No.903093

恋姫†夢想×三極姫 ~選ばれし英雄達~

アインさん

呂布隊と別れた三人は?

※※※
次回は、休息編を投稿します。

2017-04-28 08:50:13 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1142   閲覧ユーザー数:1101

 黄巾賊と義勇軍の戦いは、義勇軍の勝利へと傾いていた。

 組織化した賊は殲滅され、残りは残党となり果てており、もはや首謀者の張角を仕留めるだけとなっていた。

 

「どうして・・・どうしてなの?」

 

 張角はそんな現在の状況に絶望していた。

 

 駄々をこねるように現実を否定するが、そんなことをしても変わるわけもない。

 張角は亡骸となっていた妹達に話かけた。

 

「起きてよ地和ちゃん、人和ちゃん!!」

 

 当然ながら、彼女達は何も答えない。

 それでも張角は二人に話かける。

 

「どうして? 私たちは頼まれただけなのに・・・どうして?」

 

 納得のいかない張角。

 そこに、自身を呼ぶ声が聞こえた。

 義勇軍の兵士達がすぐ近くまで来ている。

 

「あ、ああ・・・」

 

 張角はここでようやく認める。

 自身の今置かれている現実ではない。そこに至るまでの道のりに気づいた。

 

「そ、っか。私・・・」

 

 義勇軍が張角を見つけると叫ぶ。

 当の彼女にはその声を聞くことも逃げる気力もなかった。

 

「あの人に利用されたんだ・・・」

 

 そう言い終えると同時に、彼女の首は跳ねられる。

 この張角が討ち取られたという吉報は、各義勇軍へ伝えられ、黄巾賊との闘いは終結した。

 

 ・・・だが、それは新たな闘いの幕開けでもあった。

黄巾の乱編 後章 『旅立』

 大きな戦争は終わったが、義勇軍の戦いは続いた。

 黄巾賊の残党達の小規模な戦い、その戦いによって傷つけられた民達による反乱など、戦い自体に終わりは見えず、いつも地上は血で塗れていた。

 

 しかし、義勇軍はそれらを利用し、自身への高みへ上る足枷として戦っていた。

 そして彼らもまた、後に起こる大規模な戦のために、日々活動をしている。

 

「張角が討たれたんだ・・・」

 

「ああ・・・」

 

 三人は張角の死亡の吉報の知らせに、眉を細めた。

 彼らが喜んでいない理由は知っているから。

 次に何が起こるのかを・・・。

 

「で、この後は洛陽で董卓が暴挙の政治をすると?」

 

 暁人の質問に北郷は頷く。

 

「ああ、たぶんそれで反董卓連合を結成するために、袁紹が呼びかけるはずだ」

 

「問題はその時の俺達の進むべき道だな・・・」

 

 銀河は三本の指をたてて、二人に見せる。

 

「劉備、曹操、孫権・・・いや今は孫堅か。その英雄達の誰についていくべきか・・・」

 

 三人はあの後、北郷から聞かされた歴史を参考に行動。

 やがてくる戦乱を起こす董卓はもとより、のちに滅ぼされる呂布にいるわけにもいかずに脱走した。

 そして、彼ら三人は反董卓連合で活躍する劉備、曹操、孫権達に加担して、平和への道へと尽力しようと考えていた。彼らの活躍は以前から耳に入っており、後押しは北郷の歴史解説が決定打だった。

 

「・・・でも、彼らについて行ったとしても完全な平和にはならないよな?」

 

「まぁ、ね・・・」

 

 しかし、ここであることに気づく。

 彼らについて行けば一時的な平和を取り戻せるが、それはあくまでも一時的に過ぎない。結局は、三人では平定されることはなく、のちの新たな勢力の前に滅ぼされる。

 

 それは三人にとって意味がない。

 少なくとも『答え』がわかった平和ではなく、『未知』となる平和でなければ、すぐに第二、第三の自分達が生まれてしまうのを知っているからだ。

 

「じゃぁ、俺達の誰かが国を平定して平和を目指すか?」

 

 暁人の問いかけに、北郷は沈黙した。

 

「なら、俺が目指すよ」

 

 銀河は挙手を挙げて、立候補する。

 

「・・・銀河、それはつまり彼らの歴史に喧嘩を売るということだぞ?」

 

 北郷の不安そうな表情に、銀河は微笑み言う。

 

