No.971913

魔法少女リリカルなのは~弱き男の物語~

東郷さん

久々の投稿ですたい

2018-10-28 23:27:30 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2329   閲覧ユーザー数:2274

魔法少女リリカルなのは~弱き男の物語~

 

 

第一話

 

 

 『貴方には有給が100年以上ありますので、どこかで有休消化してきてください』

 『はあ・・・・・・』

 『どうせですので、有休消化のために適当なアニメの世界に転生させますね~』

 『はあ!!?』

 

 そんなやりとりをしてから、数年。

 俺は上司()に問答無用で転生させられ、『魔法少女リリカルなのは』の世界へと生まれ落ちた。

 かなり前に別のこの世界に転生して、世界に悪影響を与える能力を得た転生者を刈ったことがあり、その際は主人公である『高町なのは』たちと行動を共にしたので、今回は原作になるべく関わらないように、私立聖祥大附属小学校へは入学せず、市立海鳴小学校へと入学した。

 

 「耕也さん、今からお帰りですか?」

 「ああ、これから帰りだ」

 

 教室の掃除が終わり、カバンを肩にかけ、校門を出ようとすると、白い肌、長い黒髪、青い瞳の少女『両儀未那(りょうぎまな)』に声をかけられた。

 

 「俺のこと、待っていたのか?」

 「ええ、今日は習い事も無いですから、耕也さんと一緒に帰ろうと思いまして」

 「そうか」

 

 精神年齢はもうじじいを超えているとは言え、美少女に一緒に帰ろうと言われて嬉しくないはずが無い。

 

 「じゃあ、帰ろうか。光溜のところまで送るよ」

 「はい、お願いしますね♪」

 

 この世界は複数のアニメ世界とくっついているらしく、俺の両親は「空の境界」の原作主人公である『黒桐幹也』と『両儀式』の二人と交流があり、その関係で未那とも仲良くなった(許嫁に選ばれるとは想定外だったが)。

 そんなこんなで原作とは全く関わりの無いところで俺は充実した人生を送り始めていた。

 

 転生する以上、何らかの形で原作に関わることになると、何度も転生していて失念していた。

 

 

 

 

 

 

 ある日、俺は一人で山道を歩いていた。

 理由は特にないが、転生し、小学生になってからはこうして、ゆっくりと散歩するのが日課になっていた。

 

 「休暇って言っても、何をすればいいのかわからないよなぁ」

 

 数世紀以上、戦い続けていた俺は休み方を忘れていた。

 

 「結構前まではそんなこと無かったんだがな」

 

 数世紀来、転生者が急増し、それに伴って、自身の歪んだ欲望を叶えようとする“踏み台転生者”と呼ばれる転生者が増えた。

 こいつらは放っておけば、自分の欲望の邪魔になる人間を殺し、主人公たちも殺し、欲望を叶えていった。

 それにより、うまく行くはずだった物語が崩壊、終いには世界が崩壊すると言う重大な事件を何度も引き起こすことになる。

 そう言った事態に対抗して、神々は最高神の娘を対策班の責任者に任命し、少数精鋭で世界のバランスを維持する部隊を設立した。

 対策班が対症療法的な介入を行っているとき、最高神をはじめとした神々が転生者急増の原因を究明していたが、全く原因がわからず、対策班に多少人員は増えたりしたが、ほぼ休みが無いのは当たり前となっていた。

 

 「やばい奴が関わってそうだな・・・」

 

 山道だからと、独り言を続けながら、歩き回る。

 

 「さて、そろそろ帰ろう・・・・・・・・・ん?」

 

 視界の隅にキラリと光る何かを見つけた。

 いや、見つけてしまった。

 この世界の物語の起点、『ジュエルシード』を…。

 

 「何故、俺にフラグを立てようとしてるんだ…。いや、運命…とかか?」

 

 背中を冷たい汗が流れ落ちる。

 一応、何かの時のために封印の術式等々は持ってきてはいるのだが…。

 俺が封印しなくても、高町なのはやフェイト・テスタロッサが封印するだろう。

 

 「けど、な…」

 

 放っておけない、そう思った俺は胸ポケットから封印の術式を籠めた札を取り出す。

 しばらく前に必要になったので霊夢に頼み込んで作った封印用の札だ。

 

 「放っておくのは後味悪いしな。よし」

 

 霊力を札に籠め、ジュエルシード目掛け投げる。

 ジュエルシードに封印の札が張り付くと、数秒ほど強い光をはなたれ、光が消えたのと同時に札がはらりと外れる。

 この札は封印の術式が流れ込み、封印が完全に為されると自動で離れると言う便利な代物だ。

 

 「封印はしたけど…。さて、どうするかな」

 

 完全に封印されたジュエルシードを手に取ると、手の中でもてあそびながら、処遇を考える。

 すると、背中に何かを当てられる。

 

 (っ!気がつかなかった…、平和ボケしてる…な)

 「その手に持っている石を渡してください」

 「突然、物騒なモン突きつけて、要求とは………舐められたもんだな」

 

 実際、普通に話しかけてきていれば、渡していたかも知れない……が、武力行使されては少々カチンと来る。

 だから、右手にMMP80マシンガンを現出させ、振り向きざまに突きつける。

 

 「!!?(ま、魔導師…?いや、でも持っているのは“質量兵器”…。どこに隠して…)」

 

