No.912489

マイ「艦これ」「みほ2ん」第51話<墓参前騒動>

しろっこさん

結局、お盆に墓参することになり同参する艦娘名簿の提出に四苦八苦する司令だった。

2017-07-02 17:56:30 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:539   閲覧ユーザー数:537

 

「軍事演習の真似事でもする気か?」

 

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「艦これ」的「みほ2ん」

 第51話 <墓参前騒動>(改)

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「暑いねえ」

鎮守府のどこに居ても、この掛け声が合言葉のように響く。

 

ただ艦娘の性格の違いがある。

 

「暑いですね」

……と言う子も居れば

 

「暑っちぃなぁ、オイ!」

……と言う子も居る。

 

どっちが誰だとは、いちいち気に留めない。

 

 私が指令室に入っていると索敵と無線を兼任して担当している利根がうちわで扇ぎならが言った。

「山陰の夏は、やっぱ暑いのう」

 

すると別の端末を見ていた大淀さんが言う。

「そうですね……ここは気温は高いのですが湿気が多いです。それに太平洋側と違って晴天が多いです」

 

「え? そうなのか」

時折、水偵と無線で交信をしている利根が目を丸くして言った。

 

「はい。日本海側特有の気候です」

「へぇ」

利根は白いリボンに手をやりながら少し感心したようだった。

 

 その場は二人に任せて私は執務室に戻る。そこには秘書官の祥高さんが自分の机に座って書類を整理していた。

「司令、軍令部に提出する報告書の内容ですが」

 

「ああ」

私も自分の机に腰をかける。

 

彼女は続けた。

「深海棲艦とは相変わらず数日の間隔で日本海で哨戒部隊との衝突を繰り返しています」

「今のところ双方には、さほど被害は無いな」

 

私の言葉に彼女は書類を数枚、めくりながら答えた。

「はい……相手も深追いしてこないことがほとんどです」

 

「そういうところは妙に人間臭いよな」

彼女も苦笑した。

 

……そう、相手も単なる機械ではないことがこれで分かる。闇雲に攻撃してくるわけでもなさそうなのだ。

 何かの目的がある感触だが……真実は分からない。

 

私は彼女を見て言った。

「今のところ美保へ攻撃を強行してくることは無いな」

 

「はい。しかし時折、別の山陰海岸の砂浜から上陸した形跡が見られることがあります」

その言葉に私は腕を組んだ。

 

「上陸か……しかしそっちは陸軍の管轄になるからな。海軍の我々としては何ともいえない」

「……」

お互いに無言になる。

 

私は指示を出す。

「内容はそれで良いよ。後は頼む」

「はい」

 

私は再び立ち上がると廊下へ出た。

 

 窓から輝く日本海が見える。

 

私は鎮守府の敷地内外で訓練をする艦娘たちを見ながら考えた。

 

(我々としては日々、国土防衛に努めつつ粛々と鍛錬に勤めるばかりだ)

 

 そして美保鎮守府は8月を迎えた。気がつくと、お盆前だ。

私は早速、軍令部に休暇届を出して無事に受理された……たった一日だけど。私の書類は一発OK。

 

 しかしその後が問題だった。

 

まず廊下で事あるごとに捕まってしまう艦娘がいる。

 

 言うまでも無いだろう。

1)日向、2)北上、3)寛代。

 

捕まえ方も三者三様だが、個々には触れない。

 

「あーあ、艦娘が正式に休暇を取るために、まさか「休止届け」書類が必要だとはなあ」

 私は執務室の椅子にふんぞり返って頭をかいた。窓の外が好天なのが余計イラつく。

 

 実は昨日、いきなり電話でも統括官に言われたのだ。

「一度に30名近い兵士が休暇とは何事か? 軍事演習の真似事でもする気か?」

 

「いえ……その」

しどろもどろで応えながら、実はその時点の私は何も知らなかった。

 

電話で散々注意された後に慌てて調べて分かった。

 

 鎮守府の艦娘の休暇届けの決済印には司令(提督)の判子が必要なのだが……実は、この前の作戦に参加した艦娘たちを中心として軒並み私と同じ日に一斉に届けを出していたのだ。

 

 もう驚いたの何のって……

 

「お祭りか? お前らは!」

思わず叫んだ。

 

 そのお陰で結局、私の休暇も、お盆に突入せざるを得なくなったのだ。

 

(やれやれ……)

 

 秘書官と相談して10名前後という計画を立ててから改めて軍令部と交渉した。

 

 散々粘った挙句に軍令部から私と、あと12名という制限がついて決着した。

 

交渉後に祥高さんが言った。

「何とかまとまりましたね」

「そりゃ艦娘も軍隊の兵士、大量に抜けるのは問題だからな」

 

椅子に深く腰をかけて私は言った。

「でも、よく許可が下りたな」

「私もいろいろ……伝手(つて)を使わせて貰いました」

 

「え?」

絶句する私。

 

(いや伝手を使ってまで、やることか?)

