No.963547

東方天変陽 第ニ話・龍神様の使者(総括版)

幻想郷の東方。
そこにある草原郷が龍神様によって水没させられてしまった。
その水没した辺りを水源郷と賢者は定めた。
その水没して出来た海のような湖を界面湖と言う。
その界面湖と水源郷を巡る話。

2018-08-13 20:37:07 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:216   閲覧ユーザー数:216

ここは、幻想郷の天(そら)。

幻想郷の上にある天全体を含んで”そら”と読む。

 

水源郷が出来上がる前の事。変陽と空寝が水源郷に幻想入りする前の事。静玉が龍神様に祈りを捧げている頃。

幻想郷の天では幻想入りが頻繁(ひんぱん)に起きていた。

その幻想郷の天では、ある(うわさ)話が語られていたのだ。

 

舞 瀬(まう せ)舞 仁(まう に)は古くからの幻想郷の天の住民。

その()()は噂話と洒落(しゃれ)込んでいた。

 

瀬いわく。

「龍神様はね、とても寂しがり屋だから、東方は今大変な雨になっているらしいわ。」

仁いわく。

「それで、海が出来ちゃうって噂らしいわ。」

 

これがその噂の内容だが、ものの一時間後には噂では済まなくなっている事だろう。

ここは、水源郷。

 

水源郷が出来た六日後の事。

 

ノイ「私は龍神様の使徒であり、”白人 ノイ”という者だ。ここ、水源郷の(ぬし)の静玉はいるか?」

 

白い服を着こんだ肌が異常なまでに白い、黒髪の少女がこう語った。

そのノイと名乗る少女が目で静玉を探す。

 

静玉「私よ。いかめしすぎる挨拶(あいさつ)ね。」

 

静玉が名乗りを上げた。

 

ノ「これは失礼した。好戦的な連中ばかりの様だ。」

 

静玉が疑問を投げかける。

 

静「ところで、詮索(せんさく)するようで悪いけれど、どこから来た人よ。」

 

この質問に対してノイは答える。

 

ノ「幻想郷の(そら)から来た者だ。

・・・これでいいか?」

 

静「・・・ええ。立ち話は何だから空をとびながら話してね?」

 

水源郷には住居となる家が無いのだ!

だから、風を切って飛ぶ事が一番の安心に(つな)がるのだ。

 

その他大勢を置いて、静玉とノイの二名は大空を飛びながら停止する。

 

 

ノ「龍神様があなたをお呼びだ。

静玉、幻想郷の天まで来て欲しい。」

 

そのノイの言葉を聞くなり、静玉は息を飲む。

 

静「龍神様に私の言葉がきっと届いたのね。・・・それでいつ出発するのよ?」

 

ノ「明日でいいか?」

 

静「明日で大丈夫よ。」

 

ノイは承諾を得た後も話を続ける。

 

 

 

 

ノ「後、無駄(むだ)話をするが、聞き流して欲しい。

 龍神様・・・九〇龍神様すなわち、ましも様は龍体と人間体を使い分けておられる。

だから、お会いするのは人間の姿だ。

ましも様は(ほう)という道具を使っておられる。

これは幻想郷と外の世界をつなげる力を持った道具だ。

変陽と空寝もこの碰で幻想入りしているようだ。」

 

静「変陽と空寝を知っている!?」

 

”変陽””空寝”というキーワードに静玉は反応する。

 

静「なぜ、変陽と空寝を知っているのよ?」

 

ノ「ましも様ほどの神格ではないが、私も又、神だからだ。」

 

ノイの発言に静玉が驚く。

 

静「あなたは神だったのね。」

 

ノ「続けてもいいか・・・。

良い様だ。

 今回、あなたが呼ばれた理由は碰によって大量の幻想入りがあった事も関係する。

まあ、それは良い。

 それより、あなたの他にましも様は、変陽をも求めている様だ。」

 

”求める”という言葉に静玉は恐ろしさすらも感じる。

 

