No.965341

PokemonSM CosmosEpic 28:カプ・ブルル現る!

フウイさん

これもだいぶ更新続けてるなぁ…

2018-08-29 15:49:50 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:355   閲覧ユーザー数:355

 

 

ウラウラ島の島巡りに挑む旅の中でヨウカはスランプに陥ったらしいハウと、遺跡を巡っているリーリエと行動をともにしていた。

3人が今目指しているのは、このウラウラ島の守り神と伝えられるポケモン、カプ・ブルルが祀られているという実りの遺跡だ。

 

「ありがとう、バンバドロ!」

 

途中で歩きにくい道を発見したが、予めハプウに登録してもらっていたライドポケモンの一匹であるバンバドロの力でその道を乗り越えたヨウカ達。

そうして3人がたどり着いたのは、地図上でカプの村と表示されていた場所だった。

 

「ここがカプの村・・・?」

「ここにはかつて守り神であるカプ・ブルルさんを崇拝するアローラの王族がすんでいたとされ、今はその面影を残す遺跡だそうです。

王家がカプを崇拝していたという記憶がそこに残っているから、今もカプの村と呼ばれているみたいですよ」

「へぇー、リーリエ頭いいねぇー」

「本で読んだだけなんですけどね」

 

ハウのほめ言葉にたいしリーリエは照れ笑いをしていると、ヨウカはある看板に目を向けてそれを読み始めた。

 

「なになに?

ゴミ捨てと落書き禁止、ウラウラ島管理局・・・?

やっぱりここってちゃんと管理されてるんやね」

「ええ・・・今もカプ・ブルルさんがこの村をみていて大事にしていると、聞いたことがあります。

何か手を出したら、守り神様の罰がくだるのかもしれませんね」

「えぇー、じゃあ無闇に触らないようにしなくちゃー!」

「せやねっ」

 

うっかり汚したりしたら大変だ、と思ったヨウカはカプの村の近くにあるという遺跡を探すことにした。

 

「それで、守り神さんがいるのは、どこかなぁ?」

「えっと」

 

ロトムは地図を表示して、実りの遺跡の場所を表示した。

この先にあるというハイナ砂漠を少し進んだところにあるらしいその遺跡をみて、ヨウカは気持ちを引き締めなおした。

 

 

まずは準備をしようということで、近くにあったポケモンセンターに入る3人。

 

「よぉ!」

「あれ、ツキトくんだ!」

 

そこで遭遇したのは、ツキトだった。

彼はアーカラ島で活動しているはずだと思ったヨウカ達は、このウラウラ島に彼がいることが気になり、声をかけた。

 

「久しぶりだね、ツキトくんがウラウラ島にきてるなんて思わなかったよ!

こっちの島でも、お仕事してたの?」

「ああ・・・ちょいと怪我をしたスカル団を見つけてな」

「えっ!」

「スカル団を助けたのー?」

「もちろんだ、けが人を見捨ててなんておけねぇよ。

最近も・・・守りきったところだ」

 

そう語るとき、ツキトの表情がどこか複雑そうな顔をしていた。

そんなツキトの表情の変化が気になったが、ツキトはヨウカ達に笑ってみせる。

 

「お前達も、スカル団にたいして思うことがあるだろうだけどな・・・。

あいつらも一つの人間という存在だ、オレがあいつらを助けたとしても文句はいわねぇでほしい。

スカル団も、ぶっちゃけると哀れな連中だしな」

「・・・はい、あなたは人を助けるのが仕事で・・・それに善も悪もないことは、わかっています」

「でも、哀れな連中ってどういうこと?」

 

スカル団に対する言葉を気になったヨウカが首を傾げてそう問いかけると、ツキトはスカル団について話し始めた。

 

「・・・スカル団というのは、かつてウラウラ島の島キングを中心に集まっていた者達の・・・まぁ言っちまえば成れの果てだ。

島キングは突然いなくなり、それでグレちまった奴が島巡りに挫折した奴らや将来を見失った奴らを誘って組織として大きくしちまった。

その結果が、今のスカル団ってわけさ」

「・・・ひょっとして、その中心があのグズマって人なの?」

「!?」

 

グズマ、という名前を聞いてツキトは目を丸くする。

どうやら彼は、その男がスカル団のボスであることを知っているらしい。

ヨウカがその男とポケモンバトルをして返り討ちにしたという話を聞いたツキトは、苦笑して頭をかく。

 

「・・・姉ちゃんと戦ってるところをみたときから思ってたけどよ・・・。

大した奴だな、ヨウカは」

「えへへっ」

「・・・とりあえず、スカル団にもいろいろ複雑で、見落とせない事情があるってことだ」

 

ツキトの口からきかされた、スカル団の真実とそんな彼らが抱えている複雑な心境。

彼の話に納得しつつも、ハウはむすっとしながらこれまでのスカル団の悪行を思い出してその方向に話題をふる。

 

「でもー・・・だからって・・・人やポケモンに迷惑かけちゃだめだよー!

