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「改訂版」真・恋姫無双 ~新外史伝~ 第44話

皆さん、お久しぶりです。そして投稿遅くなり申し訳ございません。

今回はいつもよりは少し長いですが、内容的には少々足早になった感があるかもしれません。
それと某人物の処分等に色々あるかもしれませんが、その点はご了承下さい。

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2020-09-09 00:00:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3757   閲覧ユーザー数:3224

記憶が蘇った呂布は自ら一刀に下り、そして一刀の暗殺を試みた華雄を捕虜とした後、華雄隊の兵士の大半を捕虜としたのは良かったが、流石に護衛にいた部隊の人数では手が足りない為、後方部隊を率いていた皇甫嵩らの部隊や本隊も慌てて合流して、一刀たちはこの場に留まり部隊再編並びに捕虜の取り扱い等を行っていた。

 

そんな中、一刀、紫苑、璃々は記憶が蘇った恋から事情を聞いていた。

 

「すると恋は、今日の会談前に俺と会ってみたかったという事?」

 

「うん…以前からご主人様の話を聞いて、心の中が何かもやもやしていたから、直接会ってみようと思った」

 

一刀は何故恋がこの場に来たのか質問したところ、以前から記憶が無い状態でも恋は一刀の事が気になっており、この違和感を解消するにはどうしても一度直接会って話がしたいということで、董卓の許可も得ず無断で函谷関を出たということであった。

 

「今までこんな事が無かったから、何と言ったらいいのかしら…」

 

「まあ恋お姉ちゃんの独特の野生の勘が働いたとしか言い様が無いかも。貂蝉が居たら原因が分かるかも」

 

「貂蝉か…あの筋肉達磨ね…」

 

璃々の言葉に一刀に一瞬苦い表情を浮かべた。

 

「あらご主人様、貂蝉が嫌いですか?」

 

「いや紫苑。嫌いというよりは、元々言われてきた貂蝉のイメージとアレとのギャップがありすぎて未だにそれが受け付けにくいというか何というか……人間的には悪くないのは分かっているんだが……まあこれ以上話をしていると本当にアイツが出てきそうだからこの話はこれで止めておこう」

 

一刀は貂蝉の姿に未だ馴染めないので本当に出てきたら、また話がややこしくなりそうな気がしたので敢えて話を変えた。

 

「それで恋、今回の華雄の行動、知っていた?」

 

一刀の質問に恋は首を横に振り

 

「知らない。でも華雄はご主人様から話が来た時、月に従って一緒に降伏することを言っていた。だから…何故急にご主人様に攻撃したのか分からない」

 

「恋ちゃん。それ本当の話?」

 

紫苑の問いに恋は無言で頷いていた。

 

「一度華雄に直接に聞くか…」

 

一刀の言葉に紫苑や璃々、恋も同意する。

 

「失礼します、一刀様。少しお話が」

 

すると華雄の尋問に当たっていた真里が現れ

 

「実は華雄の事ですが、直接一刀様に話をしたいと言っておりまして…」

 

「それで華雄はそれまでに何か言ったの?」

 

「いいえ、華雄は全てはご主人様の前でお話すると言っており、どうしても面会したいと強情に言い張りまして、碧様の圧迫に対しても引かぬ構えを見せており、このままでは時間の無駄になりかねないと思い相談に…」

 

華雄の尋問に当たっていた碧と真里であったが、華雄は当初から全ては一刀の前で話すということで一刀の面会を要望していたが、先に事情を説明してからの話だとして二人は華雄の要望を却下していたが、華雄は供述を拒否したため、碧と真里が脅したり宥めすかしたりして何とか華雄から話を聞こうとするも華雄は腹を括っているのか、只管一刀との面談を要望するのみであったので、このままでは時間の無駄と考えた真里が一刀に話を持って来たのであった。

 

真里の話を聞いて一刀は華雄の面談希望を聞き入れ直接会話することとし、一刀の元に華雄を連れて来た。

 

華雄が一刀の元に現れると一刀の傍にいる恋を見て頭に血が上り

 

「呂布、貴様!何故裏切った!!」

 