静「求めるって何よ。」

ノ「要請という事だ。

 頼み事がお有りの様だ。」

 

”頼み事”という言葉に静玉は面食らう。本来ならば、こちらが頼み事をする側だからだ。

 

静「そんな頼み事なんて・・・。

 それで変陽は今その辺りにいるようだけれど、どうするのよ。」

 

静玉は、妖怪を掌握(しょうあく)し、把握(はあく)する程度の能力を持っている。それで、察知したようだ。

 

ノ「出来れば説得して欲しいが、無理は禁物だ。彼女がいなくても別に良い。」

 

水源郷にて一人だけ女言葉を使う静玉になぜか気を使うノイの「無理は禁物」という言葉に可笑しさを感じて、ノイを静玉は注視するが、特に表情を変える事が無く、明確に気を使う意思があったかは分からなかった。

 

そして、ノイを意識するのはとりあえずやめて、その辺りにいる変陽を意識し始める静玉だった。

ここは、水源郷の外。幻想郷のわずかに残った草原地帯だ。

 

変陽は妖精を相手にポケモンをやっていた。

捕まえた妖精は100体程だ。

静玉が視界に入ると彼女を迎えに行く変陽。

 

変陽「静玉。我らが軍隊に百体、妖精が入隊したよ。これで水源郷は完全に支配出来そうだよ。」

静「変陽。明日、私は水源郷を離れて幻想郷の(そら)に行くけれど、付いて来る?」

 

二つ返事で、

変「もちろん。」

と回答がある。

 

静玉への信頼の深さが(うかが)えるやり取りだ。

 

付いて来たノイが

 

ノイ「分かった。二名とも明日は朝出発するから、それまで休んで欲しい。

 これで話は終わりだ。」

水源郷が出来てから七日後。

 

ここ、水源郷では静玉と変陽が今旅立とうとしている。

龍神様の招待を受けた静玉と変陽は朝、ノイに連れられて、幻想郷の天へと旅立った。

 

その際の変陽と空寝のやりとり。

空寝。

「本当に行くのか?

 変陽。

 静玉だけで十分じゃないのか?」

変陽。

「大丈夫だから。

 留守を頼んだよ。」

 

特に大筋には関係しなかったが。

 

静玉と変陽が旅立った後、空寝はこう演説する。

 

空寝「変陽が留守の間、私の下についてもらうぞ。

 何しろ、私は静玉と変陽に(あつ)い信頼を得ている。

 そして、この水源郷の中で今、随一の実力者でもある。

 私に従う者は手を挙げろ。」

 

結果、その場は満場一致だった。

 

変陽の軍隊は空寝の軍隊に併合され、吸収された。アラサラウスと妖精の連合軍が生まれた瞬間だ。

 

 

 

そして、水源郷での占領が始まる。

まず、前線基地として水源郷の陸地部分に建物が建設される事になった。

それには、建築士が必要になる事に気づくのに少しかかったが、それは後々の事だ。

次に従わない者を水源郷の外に追い出す事にしたが、何しろ妖精もアラサラウスも全員従うらしいので、とりあえずはその策については放置した。

とりあえず外の世界から、空寝に従っている優秀な部下(一名のみ)を偵察に使う事にしたらしい。

 

船が一隻(いっせき)、界面湖に浮かんでいるのは、”流しておけ”という命令で何もせず。

 

そして水源郷の要所要所に軍隊を派遣し、占領。

とにかく障害物がない安心の占領となった。

 

武器の確保には、隠し玉の炎天使の三名を使っている。

この三名は、草原郷だった頃の「炎天神社」に従事していた三名が神社がなくなって、姿を隠す方法を失ったために、空寝が従わせた。

名前を「ありか子」・「との華」・「U Mi(うみ)」という。

 

空寝は、その三名の仕事がゆっくりすぎるので、ノルマを課した。

 

この三名は「盗み」・「売却」・「買収」の三つを繰り返して、武器を確保している。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択