それやって楽しいのはスカル団だけで、みんな全然楽しくないよー」

「せやね」

「ハウさんの言うとおりかもしれません・・・人やポケモンさんは、個人の勝手な理由で好きにしていいものではないですから」

 

スカル団がやっていることを良しとしてはいけない、というのもまた正論だ。

ツキトも、スカル団が怪我をしたときは助けるものの、迷惑行為を働いたらすぐに止めに入っているので彼らの言葉に異を唱えることはしない。

 

「ま、そうだな。

人やポケモンを困らせている時はフルボッコにしてもいいぜ。

・・・命を奪わない程度にできるならな」

「そ、そこまではしなくてもいいと思いますからしませんよ・・・!?」

「あたしもこの年で殺人犯になりたくないから、しないよ」

「おう、そうだな」

 

そんな話をしていると、ヨウカ達のポケモンが回復し終わったことを告げる音がそこに響きわたった。

同時に、ツキトも預けていたポケモンを受け取り、これから14番水道をチェックしに行くと告げる。

そのときにヨウカ達も、自分達はある目的があって実りの遺跡に向かうとツキトに告げた。

 

「じゃ、実りの遺跡に行くなら気をつけろよー!」

「うん、まったねー!」

 

一行はそこでツキトとは一度、わかれたのだった。

 

 

ポケモンセンターを出た3人はハイナ砂漠に足を踏み入れた。

 

「ここから先が、実りの遺跡?」

「チズによれば、まちがいないロト!」

「れっつごー、だねー!」

「はい、参りましょう」

 

意気揚々と進もうとしたが、そこでヨウカがなにかに気付きすぐにハウとリーリエに立ち止まるように言う。

 

「どうかなさいましたか?」

「ねぇ・・・あれってスカル団じゃない?」

「えっ?」

 

ヨウカの横から顔をのぞかせて、そこにいるものを確認するリーリエ。

彼女達の視線の先には確かに、スカル団が数名存在していた。

 

「ホント・・・ですね・・・。

でもどうして・・・」

「もしかしてー・・・スカル団ってー・・・カプ・ブルルを狙ってるとかないかなー?」

「えぇ!?」

 

ハウの発言にヨウカもリーリエも驚きの声を上げてしまった。

その声で気付かれたのではと思ったが、ハイナ砂漠の中を吹き荒れる砂嵐によって彼女達の叫び声はかき消されたようだ。

今は気付かれなくて安心したが、スカル団がカプ・ブルルを狙っているとしたらこれは放っておくわけにはいかない。

 

「・・・先回り、しよ!」

「はい」

「うん!」

「ボクがアンナイするロト!」

「おねがい!」

 

ヨウカ達はロトムのアドバイスを聞きながら、ハイナ砂漠を進んでいった。

このハイナ砂漠は本来、似たような景色が延々と続くために正しい道を選ばないとすぐに迷子になってしまうらしい。

ロトムのアドバイスがなかったら自分達も迷子になっていたかもしれないと思いつつ、ヨウカ達は互いを守りながら遺跡を目指して進む。

 

「ねぇ、それっぽいのが見えてきたよー!」

「ホントですか!」

「うんー、ダッシュしよー!」

「オーケィ!」

 

ハウの声にあわせてヨウカ達は走り出し、その場所にたどり着いた。

砂漠を抜けたそこには小さな池と生い茂る草木、そして何かを祀っているような作りの小屋のようなものがあった。

 

「・・・不思議、砂漠の中なのに砂も入ってこないし水気もあるし植物も生えてる・・・」

「それじゃあ、ここが・・・実りの遺跡・・・なんでしょうか」

「きっとそうだよー・・・って、あぁー!」

「どうしたの、ハウくん!?」

 

突然声を上げて驚くハウにさらに驚くヨウカ。

ハウはあわてて一方を指さすと、そこには手にハンマーを持ったスカル団がいた。

ほかのポケモン達も攻撃の態勢をとっており、その動きをみて、やはり遺跡を壊すつもりなのだと気付いたヨウカはボールからサニちゃんを出してとげキャノンを命じ、行動を妨害する。

 

「!?」

「やめろ、スカル団!」

「・・・なんだい、もうあたいらのことがバレちまったのかい」

 

そう言いつつ中心にいた女性が振り返り、その女性の姿を見たヨウカは驚きの声を上げる。

 

「・・・ってあなたはっ!

スカル団の姉御って人!」

「一応プルメリって名前があるんだけどね」

 

プルメリは頭をかきながらあきれるが、ヨウカはそんなことを気にしないで、目的を確認する。

 

「やっぱりねらいは、実りの遺跡!?」

「ああ・・・あたいらで力を合わせて、守り神のポケモンに勝ってみようかなと計画したのさ。

あたいらの力を示したくてね・・・でも!」

 

プルメリがヨウカをにらむと同時に、エンニュートは技を放つ体制に入る。

 

「まずは、ボスを傷つけたというアンタに仕返ししようかなって・・・今この瞬間に思ったのさぁ!

