどうしてわかったのよ!」

 

「やっぱりね」

 

「あ……かまをかけたわね!」

 

「本当にわかりやすい子ね優未は……ところで、今朝とは違ってなんで雪蓮は落ち込んでいるのかしら?」

 

「あ……それがね」

 

優未は琳に昼間のことを伝えた

 

「はぁ~、そう言うこと、通りでお昼の一刀の様子が変だったわけだ」

 

「っ!一刀はなんて言ってたの!」

 

琳に詰め寄った雪蓮

 

「お、落ち着きなさい、まったく……嬉しそうにしてたわよ、顔を引きつらせながらね」

 

「うれしそうに?」

 

「ええ、雪蓮が俺の為に初めて作ってくれたお弁当を食べたってね」

 

「一刀……」

 

「まったく、どこまでもお人よしね、一刀は……でも、嫌いじゃないわ、私が食べちゃいたいくらいにね」

 

「ダメ!一刀君は琳なんかに渡さないんだから!」

 

「あら、それを決めるのはあなたではなくて一刀でしょ?」

 

「う……そうだけど」

 

「あれ?三人してこんな所でなにしてるんだ?」

 

「あら、一刀今帰り?」

 

「ああ、部活も終わったからな」

 

「一刀君、お疲れ様~」

 

「うん、ありがとう優未」

 

「あ、一刀……」

 

「?どうしたんだ雪蓮、元気ないみたいだけど」

 

「あ、あの昼間はごめんなさい」

 

「え?なんのこと?」

 

「お弁当……しょっぱかったでしょ?」

 

「あ……う、うん、でも、おいしか「嘘言わないで、本当のこと言ってよ!」……ごめん」

 

「あ!ううん!一刀が謝ることじゃないでしょ!私が味見しなかったのがいけないんだし」

 

「それでも、ごめん……でも、うれしかったよ、お弁当作ってきてくれて」

 

「一刀……もうだめ!か~ずと~~~!」

 

「うわ!」

 

「「ああ!」」

 

雪蓮は感動のあまり一刀に抱きついていた

 

「ちょ!雪蓮!優未や琳がみてるから!」

 

「そんなの気にしな~い♪一刀だ~い好き!」

 

「こら~~!一刀君から離れろ~~」

 

「いやよ~♪」

 

「一刀……あなたねぇ……」

 

「り、琳さん?どこから取り出したの、その棒!」

 

「ふふふ、秘密よ、さて一刀、貴方にはお仕置きが必要のようね」

 

「なんで?!」

 

「問答無用よ!覚悟!」

 

「あ!こら!一刀君に乱暴するな!」

 

「貴女は黙ってなさい、優未、一刀には思い知らせないとダメなのよ」

 

「ふ、二人とも落ち着いて!」

 

一刀は二人を止めに入ろうとしたが

 

「元はといえば」

 

「一刀君が」

 

「「いけないんでしょーーーー!」」

 

「ぶべら!」

 

「「「あ」」」

 

一刀の両頬に見事に優未と琳の拳が入っていた

 

「い、いい拳だ。ふ、たりとも……」

 

その場でノックダウンをした一刀であった

 

「か、一刀君!ごめんね!」

 

「あ、謝らないわよ私は、一刀のせいなんだから」

 

琳は謝らないといいながらもばつが悪そうにしていた

 

「いいよ、気にして無いから」

 

「大丈夫、一刀?」

 

「いちち、ありがとう雪蓮」

 

雪蓮は濡らしたハンカチを一刀の頬にあっていた

 

「それよりごめんね、ハンカチ汚しちゃって」

 

「気にしないで、悪いのは優未と琳なんだから」

 

「うぅ……」

 

「なんで私が!」

 

「はいはい、静かにね」

 

「ふん!」

 

「もう大丈夫だよ、ありがとう」

 

「ああ、それに暗くなってきたから帰らないと」

 

「あ、本当だ向こうがもう星が見えるよ、一刀君」

 

「もちろん、送ってくれるのでしょ?一刀」

 

「あんたね、殴っておいてなに言ってるのよ」

 

「ははは、別にいいよ、そのつもりだったし」

 

「はぁ~、一刀は甘いわね……でも、そこがいいんだけどね♪」

 

「あ、あはははは、そ、それじゃ行こうか」

 

一刀は照れながら先に歩いていった

 

「あ、待ってよ一刀君!」

 

「まったく、送っていく相手を置いて先に行くってどういうことよ」

 

「ふふふ」

 

雪蓮はそんな二人を見て笑っていた

 

「まったく、素直じゃないわね。琳は」

 

「大きなお世話よ」

 

「あら聞こえてた?」

 

「ええ、はっきりとね、まったく、私もなんであんなやつ好きになったんだか」

 

「あら、好きだったんだ?」

 

「ええ、なぜか判らないけど、もう二度と離れたくないって気持ちがあるわ」

 

「ふ~ん、もしかして前世でなにかあったのか!」

 

