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英雄伝説~灰と菫の軌跡~ 試作版その6

soranoさん

閃Ⅳをようやくクリアしました!

2018-11-21 22:54:44 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2064   閲覧ユーザー数:1758

 

 

8月2日

 

翌日、それぞれが行動を開始している中ユウナ達はランディとセレーネ、ゲルドとクレア、そしてローゼリアと共にある場所に向かっていた。

 

~サングラール迷宮~

 

「ヒュウ………!相変わらず雰囲気あるねぇ。」

 

「こ、これが………」

 

「魔女の方々が管理するという”試練の迷宮”ですか………」

 

「うむ、昨日も並行世界のリィン達も言ったようにヌシ達”新Ⅶ組”はヌシ達のリィンを取り戻すまでは新たなメンバーを加えて活動する事になるのじゃからある程度”とれーにんぐ”しないと、並行世界で鍛え上げたヌシ達の実力を十二分に発揮する事ができんからの。」

ランディやユウナ、クルトが興味ありげな様子で迷宮を見上げている中ローゼリアは説明し

「………確かにわたし達がセレーネ教官とゲルドさんと連携するのは、これが初めてになりますが………」

 

「先輩や並行世界の教官達を先に行かせて申し訳ないっていうか………」

ローゼリアの指摘にアルティナが考え込んでいる中、ユウナは気まずそうな表情で昨夜と早朝での出来事を思い返していた。

 

 

昨夜――――

 

昨夜、今後の方針をそれぞれ話し合って決めたセシリア、レン、クレアは先にリィン達に説明をした後セレーネとゲルド、セティを残して新旧Ⅶ組を呼び出して、今後の自分たちの方針を伝えた。

 

「え――――リィン達とセリカさん達は僕達とは別行動なんですか?」

 

「はい。正確に言えば現時点では”貴方達にとって並行世界の人物であるリィンを含めたこちらの世界にも存在している人物達”と貴方達旧Ⅶ組とは別行動は必須なのです。」

 

「何故、そのような事を?」

エリオットの疑問に答えたセシリアの説明を聞いたガイウスは不思議そうな表情で訊ねた。

 

「みんなにとっての敵勢力――――要するに結社に黒の工房、そして鉄血宰相達に”レン達並行世界から来ているⅦ組の援軍の存在に気づかせない為”よ。」

 

「皆さんも既に気づいていると思いますが我々は皆さんにとってもそうですが宰相閣下達にとって想定外(イレギュラー)の存在であり、我々の存在すらも把握していない状況です。」

 

「”自分達にとっての敵である存在を知らない”――――この事実は、今後の活動や戦いに非常に有利に働きます。」

 

「確かにこっちの味方の存在を向こうが知らない事は色々と有利に働くね。」

 

「ええ………こっちの戦力を正確に把握できない事で、向こうにとって予想外の奇襲や奇策を成功させやすくできるし、他にもいろいろとやりようがあるわね。」

 

「そうだな…………特に俺達がリィンを奪還する事は向こうも予測して、こっちの戦力を分析した上での警戒しているだろうから、その分析を大きく上回っての奇襲が可能というアドバンテージを握れるな。」

レンとセシリア、クレアの説明を聞いたフィーとサラ、ランディは納得した様子で呟いた。

 

 

「はい。――――それともう一つ。閣下達が拘束していると思われるリィンさんやⅦ組である皆さんと親しい存在―――――特にこちらの世界のエリゼさんやアルフィン皇女殿下の身を守る為でもあります。」

 

「それは…………」

 

「……リィンを何らかの目的で利用しようとしているのだから、二人が既に囚われの身である可能性は十分に考えられるな。」

 

「はい………拘束しているはずの人物達が別の場所で行動していることを知れば、それを知るために拘束している人物達に何らかのアクションを取る可能性は十分に考えられますし………」

クレアの推測にラウラは真剣な表情を浮かべ、ユーシスの言葉に頷いたエマは不安そうな表情をした。

 

「という事は並行世界のリィン達をこっちの戦力として投入するタイミングはこっちのリィン達を奪還する時か、奪還した後?」

 

「そうね。リィンお兄さんは拘束されているであろう場所の事を考えると奪還するタイミングがいいと思うけど、エリゼお姉さんとアルフィン皇女に関しては念の為に奪還した後の方がいいでしょうね。」

 

「逆に言えばこちらの世界には存在していない私達――――特にディル=リフィーナの関係者達がⅦ組の皆さんと行動しても、敵勢力はせいぜい私達の事は皆さんの”協力者”として判断するだけで、決して”並行世界から来た人物”とは判断できません。よって、こちらの世界ではリベール王国に所属しているレオンハルト准将を除いたこちらの世界には存在しない”特務部隊”の面々――――プリネ皇女殿下、ルクセンベール卿、エヴリーヌ殿、サフィナ閣下、フォルデ、ステラ、そして私は旧Ⅶ組の皆さんに、セレーネ嬢とゲルドさんは新Ⅶ組に加勢する形で共に行動することになっています。」

 

「ええっ!?セシリア将軍達が私達に加勢してくれるんですか!?」

 

「セシリア将軍達が加勢してくれるなんて滅茶苦茶心強いよね。」

 

「ああ…………セシリア将軍達の経歴を聞く限りどの人物も戦力として頼りになるから、とてもありがたいな。」

フィーの質問にレンが答えた後に今後の方針を伝えたセシリアの説明にアリサは驚き、明るい表情をしているエリオットの言葉にマキアスは頷いた。

 

「えっと………セレーネ教官とゲルドがあたし達に加勢してくれるのは、もしかして並行世界では二人とも新Ⅶ組だからですか?」

 

「はい。世界は違えど、わたくしは新Ⅶ組の”副担任”なのですからお兄様とデュバリィさんの代わりに………そしてこちらの世界のお兄様の代わりに、ユウナさん達に協力させて頂きますわ。勿論お兄様からも、自分の代わりにユウナさん達の力になってやって欲しいと頼まれていますわ。」

 

「私も並行世界の新Ⅶ組の一員として私達の世界のユウナ達――――サフィー達が合流するまでサフィー達の分も含めて、ユウナ達の力になるわ。」

 

「二人ともありがとうございます。」

 

「アーツの適性が高く魔術は攻撃、補助、回復と幅広く扱える上近接戦闘までこなせるセレーネ教官に、豊富な魔術が扱えることに加えて”予知能力”がある上”神機”の乗り手であるゲルドさんの加勢はとても心強いですね。」

