No.951290

真・恋姫外史 がんばれ一刀お笑い道中~僕が外史に降りた理由~ 第十五話

アキナスさん

分岐点

2018-05-05 18:40:28 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2507   閲覧ユーザー数:2278

最強の部隊?を手にした一刀はその後、定期的に隊の人間を集めては酒盛りを開き、人生の大先輩たちの貴重な体験談を聞かせてもらっていた。

 

穏の予想も、あながち間違ってはいなかったのである。

 

なお、その輪の中には小蓮、そして呉の大将と宿将であるのんべえ二人の姿も確認されていた。

 

そんな日常を過ごしていた一刀たちの所へ、ある日、急報が舞い込んできた。

 

霊帝崩御の知らせである。

 

その後、短期間の間に大事件が次々と起こっていった。

 

劉弁、劉協のどちらを後継者にするかで劉弁を推す大将軍何進と劉協を推す十常侍の対立が激化。

 

結果は何進が殺害され、十常侍の推す劉協が即位。

 

しかし十常侍も、配下である董卓に殺害され全員死亡。

 

董卓は帝の後見人となり、事実上の支配者となったのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

そんな大事件の連鎖からしばらくして、雪蓮は袁術に呼び出しを受け、彼女の居城へとやってきていた。

 

一刀と一緒に。

 

天の御使いの噂は袁術の耳にも入っており、一度会ってみたいから連れてこいと言うことだった。

 

謁見の間に通される二人。

 

そこには椅子にふんぞり返っている袁術、その横に控える袁術の右腕張勲の姿があった。

 

「よく来たのう孫策。その男が噂の天の御使いかや?」

 

「そうよ。うちの天の御使い北郷一刀」

 

じろじろと一刀を値踏みするように見る袁術と張勲。

 

「服以外は地味な感じですねぇ」

 

「そうじゃのう。華やかさがないのう」

 

「そもそも天の御使いっていうのもうさんくさいですよね」

 

「うむ。そもそもそのような者が何故孫策の所に居るのじゃ?」

 

「ですよね。そんな方は真っ先に美羽様の所に来るはずですよ」

 

「ではその者は偽物じゃな」

 

「美羽様のおっしゃるとおりです。偽物でももうちょっと頑張ってもらいたかったですねえ」

 

一刀を嘲笑する二人。

 

「・・・・・・」

 

だが、当の一刀はどこ吹く風で、平然としていた。

 

「で?用向きは何?一刀を笑うためだけに呼んだ訳じゃないんでしょ?」

 

「うむ。七乃」

 

「はい。実はですねぇ、袁紹様から文が届きまして」

 

「文?」

 

「はい。その内容というのが、洛陽を支配し、悪逆非道を尽くす董卓を共に討つべしという各地の諸侯に当てた檄文だったんですよねぇ」

 

「へぇ・・・・・・」

 

「妾は正直気乗りせんのじゃ。どんな理由があろうとあの麗羽と手を組むなんぞ願い下げじゃ」

 

「でも、他の諸侯が動いて私達だけ動かなかったら、後で非難の対象にされるのは目に見えてますしね」

 

「そういうわけで、お主に相談しようと思ってここに呼びつけたわけじゃ」

 

「なるほどね」

 

「で、孫策さんには何か良い案あります?」

 

「と言われてもね、これはもう軍を率いて檄文に乗るしかないんじゃない?」

 

「やはりそれしかないかのう・・・・・・」

 

渋い顔をする袁術。

 

 

 

そんな中、

 

 

 

「ちょっといいかな」

 

 

 

 

一刀が話に割り込んで来た。

 

 

 

 

 

 

「何じゃ?自称天の御使い」

 

「自称天の御使いさんには何かいい考えでもあるんですか?」

 

「一つある」

 

「ほう。聞かせてもらおうではないか」

 

「簡単な事だよ。袁紹と組みたくないなら、敵対すればいい」

 

