No.912120

真・恋姫†無双~黒の御使いと鬼子の少女~ 35

風猫さん

真・恋姫†無双の蜀√のお話です。オリジナルキャラクターが蜀√に関わる話なので、大筋の話は本編とほぼ同じですが、そういったのがお嫌いな方はブラウザのバックボタンをお願いします。




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2017-06-30 00:46:32 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:952   閲覧ユーザー数:897

 華雄との戦いを終えた俺たちは一度関羽たちの元へ戻る。

 

「鈴々!」

 

 と、張飛の姿を見つけた関羽が駆け寄ってきた。

 

「怪我は? どこか痛いところはないか? 怖くはなかったか!?」

 

 おーおー、面白いまでの姉バカっぷりだな。劉備に話した時のあの表情はどこに行ったのやら。

 

「まったく、おぬしは強いのか弱いのかわからんな」

 

 と、皮肉を言いながら趙雲も寄ってくる。

 

「して、どういう状況か、説明願おうか、玄輝殿」

「ん? まぁ、見ての通りだ」

「……わからんから聞いているのですよ。華雄は誰が打ち取ったので?」

「まぁ、色々あって俺だ」

 

 その言葉に驚いたのは関羽だ。

 

「玄輝殿が? 一体なぜ?」

「まぁ、落ち着いたら話をするさ。今は追撃が優先だろう」

 

 そういって俺は”戦利品”を近くにいた兵士たちに本陣へもっていくように指示して、関を見上げる。

 

「この戦いも大詰めだ。詰めである以上はきっちりさせようぜ?」

 

 その言葉に全員がうなずいてくれた。俺は一人の兵にこちらの損害を尋ねる。

 

「激戦故、負傷兵は多いですが……」

 

 そこで一度言葉を切るが、勇ましい表情でその先を続ける。

 

「やれます! 我ら劉備兵、この程度で挫けるほど弱くはありません!」

「……上等」

 

 それだけ言った俺は関羽へ視線を向ける。

 

「号令は任せた。俺はどうにも苦手でな」

「一隊を率いる将なのですから、それぐらいはできるようになってください」

 

 呆れた表情を見せるが、すぐに真剣な表情へ戻す関羽。

 

「行くぞ! 我らが主たちに勝利を!」

「“応!”」

 

 返事を返した兵は全員覇気に満ちている。それを感じたのだろう。趙雲も関羽に続いて声を上げる。

 

「勇者たちよ、我らが旗のもとへ集え! 浮足立った敵など我らの敵にあらず! 我らの強さを思う存分、見せつけてやろうぞ!」

 

 そして、目すらも合わせずに関羽がそれに合わせる。

 

「勇敢なる兵よ! 抜刀せよ! 眼前の敵を粉砕し、汜水関を落とす! 全軍突撃ぃいーーーーーーーっ!」

 

 その声に兵たちは雄叫びを上げながら前進、そして惑う敵軍を討ち取っていく。

 

「ん?」

 

 その最中、汜水関の門が開いた。

 

(この状況で門が開くってこたぁ……)

 

 落ちたということだろう。汜水関が。

 

 その証拠に門の天辺に褐色桃髪の女性が旗手を連れて高らかに名乗りを上げた。

 

「江東が麒麟児、孫策が汜水関を落としたぞぉ!」

 

 その声に連合軍の兵は雄叫びをあげ、董卓軍の人間は膝から崩れ落ちた。

 

 ここに、汜水関の激戦は決着を迎えた。

「にゃー……」

 

 次の虎牢関へ向けて進軍中、張飛が盛大なため息を吐いた。

 

「こら鈴々、いつまで落ち込んでいるのだ」

「だって、結局孫策ってやつが汜水関を落として一番の手柄を立てちゃったし、華雄は玄兄ちゃんが討ち取っちゃったのだ……」

 

 んぐ。

 

「だから悪かったって言ってるだろ」

「討ち取った、ですか」

 

 俺たちの会話を聞いていた関羽が少し渋い顔をする。

 

「玄輝殿。何故、華雄を“生かしておいた”のです?」

「ん?」

 

 そう、俺は華雄を殺していない。気絶させて生け捕りにした。

 

 首へ向けて放った一閃は顎を掠めるように振り抜いて気絶させたのだ。

 

「まぁ、あいつには聞きたいことが腐るほどあるからな。それでな」

「……ですが、武人としてそれは」

「納得できないか?」

「……そうですね。このような生き恥、少々酷なのではないかと」

 

 まぁ、それはわからなくもないが。

 

