No.89989

恋姫 異界遊戯 『愛紗と三國 官渡編』

リアルGさん

なにを思ったかクロスオーバーです

生暖かい目で見守ってくださると光栄です

2009-08-16 11:04:19 投稿 / 全20ページ    総閲覧数:7582   閲覧ユーザー数:6856

 

 人々の想念に導かれ ひとつ またひとつと生まれる外史

 

 

 一種の想念に導かれる外史もあれば

 

 

 複数の想念が入り乱れ 分岐する外史もある

 

 

 これは……

 

 

 分岐するまでには至らなかった わずかな芽吹きの物語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の名前は 桃香

 

 

 幽州の大徳 劉備玄徳として義勇軍を立ち上げて 

 ようやく根拠地を持てるくらいにまでなりました

 

 

 あっという間だったけれど 大変だったなぁ

 

 

 愛紗ちゃんや鈴々ちゃん 星ちゃんに珠里ちゃんに雛里ちゃん

 こ~んなにすごい人達が わたしを慕ってくれている

 わたしすっごく幸せだよ?

 

 

 幽州の大徳が一の家臣にして義武の青竜刀~とか

 大げさに持ち上げられちゃうと ちょっと恥ずかしくなっちゃうんだけどね? 

 

 

 平原っていう邑に来てずいぶんたったな~

 

 

 愛紗ちゃん達は 兵隊さんを一生懸命鍛えてくれて

 珠里ちゃん達は 邑のみんなをいっぱい元気にしてくれたね

 街を歩いているとみんな言ってくれるの!

 これもすべて 玄徳様のおかげだ~って…………

 

 

 わたしは……何もしていないんだけどなぁ

 なんて口に出したら 「桃香様!」 って愛紗ちゃんに怒られちゃうんだけどね♪

 

 

 この間も 「もっと しっかりしていただかないと困ります!」 って怒られちゃったし……

 はぅ~

 

 

 でもでも でもね? わたしも頑張っているんだよ?

 ほーこくしょを読んだり いろ~んな書簡に花押を書いていったり

 …………あはは……やっぱり たいした事ないかも…………

 

 

 だけど だけどね? 毎回ちゃ~んと同じ形の花押を書くのって けっこう大変なんだよ?

 大変なんだからね?

 

 

 で…… そんな忙しい日々を送っているわたしたちのところへ 袁紹さんがやってきたの

 

 

 

 

 

 

 「おぉ~っほっほっほっほっほっ お久しぶりですわね? 劉備さん♪」

 

 

 う~わ~ ……あ……あいかわらずだねぇ

 顔良ちゃん達も いっつもこんなだと たいへんだよねぇ~

 

 

 やってきた袁紹さんは とっても上機嫌で

 ……なにか いいことがあったのかなぁ?

 もう ずぅっと笑いっぱなし……愛紗ちゃんなんか お目目が三角になってきたよぉ

 

 

 「あ あの~……それで今日は 何かしに来たんですか?」

 「何をしに来たですって? 訪れたのだから用件があるに決まっていますわ」

 

 

 あう…… ぴしゃって怒られちゃったよ

 

 

 「いいですこと? 劉備さん」

 「はい……」

 「ワ タ ク シ この度 朝廷の命を持って冀州の州牧ということになりましたの」

 「当然それがどういうことか  お 分 か り に なりますわよねぇ? おぉ~っほっほっほっほっ♪」

 「わー すっごいですねぇ♪」

 

 

 袁紹さん 出世したんだ~

 …………な~んて感心してたら愛紗ちゃん達に怒られちゃった

 「本当にわかっておいでですか!? 桃香様!」 って言われても……どういうことなんだろぅ?

 

 

 おっきな「?」を浮かべてたら 珠里ちゃんがわかりやすく教えてくれたよ~

 ほんっと珠里ちゃんは頭がいいよねぇ  嬉しくてにんまりしちゃった

 ……「笑っている場合ですか!」 って怒られちゃったけれどね…………あはは

 

 

 説明してくれてる珠里ちゃんは なんか浮かない顔をしてる……どうしたのかな?