さぁ説明が終わったからいくよ、エンニュート、はじけるほのお!」

「サニちゃん、パワージェム!」

 

はじけるほのおとパワージェムが衝突する。

ほかのスカル団もヨウカの存在に気付くと自分のポケモンを出して、ヨウカ達をとり囲う。

ハウにも協力してもらおうとは思ったが、彼は今スランプになってしまっていることを思いだし、この集団は自分で相手をするしかないと思ったヨウカはニャーくんにも加勢してもらう。

 

「ハウくん、リーリエちゃんを守ってて!

あたしがこの人達を相手にするから!」

「う・・・わかったー!」

 

ハウにはそれだけをお願いして、ヨウカはポケモン達に指示を出した。

 

「ニャーくんはシャドークロー、サニちゃんはバブルこうせん!」

 

 

「・・・ヨウカさん・・・すごいです・・・こんなに強くなって・・・!」

「・・・」

 

スカル団を相手に戦うヨウカをみて、リーリエは思わずそうつぶやいた。

自分達への攻撃は全部ライチュウが相殺してくれてるが、ハウはどうすればいいのか解らず戸惑ってしまっている。

こんなときにスランプに陥りそのことで悩んでいる場合か、と思いながらもなかなか自分で踏ん切りがつけられないことにハウは苛立つ。

 

「・・・」

「ハウさん・・・?」

「・・・リーリエ・・・」

 

リーリエが自分の手を握ったときに、ハウが言葉も出ないままでいると、ヨウカはスカル団の下っ端のポケモンを全部倒してのこるはプルメリというところまできていた。

 

「エンニュート、ニャヒートにベノムショックだ!」

「かえんほうしゃ!」

「ゴルバット、エアカッター!」

 

エンニュートはニャーくんが引きつけているが、隙をついてゴルバットが容赦なくサニちゃんを攻撃する。

不意にうけたエアカッターによってバランスを崩した、その隙を相手が見逃すわけもなく、エンニュートがドラゴンテールを打ち込んでくる。

それによりサニちゃんは木に身体を打ち付けてしまった。

 

「サニちゃん、じこさいせい!」

 

弱ったサニちゃんはじこさいせいで回復したが、相手はサニちゃんに集中攻撃を繰り出してくる。

ニャーくんの攻撃も、すべて相殺されてしまう。

 

「サニちゃん、がんばって・・・!」

「さにごっ・・・!」

 

相手の猛攻に耐えながらサニちゃんが立ち上がろうとしたそのときだった。

 

「なんだ!?」

「えっ!?」

 

突然遺跡から赤い光が漏れてきたかと思えば、そこから赤い光の塊が飛び出してきた。

光の中から現れたのは黒い肌に赤い笠のようなものをかぶった、一匹のポケモンだった。

 

「ひょっとして・・・このポケモンが・・・カプ・ブルルなのかなー?」

「そのようだロト!」

 

そのポケモンがカプ・ブルルだと知り、その場にいた全員が驚き目を丸くすると、カプ・ブルルは身体からさらに強い光を放ち、エンニュートとゴルバットを吹っ飛ばしてしまった。

 

「えっ!?」

「なに!?」

「なにがあったんでしょう・・・!?」

 

本来なら弱点であるタイプを持つポケモンも、一瞬で弾き飛ばしてしまう強い力を持っているようだ。

自分達では手も足もでない、そしてここに手を加えたらさらなる反撃がでる。

戦えるポケモンも手元にいない。

プルメリはギリギリまで選択を迫られたが、撤退という道を選ばざるを得なくなった。

 

「チッ・・・ここは退くしかないなっ!」

 

プルメリはそう吐き捨てると、ほかのスカル団にも撤退を命じてそこを立ち去っていった。

スカル団がいなくなりホッとしていると、リーリエのスポーツバッグからコスモッグが飛び出してきた。

 

「ほしぐもちゃん」

「ぴゅい!」

 

バッグから出たコスモッグはカプ・ブルルを見上げる。

 

「・・・カプ・ブルルさん・・・」

「・・・」

 

そのとき、カプ・ブルルもまたコスモッグを見つめた。

コスモッグの方もカプ・ブルルを見上げていて、お互い何かの意志疎通を行っているかのようだった。

3人はその見つめ合いを、ただ黙ってみているしかなかった。

 

「・・・」

「・・・ぴゅい」

「ブゥルゥゥゥ・・・!」

 

するとカプ・ブルルは小さくうなずき、その身体から淡い赤い光を放つと、周囲に緑を映えさせる。

木々からはポケモン用の木の実が実っていき、そこから数個の木の実が落ちてきて、彼女達の前に差し出すかのように山積みされた。

 

「・・・これを、私達に?」

 

そうリーリエが問いかけるとカプ・ブルルは頷いた。

 

「スカル団から助けてくれただけでなく、木の実まで・・・ありがとうございます!」

 

リーリエがそう言って頭を下げると、カプ・ブルルは再び頷くような動作をとったあとで、遺跡の方に飛び去っていった。

ハウも、そんなカプ・ブルルに対して大きく手を振っていた。

 

「なんだか・・・今の守り神さま・・・。

ほしぐもちゃんや、あたし達に・・・なにか言いたそうにしてた・・・気がする」

 

カプ・ブルルが去っていった方向をヨウカは見つめ、そう呟いた。

 


 
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