「一度死を受け入れた人間だ。そして、俺に命を預けた以上はいつその首を取るかは俺が決める」

「それは……」

「愛紗、玄輝殿の言は筋が通っているし、それに玄輝殿にも、しか考えがある」

 

 俺たちの会話に割り込んできた趙雲はこちらへ視線を向ける。

 

「して、何故です?」

「お前も結局それか」

「まぁ、私もどちらかと言えば愛紗側なのですよ」

 

 となると張飛もそうだろうな。

 

「……まぁ、白装束の情報を集めたかったのさ」

「白装束? 董卓のところにいるという奇妙な一団のことですか?」

「ああ」

 

 少なくとも、奴は何かしら知っているはずだ。その証拠に“お前は覚えているのか”という意味深な言葉を使っている。

 

(あの言葉から察するに“何かを”忘れる事態が董卓軍内で起きているはずだ)

 

 それが白装束と関係があるかどうかはわからないが、何かしらの繋がりがある気がする。

 

「そいつらの情報、華雄が知らないわけはないからな。少しでも情報はあったほうがいいだろ? それに、あわよくば虎牢関の情報も手に入れられる」

 

 そう言って俺は鳳統に視線を向ける。

 

「情報は多いほうがいい、そうだろ?」

「ひゃ、ひゃい!」

 

 いきなり話が振られたからか、小さい体が面白いくらいに跳ねた。

 

「と、悪い。で、どうなんだ?」

「え、ええと、そうですね。確かに情報は多いほうがいいです」

 

 だが、そこでその表情が曇る。

 

「でも、はっきり言って一番重要な情報は手に入っているんです……」

「重要な情報?」

「はい。虎牢関を守る守将についてです」

 

 なるほど。確かに一番重要と言えるな。

 

「で、誰が守ってるんだ?」

「…………天下の飛将軍、呂布さんです」

 

 その言葉に全体の空気が一気に変わる。

 

「呂布だと? あの三國無双とまで謳われるあの呂布か!」

「呂布か……」

 

 その名前はよく知っている。一騎当千をそのまま実行できる実力があったとか言われてるんだよな……。

 

「それに、汜水関の守将であった張遼さんもいるようです」

 

 そこへ孔明が情報を加える。それに答えたのは趙雲だ。

 

「張遼、張文遠のことか」

「知ってるのか?」

「ああ。旅先でよくその名を聞いたものだ。だが、そのどれもが張遼を讃える話ばかりだった。間違いなく強敵だろうな」

 

 その言葉を聞いた劉備の顔が曇る。

 

「そうなると、次の戦いでは難攻不落の関に籠る三國無双の人と、噂になっちゃうくらい強い人が相手なんだ……」

「にゃあ、それに対してこっちには能天気な主がいるのだ」

「う、それって私のこと?」

「にゃ、二人なのだ」

「うぇ、俺もなの?」

 

 その言葉に全員が小さく笑う。少しだけ緊張が取れたところで、北郷が今後のことを口にする。

 

「みんなはこの困難な状況、どうしたらいいと思う?」

 

 その言葉に全員が頭を悩ませる。

 

「……やっぱすぐには出ないよねぇ」

 

 まぁ、そこは北郷も予想していたようだ。

 

「そうですね。もともと不利な攻城戦を仕掛けている以上、状況次第でどうにかするしかないというのが現状かと……」

 

 そうなると……

 

「袁紹からの指示次第、か」

 

 とはいってもなぁ……

 

「どうせ“かれーにぜんっしん! ですわ!”とかなのだ」

 

 まったくもって同感である。

 

「ま、まぁ、そうとも限らないし」

 

 と、北郷が言ったところで袁紹からの伝令がやってきた。

 

「大本営より伝令! 劉備軍は速やかに前進、虎牢関前方に布陣せよ! その後は敵に合わせ華麗に敵を撃破せよ!」

 

 “以上!”と言って伝令は他の場所へ向かっていった。

 

 そして流れる微妙な雰囲気。

 

「…………はぁ」

 

 北郷のため息につられて、全員同じようなタイミングで溜息を吐く。無論、俺もだ。

 

「案の定ってか。てか、華麗に敵を撃破って、英雄譚じゃあるまいに」

 

 冗談で言う分には面白いが……。と呟いた俺の言葉に孔明が付け足す。

 

「そんな英雄譚、路傍の隅にでも捨てられるのがお似合いだと思います」

 

 と笑顔で言い切ったのを聞いて俺は、

 

「ぶふぉ!」

 

 しまった、思わず笑っちまった。

 

「にゃはは。朱里も口が悪くなったのだ!」

 