 「帝の命によって州牧になられたということは……」

 「冀州にある平原の相である桃香様は 袁紹さんの管理下にあるということなんです」

 ………………そっか 袁紹さんがわたしたちの上に立つことになっちゃうんだ

 愛紗ちゃん達が不機嫌になるわけだよねぇ…………わ……すっごく睨んでる……

 「あ あはは……愛紗ちゃん 落ち着いて? ね?」

 

 

 その後も 袁紹さんは威張りながら笑い続けて

 帰った後も み~んな怒りっぱなしで……

 確かに 袁紹さんに指示されるのって すっごく嫌だけど…………仕方ないよねぇ?

 

 

 袁紹さんはめちゃくちゃだけど

 治世とかは ぜ~んぶ顔良ちゃんがやってるから普通な感じだし(斗詩ちゃん大変だよねぇ

 「民をすべからく徴用なさ~い」 とか言い出さなければ 上手くやっていけると思うんだよね

 ………………だめかなぁ?

 聞いてみたら みんな納得してくれたみたい♪

 だから 今まで通り 頑張っていけると思ってたんだけど…………やっぱり袁紹さんは 袁紹さんだったね

 

 

 

 

 

 

 袁紹さんが兵を起したのは それこそ突然だったよ

 たぶん 思い立ったが吉日生活だから…………かな?

 文醜ちゃん達 とっても大変そう

 

 

 そしたら 「劉備さん? 貴女達も当然出るんですのよ?」 な~んて

 事前の知らせもなしで いきなり言ってくるんだもん ひっどいよねぇ?

 

 

 で……攻める場所を聞いて またびっくり

 今回は 幽州を併呑するんだーって いきまいてる……白蓮ちゃんとは戦いたくないなぁ

 

 

 「ねぇ 珠里ちゃん…………なんとかならないのかなぁ?」

 「それなんですけど…………桃香様 袁紹さんは焦っているんだと思います」

 

 

 珠里ちゃんの話しでは なんか袁紹さんは大変なことになったみたいで それで戦争始めたんだって

 

 

 よくわかんないけど 戦わないですむ方法はないのかなぁ?

 「無理だと思います……」 あう……断言されちゃった

 あ そうか  参加しないと袁紹さんこっちに攻めて来ちゃうんだ?

 なんか董卓連合の時と一緒だねぇ…………困ったなぁ

 

 

 どうしようって悩んでたら

 珠里ちゃんと雛里ちゃんが解決する方法を考えてくれたの

 やっぱり頼りになるねぇ♪ 二人に出会えてよかったー

 それでそれでそれで? わたしたちはどうしたらいいの?

 「いっそのこと 公孫瓚さんを助けちゃいましょう♪」

 

 

 あー ……思いっきり裏切っているよねぇ? それ …………いいのかな?

 周りを見たら 愛紗ちゃんも 鈴々ちゃんも……星ちゃんまですっごく乗り気で

 …………まぁ……いいかなぁ 袁紹さんだし…………

 

 

 

 

 

 

 …………まぁ……いいかなぁ 袁紹さんだし…………

 

 

 

 序盤は優勢だった白蓮ちゃん

 真っ白なお馬でかためた騎馬隊を さっそうと指揮してて

 …………ああいうところは格好いいよねぇ  ……え? そう思うのわたしだけ?

 

 

 それで……袁紹さんの前衛を蹴散らしたのは良かったんだけど

 麴義さん……だったかな?