ユウナの質問に答えたセレーネとゲルドの話を聞いたクルトとアルティナは二人の加勢にそれぞれ心強く感じた。

 

 

「ちなみにアンタはいつ、こっちの戦力として合流するつもりなのかしら?」

 

「早くてもリィンさんを含めた皆さんにとっての救出対象者を全員救出してからになります。”私”が皆さんの味方になっている事でこちらの世界の”私”が知っているリィンさんを含めた救出対象者の幽閉場所を変更させない事もありますが、並行世界とはいえ”私”まで皆さんの味方になっている事は、宰相閣下達にとってリィンさん達以上に想定外(イレギュラー)の出来事と思われるはずですから、こちらの世界の”私”達――――――”鉄血の子供達(アイアンブリード)”に”私”の存在を可能な限り悟らせない事でこちらの世界の”私”達の皆さんへの対処に対する反撃(カウンター)をする為にも私はしばらくの間皆さんにとっての”拠点”となるこの里に留まり、皆さんが各地で集めてくれる情報を元に今後の活動方針の立案やバックアップに徹する事になっています。」

 

「ま、要するに2年前の内戦で例えるならばクレアお姉さんはトワお姉さんの代理よ。」

 

「………なるほど。」

 

「クレアさんの能力を考えるとまさに”適材適所”だな。」

 

「えへへ………よろしくお願いします、クレア教官!」

サラの疑問に答えたクレアとレンの説明にアルティナとマキアスが納得している中、ユウナは嬉しそうな表情で見つめた。

 

「フム………並行世界のリィン達が我等とは別行動する件で気になっていたが、レン。リィン達と違い、我等の世界でも虜囚の身ではないであろうそなたも我等とは別行動になるのか?」

 

「ええ。――――こっちの世界の”レン”は”暁の翼”、だったかしら?その人達と行動をしている可能性は非常に高いんだから、レンが旧Ⅶ組のみんなと行動していたら、敵にも並行世界のレン達が存在していることに気づかれるかもしれないでしょう?だから、念には念を入れてレンもリィンお兄さん達と行動するのよ。」

 

「………ちなみに同じ”レン”として、こっちの”レン”が今のこの状況で何をするつもりなのか、わからないのかしら?」

ラウラの質問にレンが答えるとサラはある事をレンに訊ねた。

 

「そうねぇ………ユウナ達から聞いた”レン”の家族状況、行動、性格、その他諸々を分析してみたけど、とりあえず少なくてもこっちのレンにとって”祖国”であり、”家族”もいるリベールをエレボニアから守り、かつそっちのレンにとっての大切な仲間達――――ロイドお兄さん達”特務支援課”の目的を果す為――――――要するにクロスベルを正当な方法で独立させる為にこっちのレンにとっての”敵”を全て抹殺するつもりである事はほぼ確実だと思うわよ。」

 

「ま、”抹殺”って………」

 

「――――ま、実際”リベールの異変”でもエステル達に内密で雇った”西風の旅団(わたし達)”と”銀(イン)”にエステル達のお母さんを狙った結社の猟兵達を”殲滅”させた上、カレル離宮でエリゼ達を奪還した時も相当血生臭い事をしたらしいしね。」

 

「奪還作戦の当日にカレル離宮の警備についていた近衛兵達をリーゼロッテ皇女殿下達――――”暁の翼”と共に文字通り”殲滅”した件か………」

 

「それらの件を考えるとあの娘は”自分の目的を果たす為なら、どんな手段も躊躇う事無く実行する”―――――猟兵やテロリスト寄りの考え方ね。元猟兵のあたしが言えた義理じゃないけど、どう考えても遊撃士をやっている人物の考えじゃないでしょ………」

レンの推測にエリオットが信じられない表情をしている中、フィーは納得した様子で呟き、ラウラは重々しい様子を纏って呟き、真剣な表情で呟いたサラは呆れた表情で溜息を吐いた。

 

「今の話を聞いて新たに疑問が出てきたが、どうやって鉄血宰相達を抹殺するつもりだ?幾らリーゼロッテ殿下達が精鋭とはいえ、帝国軍、黒の工房、結社を纏めて相手する等無謀だろう。第一鉄血宰相はクロウに心臓を狙撃されても生きていた”怪物”なのだが?」

 

「真正面からぶつかり合うなんておバカな事、”レン”がする訳ないでしょう?もし、”レン”が本気で相手を抹殺するつもりなら、それこそⅦ組のみんなにとっては”卑劣”と思うような手段を取るわよ。超遠距離からの射殺もそうだけど、こっちの世界のオリビエお兄さん達みたいに”敵”の拠点や乗っている乗り物ごと”爆殺”するとか、鉄血宰相達が食べる食べ物に致死性の猛毒を仕込んで”毒殺”するとか、”ハッキング”で鉄血宰相達が乗っている乗り物を操作する事による事故を起こして”事故死”させるとか、”レン”がその気になれば、ありとあらゆる”暗殺方法”を思いつけるわよ。まあ、こっちのレンは”遊撃士”だそうだから、市民達は巻き込まない抹殺方法を考えるとは思うけど………」

 

「そもそも『相手を殺すことを考えている時点』で、遊撃士の考え方じゃないわよ…………」

 

「ぶ、物騒過ぎる………というか、今挙げた抹殺方法の例は完全にテロリストがやるような事じゃないか!?何でレンは遊撃士なのに、そんな卑劣な手段を次から次へと思いついて、躊躇う事無く実行できるんだ………」

 

「まあ、元々遊撃士をやっている事自体が今でも不思議に思えるくらいの考えを持っているからね、こっちのレンは。」

ユーシスの疑問に対して答えたレンの答えに仲間達と共に冷や汗をかいて表情を引き攣らせた後サラは呆れた表情で指摘し、溜息を吐いた後疲れた表情で指摘したマキアスの意見を聞いたフィーはジト目で自分達の世界のレンを思い浮かべて呟いた。

 

 

「そ、それよりも………ランディ先輩達の事も大切にしているレン先輩だったら、クロスベルの独立の為に協力してくれることはわかりますけど、それがどうしてレン先輩にとっての”敵”を抹殺することに繋がるんですか?」

 

「だよなぁ?幾ら”暁の翼”の連中が凄腕揃いでも、”暁の翼”とクロスベルの警備隊、警察だけで帝国相手に独立戦争を仕掛けるとか無謀だろ。」

 