 と、張飛が冗談交じりに行ったのだが、孔明はため息一つで疲れた表情になってしまう。

 

「こうも何度もされたら口も悪くなっちゃいますよぉ……」

「そりゃそうだ」

 

 孔明の心情は察するに余りある。そしてそれは鳳統に対しても同じだ。

 

「鳳統も大丈夫か?」

「へぅ……」

 

 ……うむ、あまり大丈夫じゃなさそうだ。

 

「正直、あの虎牢関に呂布将軍、張遼さん、それに陳宮さんという軍師もいるようですので、私も朱里ちゃんと同じ気持ちです……」

 

 はぁ……と小さな溜息を吐く鳳統。その二人を北郷が慰めながら小さく口にする。

 

「陳宮、か……」

「知ってるのか?」

「う~ん、俺としてはあんまりパッとしない将、ってところかな」

 

 “まぁ、歴史に名は残してるから実力はあると思う”と小さく俺に付け足した北郷も盛大なため息を吐く。

 

「呂布の武力に陳宮の知力、そして噂に名高い張遼の力かぁ……」

 

 ……北郷の言葉を聞いただけで溜息しか出ない。

 

「……そういや、白装束の軍団はどうなんだ?」

 

 俺が話を切り出すと、北郷は“げっ”と思わず口にしていた。

 

「そうだ、それもあったんだ……」

 

 そういって孔明へ視線を向ける。

 

「朱里、白装束の軍団の情報ってある?」

 

 北郷の言葉に孔明は首を横に振る。

 

「今のところは何も。たぶん、虎牢関にはいないと思いますけど……」

(……本当にそうなのか?)

 

 俺はそこで華雄との戦いを思い出していた。

 

 あの時、槍を張飛へ投げつけた兵士は突然沸いたように見えた。普通、人と言うのは何かをするときには何かしら予備動作がある。特に槍を投げるなんて動作はわかりやすい予備動作がないと投げづらいものだ。

 

 それをあの兵士は難なくやり遂げたのだ。にわかには信じがたい。

 

(一応、話しておくべきか?)

 

 だが、あの時ほど嫌な予感はしない。

 

(……様子を見るか)

 

 虎牢関に着くまでにはまだ時間がある。それまでに同じような予感がしなければ問題はない、だろう。

 

「……でも、やるしかないよな」

 

 そう言って北郷は下げていた顔を上げる。それに合わせて武将たちも意気込む。

 

「ご主人様のおっしゃる通りです。呂布などこの私が討ち取って見せましょう!」

「ふ、私も愛紗に負けていられませんな。しかし、呂布はこの私が討ち取りましょう」

「なにおう!」

「今度こそ鈴々が討ち取るのだぁ!」

 

 その様子を小さく笑ってみていた本郷だったが、すぐに顔を引き締める。

 

「うん、期待してるけど、呂布と戦うときは絶対に一人で闘わないで。これは命令だよ」

 

 その言葉に、さっきまで話していた武将たちが不満の声を上げる。

 

「それは嫌なのだ! 一対一でやりたいのだ!」

「命令とあらば従いますが、理由は言っていただきたい」

「まさか、ご主人様は私たちが負けるとでもお思いなのですか!」

 

 三者三様の反応を返したところで北郷がそれに答える。

 

「そうは思わないけど、でも、それでもこの命令は守ってほしい。頼む」

 

 そう言って頭を下げる。

 

「ご主人様……」

「俺が知っている呂布将軍の強さは、並大抵のものじゃない。皆の強さもよく知っているつもりだけど、万が一にも、いや、億が一にもみんなを失いたくはない」

「ご主人様……」

「だから、みんな。絶対に一人で呂布と対峙しないで。卑怯かもしれない、流儀に反するかもしれない。でも、それを分かった上での命令だってことは、覚えておいてほしい」

 

 一時の静寂の後、関羽が口を開いた。

 

「……承知いたしました。ご主人様のお心遣い、しかと頂戴いたします」

 

 だが、その言葉にほかの二人はそれぞれの反応を返す。

 

「にゃ、愛紗が素直なのだ」

「まったく、いつもこうならばいいのだがなぁ……」

「なっ、そ、そんなことはなかろう! 私はいつも素直だ!」

 

 だが、そこへ長女がニヤニヤしながら反論する。

 

「ほんとかなぁ? なんかご主人様の言葉だけには素直な気がするなぁ~。あ、それに、玄輝さんの前では素直じゃない気もするなぁ~」

「と、ととと桃香さま! なにを、お、仰いますか!」

 

 ん? 俺の前では素直じゃない?