恋は華雄の激高に動じることなく首を横に振り、

 

「恋は月を裏切った訳では無い、月を助けるためにご主人様を助けた。寧ろ裏切ったのは月の思いを無視した華雄、お前だ」

 

「それは……」

 

恋の言葉に華雄は反論することが出来なかった。

 

「さて…華雄さん、では俺と話をしようか。貴女が俺に会いたいということだけど、どういうことかな?さっきまで俺の命を取ろうとしたのに…」

 

一刀がそういうと突然華雄が土下座をして

 

「た、頼む!私の命はどうなってもいい!!今回の事、董卓様は一切係わっていないのだ

!!だから董卓様の命を取らないでくれ!!」

 

華雄はこれまでの態度を一転させ、命を奪おうとした一刀に董卓の助命を願い出たのであった。

 

「その前に何故俺の命を奪おうとしたのか、それを説明してくれないと。助命の話はそれからだ」

 

「……分かった」

 

華雄は自分が呂布や張遼の上の立ちたいという誘惑に負け賈駆の甘言に乗り、一刀の命を

狙ったことを自供した。

 

これを聞いて恋は無言で華雄のところに行き

 

バキ!

 

恋は華雄の顔を殴打していた。

 

「何をするんだ!呂布!!」

 

「何を…それはこちらの台詞。華雄、貴様と賈駆の我が儘で月の命を危険に晒した。だから殴った」

 

「華雄、それに貴女の供述だけで董卓が今回の件、関係していないと言い切れない。だから賈駆や董卓からそれぞれ事情を聞く必要がある。しばらく貴女の身柄を拘束するわよ」

 

事情を一緒に聞いていた真里はこれ以上の乱闘を避ける為、そして更に華雄を調べる必要があったので二人から切り離したのであった。

 

「ご主人様、華雄の話を聞いてどうですか?」

 

「恋や華雄の話を聞いた限りでは董卓自身の関与は薄いと思うが…ただ周りはそうは思わないだろうね」

 

「第三者から見たら董卓がご主人様を騙し討ちしようとしたと思う可能性があるとお考えなのですね」

 

紫苑の質問に一刀は無言で頷いた。

 

「それじゃ…月を助けることは出来ないの?」

 

一刀と紫苑の会話を聞いていた恋は月の心配をするが一刀は

 

「心配しなくていいよ、恋。董卓さんの命は取らないけど、ちょっと話がややこしくなったからこれをどうするか考えないといけなくなったが、多分恋も聞いたら分かるかもしれない手を使うかもしれないな…」

 

一刀の言葉に恋は一刀の意図がまだ理解できていないのか小首をかしげるのであった。

 

そして援軍の再編が終わり、翌日一刀たちは軍勢を引き連れ、函谷関に向かう。

 

軍勢が函谷関に到着すると賈駆は城壁の登楼に現れ、恋の姿を見るなり

「恋!よくも裏切ったわね!!アンタは月がどうなってもいいの!!」

 

昨日逃げ帰った華雄軍の兵から恋により華雄が捕縛された事を聞いていたので賈駆は恋が裏切ったものと思い恋の姿を見るなり罵声を浴びせる。だがそこで一刀が口上を告げる。

 

「賈駆文和!我が名は北郷一刀!!呂布将軍が董卓殿を裏切ったとは笑止千万!!董卓殿の思いを無視して監禁したことこそ董卓殿に対する裏切り行為であり、貴様こそ自分と董卓殿の仲を裂こうとする君側の奸では無いか!!」

 

一刀の口上に軍勢は士気が上がるのに対し、董卓軍は主将である董卓が捕らわれの身となっていることは誰もが知っている状態で一刀が言っていることが事実なので、これでは士気が上がるはずが無い。

 

だが賈駆はまだ抵抗の意思を見せ

 

「わざわざ敵の大将が現れたわ!今こそ狙い撃ちしなさい!!」

 

賈駆は自分の部隊の兵に一刀を射掛けるように指示する。

 

だが一刀らは既に賈駆の考えは既にお見通しで護衛の兵並びに恋に一刀の前に立ちはだかり、恋は方天画戟を回転させ射掛けられる弓矢を弾き飛ばす。

 

