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「改訂版」真・恋姫無双 ~新外史伝~ 第39話

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。
今年も引き続き応援よろしくお願いします。

今回は嵐の前の静けさと言った方がいいかもしれません。まあこの後、嵐になるかどうかは分かりませんが…。

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2019-01-09 18:00:02 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3751   閲覧ユーザー数:3139

一刀たちが進軍を開始して最初の目標が天水であった。

 

洛陽に向かう為の通過路であり、ここを放置すれば後背を突かれる恐れがあるので必然的に攻略する必要があった。

 

しかし董卓の本拠地であり住民らも董卓を慕っていることや以前から董卓と友好関係にあった碧たちの事を配慮して、一刀は城攻めを考えずに使者を送ることを決断した。しかし紫苑は城側が籠城という考えを起こさせない様、示威行動を取ることで城側の動揺を誘うことも忘れなかった。

 

その結果、城の留守居役は使者の説得により降伏を決意する。と言うのは董卓軍の主力は殆ど洛陽にいるため、留守の兵の数は2千ほどしかおらず、約5万の維新軍に対抗できるはずが無かった。

 

董卓の善政はあるが、天水の商人や住民の間でも一刀たちの事も知られており、特に降伏した黄巾党を更生させようとした復興事業や一刀たちが築き上げた交易などは住民たちにも恩恵があり、特に涼州との境界の村等でも一刀の行った事は非常に評判が良かったので、住人たちは黄巾党の扱いを見ても降伏しても悪いことにはならないと感じていた。

 

更に降伏条件も開城すれば留守居役等責任者の地位はそのままというという条件もあったことから城内の者たちで会議をした結果、開城を決断したのであった。

 

そして天水を下して次なる目標は長安であるが、長安を早急に落とさないと董卓軍若しくは官軍が防備を固めてします恐れがあり、時間が掛かると当初の考えである董卓軍は配下に治めるという目的が達せなくなる。

 

そのため一刀はその為紫苑、真里はある事を相談する。一刀は翠達の騎兵を使っての電撃戦を考えていた。

 

今回は時間との戦いもあるので紫苑や真里も承知するが、真里は更に狡猾な手を言い出す。

 

それは蒲公英の部隊を敗兵に偽装して、翠と璃々の部隊が追うという態にして蒲公英の部隊が城内等に入り、翠たちが城に近づけば偽装していた蒲公英の部隊が内部蜂起を起こし城門を開けて翠たちを突入させるという手段であった。

 

因みに璃々の部隊が新たに増員されており、それは璃々が処分を受けている時期に黄巾党の村々で慰問した際、一部の者が璃々の歌を聞いて感動して集った者が兵として志願した者がいたからだ。

 

当初璃々本人は予想外の展開で驚きを隠せず、熱狂的なファンの者に

 

「……私、人妻だよ?ご主人様と別れる気毛頭ないよ」

 

璃々は敢えて最初から期待を抱かせない様にファンの者に強く言い切るが

 

「……それは分かっていますよ。璃々様が御遣い様から離れる訳がないと」

 

「それじゃあ何で?」

 

「それは決まっているじゃないですか、今まで俺たち将軍様って遠い存在で偉そうに威張っている者が多くて、御遣い様が俺たちの事を考えて命を助けてくれるだけじゃなくて、璃々様まで遣わしてくれて、更にそれに璃々様がこんな俺たちに歌まで聞かせてくれて心を癒してくれるなんて今まで考えられなかったんですよ。だからこそ俺たちを救ってくれた璃々様と離れたくないんですよ。駄目なら仕方がないですけど……」

 

「………」

 

熱狂的なファンの一人が璃々に自分たちを救ってくれた璃々の為に何かをしたいと熱意を伝えながら入隊を希望する。

 

「まあまあ璃々様、この者の言い分は分かるっすよ。私も璃々様を慕ってここにやって来た様なものっすから」

 

しかし璃々は決断が付かずに悩んでいると璃々の片腕と言える姜維こと菫が受け入れ賛成に回る。

 

「それにご主人様である一刀様だったら、こういう慕ってくる人々を見放したりしますっか?」

 

菫の一言で璃々は目を見開く、今まで自分は一刀の事をずっと見ていて一刀はこういう人たちを決して見捨てはしなかったのだ。それなのに自分は自分の事しか考えずに臆していたことに内心自分に恥じた。

そうなると璃々は決断する。

 

「分かった菫。菫の言うとおりだよね。ご主人様なら見捨てたりしないよね。ごめんね、じゃあ私の部隊に入隊希望する者はこの菫に申し出て、そして訓練に耐えた者に正式に入隊を認めることにするから」

 

そこに居た者は歓喜のあまり大声で叫んだことは言うまでも無かった。

 

こうして菫の元で訓練を耐えた者が正式に璃々の直属部隊という形で配属されたのであった。

 

そして蒲公英の部隊に混じってこの部隊が偽装兵として大活躍する。何せ元が黄巾党上がりの農兵で敗残兵としては打ってつけなので見事な演技で見張りの兵たちもこれを見破ることが出来ないので直ぐに開門する。すると蒲公英の部隊が雪崩込んで城主を捕えたり、また手を変え先に偽装兵が城内に避難してから内部から蜂起するなどして城を攻略したりした。

 