 中身はあらかじめゴム弾に変えてある。

 状況に応じて、換装するMSや弾種も変えられるのが今回の持ってきた特典の利点だ。

 だが、現在の小学三年の身体には負担が大きく、二回換装するのが精一杯である。

 さらに高性能機、例えば『GN-0000 ダブルオーガンダム』と言った機体は換装しても時間が限られている。

 なので、身体が成長するまでは極力使う気は無い。

 と言うか本来、この世界ではこの特典を使う気は無かった。

 

 「それなりに痛い思い、してもらうぞ!恨めよ、これはただの……八つ当たりだからな!」

 

 『MS-06FZ ザクⅡ改』へと換装し、片手で構えていたMMP80マシンガンを両手で保持する。

 

 「くっ!」

 

 警戒したフェイト・テスタロッサは上空へ飛び上がり、こちらをにらむ。

 対する俺も銃を構えて、狙いを定める。

 そして、結界が展開されると同時にどちらから共なく動き出す。

 

 「そこっ!」

 

 MMP80マシンガンからゴム弾が発射される。

 だが、テスタロッサは俺の攻撃を回避する。

 

 「フォトンランサー!ファイア!!」

 

 彼女の周囲から槍型の魔力弾が発射される。

 それを脚部のバーニアを噴射させることで、ホバー移動し、避ける。

 

 (ちっ!原作を見て速いのは知っていたが、ここまで速いとは!!)

 (なんて正確な射撃!それに私の攻撃を見てから避けた!?)

 

 上空にいるテスタロッサの口角が上がる。

 

 ((こいつ!出来る!!))

 

 俺は対空射撃、対するテスタロッサは対地射撃で応酬する。

 

 (埒があかない!こうなったら、多少は無理をするか!)

 

 MMP80マシンガンを捨て、『RX-178 ガンダムMk-Ⅱ』が使用していたバズーカを取り出し、榴弾で動きを制限する。

 

 「くっ!!」

 

 テスタロッサは拡散されたゴム弾を回避する。

 だが、拡散されたゴム弾を完全には回避しきれず、ダメージを喰らってしまう。

 

 「ファイア!!」

 「くそっ!」

 

 こちらも肩にフォトンランサーを喰らう。

 確か彼女の魔力変換資質は「電気」だったはず…。

 

 (まずいな…。当たった場所が動きづらくなってるな…。これが変換資質の効果、か。これは短期決戦に持ち込んだ方が良いな)

 (当たった場所が痛い。バリアジャケットの薄さが仇になったかな…。こんなに強いなら、短期決戦しか無いよね)

 

 バズーカを数発、適当な場所に撃ち込み、ゴム弾を拡散させて逃げ場を減らす。

 だが、その目論みはテスタロッサがシールドを張ったことで外された。

 

 「ライトニングバインド!」

 「っ!」

 

 少しの隙を見透かされ、両腕両足が拘束される。

 

 (しまった!)

 

 「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル。フォトンランサー・ファランクスシフト。…………撃ち砕け!ファイアァァァァァァァ!!!」

 

 フェイトの最大魔法『フォトンランサー・ファランクスシフト』が俺目掛け、降り注ぐ。

 

 『ぐ、ぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

 正確さよりもこちらを最優先的に撃破することを重点に置いた攻撃で、次々に機体(身体)にダメージが蓄積する。

 拘束から抜け出さないと逃げられない。

 

 (いや、耐えきって、反撃した方が良い………か!)

 

 脳内で彼女を一撃で気絶させることが出来る武器を選択する。

 

 (ビーム兵器は最悪殺してしまう可能性があるからな…。実弾兵器が一番だろう。………………………っ、滅茶苦茶痛い!いつまで続くんだ…)

 

 

 対するフェイト・テスタロッサは確実に直撃したことを確信し、口の端を少し上げる。

 フォトンランサーを全弾撃ち尽くしたあとは土埃で見えなくなっていた。

 だが、フェイト自身には絶対に相手を倒したという確信があった。

 それが油断だと気がつかずに。

 

 「喰らえ!」

 

 鋭い声と共にドン!と言う発砲音が聞こえ、次の瞬間にはフェイトの右肩を何かがかすっていった。

 

 「っ!!!?」

 

 バルディッシュを構えようとすると若干視界がずれる。

 

 (な、なにが…)

 

 続いての発砲音に慌ててディフェンダーを張るが、直撃した弾は彼女のディフェンダーを破壊し、彼女に直撃する。

 

 「きゃっ!?」

 

 直撃を受けたフェイトは地面に墜落する。

 気絶する直前にフェイトが見たのはマゼラドップ砲を持ち、ボロボロの『ザクⅡ改』の姿だった。

 

 『なんとか……引き分けに持ち込めた…か…』

 

 耕也自身は大ダメージを受け、満身創痍。

 フェイトは気絶する程のダメージを受け、気絶した。

 フェイトが倒れ伏すのと同時に俺も変身が解け、地面に横たわる。

 

 「取り敢えず、光溜を呼ばなくちゃな…」

 

 ポケットにしまい込んだ、携帯電話で光溜に連絡をする。

 

 『はぁ…、そこから動かないように』

 「ごめん」

 『慣れた』

 

 そう言うと、光溜は通話を切る。

 それと同時に俺は意識を手放した。

 

 (後のことは後で考えよう)

 


 
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