「それにクロスベルを正当な方法で”独立”させるなんて、一体どういう方法なんだ?クロスベルの独立を国際社会に認めさせるためには”宗主国”だった帝国と共和国もそうだが、アルテリア法国の承認も必要だと思うが………まあ、アルテリア法国の承認に関してはこっちのレンにとっては簡単かもしれないが………」

 

「”Ms.L”でもあるレンちゃんは国家クラスの莫大な寄付金を毎月七耀教会に寄付している件で、教皇猊下とも親しいとの事ですものね。」

 

「ああ、しかも”暁の翼”には”星杯騎士団”からも”守護騎士(ドミニオン)”はいないが、”正騎士”達が十数人出向している上、”暁の翼”の旗艦でもある”自由の翼”には教会の技術――――主に”メルカバ”関連の技術も搭載されているとの事だしな。」

 

「ほう?”正騎士”達の出向どころか、”天の車”に使われている技術まで開示するとは、その娘は相当教会に貢いでいるようじゃの。」

ユウナとランディ、マキアスはそれぞれの疑問を口にし、エマとガイウスの話を聞いたローゼリアは興味ありげな表情をした。

 

「別にクロスベルを独立させる為なら、わざわざ帝国全てを相手する必要はないわよ。要は『クロスベルを永遠に帝国領として搾取し続けたいという考えを持つ人物達』―――――”鉄血宰相”もそうだけどクロスベルの”総督”を務めるルーファス総督、帝位継承権第一位にして鉄血宰相を慕っているセドリック皇太子を含めた”鉄血の子供達(アイアンブリード)”を排除すれば、帝国の件は解決よ?ましてや今の帝国は共和国に戦争を仕掛けるために、間違いなく他国にも共和国との戦争に関する協力を迫っているでしょうから、共和国との戦争を望む”主戦派”の筆頭やその部下である鉄血宰相達に加えて帝位継承権第一位の皇太子を排除すればエレボニアに大混乱が起こって戦争どころじゃないでしょう?そこに追い討ちをするかのように、西ゼムリアの全国家や国際的な組織――――七耀教会もそうだけど遊撃士協会にエレボニアの所業を非難させて、その”賠償”の内の一つとしてクロスベルからの帝国軍、政府の撤退―――要するにクロスベルの独立を要求すればいいだけだし。鉄血宰相達を失った影響で国内の火消しに躍起になっている帝国政府としても、国外から持ち込まれるトラブルなんて真っ先に解決したい――――それこそ、『税収が魅力的でも帝国にとっては極僅かな領土』を削ってでも解決したいでしょうから、鉄血宰相達さえ排除すれば、クロスベルの独立で問題になってくる帝国の件はそれで解決よ。ちなみにカルバードに関してはそれこそ議員達に多額の”賄賂”を送って味方にした上で、ロックスミス大統領にはクロスベルに代わる収入――――Ms.Lが所有している莫大な財産の一部の贈与や数多の権利の一部の寄贈等を対価にすれば、それでカルバードの件も解決すると思うわよ。」

 

「む、無茶苦茶過ぎる………というか、それだとエレボニアで起こる問題に関しては全く考慮してないじゃないか!?」

レンの推測を聞いたその場にいる全員と共に冷や汗をかいて表情を引き攣らせたマキアスは疲れた表情で呟いた後声を上げてレンに指摘した。

 

「”レンにとっての敵国”であるエレボニアで起きる問題の考慮なんてする訳ないじゃない。”レンにとって何よりも大切なのは家族と仲間”なんだから、”それ以外の有象無象はどうなろうと興味がない”と思っていると思うわよ。実際、2年前の内戦の件でも”レンにとっては特務支援課が大切な仲間”だから、旧Ⅶ組のみんなに別れを告げて、それ以降の交流は断っているらしいじゃない。」

 

「それは…………」

 

「……………………ねえ、”レン”。そんな事を推測するって事は少なくても”貴女はそう思っているの?”」

レンの答えにかつての出来事を思い出して血相を変えたラウラは複雑そうな表情をし、アリサは悲しそうな表情でレンに訊ねた。

 

 

「ええ。――――もし、レンの祖国であるメンフィルがどこかの国と戦争になった場合は”一切の容赦なく”、敵である戦争相手の国を叩き潰すわよ。まあ、容赦はしないと言っても市民にまで危害を加えることは固く禁じているメンフィルの考えには従うから、敵国の兵達には容赦しなくても市民には何もしないし、万が一市街戦等で市民達が危機に陥ったら、救助活動もするし、領土を防衛する事になれば最優先で市民達の避難活動を実行するわよ?力無き市民達を守る事も、ユーシスお兄さんが常に心掛けている”貴族の義務(ノブレスオブリージュ)”の一つだしねぇ?」

 

「フン…………およそ、皇族の考えとはかけ離れた皇女の本音を知って、将軍の一人にして現皇帝の側妃の一人として何も思わないのか?」

迷う事無く答えた後意味ありげな笑みを浮かべたレンの指摘にユーシスは鼻を鳴らした後セシリアに視線を向け

「まあ、皇族としては”少々問題はある考え”ではありますが、我々の世界――――ディル=リフィーナでは残虐かつ無慈悲な国の皇族―――――例えば、占領した領土の民達に圧政を敷いて苦しませたり、遊び感覚で民達を虐殺する者達も存在していますから、そのような愚か者達と比べればレン皇女殿下は、”天と地の差”のような理知的な皇族ですわ。」

 

「………ちなみに、異世界――――ディル=リフィーナでは”奴隷”――――つまりは人身売買も禁じられてはいない世界で、”奴隷”の中には敗戦国や何らかの謀略で”奴隷落ち”した貴族や皇族等も存在する事もあるとの事です。」

 

「”奴隷”ですって!?」

 

「い、異世界ってそんな物騒な世界なんだ……………………」

 

「ゼムリア大陸で例えるならば”暗黒時代”のような世界じゃの。………しかし、クロスベルの独立の件を聞いて気にはなっておったが、エレボニアの民達が”黄昏”による”呪い”の影響を受けたことで、好戦的になっている問題についての対策はどうなのじゃ?」

困った表情で答えたセシリアと静かな表情で答えたクレアの答えに仲間達と共に冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中サラは血相を変えて厳しい表情で声を上げ、エリオットは不安そうな表情で呟き、ローゼリアは重々しい様子を纏って呟いた後レンに訊ねた。

 