 あの人に包囲されて 弩兵で囲まれて すっごく危なかった

 

 

 右翼から蜂起して 本隊に横撃を入れて

 こっそり幽州側に入ってた星ちゃんと挟撃することで袁紹さんの軍は崩壊

 

 

 「裏切るだなんて! 同義というものがわかっていらっしゃらないんではなくって!?」

 な~んて文句を言われたけれど

 「大義なく戦を起したのはそちらの方だ 我等は同義を尽くすために公孫瓚を助けたのだ」

 うんうんうん さすがの袁紹さんも 口では星ちゃんに勝てないよねぇ

 

 

 戦い終わって 白蓮ちゃんと合流~♪

 「桃香と 実際に同盟を組むことになるなんてな」

 わたしも白蓮ちゃんと同盟を組む日がくるなんて思いもしなかったよ

 ついこの間まで 盧植先生のところで机を並べていたのにね

 

 

 白蓮ちゃんと会ったその場で 戦後の処理についてお話をしたんだけれど

 「なぁ 桃香…………いっそのことアタシ達の盟主になってくれないか?」

 なんて言われたのには驚いたなぁ

 今まで通りでいいよ~って言ったけど 白蓮ちゃんは折れてくれなくって

 

 

 珠里ちゃん達に背中を押されて 引き受けることにしたけど

 配下とかじゃなくて お友達でいてほしいよね?

 そう言うと みんな呆れちゃうんだけど これだけは譲りたくないの

 

 

 あと……捕らえた袁紹さんたちは わたしの陣営で保護することになったんだけど

 …………それからのほうが た~いへんだったねぇ

 袁紹さんは相変わらずだし 愛紗ちゃん達はお目目が三角になってるし

 

 

 この日も 愛紗ちゃんと袁紹さんが 大声出言い合いをしてて

 …………他のみんなは馴染んできてくれてるけど 愛紗ちゃんだけは変わってくれないなぁ

 喧喧諤諤~って感じで 終わりそうになくって……

 困ったなぁ~って思ってたらね? 背後から声がしたの

 

 

 「あぁ~らぁ……なぁんだか お困りのようね~ぇ?」

 

 

 

 

 

 

 「あぁ~らぁ……なぁんだか お困りのようね~ぇ?」

 

 

 「あ! 貂蝉ちゃん!」

 そう わたしの背後にいたのは貂蝉ちゃん

 すっっっごく筋骨粒々で いっっっつもパンツ一枚だから 目のやり場に困っちゃうんだけど

 たま~に 役に立ってくれるんだよね

 今では すっかりお友達~♪………………って あれ?

 

 

 

 「ひっ! なんですの!? なんなんですの!? この筋肉達磨は!!」

 「うわっ! ちょ 貂蝉! 急にわたしの視界に入ってこないでくれ! びっくりするではないか!」

 ………………なにげに 袁紹さんも愛紗ちゃんもひどいよねぇ

 踊りとか すっごい上手なのに

 

 

 「んん~ふっふっふっふっ♪ 喧嘩はここまでよぉ~ん」

 「まぁ~だ やりあおうって 言うんなぁらぁあ? あぁ~たしが頑張っちゃうわよん♪」

 そう言った時だけど 胸の筋肉がピクピク動いてたよ…………器用だよね~

 

 

 ほえ~って眺めてたら 「うふん♪」 ってウィンクが飛んできて 冷や汗が出たけど

 …………あれ? よく考えたら わたしウィンクって知らないや(マテ

 

 

 その後 愛紗ちゃんのことを貂蝉ちゃんに相談してみたんだけど…………なにか考えがあるみたい

 「うっふふふふふ あたしにまぁ~っかせてちょうだぁい♪」

 

 

 貂蝉ちゃんに言われたとおりに 愛紗ちゃんと城壁の上に着たら

 古そうな銅鏡を愛おしそうになでている姿が見えて

 ……なんだか貂蝉ちゃん ……違う人みたい

 瞳がとっっても優しい感じで なんだか理知的で…………うん お爺ちゃんお婆ちゃんみたいな

 

 

 「うふふ♪ なぁ~にを考えていたのかしら~?」

 あ あはは…………な なんでもないよ? ほんとだよ?

