十九話「迷いの終止符」
急に、この世界で。
そして、てて様が一護の修行に付きっきりで浦原商店ががら空きになった“今”、
一方通行(アクセラレータ)は現れた。
「お茶ぐらい出せや」と言われ、私は慌ててペットボトルのお茶を出し、
お茶請けのお菓子も見繕って、奥の居間で向かい合う。
「アー、喉が渇いてたまんねーよ。こっちも暑いンだな……俺の居た人口島もメッチャ暑かったぜ」
「なんか年々暑くなってきてんの。外出るのもアラーム鳴るよ」
「どっこの世界も暑くなるのは暑いのな。まァ、そんな前置きは置いておいて――ミツケ。テメェ、後継の見習い神になるか迷ってンな?」
心臓が跳ねて、肩がビクつく。
「えっ?! なんで分かるの? だって夜一さんとその話したばっかだよ?」
「俺はミツケが居た世界から出て、もう別の世界で生きてる。オマエが来てくれなきゃ、当麻も織も救われず精神ぶっ壊して死ぬ。俺も駒にされて絶望して終わりだ。オマエが見習い神にならなきゃ成り立たねェ世界が、もうひとつある」
「そ、そんな事言われても……」
「あンな、オマエが思ってるよりオマエの存在はデケェの。アンタの天才的な父親でさえ、オマエの世界渡りを前提に動いてるだろ? あの野郎は能力無しでも辿り着いたろうが……何十年もかかるならオマエを使う。オマエは本物の神みてェなもんだ。いや、これから神になるんだっけな」
言葉のひとつひとつが胸の奥で重く沈む。
「つまり、私は……未来で、かか様とてて様と一方通行(アクセラレータ)達と世界を渡り歩いて存在しているってこと?」
「そう言ってンだろ。ここで両親に守られ過ぎて、研究者だった頃の理解力錆びついてねェか?」
「かもしれない……。私、一方通行(アクセラレータ)を作品扱いしてたし、倫理観まともじゃなかったし……」
一方通行(アクセラレータ)は、ほんとに呆れた顔で私を見た。
「あァ? そんな些細な事で迷ってンか?」
「え?」
「倫理観とかどうでもいい。俺は酷い扱いされた覚えがねェ。問題ねェよ。本当に問題だったのはオマエの研究。あれが俺の世界で大事になった。だから皆オマエの研究についてきたんだ。オマエは一番まともだった。自信持て。否定すンな。オマエを否定したら俺の存在まで否定されるだろうが」
「……そんなの、ズルいよ」
一方通行(アクセラレータ)は肩を竦め、指先でペットボトルを軽く弾いた。
「ズルくねェ。オマエが俺をこう作ったんだ。最後まで責任持て」
胸の奥に刺さっていた迷いの棘が、すとんと抜け落ちていく気がした。
「……うん。ありがとう、一方通行(アクセラレータ)。私――まずは、かか様を探すね」
「あァ。家族で来いよ。オマエだけじゃダメだ。当麻と織を分離できねェからな」
そう言い残し、彼は茶請けを半分ほど摘まむと、さっさと商店を出ていった。
ハッと気づけば、風鈴がまた、やわらかく鳴っていた。
――本当に、会話していたのだろうか。
幻のように思えるのに。
けれど胸の奥が、確かに“肯定”されたと知っている。
私はもう――迷わない。
|
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
BLEACHの二次創作です。
浦原喜助の娘で、成長物語です。
※とある魔術の禁書目録のクロスオーバーです。