「”頭”さえ潰せば、後はどうにでもなるわよ。―――ましてや、こっちの”レン”は帝国の経済界にも割と影響力があるらしいんだから、例え鉄血宰相達を排除した後で再び戦争ムードになって、それが止められない帝国政府が止むを得なく戦争した所で経済操作を行う事で帝国軍の戦力を間接的に削って、共和国――――場合によっては西ゼムリアのエレボニア以外の全国家を連合にした軍に勝たせることだって可能だと思うわよ。」

 

「確かにRF(ラインフォルトグループ)でもイリーナ会長と同等の権限を持つ”Ms.L”でしたら、帝国軍の戦力を削る事は可能かもしれませんね。」

 

「ええ………例えば、戦車や機甲兵、軍用飛行艇と戦艦の量産をし辛くなるように仕向けたり、最悪の場合カレイジャスの時のような”細工”をさせる事も可能でしょうね………」

 

「しかも、各国にコネクションがある小嬢ならマジでエレボニアに対抗する為に各国に連合を組ませるように仕向ける事もできるかもしれねぇから、洒落になっていねぇぞ。」

 

「クロスベルの独立の為に協力してくれるのは嬉しいですけど、そんなエレボニア――――クロスベルの件に何も関わっていない多くの人達を犠牲にするやり方は幾ら何でも………」

レンの推測を聞いた仲間達が再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アルティナとアリサは複雑そうな表情で推測を口にし、ランディは疲れた表情で溜息を吐き、ユウナが辛そうな表情で呟くとその場は重苦しい空気に包まれた。

 

 

「フウ………ただ、話を聞く限りこっちの”レン”は旧Ⅶ組のみんなに関しては、完全に”有象無象”ではないと思うわよ。」

 

「え………それってどういう事?」

重苦しくなった空気の原因が自分である事に若干気まずくなったレンは溜息を吐いてⅦ組にとって希望となる言葉を口にし、それを聞いたアリサは不思議そうな表情で訊ねた。

 

「確かこっちの”レン”は内戦の最中にそれぞれ幽閉されていたエリゼお姉さん達―――旧Ⅶ組の”家族”を”暁の翼”や”ルーク”っていうそっちのレンにとっての”お兄様”とその仲間達と共に救出して、ユミルで旧Ⅶ組のみんなと再会させたんでしょう?普通に考えて”有象無象”だと思っている人達のためにわざわざ、警備が厳しいカレル離宮やザクセン鉄鉱山に襲撃してまで幽閉されていた人達を救出するなんてありえないでしょう?ましてやそっちのレンは”お世話になった義理を果すため”にエリゼお姉さん達を助けたそうなんだから、少なくてもそっちの”レン”は旧Ⅶ組のみんなの事を”有象無象”だとは思っていないわよ。」

 

「あ………」

 

「小嬢の性格は一見読めねぇように見えるが、心を許した相手には義理堅い性格である事は確かだぜ。現に、ヨアヒムの野郎にクロスベルが襲撃された時もクロスベルに潜伏させていた罠使い達―――”西風の旅団”や”暁の翼”の連中を動かして防衛に加勢させたし、俺達がクロスベル独立国によってそれぞれバラバラになった時も結成したばかりの”暁の翼”と共に加勢しに来てくれて、クロスベルの解放や碧の大樹の攻略に手を貸してくれたしな。」

 

「そもそもレンちゃんが私達の事を”何とも思っていない”のならば、私達の関係者を救出するような事はしませんものね。」

 

「ん。内戦の間も”特務支援課”はかなり苦しい状況だったそうだから、それを考えると一刻も早く加勢すべきなのに、エリゼ達の救出を優先するなんて、効率性重視の考えを持っているレンらしくないやり方。」

 

「フフ、オレ達に対して頑なな態度を取り続けているレンの”壁”を崩してレンの本音を引き出す重要なヒントになりそうだな。」

 

「うむ、クロウ同様レンも結局”Ⅶ組”であることが忘れられないという事を教えてやらねばな。」

レンの推測を聞いたアリサは呆けた声を出し、ランディは苦笑し、明るい表情で推測したエマの言葉にフィーは頷き、ガイウスとラウラは静かな笑みを浮かべた。

 

 

「話を戻しますが………そちらの世界の教官達もそうですが、先程クレアさん達が仰ったように”並行世界の存在であると気づかれない”セリカ卿達まで、別行動は何故なのでしょうか?」

 

「セリカ殿達にはⅦ組の皆さんが情報を収集し辛い場所―――――帝都(ヘイムダル)を始めとした五大都市、時間があればクロスベルやジュライ、ノーザンブリアのハリアスクで情報収集をしてもらう予定です。」

 

「………なるほどね。内戦の時みたいに多分向こうもわたし達の事を警戒して手配書とかも配っているかもしれないから、向こうからすれば”わたし達と全く関係が無かった”セリカ達が現れても、警戒する事もなくセリカ達を都市内部にいれて、セリカ達の行動を見張ったりするような事はほぼしないだろうね。」

 

「ああ…………『新帝国八大都市』の事を考えると、その八大都市の警戒は特に強い可能性が考えられるな。」

 

「ええ。予め鉄血宰相達には全く警戒されていない対象のセリカ達が先に潜入して情報収集に加えてあたし達も潜入できるかどうかを探ってくれるだけでも、とてもありがたいわね。」

 

「ちなみにその中にはウチの放蕩娘も含まれておるのか?”決起軍”とやらに協力しているヴィータに関しては、Ⅶ組同様警戒されていると思うのじゃが。」

クルトの問いかけに答えたセシリアの説明を聞いたフィーとマキアス、サラはそれぞれ納得した様子で頷き、ある事が気になっていたローゼリアはクレア達に訊ねた。

「うふふ、セリカお兄さん達の話だと”深淵”のお姉さんは”ミスティ”としての姿でセリカお兄さん達と一緒に潜入するから、問題ないとの事よ♪」

 

「そういえばクロチルダさんには”そっち”の顔もあったね……」

 

「ああ………正体を知るまではあの蒼の歌姫(ディーバ)かどうかなんて、一度も疑うような事がないくらい”別人”だったしな……」

 

「アハハ………そちらの”私”やリィンさん達は何の為に別行動をするのでしょうか?