 

 

 「さぁ~てぇ 心の用意はいい~かしらぁ?」

 

 

 そう言った後 説明してくれた貂蝉ちゃんの言葉は 巻き舌で聞きづらかったけど

 すごく重みがあって 真摯な感じで ……思わず聞き入っちゃった

 

 

 「こ~れにあるはぁ が~いしとが~いしの狭間にあるとびらぁ」

 が~いし……って なんだろ?

 「今より導き出すはぁ こことはちが~う歴史のせかぁい」

 「も~う一人の自分にぃ……出合う旅のはじまりよ~ぉ♪」

 

 

 貂蝉ちゃんが説明を終えて にっこりと微笑んだとき

 銅鏡から眩しい光が射してきて…………次の瞬間には 何もかもが真っ白になっちゃった

 

 

 わたしと愛紗ちゃん いったい どうなっちゃうのかな~?

 

 

 

 

 

 

 「……ぁぁぁ……ぁあああああああああ………………」

 愛紗ちゃんの声が聞こえる…………おっかないんだよね? ちゃんとここにわたしがいるよ?

 声に導かれて右手を伸ばすと 愛紗ちゃんの手に触れることができた

 

 

 「と!桃香様ぁ!」

 ぎゅって握り返してくれた うんうん♪ 何処に行っても一緒だよ 愛紗ちゃん…………

 

 

 ………………

 …………

 ……

 

 

 気がついたら わたしたちは どこかの戦場に立っているみたい……

 ううん 戦場って言うか 戦場が見渡せる場所…………かな

 

 

 「ふわ~~」

 思わず 感嘆の声を漏らしていたら

 「こ ここは!? いったい何処の戦場なのだ!?」

 愛紗ちゃんが驚いている………………うん わたしも驚いてるよ ……ほんとだよ?

 

 

 「うっふふふふふふん♪ ここはね~ぇ桃香?…………も~ぅ一つの三国時代なのよ~ぅ」

 すぐそばに 耳元に貂蝉ちゃんがいた!

 ……いきなり声をかけられるのって びっくりするよねぇ

 「えーと…………もう一つの……さ ん ご く じ だ い ?…………んん?」

 

 

 頭の上に「?」がいっぱいでてきちゃった

 貂蝉ちゃんは たま~に変わったことを言うよねぇ

 話しによるとー ここは分岐した違う歴史の世界で?

 さんごくじだい~?っていうのは わたしたちがいる今の時間のことを言うんだって…………わかる?

 

 

 よくわからないな~?って顔をしていたら

 「後世の人達はね~ぇ? 項羽と劉封がいた頃を~ 春秋・戦国時代と呼んで~ぇ」

 「あ~なた達がいるぅ 今の時代のことぉを~ さ~んごく時代と言っているのよ~ぅ」

 「正~確にはぁ? 魏~普南北朝時代っってぇ 言~うんだけどねぇ~」

 

 

 え~と 要するに…………どういうことなんだろ?

 「まぁ~ 簡単に言うとぉ 桃香ぁ……こ~こにはも~う一人の自分がいるってぇ ことなのよぉ」

 ……よくわからないけど……

 「……えーと……もう一人の自分に会える~? ってことでいいのかな 貂蝉ちゃん?」

 「そういうことよぉん」

 

 

 …………おおー なんだか知らないけど すっごいねぇ!

 そう愛紗ちゃんに言ったら 「感心している場合ですか!?」 って怒られちゃったけど

 ……現実にここにいるんだから どうしようもないよね? ね?

 

 

 愛紗ちゃんをなだめながら話を聞いていくうちに ここが何処かわかってきたよ

 ここは 官渡なんだって

 なんでも曹操さんと袁紹さんが決戦をするところらしいんだけど

 ………………うっわー どっちも気合入っているねぇ すっごい数だよぉ

 

 

 それでそれでそれで? 袁紹さんと曹操さんは どこにいるんだろ?