逆に予め一刀の後方に控えていた紫苑や璃々たちがスナイパーのごとく一矢一殺で逆に賈駆の兵たちを射殺していく。

 

この攻撃により賈駆の兵はかなり倒れてしまい、ここで漸く賈駆は残る兵が自分の周りにいる兵数名と辛うじて攻撃を逃れた者しかいないことに気付く。

 

最早これまでと賈駆は逃亡することを決断するがそれは時すでに遅しで、恋が方天画戟を槍投げの様に持ち替え

 

「詠…逃がさない」

 

そう言いながら賈駆に向け方天画戟を投げると方天画戟は賈駆の顔面直撃まで数センチというところを通過して関の登楼の天井に突き刺さる。

 

方天画戟が天井に突き刺しているのを見て賈駆は恐怖のあまり、その場に座り込み失禁してしまう。

 

そこで恋は関に残留している自部隊の兵たちに関の開門と賈駆を捕縛する様に合図を送ると一斉に蜂起してすぐさま行動に移すとやがて函谷関が開門されると、そして他の部隊も触発され賈駆の部隊の兵を捕ら、やがて呂布の部隊の兵に賈駆は捕らわれ、董卓たちも無事解放されたのであった。

 

そして一刻後(約2時間後)、関内は落ち着いたので今回の事を詮議すべく維新軍並びに董卓軍の将たちが集まっていた。

 

そして一刀らの前に今回の首謀者である賈駆と華雄に対する詮議が行われ、真里が

 

「賈駆、何故貴女は一刀様と董卓殿の会談を阻み、そして華雄を使嗾して一刀様の殺害を企てたのか、説明して貰おうかしら」

 

「フン!この国が治めるのは月がふさわしいからよ。それなのにあの男(一刀の事)はボクたちが不利な状況を利用して甘言で月を騙して配下にしようとしたのを気に食わないから華雄を利用して殺害を企てた。それだけの事よ」

 

賈駆はもう死刑を覚悟しているのかこの後に及んでも一刀に対しての敵対心を剥き出しにしている。

 

「賈駆…見苦しいわよ。貴女とあろう者がこの後に及んで一刀様を責めるのは筋違いも甚だしいわし、気に食わないのであれば一刀様に仕えずとも下野するなりして、ましては董卓殿を危険に晒すなどして、とても董卓殿の事を想っているとは思えない行為よ」

 

「そ、それは違うわ!ボクは月の事を思い北郷一刀を討ち取ろうとしただけよ!!」

 

皇甫嵩の言葉に反論する賈駆であるが先程の悪態とは違い動揺した表情を見せる。

 

「では改めて聞くわ。貴女が董卓殿を捕縛した時に張遼が貴女に『董卓殿を破滅に追い込めたいのか』という言葉に『それはそれで仕方がない』と言ったそうね。先程貴女が言った董卓殿を思ってという言葉に矛盾しているけどそれはどうなの?」

 

「そ、それは……」

真里からの厳しい追及に賈駆は無言に追い込まれる。

 

「私から聞くわ。賈駆…貴女、董卓殿は降伏を決意したのに臣下であり盟友でも貴女が主君の決意を無視して自分の我を通し主君に危険を負わせる。貴女はそれでも貴女は董卓殿の軍師と盟友と言えるの!答えなさい賈駆文和!!」

 

普段温厚な紫苑が賈駆の身勝手な言い分に激怒して声を荒げる。

 

紫苑から強烈な殺気と言葉を告げられると賈駆は全身をわなわなと震わせている。

 

「紫苑…声を荒げるのは紫苑らしくないよ」

 

一刀からそう言われると紫苑は少々赤面しながら

 

「失礼しました」

 

「さて…賈駆。貴女なりに董卓殿を守ろうとしたつもりだったかもしれないけど、この状態で董卓殿を守ったと言える?」

 

「そ、そんな事アンタに言われたくないわよ」

 

尚も一刀に悪態を付ける賈駆であるが言葉には既に迫力は無い。それに構わず一刀は言葉を続ける。

 