レンの指摘に仲間達と共に冷や汗をかいたエリオットとマキアスはそれぞれ困った表情でかつての出来事を思い返し、二人の会話を聞いて苦笑していたエマは気を取り直してクレア達に並行世界の自分達の行動を訊ねた。

 

 

「こちらの世界のリィンさんが今現在その身に蝕まれていると思われている”呪い”を解呪する為の秘薬を作る為の材料探しです。」

 

「ええっ!?か、解呪の為の秘薬を……!?」

 

「アテはあるのか?恐らく今のリィンは”黄昏”による”呪い”に最も蝕まれていると推測されているのに、そんな状態のリィンを”呪い”から完全に解放させる秘薬等、妾達”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”もそうじゃが、七耀教会、黒の工房や結社すらも存在しないぞ。」

セティの説明を聞いて仲間達がそれぞれ血相を変えている中エマは驚き、ローゼリアは驚きの表情で訊ねた。

 

「ええ、こちらの世界に来る前にお父さんとお父さんやヴァイスハイト陛下の知り合いのエルフ族、竜族、天使族の方々から解呪に関する秘薬のレシピを全て伝授してもらっていますし、解呪の秘薬に必要なこちらの世界では手に入れられない材料も余剰分も含めて持ってきている上、”空の女神”――――エイドス様からもいくつか解呪の秘薬も頂いています。」

 

「うふふ、ちなみにエイドスがセティ達に授けた秘薬の中には”外の理”製の秘薬もあるそうよ♪」

 

「ええっ!?め、女神様から!?」

 

「しかも”外の理”による秘薬まで”空の女神”が所有していて、それをこちらの世界のリィンさんの為にセティさん達に預けたなんて……」

 

「フフ、”空の女神”が授けたのだから間違いなく”古代遺物(アーティファクト)”クラスか、それ以上の効果を持った秘薬なのだろうな。」

 

「一体そっちの世界の”空の女神”はどんな女神なのじゃ……?並行世界の一人の人間の為だけに、そこまでする女神等常識で考えればありえんぞ……」

セティとレンの説明を聞いて仲間達がそれぞれ驚いている中エリオットは思わず驚きの声を上げ、エマは真剣な表情で考え込み、ガイウスは苦笑し、ローゼリアは疲れた表情で呟いた。

 

 

「そ、それよりも…………本当にリィンを治すことができるの?」

 

「……現時点では”確実”とは言えませんが、”工匠”になることを決めた時、私達はお父さんからお父さんの信念を教えてもらい、それを現実にしてきたお父さんのように私達もその信念を現実にするように日々努力し続けています。ですので、必ず解呪の秘薬を作ってみせます。ちなみにお父さんから受け継いだ信念は―――――『工匠に不可能はない!』、です。」

 

「こ、『工匠に不可能はない!』って………」

 

「フム、技術者の事はよくわからぬが、専門外の我等でもセティ達の父君の信念は技術者として尊き信念である事は理解できるが……」

希望を持った様子のアリサの問いかけに静かな表情で答えた後微笑みを浮かべて答えたセティの答えに仲間達と共に冷や汗をかいたユウナは困惑し、ラウラは考え込んでいた。

「うふふ、ウィルお兄さんの場合、まさに言葉通り、常識で考えれば『不可能』と思えるようなことを実行してきたのよね~。」

 

「フフ、並行世界の新Ⅶ組を元の世界に帰還させる方法もそうですが、並行世界から”騎神”達を呼び寄せる方法を思いついたのもウィルフレド卿ですし、何よりもウィルフレド卿達の故郷であるユイドラが様々な種族と共存できるような都市へと導いた超本人はウィルフレド卿との話ですものね。」

 

「ひ、非常識な…………」

 

「それ以前にどう考えても『技術者』の分野ではない物事も含まれていたぞ…………」

レンとセシリアの話を聞いた仲間達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中マキアスとユーシスは疲れた表情で呟いた。

 

 

「ま、ウィルお兄さんの『人外っぷりの技術者』は”今更”だからどうでもいいとして……………………こっちの世界のリィンお兄さんが蝕まれている”呪い”を解呪する為には、秘薬の完成もそうだけど解呪するための儀式もする必要があるから、できればリィンお兄さんを救出する前にエリゼお姉さんを救出しておきたいから、エリゼお姉さんの行方は特に念入りに調べておいた方がいいわよ。」

 

「え………どうして、そこでエリゼさんが出てくるのでしょうか?」

 

「フム………もしや、解呪の儀式にリィンの妹が必要なのか?」

レンの話が気になったエマとローゼリアは不思議そうな表情で訊ね

「確かに解呪の儀式にはエリゼさんも必要である事は事実ですが、より正確に言えばアリサさんとエリゼさんの二人が揃っている方が望ましいとの事ですから、例えリィンさんを救出する前にエリゼさんを救出できなくてもアリサさんがいれば、解呪の儀式は可能との事です。」

 

「へ…………エ、エリゼさんと私?どうしてリィンを治す儀式をする為に私とエリゼさんが必要なのかしら??」

 

「うふふ、決まっているじゃない。――――こっちの世界のリィンお兄さんに『性魔術』を施す事で、リィンお兄さんを蝕んでいる”呪い”を”消しつつ、吸い取る”のだからこっちの世界のリィンお兄さんと『性魔術』を施しても問題ない人物達――――つまり、こっちの世界のリィンお兄さんと結婚、婚約、恋仲のいずれかの関係に当たる人物が必要だからリィンお兄さんと恋人同士のアリサお姉さんとエリゼお姉さんが必要なのよ♪」

困った表情で答えたクレアの説明が気になったアリサが首を傾げて訊ねたその時、レンが小悪魔な笑みを浮かべてとんでもない答えを口にし、それを聞いたその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせるか混乱し始めた。

 

「……………………」

 

「な、ななななななななななっ!?せ、『性魔術』って確か……!?」

 

「性交渉(セックス)をすることで魔術効果が発生するというとんでもなく不埒な内容の魔術ですね。」

 

「わー!わー!男もいるのに女の子がそんな事を堂々と口にしちゃだめよ、アル!」

 

「つー事はリィンを治す為には二人がそのうらやまけしからん魔術をリィンに施してやる必要があるって事だから………あのリア充野郎がっ!幾ら”呪い”とやらを解呪する為とはいえ、女の子達とそんなうらやまけしからん事をする事を正当な理由にするなんて、羨ましすぎだろ!」

アリサが石化したかのように固まっている中マキアスは顔を真っ赤にして混乱している中、ジト目で呟いたアルティナにユウナは顔を真っ赤にして慌てた様子で制止の言葉をかけ、ランディは疲れた表情で呟いた後悔しそうな表情で叫んだ。

 

 

「そ、その………先程セリカさん達が説明してくれた『性魔術』の事を分析すると、確かに呪いに蝕まれたリィンさんにも効果はあると思うのですが、そうなると別の問題が発生すると思うのですが……」