 ぱっと見どこにもいないんだよね…………誰かに任せて 自分は先頭に立っていないのかなぁ?

 

 

 愛紗ちゃんも 誰が何処にいるのかわからないみたい

 「おかしいですね? 曹操 袁紹はおろか 他の諸将の姿も見えませんよ?」

 

 

 そうしたら 貂蝉ちゃんが笑いながら言うの

 「なぁ~にを言っているのぅ? あなたたち~ぃ 将ならちゃぁ~んといるじゃなぁい」

 

 

 そう言って 貂蝉ちゃんが指差した先には とっっても しっっぶいオジサマがいたの

 

 

 

 

 

 

 そう言って 貂蝉ちゃんが指差した先には とっっても しっっぶいオジサマがいたの

 

 

 「??? どー見ても男の人だよねぇ あの人が将軍なの? 貂蝉ちゃん」

 「そうよ~ぉ あれがこの世界の曹孟徳よぉん♪ ……ああ……もう惚れ惚れしちゃうん♪」

 「あれが曹孟徳だと!? 黒髪で しかもクルクルが付いていないではないか!?」

 

 

 ……あはは……曹操さんだからクルクルっていうのも どうかと思うよ? 愛紗ちゃん

 

 

 「こ~の世界ではねぇえ? 世に歌われる武将たちは み~ぃぃんな男なのよ~ぅ」

 「武将が男ぉ……と言うよりはぁ お~もてで戦うのは男の仕事~ぉ そぉ~ゆう世界なのねぇ」

 

 

 「な!? ……それでは 戦いに出る女性は一人もいないと言うのか?」

 「そうねぇん 女性は家をぉ守ってぇ 子~供を作るのがお仕事みたいなものなのよぅ」

 「それより ほぅらぁ? 面白い人が~ぁ 出~てきたわよぉ?」

 「む? それは誰のことを指しているのだ?」

 

 

 貂蝉ちゃんの指の先を追ってみると ……大男さんが一人いるねぇ

 鎧の上に着物を着込んで 手に持っているのは……愛紗ちゃんみたいな柄の長い青竜刀だねぇ

 

 

 「む……威風堂々としたなかなかに良さそうな武将ではないか さぞかし強いのであろうな」

 なんだか愛紗ちゃん あの大男さんが だいぶ気に入ったみたいだねぇ

 たしかに強そうだし すごく立派なおヒゲだよ …………おヒゲってあんなに長く伸びるもんなんだねぇ

 

 

 「うっふっふっふっふっ♪ だいぶお気に召したようねぇ あ~いしゃちゃん?」

 「それもそのはずぅ…………だってあそこにいるのはぁ あ~いしゃちゃんなんですものぅ」

 「はぁ!? いきなり何を言っているのだ おぬしは! あれがわたしであるはずがないであろうが?」

 

 

 大声でくってかかる愛紗ちゃん …………そーだよねぇ ……どーー見たって別人だよねぇ

 「彼こそがぁ この世界におけるぅ関雲長 その人なのよ~ぅ?」

 「万~夫不倒の武とぉ 天下の義士と評されるほどの人柄で~ぇ」

 「後々には~ぁ? 関帝って呼ばれて信仰されちゃたりなんかもぉ するんだからぁ」

 「か……かかか……関帝? わ わたしを信仰するなどと なにを馬鹿なことを……」

 

 

 おおー 愛紗ちゃん みんなに信仰されちゃうんだぁ すごーい

 信者さん達がたくさん集まって 愛紗ちゃんのしましまぱんつを拝んだりするんだろうねぇ

 「桃香様!? 何を馬鹿なことをおっしゃっているのです!!」

 「ぱんつとかそんな……そ それに! 帝を差し置いて信仰されるなどと 不忠にもほどがあります!」

 

 