「あら、雪蓮はそんな馬鹿げた事を信じているのね」

 

「そうかな、そんなのが有っても良いと思わない?」

 

「非科学的すぎるわ、もっと現実をみることね」

 

「現実的過ぎるのもどうかと思うわよ?」

 

「ほら、二人とも!早く歩きなよ!」

 

前を見ると横断歩道を渡った向こうで一刀と優未が待っていた

 

「あら、話し過ぎて遅れてしまったようね、急ぎましょう」

 

「そうね、一刀が待ってるし♪」

 

雪蓮と琳が横断歩道を渡っていた時だった

 

「っ!う……」

 

(また頭が……こんなところで)

 

雪蓮は頭を抑え立ち止まってしまった、その瞬間、信号は赤に変わり遠くからトラックが猛スピードで走ってきていた

 

「雪蓮!」

 

「一刀君?!」

 

「一刀!」

 

(一刀が走ってくる……あれ?前にもこんなことがあったような……っ!)

 

その時だった、ある映像が脳裏に浮かんだ

 

(あれ、ここは前に見た森の中?……あれはお墓?誰の?なんで私お祈りしてるんだろう)

 

(ああ、そうかこれ、母様のお墓だ、母様って誰だっけ?)

 

(あれ一刀がなんか叫んでる)

 

「雪蓮、危ない!」

 

「っ!?一刀?……キャッ!」

 

一刀は雪蓮をその場から突き飛ばした

 

「いたた、何するのよかず、と」

 

「無事でよかった」

 

「え?」

 

一刀は雪蓮が無事でほっとしていた、が

 

(キキーーーーっ!)

 

その笑顔はトラックにより見えなくなった

 

「え、な、なに?かずと?一刀!」

 

「嘘……一刀君」

 

「そ、そんな」

 

優未の顔は青くなりその場で立ち尽くし、琳は足腰に力が入らなくなりその場で座り込んでしまった

 

「い、嫌ーーーーーーーーーーーーーーーーー!一刀ーーーーーーーーーー!!」

 

雪蓮の声が静かになったその場に木霊していた

 

葉月「はいどうも皆さんこんにち「チェストーーー!」ぐは!」

 

雪蓮「ふぅ……」

 

葉月「い、行き成り何するんですか、雪蓮さん!」

 

雪蓮「それはこっちのセリフよ、なんで一刀が交通事故にあってるのよ!」

 

葉月「あ、そ、そりゃ~」

 

雪蓮「目を見て話なさい」

 

華琳「その話なら私も是非聞きたいわね」

 

雪蓮「あら、華琳じゃないの、いいわよ一緒に聞きましょう」

 

優未「それなら私もだね」

 

葉月「優未さんまでも……」

 

雪蓮「さ、話なさい」

 

葉月「うぅ、それはですね、雪蓮さんの記憶を思い出させるためのものでして」

 

雪蓮「あら、私のせいなのかしら?」

 

葉月「め、滅相もありません!で、ですから南海覇王をおしまいください!」

 

雪蓮「仕方ないわね、で?」

 

葉月「で?とは?」

 

雪蓮「来週の展開よ当たり前でしょ?」

 

葉月「ああ、それでしたら来週はこのお話の続きではありませんよ」

 

雪蓮・優未・華琳「「「は?」」」

 

葉月「ですから、来週の日曜日は何日ですか?」

 

優未「えっと、確か14日……ああ!バレンタインデーだ!」

 

葉月「はい、優未さんの言った通りバレンタインデーです。ですので次回は呉のバレンタインデーによるお話になります」

 

華琳「と言う事は、このお話の続きは二週間後になるということかしら?」

 

葉月「はい、華琳さんの言う通りです」

 

雪蓮「ってことは、私と一刀のあま~い、お話になるのね♪」

 

優未「雪蓮はいいな~、私も呉の将としてだしてよ~」

 

葉月「実際はそうですが、作品内ではいないので却下です」

 

優未「けち!」

 

葉月「けちで結構!」

 

雪蓮「まあまあ良いじゃないの、優未♪」

 

優未「雪蓮はいいだろうけど……ねえ、華琳?」

 

華琳「あら、私はお正月に書いてもらったからどうでもいいわ」

 

優未「う、裏切り者!」

 

雪蓮「はいはい、それじゃ、二週間後に期待ということでいいのでしょうね、葉月」

 

葉月「はい、二週間後には一刀のことや雪蓮のこと、そしてなぞの二人も登場させようかと思っています」

 

華琳「あら、今回のお話で一人出てきたのではなくて?」

 

葉月「……鋭いですね、華琳さんは」

 

華琳「だてに、魏王をやってはいないのよ」

 

雪蓮「そんなのどうでも良いから早くバレンタインデーのお話書きなさいよ」

 

葉月「わ、判りましたから、一々南海覇王を私に向けないでください!」

 

雪蓮「うん♪任せたわよ、それじゃみんな、来週は私の活躍に乞うご期待よ!」


 
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