No.1193919

蓮が咲き行く道へ十七話

BLEACHの二次創作です。
浦原喜助の娘で、成長物語です。
※浦原喜助視点です。

2026-09-29 11:50:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:19   閲覧ユーザー数:19

十七話「静かなる烈火」

 

 喜助視点。

 

 なんとか痛む体で、店の仕事をこなしていた。

 全身が痛い。

 でも、表には出せない。

 錯乱して暴れた成を押さえる為、死神の力と――おんじサンと契約して得た神力を使い、なんとか抑え込んだ結果だ。

 

 成の潜在能力の規格外さに、正直驚いた。

 もし神力を全開放すれば、成の体が持たないのではとすら思ったほど。

 いずれ修行を付けなければならない。

 もはや避けられない課題だ。

 

 沖サンがいなくなり、精神的な支柱を失った浦原商店は沈鬱な空気に包まれていた。

 だからこそ、今はボクが大黒柱として役割を果たさなければ。

 沖サンが最後に教えてくれた、津井原秋次(あきつぐ)という兄の存在――あれを無駄にはできない。

 どうにかして沖サンのいる世界を特定する。

 成の為にも、必ず。

 

 沖サンが消えた日に部屋を半壊させ、泣き尽くした娘。

 今は一週間、部屋に篭ったままだ。

 立ち直るのは、成自身の力でなければならない。

 ここで手を出せば、成は折れる。

 もどかしくて仕方がないが――親であっても、見守る事しかできない。

 

(成……ここで自分に負けちゃダメっスよ。沖サンの為に、自分で立ち上がるんだ……)

 

 そう願いながら、店の戸を開けた。

 今夜は雨だ。

 雨竜が助け、そして一護が死にかけ、ルキアに救われる――あの夜。

 

 沖サンのいない日常に、嫌気は募る。

 それでもボクは、生きる。娘の為に、役割をこなす為に。

 胸の奥で――運命そのものをぶち壊したいほどの怒りを燃やしながら。

 

 ※

 

 予報された運命通り、雨が降っていた。

 傘を差し、一護のもとへ向かう。

 肩には黒猫の夜一サン。

 

「喜助」

「なんです、夜一サン」

「そなた、大分キレかけておらんか?」

「キレてないっスよ。ただ……全部ぶち壊したいだけっス」

「それをキレてると言うのじゃ。黒崎一護というガキに、その本性を見せるでないぞ」

「見せませんよ……」

 

 ため息を堪えながら、死神達が去った後の現場に到着する。

 血に濡れ、倒れている一護と雨竜。

 

「はぁ……こりゃ治療が必要ッスね。本当、沖サンなら一瞬で終わるんですけど……」

「文句を言うな。ガキが死ぬ前にやれ」

「分かってますよ。黒崎サンもウチを贔屓にしてくれてますし、雨竜サンは大事な店子ですからね」

 

 ――あの日の成の声が蘇る。

 血を吐くように、喉を裂くように泣き叫んだ娘。

 暴走を止めるためとはいえ、気絶させるしかなかった己の判断。

 初めて手を上げた事が、胸に刺さったままだ。

 

 もっと早く感情を吐き出させてやれたら。

 もっと早く向き合わせてやれたら。

 だが、それをしていれば――もっと深く傷付けていたのだろう。

 

 あぁ、もどかしい。

 全てが、もどかしい。

 

 それでも。

 

 ボクの役割は、変わらない。


 
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