No.905222

リーリエ

虻丸さん

彼は死を決意していた。それは一昨日の金曜の放課後の話だった。彼は忘れ物を取りに学校を訪れていた。教室に入ると彼の視線はある一点にくぎ付けになった。クラスのマドンナ、リーリエさんの席だ。彼女を想う男は多くいるが、彼もそのうちの一人だった。教室には彼以外誰もおらず、ヒグラシの鳴き声が夕日とともに彼の裏の顔を手招きする。彼は無意識のうちに彼女の机の横にかかった体操袋を手に取り、中の物の臭いを肺いっぱいに吸い込んだ。甘い香りの中に汗の臭いが混じり、官能的な気分が加速する。体が火照ってくる。彼が感動に浸っている最中、教室の扉が突然慎ましやかに開かれた。
――前方からリーリエさんが一人歩いてくる姿が見えた。彼女をとらえた瞬間、彼の短く不格好な両足は絡まり、惨めに転んでしまった。それに気づいた優しい彼女は慌てて駆け寄ってきたその時、助平な風が彼女のスカートをめくった。彼女の頬は目の前の彼を意識して一瞬赤みを帯びたがすぐに引いていき、代わりに青を帯びた冷たい眼差しが彼の下腹部へ注がれていた。

2017-05-12 05:32:14 投稿 / 595×842ピクセル

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