 

「別に、そんなこと、むぐっふ!?」

 

 言おうとしたところで、趙雲に口をふさがれる。

 

(玄輝殿、ここは黙っておくのが金ですぞ)

(はぁ?)

 

 思わず小声で返してしまったが、趙雲はそんなことはお構いなしに劉備の話に乗っかる。

 

「事実ではないか」

「せ、星!」

「愛紗さんも女の子だってことですね」

「朱里ちゃん、それは何気にひどい……」

「しゅ、朱里まで!」

 

 全員から攻撃を食らい、行きついたのは俺だった。

 

「げ、玄輝殿! 何か言ってやってください!」

「俺!?」

 

 まさか、奴の“金”って、面白いかどうかってことか!? 自分が!

 

「ぬ、ぬぅ……」

 

 こうなれば、無難な答えで……

 

「まぁ、それも魅力、だろう。うん」

「つまり、玄輝殿も愛紗は素直でないと」

「んな!?」

 

 その言葉に周りの兵までもが小さな笑い声をあげる。それに対して関羽は照れ隠しのように北郷へ詰め寄っていた。

 

 だが、それは兵たちにいい影響を与えたようで、足取りが少しだけ軽くなったように見えた。

 進軍してしばらく、虎牢関が見え始めた時、周りの諸侯もすぐに気が付くほどの異変が起きていた。

 

(虎牢関の前に、布陣してる?)

 

 そう、董卓軍が関の前に布陣しているのだ。

 

 普通に考えれば悪手もいいところだ。

 

「ふむ、籠城をあきらめたか……?」

「馬鹿な! 決戦を望んでいるとでもいうのか?!」

「本当にそうなら潔い奴らなのだなー」

 

 と、わが軍の武将は言っているが、これが策なら話は違ってくる。

 

「孔明、これをどう見る」

 

 俺は孔明に話を振ると彼女はいつものように顎に手を当てて考えに耽る。

 

「……普通なら考えられないことです。でも、向こうにいるのは」

「飛将軍、呂布か」

「策として考えるならば囮として、両側に弓兵を配置して一斉に攻撃、と言ったところですが……」

 

 そこで一度話を切ってから、孔明は続ける。

 

「私が考えるに、敵の思惑にそれはないと思います。あるとすれば、玉砕覚悟で総大将の首級を取るか、あるいは退却するか、だと思います」

 

 それを聞いていた趙雲が話に入ってくる。

 

「退却するのであれば、関に籠ったほうがしやすいのではないか?」

 

 それに反論したのは鳳統だ。

 

「一概には言えないです。籠城を選択した後に退却を選ぶと、関の防御力頼ってしまい、逃げ出来を見失うことがあります。でも、野戦ならばその時を見失うということはまずないでしょう」

「なるほど」

「でも、包囲されたときはもっと逃げるのが困難になると思うけど」

 

 北郷の言うことにも一理ある。話を続けるように鳳統が北郷からの問いに答える。

 

「それはそうですが、関に籠ってまだ戦える、まだ戦えるって勘違いして時期を見失うよりは、包囲されかけた時に全力で逃げたほうが生存できる可能性が高いです……」

 

 成程。となると……

 

「一度戦線が崩壊したらすぐに逃げると考えたほうがいいか?」

「その可能性は高いです……でも、兵を率いるのは飛将軍呂布さんに張遼さんですから、そう簡単にはいかないかと……」

 

 鳳統の話に孔明が付け足す。

 

「それに、軍師の陳宮さんもいます。また、情報は相変わらず入っていませんが、白装束の軍団の事もあります」

「……厄介だな」

 

 こうなると、生半可な策では意味をなさないだろう。

 

「孔明、鳳統。策は何かあるのか?」

 

 そう問いかけると、二人して暗い顔になってしまう。

 

「戦略面では、袁紹さんの事ですから“華麗に迎撃せよ”とかでしょうから、あまり施しようがないです」

「戦術面ではいくつか案はありますが、敵の動きが読めない以上は、何も言えません……ごめんなさいです」

「そうか。まぁ、二人が謝ることじゃない」

 

 状況的に仕方ないといえば仕方ないのだ。

 

「北郷、こうなった以上は様子を見るしかないと思うのだが、どうする?」

「そうだね。それでいいと思う」

 

 北郷の言葉に全員がうなずく。

 

「じゃあ、相手の動きと袁紹の指示が来るまで待機。そのあとで動いても問題はないはずだしね」

 

 そう言って話をしめた。

 

 が、敵はそれを許しはしなかった。

 

「こ、孔明様! 緊急です!」

 

 慌てた様子で孔明のところの兵が入ってきた。

 

「て、敵軍突撃を開始してきましたぁ!」

「は、はわわ!?」

 

 ちっ、敵のほうが早かったか!