 

「リィンに『性魔術』を施す相手である二人がリィンから”呪い”が移るのではないか?」

エマは頬を赤らめてアリサを気にしながら自身の疑問を口にし、ローゼリアが疲れた表情でエマの疑問の続きを口にした。

「アハハ………その為の秘薬の材料探しでもあるのです。」

 

「『性魔術』の”内容”を考えれば、当然相手側にも”呪い”の一部が移る事は最初からわかり切っています。ですから、その”呪い”が相手側に移っても相手側を”呪い”に蝕まれないかつ”呪い”が移った相手側の肉体によって”浄化”される事を目的とした秘薬―――いえ、”聖水”の類を用意する必要があるのです。」

 

「うふふ、カップルが性交渉(セックス)をする時に赤ちゃんができないようにするために”避妊処置”をするでしょう?要は”避妊薬”を飲むようなものよ♪それと『性魔術』は『処女』の方が効果は高いから、生物の肉体の時間を操る事ができるミントに処女膜の部分だけ何度も巻き戻してもらってから、『性魔術』を施す事を予定しているわ♪」

 

「えっと……………………」

 

「内容があまりにも不埒過ぎて俺達からすれば、一種の拷問にも思えてきたぞ。」

 

「それよりも男であるオレ達は退席した方がいいのではないか?」

 

「あんたねぇ………男連中がいる前でそんな話をする事自体も非常識だけど、まだ学生の新Ⅶ組の子達もこの場にいるのだから、仮にも教官ならそんな教育に悪い話をするんだったら、予めその子達を退席させなさいよ!?」

セティとセシリアが苦笑している中からかいの表情でアリサを見つめて答えたレンのとんでもない説明にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中エリオットは困った表情で答えを濁し、ユーシスは呆れた表情で呟き、、ガイウスは困った表情で呟き、サラは顔に青筋を立ててレンを睨んで指摘し

 

「え~、レンは”親切心”で説明しただけよ?特にリィンお兄さんにすっかりなついているアルティナや”リィン教官大好き♪”オーラをあからさまに見せているミュゼだったら、”リィン教官を助ける為という名目”でアリサお姉さんとエリゼお姉さんを手伝う為にリィンお兄さんと性交渉(セックス)する事にもそんなに躊躇する事はないと思っているのだけど~?」

 

「……………………黙秘権を行使します。」

 

「ちょっと今の間と答えは何なの、アル!?幾ら教官を助ける為とはいえ、好きでもない人の為にそこまで身体を張るのは間違っているわよ!?念の為に言っておくけど、もっと自分を大切にしなさいよ!?」

 

「今の話をミュゼが知れば意気揚々と儀式への参加を申し出るだろうな……」

 

「ア、アハハ…………(わたくし達の世界のミュゼさんもお兄様と婚約関係になったその日に、”メンフィル・クロスベル連合に婚約を心から望んでいる事を証明するという名目”で自ら純潔をお兄様に捧げましたから、こちらの世界のミュゼさんもクルトさんの予想通りになるでしょうね……)」

小悪魔な笑みを浮かべたレンの指摘にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中リィンの顔を思い浮かべて一瞬複雑そうな表情をしたアルティナは静かな表情で答えを誤魔化し、アルティナの答えを聞いたユウナは必死の様子でアルティナに指摘し、疲れた表情で推測を口にしたクルトの言葉セレーネは苦笑していた。

 

 

「えっと………レン教官。そこでどうして、アリサさん達と違って教官と恋仲ではないアル達の名前まで挙げたのかしら?さっきの口ぶりからして『処女』が関係しているように聞こえたけど……」

 

「性魔術を施す場合女性が『処女』の方が効果が高いのよ。古来より『処女』の血には膨大な魔力が秘められていると伝えられていて、実際に処女膜の血は魔術錬成の素材の中でも貴重な部類でもあるわ。その点に関しては、吸血鬼の真祖である貴女なら一番よくわかっていると思うのだけど?」

 

「まあの………ついでに言えばエマのような普通の人間と比べると霊力がある”魔女”やシスターのような聖職者の純潔だと、更に効果は高まるじゃろうな。聖職者とは神に仕えている事でその身に神聖なる霊力を身にまとっているのじゃからな。当然ながら、”呪い”に対抗するためには高い霊力や神聖なる霊力の方が効果がある事は明白じゃ。」

困った表情を浮かべたゲルドの質問に答えたレンに話を振られたローゼリアは疲れた表情で溜息を吐いて同意して説明を捕捉し、二人の話を聞いたその場にいる多くの者達が冷や汗を表情を引き攣らせた。

 

「そ、その……………………アリサさんとエリゼさんが揃っている事や『性魔術』に参加する女性達が多い方が都合がいいようなことを言っていた理由は、もしかして『性魔術』によってかかるアリサさん達の負担を減らす為ですか?」

 

「そうなりますわね。リィンの身体を蝕んでいる呪いの規模を想定すると、完全に解呪する為には女神一柱の純潔か、もしくはそれに相応する人数かつセティさん達が開発する予定の聖水を呑んだ状態の女性達の純潔――――普通の女性なら最低でも100人は必要であることを想定しています。」

 

「ひゃ、100人!?」

 

「”最低”っつーことは、下手したらもっといるって事にもなるから、もはやロイドを遥かに超えるリア充野郎じゃねぇか、リィンの野郎は………!」

 

「つまり、リィンの呪いを何とかする為にはアリサとエリゼが”処女”であることを前提で、単純計算すれば二人がリィンに『性魔術』を最低50回ずつしてあげることが必要なんだ。」

 

「で、”処女”は1回きりの上、下手したらリィンと恋仲の二人は処女じゃない可能性――――既にリィンと”そういう関係になっている可能性”もあるから、ミントの時を操る魔術によって何度も処女に戻してもらうって事ね……………………というか、ミントはその件に関して了承しているのかしら?」

気まずそうな表情でアリサを気にしながら訊ねたエマの質問にセシリアは困った表情で答え、セシリアの答えにエリオットは驚き、ランディは疲れた表情で呟いた後悔しそうな表情をし、フィーと共に呆れた表情で呟いたサラはレンたちに訊ねた。

 

 

「アハハ………その話をした時にミントさんは物凄く微妙な顔をして、頭を抱えて相当悩んでいらっしゃっていましたが、何とか了承の答えは頂いていますわ。」

 

