No.975886

新ビーストテイマー・ナタ64

リュートさん

書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第64話です。

登録タグはありません

2018-12-07 05:05:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:55   閲覧ユーザー数:55

ティターニアはほんのりピンク色に染まって、まるで温泉に浸かってるような気持ち良さそうな表情で、鍋で煮詰められています。

 

「温度は…大丈夫ですか?ティターニア」

 

「ええ、ちょうど良いわぁ。ユリアーノ」

 

「ナターシャの寿命が尽きるまでに長寿の薬の調合は間に合うだろうか…」

 

ゲイザーが行ったり来たりしながらアークの帰りを待っていると、髪の毛が路上ライヴ中のように爆発したアークが帰ってきます。

 

「片道三時間の距離を一時間半で飛ばして来ました。ナターシャ様の寿命は残り六時間半ほどだと思われます」

 

「現在二十三時半なので朝六時までですか…」

 

「無理やり粉を叩き出せば早いのだが…」

 

「それはやめてください…。王妃様の身に何かあったら国王様から叱られます」

 

「すでに五時間半ほど煮込んでますが、ティターニアの体調が崩れたら、一旦抽出をやめないとダメですし…」

 

「私なら大丈夫ですよ?朝までこうしていれば良いのでしょう」

 

そこへ執務を終えたフラウがユリアーノの塔にやって来ました。

 

「おお、ちょうど良かった!フラウ殿、今から長寿の薬の調合を教えるから、覚えておいてください」

 

「えっ、私が長寿の薬を調合するのですか?」

 

「今、作っているのは十年分の寿命を延ばす薬ですが、ナターシャが二十六になると寿命は尽きてしまう」

 

「二十六で亡くなるのは早過ぎますね…」

 

「ナターシャが二十五になったら、また長寿の薬を調合して飲ませてください。私はおそらくその頃にはもう生きておりませんので…」

 

ゲイザーはふと疑問を抱いて尋ねました。

 

「ユリアーノ様も長寿の薬で寿命を延ばされてはいかがです?」

 

「それは出来ない…。長寿の薬の材料である妖精の粉は妖精の生命そのものだから」

 

「妖精は死なないと聞きましたが…」

 

「妖精もいずれは死ぬよ?それが人間よりも長くて、病気や怪我などしてもすぐに治ると言うだけなんです…」

 

「なるほど、私は妖精を誤解していました。ティターニア様はご自分の命をナターシャの為にわけてくださっていたのですね」

 

…つづく


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択