 

 しかし、北郷は慌てることなく確認や、指示を飛ばす。

 

「本陣からの指示は、ないよね?」

「ありませんよぉ!」

「まぁ、そうだよね」

「何を呑気におっしゃっているのです! 迎撃態勢を敷きましょう!」

「そうだね。じゃあ、愛紗、鈴々、玄輝の三人で前曲を率いて相手の突撃を受け止めて。星と雛里は三人の左右を固めて」

 

 指示を受けた鳳統は北郷に返事を交えて確認をする。

 

「承知いたしました。では、桃香様、ご主人様、朱里ちゃんは後曲の指揮、ということですね」

「そうだね。主な指揮は朱里、お願い」

「御意です!」

 

 そして各々が各持ち場へと向かっていく。

 

 その道中、張飛がうずうずとしていた。

 

「うぅ~、腕がリンリンって鳴っているのだ~!」

「張り切りすぎて怪我をするなよ、鈴々」

「愛紗こそなのだ!」

 

 二人して元気なこって。だが、一言言っておかなければ。

 

「気合いが入っているところ悪いが、張飛、関羽」

「はい?」

「にゃ?」

「……気をつけろよ。特に張飛はさっきの事もある」

「さっきの事~?」

 

 そういわれて、何かを思い出そうとする張飛。

 

「……華雄の事だよ。お前、槍を投げつけられたんだぞ?」

「にゃ? そうだっけ?」

 

 ……まぁ、槍は見えてなかっただろうから仕方ないといえば仕方ないか。

 

「でも、正直、玄兄ちゃんに華雄を譲ったことの方が大きいのだ!」

「……戻ったらラーメン奢ってやるから機嫌を直してくれ」

「にゃ! 本当!?」

「二言はねぇよ」

「やった!」

 

 で、あっという間に機嫌を直す張飛。そしてその軽い足取りのまま俺たちの先頭へと躍り出た。

 

 と、張飛が聞こえないような声で関羽が話しかけてきた。

 

「……玄輝殿、少しよろしいですか?」

「ん?」

「さっきの話、本当なのですか?」

 

 さっきのっていうと……

 

「ラーメンか?」

「違います!」

 

 ですよね。

 

「槍の話だろ。悪いが真実だ」

「いえ、玄輝殿を疑っているわけではないのですが、どうにも鈴々が忘れていることが信じられないというか……」

「……どういう意味だ?」

 

 一度迷うような表情をしてから、関羽は話し始める。

 

「あやつは天性の戦上手。そして、勘を持っています。それがこちらへ飛んでくる槍に気が付かないというのにも疑問はありますが、命を狙われたということを忘れているということがどうにも……」

「それは槍が見えてなかったんだろ? 槍は俺の体で見えなかっただろうし、その槍自体も華雄が投げてきたやつに投げ返しちまったし」

「ですが、音は聞こえたはずですよね?」

「……っ!」

 

 そうだ、音は聞こえていたはずだ。俺の鎖帷子と槍がこすれた音、そして地面に突き刺さった音。この二つは間違いなく聞こえていたはずだ!

 

「……まさか、これが」

 

 華雄の言葉が頭の中でよみがえった。

 

“……貴様、あれを覚えているのか?”

 

(あれは、このことだったのか?)

 

 だとすれば、どういうことだ? 攻撃されたことを当人が忘れる、それはいったいどういうことなんだ!?

 

「玄輝殿?」

「……すまん、一段落したら話す。俺も整理しなけりゃ、うまく話せる自信がない」

「……わかりました」

 

 そう返事を返して話は終わった。しかし、俺心には消えない疑問が残ったしまった。

 

 この“異常”は、果たして白装束の軍団と関係があるのだろうか、と。

 

みなさん、おはこんばんにちわ。作者の風猫です。

 

最近、ちょいと小耳にしたのですが、モンハンがついにPS4に戻ってくるとのことなのですが……

 

超 楽 し み で す !

 

自分、PSPは弓をメインに使っていたんですが、DSになってから使い辛いってか、使う気力をなくしてやめてしまったんですけど、また弓で戦えると思うと……

 

それに、PSVRの方もちょいちょいゲームが出てくるようですし、楽しみが何気に多いですな……

 

では、こんなところであとがきとさせていただきます。

 

では、また次回。

 


 
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