「当然じゃろうな…………生物の時を操るという奇蹟クラスの秘術を、そのような事の為に使うのじゃから悩まない方がおかしいじゃろう…………ん?そういえば女神の場合だと1柱が施してやれば、最低100人分に相応すると言っておったが、よもやそちらのリィンによる”実例”があるからか?」

 

「そういえば並行世界のリィンの婚約者達の中に異世界の”女神”であるアイドス殿がいるが…………」

 

「しかも話によるとそっちのリィンの使い魔や婚約者たち、それと”妻”のアルフィン皇女も全員リィンに抱かれているらしいしね。」

冷や汗をかいて苦笑しているセレーネの話に疲れた表情で同意したローゼリアはある事実に気づき、その事実を聞いたラウラは困った表情をし、フィーはジト目で呟いた。

 

「うふふ、みんなも知っての通りリィンお兄さんには”鬼の力”とリィンお兄さんが呼んでいる”力”が元々備わっていて、それが暴走したらまさに”獣”のようになってしまうから、”鬼の力”を解放した状態――――リィンお兄さんが”神気合一”と名付けた状態はそんなに長続きしないでしょう?リィンお兄さんの話によるとアイドスお姉さんと協力契約を結んでからは、”神気合一”でいられる期間が無制限になっていたそうよ♪」

 

「え、えっと………後で判明した事なのですが、アイドス様の話によりますとお兄様には元々強烈な”負の力”――――要するに”鬼の力”がお兄様の心臓に埋め込まれていたそうですが、御自身の純潔と引き換えに心臓に埋め込まれていた”鬼の力”を”浄化”して、代わりに”正の力”――――自身の”神力”を心臓に埋め込ませたそうですから、わたくしたちの世界のお兄様は自身に秘められているアイドス様の”神力”を解放する事でまさに言葉通り”神気合一”の状態になれるのですわ。………ただ、お兄様がその事実を知ったのは相当後――――こちらの世界のユウナさん達の事情を聞いてからになりますが。」

 

「それらの件を踏まえると、こちらの世界のリィンさんを蝕んできる”呪い”を解呪する為には、私達が開発する予定の秘薬を呑んだ女性達――――それも純潔の女性達が『性魔術』を何度も施してあげるのが安全かつ、確実なやり方であるという結論に達しているのです。」

レンとセレーネ、セティの説明を聞いたアリサ達はそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

 

「原理はわかるが、”呪い”の解呪方法が”別の意味”で非常識過ぎて、そんな方法で解呪されるリィンを蝕んでいる”黄昏”が哀れに思えてくるぞ………というか、それ程の回数をこなせる大量の秘薬を本当に用意できるのか?」

 

「はい。開発予定の秘薬の一番の大本となる神々の祈りによって神聖なる魔力を纏った聖水――――”神水”と私達が名付けた素材はエイドス様に予め何度も祈ってもらって相当な量を用意していますし、同じ”女神”であるフェミリンス様やアイドス様の祈りによる”神水”も同等の効果がある事は判明していますから、もし素材が足りなくなってもフェミリンス様やアイドス様に用意してもらえれば済むことですので……」

 

「め、女神様がそんな事の為に協力していたなんて……」

 

「リィンの為にそこまでしてくれたことには感謝しているが守護騎士(ドミニオン)の一人としては、正直複雑な気持ちでもあるな。」

ローゼリアの疑問に答えたセティの答えに仲間達がそれぞれ冷や汗をかいている中エリオットは表情を引き攣らせて呟き、ガイウスは困った表情で呟いた。

 

「うふふ、そういう訳だからリィンお兄さんのハーレムに加わりたいレディ達は、その件を理由にして”なし崩し的に”リィンお兄さんのハーレムに加われる大チャンスよ♪」

 

「そんな事、私とエリゼさんが許すわけないでしょう!?例えエリゼさんを救出するのが遅れても、私だけで何とかするわよ!なし崩し的にリィンの恋人を増やさないためにも、それこそ100回だろうが1000回だろうが、何度でも私がリィンにせ、”性魔術”をしてあげればすむ話でしょう!?」

 

「お、落ち着いてください、アリサさん!」

 

「暴走のあまり、とんでもない事まで口走っているわよ……」

からかいの表情で答えたレンの答えに仲間達がそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アリサは顔を真っ赤にして反論し、アリサの様子を見たエマはアリサを諫めようとし、サラは呆れた表情で溜息を吐いた。

 

 

同日早朝――――

 

「それではランドルフさん、ユウナさん達をよろしく。」

 

「お祖母ちゃんもくれぐれも無理させないでね?」

 

「ああ、これでも教官だしな。」

 

「ま、妾はほどほどに鍛えてやるだけじゃ。それに異世界の魔女や竜王、そして”鉄血”の忠臣の”力”がどれほどのものか、興味があるしの。」

アリサとエマにユウナ達の事を託された事にランディと共に頷いたローゼリアは興味ありげな表情でゲルドとセレーネ、クレアへと順番に視線を向け

「私は”予知能力”が目立っているだけで”魔女”としての力はロゼさんには遠く及ばないと思うのだけど………」

 

「アハハ………それにわたくしは”竜王”と呼ばれる程凄まじいドラゴンではないのですが………」

 

「…………お手柔らかにお願いします。」

視線を向けられたゲルドは困った表情で、セレーネは苦笑しながら答え、クレアは静かな表情で会釈をした。

 

「ハハ………セレーネ、それにゲルドも。並行世界のユウナ達のサポートは任せた。クレアさんもあまり、無理はしないでください。幾ら後方支援や作戦思案が主とはいえ、倒れては元も子もないですし。」

 

「ま、貴女達がいれば、結社や鉄血の子供達(アイアンブリード)と遭遇しても大丈夫だとは思いますが………パリエ、先程マーシルン達も予測していたように彼らと行動していれば”機甲兵”や”神機”を使う事態になる可能性は十分に考えられます。並行世界の新Ⅶ組が”機甲兵”を失っている現状ですと、”神機”の操縦者たる貴女に一番負担がかかってしまいますが………さっきも言ったように万が一敵勢力の”神機”を使っての戦闘が発生した場合は決して無理はせず、いざとなったら”α”に搭載されている転移能力を使って並行世界の新Ⅶ組と共に撤退しなさい。貴女が並行世界の新Ⅶ組と共に行動する目的の一つは、”敵勢力の騎神や機甲兵に勝つことではなく神機”による実戦の経験を積むこと”なのですから。」

 

「「はい。」」

 