「ちょ!?」

 

思わぬ一刀の発言に動揺を隠せない雪蓮。

 

「それはつまり、董卓の側について戦う・・・・・・と?」

 

「ああ」

 

「じゃが、そのような事をして妾たちになんの得があるのじゃ?」

 

「董卓側が勝てば、袁紹とその協力者たちは反逆者として扱われるのに対し、他に董卓につく者がいなければ袁術。あんたは唯一にして最大の功労者として、手柄を独り占めできる」

 

「むう・・・・・・」

 

「でも、悪逆非道と言われてる董卓に与して大丈夫なんですかねぇ」

 

「そうじゃな。妾達の評判もそうじゃが、報奨もちゃんと貰えるかあやしいものじゃ」

 

「それも問題ないと思う」

 

「何故じゃ?」

 

「二人とも、董卓についてどれくらい知ってる?」

 

「妾は知らん」

 

「私も、元は涼州の豪族だったという位しか知りませんね」

 

「涼州出身の商人から聞いた話だが、涼州にいたころ董卓は善政を敷いていた事で知られていたらしい」

 

「それが、権力を握って変わったということかの?」

 

「いや。これはまだ俺の予想だが、多分変わっていない」

 

「?」

 

「・・・・・・ああ、なるほど」

 

首を傾げる袁術に対し、張勲は一刀の言葉の意味を察したようだった。

 

「何がなるほどなのじゃ?七乃」

 

「つまりですね、董卓の悪評は袁紹様が流したデマじゃないかってことですよ」

 

「なぬ?」

 

張勲の言葉に頷く一刀。

 

「おおかた、田舎の豪族如きが国の実質的な頂点にいるなんて生意気だ。十常侍たちの悪政の影響が残っているうちに董卓を悪人に仕立てて討伐し、その上で大きな見返りを頂こうという魂胆じゃないかと俺は思う」

 

「ありそうな話ですね」

 

「うむ。麗羽ならやりかねん」

 

「まあ、どっちにつくかは袁術様にお任せしましょう。袁紹についておこぼれをもらうか、董卓について勲功の総取りを狙うか。お好きにどうぞ」

 

「ふむ・・・・・・」

 

「美羽様どうします?」

 

美羽はしばし考えた後、

 

「決めたぞ!妾は董卓に味方する!」

 

高らかに宣言した。

 

「いいんですか?正直、結構な賭けだと思うんですけど」

 

「七乃の言う通りじゃな。じゃが、これは忌々しい麗羽めを追い落とす絶好の機会じゃ。多少危険な賭けになるとしても、乗る価値は十分にあるじゃろう」

 

「・・・・・・そうですね。分かりました。では、その方向性でいきましょう」

 

「うむ。では自称天の御使い・・・・・・一刀とか言ったのう」

 

「ああ」

 

「なかなか頭が回るようじゃのう。褒めて遣わす」

 

「ありがたき幸せ」

 

大仰に頭を下げる一刀。

 

「うむ。さて、用は済んだ。二人とも、今日の所は帰ってよいぞ」

 

「え、ええ」

 

「では失礼」

 

 

 

 

こうして雪蓮と一刀は袁術の居城を後にした

 

 

 

 

 

「ちょっと一刀。どういうつもり?」

 

「?」

 

「私に一切相談無しであんな重要な話・・・・・・」

 

「いや、あのまま袁紹につくよりはいいかなあと」

 

「どこが?負けたら袁術共々おしまい。勝っても功のほとんどは袁術が持っていく事になるでしょうし、うちに何の得があるっていうの?」

 

「・・・・・・雪蓮」

 

「何よ」

 

「こういう言葉を知ってるか?」

 

「?」

 

「豚は・・・・・・太らせて食え」

 

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

袁紹と敵対する道を選んだ袁術。

 

そんな中、一刀たちはどう立ち回っていくのでしょうか?

 

ではまた次回・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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