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No.1186799
新人さん
1926年(大正最後の年大正15年)5月9日、東京・銀座の松屋デパートで日本初の高層ビルからの飛び降り自殺があったという。享年38歳のこの男は遺書を残していた。自殺の原因は藤江という女性に振られた為らしい。「僕の身は死しても心霊は藤江の身を離れない。そして藤江の兄を恨む、母も恨む、終りに藤江も恨みたい気もする。しかし愛が勝っているようだ。お願いだから一緒の所に葬ってくれ。藤江もそう思ってくれ。僕は今酒を飲む。」 本人には深刻な悩みでも、他人が聞くと滑稽に聞こえるのは、僕が冷酷な人間だからなのだろうか? この男もストーカーになって付きまとった挙げ句、無理心中という殺人を犯さなくて良かったと思うだけだ。僕が薄情なのは、恐らく 生に執着しないからだと思う。執着しないからこそ、自分から死のうと思ったことも一度もない。どうせ死ぬときは死ぬのだ。 平安時代の終わりごろ、人の寿命は50~60歳だったらしいと高校生の頃に聞いた。僕はそれでうっかり「50年くらい生きれば良いかな」と思ってしまい、それに合わせてその後を過ごしてきた気がする。だから織田信長が好きだったという詩に心が惹かれた。『人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか これを菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ』僕はこの詩を人の寿命は50年だと思っていたのだが、のちに「人の世における50年は下天の内の 最下の四大王衆天でも一日にしかあたらない。夢幻のようなものだ」という意味になると教えられた。しかし 人間50年=人生50年だと今でも思っている。順当に行けば ちょうど良い年齢で死ぬチャンスが巡って来たのだが、優秀な医学のせいで生かされてしまった。日本人が長寿なのは、本人に無断で命を延長させているからなのだ。残念ながら もう計画より生きすぎている。子供達からもう少しと乞われたので、自分で 周りの誰よりも健康な体にしてしまった。つくづく一人で外出も出来ない身体なのに馬鹿かと思う。身投げした男は周りの人々を恨んでいたが、僕は断りもなく僕を助けた医療を恨むよ。まだしばらく長生きしそうで参ったなぁー、トホホホホ。
2026-05-09 13:10:13 投稿 / 440×586ピクセル
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1926年(大正最後の年大正15年)5月9日、東京・銀座の松屋デパートで日本初の高層ビルからの飛び降り自殺があったという。享年38歳のこの男は遺書を残していた。自殺の原因は藤江という女性に振られた為らしい。「僕の身は死しても心霊は藤江の身を離れない。そして藤江の兄を恨む、母も恨む、終りに藤江も恨みたい気もする。しかし愛が勝っているようだ。お願いだから一緒の所に葬ってくれ。藤江もそう思ってくれ。僕は今酒を飲む。」 本人には深刻な悩みでも、他人が聞くと滑稽に聞こえるのは、僕が冷酷な人間だからなのだろうか? この男もストーカーになって付きまとった挙げ句、無理心中という殺人を犯さなくて良かったと思うだけだ。僕が薄情なのは、恐らく 生に執着しないからだと思う。執着しないからこそ、自分から死のうと思ったことも一度もない。どうせ死ぬときは死ぬのだ。 平安時代の終わりごろ、人の寿命は50~60歳だったらしいと高校生の頃に聞いた。僕はそれでうっかり「50年くらい生きれば良いかな」と思ってしまい、それに合わせてその後を過ごしてきた気がする。だから織田信長が好きだったという詩に心が惹かれた。『人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか これを菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ』僕はこの詩を人の寿命は50年だと思っていたのだが、のちに「人の世における50年は下天の内の 最下の四大王衆天でも一日にしかあたらない。夢幻のようなものだ」という意味になると教えられた。しかし 人間50年=人生50年だと今でも思っている。順当に行けば ちょうど良い年齢で死ぬチャンスが巡って来たのだが、優秀な医学のせいで生かされてしまった。日本人が長寿なのは、本人に無断で命を延長させているからなのだ。残念ながら もう計画より生きすぎている。子供達からもう少しと乞われたので、自分で 周りの誰よりも健康な体にしてしまった。つくづく一人で外出も出来ない身体なのに馬鹿かと思う。身投げした男は周りの人々を恨んでいたが、僕は断りもなく僕を助けた医療を恨むよ。まだしばらく長生きしそうで参ったなぁー、トホホホホ。