 みんなに信仰される 愛紗ちゃん   わたしはいいと思うんだけどな~

 「ねぇん……あ~いしゃちゃん?」

 「な なんだ貂蝉よ? お主まさか まだ何か わたしをからかうつもりか?」

 「か~らかうだなんて そんなぁ ……た だ こちらのか~んうさんがぁ なんて呼ばれて い る かぁ」

 「教えてあげようかな~ なんて 思ったりしちゃったりなんかしてぇ」

 

 

 あー 貂蝉ちゃん なんだかとっても言いたそうにしてる~

 ねぇねぇ 愛紗ちゃん なんて呼ばれているか 聞いてみようよぅ

 「こちらでの呼び名だと? 」

 「そうよぅ わたしたちがいたぁ も~との世界で はぁ」

 「『美髪公・関羽ぅ 艶やかな黒髪をなびかせぇ あ~くを討つ正~義の武将ぉ

   その刃悪を討ちぃ、その槍はぁ闇を切り裂ぁく』 だったわねぇん? たしかぁ」

 「わわわわ な なんだ!? なんだそれは!? わたしはそんな風に言われているのか!?」

 「それに! び び び 美髪公などとっ!」

 

 

 ……あれ? 愛紗ちゃん知らなかったんだ? 巷では結構聞くのに

 み~んな嬉しそうに自慢してるんだよ? 自分たちの守護神だ~って

 「しゅ しゅごしんだなんて やめてください桃香様! わたしはそこまでの者では……」

 にへ~ 照れてる愛紗ちゃんも可愛いねぇ

 「桃香様!」

 

 

 

 

 

 

 

 照れてる愛紗ちゃんは 国宝にしたいくらい か~わいいねぇ

 こんなこと言うと 何を馬鹿なことを~って怒っちゃうんだろうな

 今も お顔が真っ赤だもんね

 「桃香様? わたしの顔に何かついておりますか?」

 こ 怖いなぁ ジロって睨まないでよぅ

 

 

 で? で? 貂蝉ちゃん

 こちらの関羽さんは 何て呼ばれているの?

 あ♪ 興味なさそうにしてるのに お耳はしっかりとこっち向いてる

 愛紗ちゃんも気になるんだね♪

 

 

 「んふ♪ 彼はね~ぇ…………『美髯公』って呼ばれているのよぉん」

 びぜんこー? びぜん公かな? びぜんって なにのことなんだろ?

 「んふふ♪ 『びぜん』 とっわぁ~ う~つくし~ぃ! お ヒ ゲ のことなのよぉん♪」

 …………美しい髯 あー だから 美髯公なのかぁ

 そかそか そーーだよねぇ おのおヒゲ目立つもんねぇ

 

 

 愛紗ちゃんは~というと こういうオチを持ってこられるとは思ってなかったみたい

 「ヒ ヒゲ!? こっちのわたしはヒゲなのか!?」

 何かがショックだったのかなぁ ヒ ヒゲ…… とか言いながら落ち込んでるみたい

 

 

 「ほらほぉらぁ 落ち込んでないで見てごらんなさぁい そろそろは~じまるわよぉん」

 ……おお ほんとだ なんだか一斉に動き始めたねぇ

 貂蝉ちゃんに借りた ぼーえんきょー とかいう道具を使うと 遠くが近くになるんだね すごいなーこれ

 「本当ですね桃香様 できればこのまま持って帰りたいくらいです」

 貂蝉ちゃん 困ったような笑みを浮かべてる …………これ 持ってっちゃダメなんだよねぇ きっと

 「ごぉめんなさいよぅ 本来なぁらぁ? な~いはずの技術 だ か らぁ」

 あう やっぱり

 

 

 戦況は五分五分なのかなぁ …………あ なんか砦が落とされそうになってる

 「ええ 袁紹は兵卒 だけ は多いですからね」

 あはは…………きっついねぇ 愛紗ちゃん

 

 