「それは君主である董卓殿に不審な人物を近づける訳にはいかないという気持ちは分かる。だがそれが自分の我儘で君主を危険に晒しておいて軍師と堂々と言えるの?」

 

「……」

 

「もしそれが分かっていないのであればそれは最早軍師とは呼べない。ましては、盟友とも言える董卓殿の真意も分かって上げられないで、それでも董卓殿の盟友なんて言える?それでも貴女がまだ董卓殿の盟友や軍師であると主張するのなら……董卓殿に代わり俺が一度そのふてぶてしい可愛いお顔を剥がして上げようか、貴女に殺されかけた事ですし……」

 

「ヒィ!」

 

一刀の言葉に賈駆は驚きの声を上げる。すると一刀の横に居た董卓が一刀の前に降りそして跪き

 

「御遣い様、此度の事、本当に申し訳ありませんでした。まずは賈駆になり替わり謝罪申し上げます」

 

「月!なんで貴女が謝罪するの、これはボクの問題よ!」

 

まだ震えている賈駆が董卓を咎めるが、董卓は賈駆の言葉にただ微笑を浮かべて、優しい声で答えた。

 

「詠ちゃん、まだ御遣い様を認めたくないみたいだし、私は貴女の君主であるし責任を取らないといけないから」

 

「責任って…まさか!」

 

「御遣い様、配下である賈駆と華雄の今回の不始末、偏に君主である私の責任であります。ですので私の命を差し出ますので二人には格別の配慮をお願い致します」

 

「月!」

 

「董卓様!」

 

「董卓殿 、今回の事、別に貴女に責は無いが」

 

「いいえ、直接関わっていないとは言え配下の者が御遣い様の命を狙った事は事実、君主として責任を負う必要があります」

 

そう言った董卓の目は覚悟をした目である。

 

董卓の只ならぬ雰囲気にいち早く気付いた華雄は

 

「お願いだ!私はどうなっても良い!!頼む!!頼むから董卓様の命を奪わないでくれ!!」

 

華雄は恥をかなぐり捨てて泣きながら嘆願する。

「な……何でここまでするのよ!月!!」

 

「さっきも言ったでしょう。私は君主だし、それに…詠ちゃんと友達だからだよ」

 

「!」

 

董卓からそう言われると賈駆は罪悪感がこみ上げきて、ここで漸く一刀たちに頭を下げ

 

「………ご、ごめんなさい、み、皆、ボクが悪かったの。華雄も悪くない、ボクがそそのかしたら実行しただけなの……ボクは殺されてもいい。だから月や華雄の命を取らないで……」

 

賈駆は泣きながら謝罪した。董卓の真意を見失い、そして軍師の立場では無く自分の我を優先したにも関わらず、それでも董卓は君主として親友として自分に殉じてくれる董卓に漸く申し訳ない気持ちになったからだ。

 

首謀者の二人の謝罪並びに君主である董卓自らの助命嘆願もあり、一刀は董卓の顔を立てることにした。

 

「……分かった。処分は追って告げるが董卓殿の命懸けの助命嘆願に免じ、死罪にはしないことを約束しよう」

 

一刀はそう告げ、ケジメとして一旦賈駆と華雄の二人を牢に連れて行くよう護衛の兵たちに指示をする。二人は抵抗することなくそれに応じ牢に連れられて行く。

 

二人が去ると董卓は再び一刀に頭を下げ

 

「ありがとうございます。御遣い様、私はここで正式に降伏したいと思います」

 

「色々と思うところがあると思うが…その心遣い感謝する、董卓殿」

 

「いいえ、こちらこそご迷惑をお掛けしました。御遣い様も思うところがありましたでしょうが、私の為に気を使っていただいて…」

 

元々碧や翠たちは董卓軍の将たちと元々仲が良いから、向こうがケジメさえちゃんと取ってくれれば必要以上に事を荒立てることが無いと一刀はそう判断したからだ。

「それでだ。董卓殿、今後の事なのだが…」

 

一刀は皆に対し説明すると同時に董卓にある提案をする。それを聞いて皆は驚くが、だが一刀の案は董卓自身が受諾し、それが実行されることになった。

 

 


 
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