このような狡猾な手は優秀な将が居れば見破ることが出来たかもしれないが見事な偽装の為に守兵達も油断していたもあるが、一番の理由は官軍の将兵の練度不足が顕著に現れたという点が大きいだろう。

 

隙あらば長安までと思っていた一刀であったが予想外の官軍の弱さに維新軍に屈したのは、一刀にすれば朗報以外の何でも無かった。

一方、董卓たちは東から袁紹、西から一刀と挟撃された状態でどちらかに兵を出すという事が出来ず苦悶の日々を送っていた。

 

そんな中皇帝である劉弁が長安陥落の知らせを聞いて愕然とする。

 

長安が陥落したことは衝撃的であるが、一刀の軍勢の中に劉協の姿があったということである。

 

「……協は皇帝に就いた私を恨んでいるはず、天の御遣いの力を借りて私や母上の命を奪いに来るに違いない」

 

劉弁は長安陥落の知らせを聞いて一刀と劉協が自分の命を奪いに来ると思い込んでいた。

 

「……と、董卓はどうした!何故協や天の御遣いどもを討伐しないのじゃ!!」

 

劉弁は今まで無視していた董卓が何故一刀たちを討伐もせずに放置しているのか激怒するが、側近の穆順が

 

「董卓殿は今、東から陛下を救う為に兵を挙げられた袁紹殿に対処するために兵を動かすことができずに苦慮されているところです。陛下もうすぐ袁紹殿が来られますので今、しばらくの辛抱を」

 

「馬鹿者!それまでに協が攻めてきたら朕の命が無くなるではないか!!」

 

一刀は劉弁の命を奪おうとは考えていないが、それを知らない劉弁は我が身の保身に苦慮していたがそんな中一つの案が劉弁の頭に浮かんだ。

 

「そうじゃ!協と御遣いどもを討つ間、董卓と手を結ぶのじゃ!!それで協を討ち果たした後董卓は用済みじゃ、その後は袁紹を味方に引き入れて董卓を討つ。どうじゃ朕の考えは?」

 

「陛下、手を貸すと言ってもどうするのですか?」

 

「皇甫嵩と盧植らを一時的に董卓の配下に入れて、董卓には朕の命令で協を討つよう命ずるのじゃ。董卓も兵が足りなく助かるじゃろ。黄、董卓に参内するよう命じなさい」

 

劉弁の都合の良い考えが上手く行くかどうか別として、取りあえず当面の危機を乗り切るには劉弁と董卓が手を結ぶことが悪くないと判断した穆順は袁紹の事を後回しにして劉弁の考えに同意してまずは董卓に参内するように伺う。

 

劉弁は早速参内した董卓にこう命じた

 

「必ず反逆者劉協と天の御遣いを語る北郷一刀ら必ず討ち果たすこと」

 

董卓の元にも一刀の軍勢の中に劉協が居ることは分かっていたが、今まで面会を避けられていた劉弁からの突然の面会で劉協討伐を命じられると流石に身の危険を感じている劉弁の迫力もあってか流石の董卓も勅命に逆らう事が出来ずに勅命を受諾するしか無かった。

 

勅命を受諾した董卓は側近の賈駆に相談する。

 

董卓から聞いて賈駆は顔をしかめたが、ただ自分たちだけでは無く一時的にせよ官軍の協力を得られるのであれば維新軍と一戦して勝利を得て、返す刀で袁紹に勝利すれば自分たちの未来が開けると考えついた賈駆は各将を集め軍議を開く。

 

そして各将が集められたが、その中には官軍の皇甫嵩と盧植も出席していた。

 

「じゃあ皆、集まったわね」

 

「これから私たちは維新軍と決戦するわ」

 

「チョイ待ちいな!賈駆っち!!東から袁紹たちが来るかもしれんのに維新軍と決戦するんか!?」

 

賈駆の決戦宣言に張遼は驚きを隠せない。

 

「ええそうよ、霞。幸いまだ袁紹たちは兵を集めている最中、その間に維新軍と戦って勝利して、その後に袁紹たちと戦うわ。それに維新軍と戦う事は陛下の勅命よ」

 

賈駆から勅命と言われてしまうと張遼は苦虫を嚙み潰したよう表情を浮かべるが、このままではジリ貧になることが分かっているので武人らしく武力による正面突破に仕方無しと考えていた。

 

「それでどうするんだ賈駆」

 

華雄は既に腹を括っているのか賈駆に先に話を進める様に促す。

 

「もう既に敵に長安を押さえられているわ。私たちが潼関か函谷関を押さえなければ勝ち目はない。まずは官軍のお二人にはまずはここを押さえて貰うわ」

 

「分かったわ」

 

「承知しましたわ」

 

自軍の消耗を嫌った賈駆は敢えて官軍の二人に先鋒を命じ関の確保を伝える。それが分かっているのか張遼たちも特に反論せず黙って聞いていた。

 

皇甫嵩と盧植はそれを分かっているのか粛々と命令を受け入れる。

 

「私たちは官軍の出陣後に出るけど、いい皆、ここで勝たなければ月の命だけでは無くボクたちの命は無いわ。この戦絶対に勝つわよ」

 

そういう賈駆の目は何が何でも一刀たちの戦いに勝って董卓を天下人にするんだという野望を捨てていない目付きであった。

 


 
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