急に脱力した。

 

 思わず私は祥高さんの顔を見てしまった。だが意外にニコニコしている彼女の顔を見ると何もいえなかった。

 

(実は黒幕は貴女ではないのか?)

 

「やはり休暇でなく訓練名目にすれば良かったかな?」

 

……とはいえ、後の祭り。ここまで増えるとは想定外だが仕方ない。

 

 最初の3人……1)日向、2)北上、3)寛代は優先順・提督権限で、無条件に許可を出すことにした。

 

 軍部の許可は下りた。後の問題は、他の参加する艦娘を、どうやって決めるのか? だ。

 

「美保湾で艦隊紅白戦(実弾演習)をするのじゃ!」

「何だよそれは!」

某艦娘から出た物騒な案は却下した。

 

 最後は、あみだくじ……平和な抽選方法になった。

 

(ブツブツ)

「うるさい!」

 

さて私が苦労して編み出した参加メンバーはざっと次の通り。

 

<< 墓参:メンバー表 >>

 

1)日向、2)北上、3)寛代。ここは無条件。

 

 以下

 

4)祥高、 5)赤城、 6)比叡、 7)金剛、8)山城、9)龍田、10)青葉、11)利根、12)五月雨。

 

控えめな艦は、最初っから墓参そのものを辞退しているけど。五月雨はくじでたまたま。すごく恐縮していた。

 

 今回は、申し訳ないが司令の権限で島風は撥ねた。連装砲が付いて来ると、もうそれだけで定員オーバーする。それ以前に、あの格好は墓前ではNGだろう……許せ、島風。

 

 それでも他に色仕掛けとか賄賂とか、ありとあらゆる裏工作があった……。

 

「ていうか何だよお前ら。単なる墓参だぞ!」

 思わず、叫んだこともある。

 

 当然、変な連中は片っ端から撥ねた。

 

(どこで覚えるだ? そんな裏工作)

 

「みんな、お祭りが好きなんですよ」

意外なことを言う祥高さん。

 

(まあ秘書官である彼女は特別枠だな。前回の戦闘でも苦労かけたから)

 

 しかし出た結果を改めてみると微妙に押しが強かったり妖艶だったり、やかましかったり鬼気迫ったり……。

「大丈夫かこれ」

 

「大丈夫ですよ。いざとなったら私が締めますから」

また意外な秘書官の発言……だが、それは心強い。

 

 境港には水木しげるロードって言う妖怪の立ち並んだ通りがある。実際それにも負けてない……。

 

(もうちょっと大人しい艦娘だけ選別したほうが良かったかな?)

 

 後悔。

 

(島風は仕方ないが、あまり意図的に外すと直感は働く艦娘たちだから……私も下手なことは出来ない)

 

冷や汗が出る。

 

(これが、ギリギリの線だな)

 

 ただ留守を守る鎮守府でも大淀さんを中心に何かあったら直ぐ出撃出来るよう体勢は整えて置く。

 

 念のためにトラックの荷台にも例の軽機関銃を今回は2台各車に装備した。あとは予備の弾倉も……準備は抜かりなく。

 

 墓参の準備なのか戦闘の備えなのか、よく分からなくなってきた。

 

 実は今回の墓参でも「あいつ」の配慮に期待している。そう、鎮守府港湾内で強襲され私が敢えて「見逃し」した恩着せ……あの深海棲艦にも墓参時間だけは「見逃し」てもらおうという魂胆だ。

 

念のために北上に聞いてみた。

「うまくいくかな?」

 

彼女は微笑んだ。

「……イケると思う。うん大丈夫」

 

すると秘書官も頷いていた。

 

私は改めて頷いた。

「そうだな。今回も、うまくいくだろう」

 

そこは確信があった。それは不思議な感覚ではあったが。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

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PS:「みほ2ん」とは

「美保鎮守府:第二部」の略称です。

 

 


 
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