No.953678

ビーストテイマー・ナタ52

リュートさん

昔、書いていたオリジナル小説の第52話です。

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2018-05-25 10:29:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:83   閲覧ユーザー数:83

フラウはアラヴェスタのスラム街に来ていました。マルヴェールからパンの差し入れを持って来たのです。女性の従者を何人か連れていますが、武装した護衛は連れていません。

 

「皆さん!施しを持って参りました」

 

「シスター!パンをくれ…」

 

「一列に並んでください。一人一個ずつ配ります」

 

「家で待ってる家族の分も欲しいんだ。一個じゃ足りねぇ」

 

「その家族を連れて来てください。人数分しか渡せません」

 

「病気で来られねぇんだよ!なあ、頼むよ?」

 

「では、あとであなたの家に伺わせてもらいます」

 

「シスターは俺の言ってる事が信用できねぇって言うのか?嘘をついてパンを多くもらおうとしてると思ってるんだな!」

 

「いえ、病気なら看病しなくてはなりません」

 

フラウはパンを配り終えると、男について行きました。ボロボロの家の前に来ると、咳き込んでいるのが聞こえて来ます。

 

「これは…!お薬を調合致しますので、台所を少しお借りしますね?」

 

フラウは得意の薬草学で咳止めの薬をこしらえました。

 

「この咳止めシロップを咳が酷い時に、スプーン一杯だけ与えてください。あとは栄養を付けなくては…」

 

フラウは荷物の中から野菜をいくつか取り出して、ポトフを作り置きすると、家を出ました。

 

「シスター、ありがとう…。あんたは俺たちの女神様だ!」

 

「もし今の生活が苦しいなら、マルヴェールへ移住しませんか?食べ物はたくさんありますし薬も私が調合出来ます」

 

「マルヴェール?聞いた事ない国だな…」

 

「マルヴェールは獣人の隠れ住む国です」

 

「獣人だって!シスター、正気か?」

 

「獣人は温厚で争い事を好みません。武術は好みますが、身を守る為に戦うだけです。嘘だと思うならマルヴェールに見学に来てください」

 

「取って食われたりしねぇか?」

 

「大丈夫です。もし気に入ったら移住してくださいね」

 

こうしてフラウはマルヴェールへの移住者をたくさん集めたのでした。

 

…つづく


 
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