 「ほらほらほぅらぁ~来たわよ来たわよぉ~ぅ あ~いしゃちゃ~ん お髯のあ~いしゃちゃんの登場よぉん」

 「ひっ! ひげの愛紗とか言うんじゃない!」

 ……あ ほんとだ お髯の関羽さんが立派な馬に乗ってやってきたよ

 このまま行くと 男の顔良さんと鉢合わせだねぇ

 「ちなみにあの馬はぁ 赤兎馬と言うのよぉん さ が せ ばぁ 私達の世界でも見つけられるかもねぇん」

 

 

 『我こそは関雲長! 大いなる仁と共に乱世に立った義兄を支えるため、

  魏の刃を日々振るう者なり! いざ! 我が刃にて、不義の輩を討たん!』

 おおお~ 堂々とした名乗りだねぇ 愛紗ちゃんの名乗りも格好いいけど

 やっぱり男の人だねぇ 男の関羽さんは迫力があるよー

 「う……どうせ 迫力が足りないですよ……」

 あ! すねちゃった? ご ごめんね愛紗ちゃん

 なんだかんだ言って声が女らしいというか おっかないと言うよりは可愛いというか

 その その そのね!? 迫力は十分にあると思うの!

 「桃香様がわたしのことをどう思っていらっしゃるのか よーくわかりました」

 あう……

 

 

 

 男の関羽さん あっという間に顔良さんを押し込んじゃったねぇ すごく強いよー 

 「話をそらそうとしても誤魔化されませんからね?」

 あう~……

 

 

 

 

 

 

 とか言っているうちに 男の関羽さん あっという間に顔良さんを叩き伏せちゃったよ

 やっぱり関雲長は 何処の世界にいても強いんだねぇ

 あ……青竜刀が刺さっちゃってる……いたそー  ……なんだか見てるこっちも痛くなりそうだよ

 ほらほらほら 愛紗ちゃん! 勝ち名乗りを上げるところだよ!

 「わ わかっております 桃香様! …………当然ここはビシッと決めるのであろうな?」 

 

 

 …………? 最後の方がちょっと聞き取れなかったけど なんて言ってたのかな

 でも なんだかんだ言って 愛紗ちゃんも期待しているみたいだねぇ………………って あ!

 え? ええ? えええー!?  く……く……首を 落しちゃったよ!

 『敵将・顔良殿ぉ! この関雲長が討ちとったぁ!』

 

 

 ……………あー その 首級をあげるってのはわかるんだけど

 か 関羽雲長(愛紗)が 顔良(斗詩)ちゃんの首を落すところを想像しちゃったよ

 愛紗ちゃんも 微妙に固まってるし

 

 

 『敵将・文醜殿ぉ! この関雲長が討ちとったぁ!』

 

 

 え? えええええー!? 文醜(猪々子)ちゃんも討ち取っちゃったのぉ!?

 わっ わっ わっ 持ってる! 持ってる! 首持ってるよー!

 こっちの関羽さん 容赦なく強すぎるよ!

 ねぇ ねぇ 愛紗ちゃん? 愛紗ちゃんは 斗詩ちゃんと猪々子ちゃんを切ったりしたら……ダメだよ?

 「わ わかっております! 桃香様  わ わたしがあの二人を切ったりするはずが……」

 あ…………微妙に動揺してる

 

 

 『だ 誰か あやつを止められるやつは おらんのかぁ!?』って男・袁紹さんが言ってたけど

 たしかこの台詞って 反董卓連合でも言ってたんじゃなかったかなぁ

 

 

 

 

 

 

 「しかし……顔良に文醜 この二人がいなくなっては 袁紹軍はお終いですかね」

 そうだねぇ 他に強い人って聞いたことないもんねぇ

 「いいえ そ~ぅでもないわよぉ~?」

 

 

 貂蝉ちゃんが また何かを企んでるような笑みを浮かべてる~

 なんだろ? これから何がおこるんだろ?

 「ほぉ~ら桃香ぁ あそこを見てごらんあさぁい」

 

 

 貂蝉ちゃんが指差したのは え~と 遠くの方にある砂煙のとかな?