「お心遣い、ありがとうございます。リィン様達こそ、どうかお気をつけて。」

リィンとデュバリィの言葉にセレーネとゲルドはそれぞれ頷き、クレアはリィンに会釈をした。

 

 

「………ふう………」

 

「……………………」

 

「フフ、そんな顔をするでない。あくまで数日の差というわけだ。

 

「君たちがトレーニングを済ませる間に少しでも多くの情報を掴んでおく。」

 

「リィンの行方、国家総動員法………できるかぎり沢山の情報をね。」

 

「トレーニングが終了したら遠慮なく調査活動に参加してもらう。」

 

「多分、というか間違いなく大変なミッションになるはずよ。」

複雑そうな表情をしているユウナ達に旧Ⅶ組のメンバーはそれぞれ元気づけさせる言葉をかけた。

 

 

「………わかりました。いえ、わかってみせます。」

 

「ご武運を。どうか皆さんもお気をつけて。」

 

「無茶しないでくださいね!あたし達もすぐ追いつきますから!」

 

「ああ、当てにしている。君達にも風と女神の加護を。」

 

「見事、”試練”を突破して俺達に追いついてくるがいい―――」

 

「やれやれ………旧Ⅶ組とは別行動するリィン達の方がよっぽど楽そうだな。俺もそっちの方がよかったぜ。」

 

「フォ、フォルデ先輩。」

新旧Ⅶ組がお互いを応援しあった後に溜息を吐いたフォルデの言葉にステラは冷や汗をかき

 

「ハハ、俺達も決して楽とは思えんねんけどな………なんせ、メルカバを使ってエレボニア帝国―――いや、下手したら西ゼムリア大陸全土を回り巡ってセティちゃん達が必要としているこっちの世界のリィン君を救出した後に必要になる物を作るための素材集めをせなあかんし。」

 

「ええ、できればこちらの世界の教官を救出する前に集め終えたいところですから迅速かつ効率的な行動が求められる僕達の方も、別の意味で厳しいミッションになりそうですね。」

 

「ケッ、並行世界に来て早々素材集めとか、地味過ぎだろ。」

 

「フフ、私としては愛しの教官と”婚前旅行”ができるのですから、とても幸運だと思っていますけど♪何でしたら、並行世界に行った”お土産”として、”婚前旅行”や並行世界での活動の間に私に教官の子種を”仕込んで”くれてもいいのですわよ♪」

 

「うふふ、もしそれで本当にミューズがリィンお兄さんから”お土産を仕込まれた”状態でレン達の世界に戻ったら、きっと賑やかな事になりそうね♪」

 

「だからアンタはやめい!それとレン教官も悪乗りしないでください!」

 

「そもそもレン教官は”賑やか”と言いましたが、”修羅場”の言い間違いでは?」

 

「もう、ミューズったら………」

 

「………兄様?私達も彼女の動きには注意はしておきますが、”くれぐれ”も教官としての”節度”を保ってミューズさんと接すること、そして万が一”そういう雰囲気”になってそのままなし崩し的に”してしまう”場合は絶対に避妊魔術は使うことを常に心掛けてくださいね?幾ら婚約を結んだとはいえ、今のお二人は教官と教え子の関係なのですから。」

 

「はい………」

フォルデの言葉を聞いて苦笑しながら答えたケビンの言葉にザムザは頷き、ヨハンは舌打ちをして不満げな表情をし、小悪魔な笑みを浮かべた後リィンと腕を組んで10代でありながらも大きい部類に入る自身の胸を押し付けて妖艶な笑みを浮かべてリィンを見つめてウインクをしたミューズの行動や言葉にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中レンはからかいの表情で指摘し、サフィーとルディはジト目でミューズとレンに指摘し、アルフィンは呆れた表情で溜息を吐き、膨大な威圧を纏ったエリゼに微笑まれたリィンは疲れた表情で答え、その様子を見たアリサ達は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

 

現在―――

 

 

「………とにかく今は、少しでも早く連携し易くする為にお互いの力を確かめなくちゃ。」

 

「早速、その遺跡に入って攻略を開始すればいいんですね?」

 

「うむ、最奥に辿り着けば”本日の”修行は終了とする。オルランド、アルフヘイム、それとリーヴェルト、引率は宜しく頼むぞ。」

 

「おお、合点承知だぜ。」

 

「フフ、世界は違えど”Ⅶ組”の副担任として精一杯頑張らせていただきますわ。」

 

「現時点で私が戦力として皆さんに協力できるのはこのくらいの事しかできませんから、戦力として協力できない期間の分も含めて全力で協力をさせて頂きます。」

 

ローゼリアの言葉に三人はそれぞれ頷いた。

 

「ランディ先輩、セレーネ教官、クレア教官………その、本当に助かります。」

 

「ランドルフ教官はティオ主任や他の分校生についても気がかりな状況でしょうが………」

 

「ま、ジタバタしても仕方ねぇだろ。あれでティオすけは頼りになるしな。現時点で俺がやるべきことはリィンの代わりにお前らを鍛える―――それがティオすけや生徒たちにも繋がると信じて付き合うまでさ。」

 

「ランディ先輩………」

 

「………最大限、努力します。」

 

「よろしくご指導、ご鞭撻ください。」

 

「うむ、それでは始めるがいい。ユウナ、クルト、アルティナ、そしてゲルドよ。魔女の眷属(ヘクセンブリード)が旅立ちの前に一人前の証を立てる試しの地――――”サングラール迷宮”の攻略を。」

こうしてユウナ達は自分達の戦闘能力の更なる向上の為に”サングラール迷宮”の攻略を開始した――――――

 

 

 

 

 

 

18禁展開が常識?のディル=リフィーナと繋がっている灰の方のリィン達が来た事で、コンシューマーのテイルズキャラが混じっている菫が早速エウシュリー要素に侵され始めていますww

 

閃Ⅳ、序盤から戦闘が苦しかったからラスボスも含めて終盤のボス戦はどんだけ厳しいんだとビクビクしましたが、ぶっちゃけクオーツと装備さえ揃えれば楽勝でした。特にラスボスを含めたラスダンのボス達は、『え、これで終わり?』と思うくらい楽でしたし、真ラスボスなんて、ゲストキャラも全員使えるから、ほとんど消化試合のような感覚でしたねwそして閃Ⅳの真EDを見て、ようやく閃シリーズも終わりで、やっと閃シリーズをハッピーエンドにしたかと思いましたね…………………まあ、ED後の結社関連のイベントでまさかの人物登場にはマジで驚きましたが。ちなみに私は迷う事無くエリゼEDですww


 
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