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真・恋姫外史 がんばれ一刀お笑い道中~僕が外史に降りた理由~ 第十二話

アキナスさん

一刀の悩み

2018-02-11 00:25:08 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2824   閲覧ユーザー数:2490

その日、一刀は思春とその配下の者達と共に、賊の討伐任務に参加していた。

 

「うおおお!」

 

気合と共に鞭を振るい、奮戦する一刀。

 

・・・・・・が、そもそも賊たちは先陣を切って殺戮を行っていく思春の存在に完全に浮き足立っており、一刀の頑張りは戦局にさほど影響を及ぼしてはいなかった。

 

それからしばらくして、大した被害もなく賊の討伐は終わった。

 

荒い息をつく一刀。

 

そんな一刀を、思春は失望が入り混じった冷淡な視線で見ていた・・・・・・

 

 

 

 

 

「はぁ・・・・・・」

 

自室に帰ってくるや否や、寝台に倒れこむ一刀。

 

黄巾党との戦い以来、戦場での未熟さを改めて自覚した一刀は、この手の任務に積極的に参加していた。

 

だが、一刀には分かっていた。

 

自分には決定的に欠けている物があると。

 

寝台に沈み、睡魔に身を委ねようとした時、部屋の扉が開く音がした。

 

一刀が身を起こし、目をこすりつつ扉の方に視線をやると、そこには思わぬ来客の姿があった。

 

「・・・・・・思春?」

 

「入るぞ」

 

ぶっきらぼうに言いつつ、部屋に足を踏み入れる思春。

 

「珍しいな。何か急ぎの用でも?」

 

「・・・・・・」

 

腕組みしながら無言で一刀を見下ろす思春。

 

そして一言。

 

「死が怖いか?」

 

「!!」

 

目を見開く一刀。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

沈黙に包まれる室内。

 

そんな中、一刀は大きく息をついた。

 

「命を賭ける理由を見つけて、向き合えたと思ってたんだけどなあ・・・・・・」

 

「向き合うのではなく、逃げるための理由だろう」

 

「・・・・・・辛辣だなあ。でもその通りだよ。熱くなって必死に戦う事は出来ても、冷静な思考は吹っ飛んじまう。黄巾との戦いの時は明命が所々指示してくれたから上手く戦えたんだし・・・・・・」

 

「理解はしているようだな」

 

「ああ。だから出撃任務に積極的に参加して、経験で何とかしようかと思ったんだけど」

 

「ぬるいな。その程度でどうにかなると本気で思っているのか?」

 

「じゃあ、どうしたら・・・・・・」

 

うつむく一刀。

 

「答えは簡単だ」

 

「へ?」

 

呆けた声を出して顔を上げる一刀。

 

 

 

そして

 

 

 

「死ねばいい」

 

 

 

思春の無慈悲な斬撃と共に、一刀の首と胴は一瞬で切り離されていた・・・・・・

 

 

 

 

「・・・・・・はっ!?」

 

我に返った一刀は反射的に首に手をやる。

 

「つ、繋がってる。それじゃあ今のは・・・・・・」

 

思春に目をやる一刀。

 

確かに思春は抜刀していた。

 

が、刀身に血は一切付いていなかった。

 

「首が落ちたように錯覚したか?」

 

手にした得物を鞘に収めつつ言う思春に、首を縦に振る一刀。

 

「殺気を込めたからな。だが、これで問題は無くなっただろう」

 

「?」

 

「貴様は一度死んだ。死人が何故、死を怖がる必要がある」

 

「・・・・・・あ」

 

ハッとする一刀を尻目に、思春は用は済んだとばかりに部屋を出て行こうとする。

 

「思春・・・・・・」

 

「勘違いするな。あのまま戦場に出られても足手まといだからな。貴様には孫呉のためにもっと役立ってもらわなければ困る。それだけだ」

 

そう言って思春は部屋を出て行った。

 

「・・・・・・」

 

残された一刀はふと、自分の手のひらを見つめた。

 

しばらくして、

 

「ふ・・・・・・ふふふ・・・・・・」

 

静かに笑う一刀。

 

 

 

思春は気づいていなかった

 

 

 

自分の行動が一刀の死への恐怖を除くだけでなく

 

 

 

 

一刀の奥底にあったモノを目覚めさせてしまったことに・・・・・・

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

長い間音沙汰なしで、申し訳ありませんでした。

 

何も言わずに失踪だけはしないつもりですので・・・・・・

 

では次回・・・・・・

 

 

 

 

 

 


 
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