「三人じゃ平和にならないなら、他の誰かがやるしかないだろう?」

 

 他者が無理なら自分がする。

 合理的だが、時と場合による。この判断は自分達の理想を他者にも共有されること。

 それを果たすだけの責任が銀河にあるかどうかとなると・・・。

 

「少なくとも、俺が幼少期時代だった頃を誰かに経験させたいとは思わない」

 

 あんな時代はごめんだと銀河は、過去の自分を思い返す。

 それを見る北郷と暁人も納得した。

 ならばと、さっそく銀河が大陸を平和にするという方針で、活動をしようと思ったが・・・。

 

「で、どうしたら大陸を平定なんか出来るんだ?」

 

 ある意味振り出しに戻った。

 

「諸葛亮に聞いてみてはどうかな?」

 

 北郷は三国志において、最強の軍師であった諸葛孔明に助けを求める作戦を提案した。

 

「なるほど、軍師に聞けば解決方法も見つかるか」

 

 二人にとっては、まだこの時期は無名であるはずの軍師だが、北郷の発言に間違いなどないので、この提案に賛同した。

 そして、この提案は次の場所への道しるべともなった。

 

 ・・・荊州である。

 真っ白な空間。

 その空間に沢山の人達が集まっていた。老人、老婆、青年、少女など年齢層もばらばらだが、どの人達も羽根扇を持っており、彼ら全員が軍師であるということを教えてくれた。

 そんな集団の中、三人だけが羽根扇ではなく、荷物を背負っており、どこかへ旅立つ様子だった。

 三人のうち二人は、小柄で可愛らしい少女。残りの一人は、黒いサングラスをかけて、どこかかっこつけている部分がある青年。

 

「・・・よいか、くれぐれも粗相がないようにするのじゃぞ?」

 

 黒いサングラスをかけた青年に、一人の老人が話かける。

 青年は帽子を被りなおしつつ、少しほほ笑む。

 

「大丈夫さ。二人は何があっても守り通すさ」

 

 クールに決め顔を見せる青年だが、その様子に溜息を老人はしていた。

 

「はぁ・・・なんでそこで『二人』になるのじゃ。己もそして世界も含めと言わないと、この旅立ちに意味などないじゃろ?」

 

「うっぐ・・・」

 

 青年は図星をつかれたのか冷や汗をかいてしまう。

 

「まぁまぁ、彼もちゃんと役割を果たして活躍してくれますよ」

 

 そこへ今度は若い女性が話に入ってきた。

 青年はその女性を見るなり、少し照れつつもびしっと背筋を伸ばす。

 

「大丈夫です。ちゃんとしっかり世界を守っていきます!」

 

 老人はやれやれと再び溜息をつくのだった。

 一方の小柄の少女達は、緊張した表情をしながら旅立ち時を待っていた。

 

「何も心配することはありませんよ。今までの教えを思い出し、時には己の勘を信じて行動すれば、ちゃんと結果はでます」

 

「「は、はいでしゅ!!」」

 

 二人はそう返事を言いつつも、アワワやハワワと緊張の色は隠せない様子だった。

 しかし、そんな二人対して誰も不安そうな顔などせず笑顔で返してくれた。

 

「・・・では、行きましょうか二人共」

 

 青年が二人に話かける。

 二人は一度深呼吸をした後、笑顔で答えた。

 

「はい!!」

 

 そして、三人は消える。瞬間移動したかのように。

 見送った彼らも、それぞれに一礼すると消えていき、最後に女性と老人だけが残った。

 

「希望は旅立ちました。我らの役目も終わりのようですね」

 

「我が弟子が選ばれたことに、多少の不安もありますがこれも運命なんでしょう・・・」

 

「大丈夫ですよ。他の『徐庶』殿とも引けを取らぬほどの才覚です、何も心配はありません」

 

「・・・あやつは他の徐庶殿と違い、過剰なほどの幼女が好きが少し不安なのです」

 

「それも含めて大丈夫ですよ。彼がもし誤った道を歩いたとしても必ず『孔明』と『龐統』さんが止めてくれますから」

 

 老人はその励ましに笑顔で答え、消えていった。

 一人になった女性。

 

「では、後のことよろしくお願いしますね、暁人さん」

 

 そうつぶやくと、女性も消えた。

 そして・・・。

 

「・・・」

 

 暁人は目を覚ますのだった。


 
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