No.953127

真・恋姫外史 がんばれ一刀お笑い道中~僕が外史に降りた理由~ 第十九話

アキナスさん

惨劇

2018-05-20 03:47:49 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3299   閲覧ユーザー数:2885

汜水関の緒戦。

 

それは戦と呼べる代物では無かった。

 

一方的な・・・・・・殺戮。

 

「うああ!」

 

「ぎゃああああ!!」

 

そこかしこで悲鳴が聞こえる。

 

「あ・・・・・・ああ・・・・・・」

 

「桃香様!逃げるんです!早く!!」

 

「桃香様・・・・・・」

 

ショックで放心状態の主、劉備に呼びかけ、その手を引く孔明と龐統。

 

見通しが甘すぎた。

 

両軍師は後悔しながらも、必死にこの状況を何とかしようとしていた。

 

一当てして、すぐに下がるつもりだった。

 

その一当てが明暗を分けたのだ。

 

敵の先頭でやって来た天下無双と称される、呂布。

 

一方、劉備軍の先頭は関羽雲長。

 

まさか一撃で、関羽が馬から落とされるとは思っていなかった。

 

劉備軍の精神的支柱とも言える関羽のその姿に、動揺が走る劉備軍。

 

関羽に負傷はなく、すぐ立ち上がって戦線に復帰したが、兵士達の動揺はすぐにおさまるものではなかった。

 

後退も遅れ、そこをそのまま董卓軍に喰いつかれたのだ。

 

兵力も少なく、士気も下がった劉備軍は格好の餌食だった。

 

後ろへ下がってこそいるが、それは後退というより撤退。

 

陣形も崩れ、立て直しは不可能といっていい。

 

出来る事と言えば、一刻も早く後方へ退がる事だけであった・・・・・・

 

 

 

 

 

劉備軍敗走の報を受け、他の軍も動き出す。

 

曹操軍は左翼、孫策軍は右翼に展開。

 

公孫瓚は一刻も早く劉備を救うため、中央を進軍。

 

その後ろを馬超が固める形で、迎撃態勢を取った。

 

尚、袁家の二人は・・・・・・

 

「劉備さんもだらしないですわねえ」

 

「どうします?あたいらも動きます?」

 

「どうして私達が劉備さんの尻拭いをしなければいけないんですの?」

 

「それじゃあ、待機ですか?」

 

「ええ。私達はいわば秘密兵器!こんな所で動く必要はありませんわ」

 

「秘密兵器。いい響きっすねぇ」

 

「でしょう?お~っほっほっほ!」

 

「いいのかなぁ・・・・・・」

 

 

 

 

 

「七乃。妾達は動かなくてもいいのかのう?」

 

「そうですねえ。無理して動く必要もないと思いますけど・・・・・・後々文句言われるかもしれませんし、少し軍を進めておきましょうか」

 

「うむ、任せる」

 

「は~い」

 

 

 

 

 

さて、前線では暴威を振るう呂布に対し、各軍の武将たちが次から次へと挑んでいる所だった。

 

「ぐっ!」

 

「姉者!」

 

力負けして弾き飛ばされる夏侯惇と、姉に駆け寄る夏侯淵。

 

「助太刀するわよ!てえええい!」

 

「雪蓮!ええい、祭殿!」

 

「分かっておる!援護しますぞ!」

 

今度は雪蓮が挑んでいくも・・・・・・

 

「・・・・・・邪魔」

 

「きゃっ!」

 

方天画戟の一振りに打ち負け、態勢を崩す雪蓮。

 

「策殿!」

 

間隙を縫って祭の矢が放たれるが、難なくそれらを躱す呂布。

 

その間に態勢を立て直し、後ろに下がる雪蓮。

 

「雪蓮!大丈夫か!?」

 

雪蓮に駆け寄る冥琳。

 

「ええ。それにしても、とんだ化物ね」

 

「ああ。言いたくはないが、まともに戦っては勝ち目がない」

 

「なら、まともに戦わなければいいと言う事ね」

 

「曹操」

 

いつのまにか、冥琳の横にやってきていた曹操。

 

「天下無双の豪傑呂布。噂には聞いていたけれど、これほどとはね・・・・・・」

 

「本当にね。で、どうするのがいいと思う?」

 

「簡単な事よ。複数の将による一斉攻撃。もうこれしかないわ」

 

「そうね。あの化物を止めるには、それしかないわね」

 

そう言いながら頷く雪蓮。

 

「決まりね。春蘭!秋蘭!季衣!いいわね!?」

 

「「「はい!華琳様!」」」

 

「うちからは私と祭と・・・・・・」

 

「姉様!私も!」

 

「駄目」

 

蓮華に対し即答する雪蓮。

 

「何故ですか!?私だって・・・・・・」

 

「実力が違いすぎるのよ。あなたが出て行ったとしたら一瞬で・・・・・・死ぬわよ」

 

「!?」

 

「それくらい強いのよ呂布は。思春!あなたが来なさい!」

 

「はっ!」

 

「今ここにいるのはこれくらいかしら?」

 

「我等も混ぜていただこう」

 

「なのだ!」

 

「先の汚名、返上させてもらう!」

 

一度後方へ下がっていた劉備軍の趙雲、張飛、関羽もやってきた。

 

「それじゃあ行きましょうか。呂布覚悟!」

 

雪蓮の声と共にまとめて挑みかかる武将たち。

 

「・・・・・・っ」

 

わずかに顔を歪める呂布。

 

いくら振り払っても、次から次へと休むことなく攻撃が繰り返される。

 

さすがの呂布も攻めあぐねているようだった。

 

そして呂布が止められた事により、董卓軍の進撃も止まり始めたようだ。

 

その時、

 

「恋!撤退や!!」

 

呂布に向かって駆けてきた張遼が叫んだ。

 

「・・・・・・こくっ」

 

頷いた呂布は、一際強力な薙ぎ払いで群がってきていた将達を吹き飛ばした。

 

「嘘・・・・・・」

 

その瞬間を目撃した蓮華は、思わずそう呟いていた。

 

呂布を相手に戦っていた将達も、同じ気持ちだったろう。

 

兵を引き連れ、汜水関へ戻っていく張遼と呂布。

 

 

 

此度の戦により、劉備軍は壊滅。他の軍も少なからぬ被害を被った(袁家を除く)

 

 

こうして連合軍に大きな傷痕をのこし、緒戦は董卓軍の圧勝と相成った・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

緒戦はまあ、予想通りといいますか。

 

連合はどう立て直すか、董卓軍はこの後どう動くのか?

 

ではまた次回・・・・・・

 

 

 

 

 

 


 
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