 えーと あの形に砂埃が立ち上がるのは…………な~にの時だったかなぁ……

 「以前 勉強の際に わたくしがお教えしたと思いましたが?」

 あはは…………そんな目でジトーっと見ないでぇ(涙

 

 

 「縦に登るような砂埃の形 ……あれはおそらく騎馬の群です」

 …………そっかー あれって騎馬隊なんだぁ

 じゃぁ~ 援軍が来てるってことなのかな?

 「そのようですね 方角から見て袁紹軍の増援に間違いないでしょう」

 

 

 なるほどー 援軍が到着したら まだわかんないよねぇ

 「んっふっふふふ そうよぉ ……それにほぉらぁ よぉく見てごらんなさぁい」

 んー あ 旗が見えてきたねぇ 緑色で……えーと…………あれ?

 「桃香様 あれは間違いなく我が劉備軍の牙門旗!」

 そうそう そうだよねぇ うちで掲げてるのと同じ…………よく見るとちょっと違うかな?

 でも 間違いなく劉備軍の旗だよね!

 

 

 ……っていうことは  愛紗ちゃん以外の 星ちゃんとか鈴々ちゃんとかもいるのかな!?

 「我が軍の将兵であるならば 可能性は高いかもしれませんね ……そろそろ人も見えますよ」

 おおおおおー! 誰だろ誰だろー?

 

 

 えーと 指揮官っぽい人は二人……かな? 線が細い感じの人と……

 なんだかすっごく豪快そうな感じで お酒がぶ飲みして ぐははははーって感じの人

 さっきの 男の愛紗ちゃんに負けないくらい大きい身体をしてるねぇ

 「ですから桃香様! 男の愛紗というのはやめていただけませんかっ!?」

 あ ごめんごめん  ……面白かったから つい……

 

 

 

 

 

 

 あ ごめんごめん  ……面白かったから つい……

 「…………桃香様 今なんと?」

 あ ああああーー! それでそれでね? 貂蝉ちゃん! あの人達は誰なのかな?

 「んっふっふふ♪ 知りたぁい? 知りたぁいのねぇん?」

 うんうんうん! とっても知りたいよ! (怖いよー愛紗ちゃん

 

 

 えーと えーと

 想像するに……線の細い感じの人は頭が良さそうだから朱里ちゃんとか? 違うの? じゃぁ雛里ちゃん?

 「ハ ズ レ ♪ あの人のなま~えはぁ ぁズ バ リぃ? りゅ~びげんとっくぅ!」

 …………へ?

 「要するにぃ あ な た ♪ 此方の世界の~ぅ 桃香様ご本人な~のねぇ」

 …………わたし? ………………えええええええー!?

 

 

 わたし……あの人が此方の世界のわたしなんだ…………なんか かなり割り増しで格好いいよ!?

 愛紗ちゃんも なんかぽーっとして見つめてるし

 「と 桃香様! わたしは別に……」

 愛紗ちゃん お顔真っ赤

 「うう…………」

 

 

 真っ赤なお顔の愛紗ちゃんも可愛いけれど でもな~んで袁紹さんのところにいるんだろ

 こっちの劉備さんは もともと袁紹さんの配下なのかなぁ?

 「それは違うわよぅ 桃香ぁ この世界の劉備はね~ぇ 曹操と戦って負けてしまったのよ~ぅ」

 ええ!? 負けちゃったんだ…… それでそれで?

 「関羽は捕らえら~れて 一時的にぃ客将になったの」

 「えええ!? 曹操の陣営の客将に!?」

 うわー 愛紗ちゃん 顔真っ赤なのに すっごく冷や汗かいてる……やっぱり華琳さんとのねや……

 「桃香様! それ以上いわないでくださいませ!」

 

 

 「そ し てぇ 劉備とぅ張飛はぁ 袁紹のところに転がり込~んだのよぅ」

 えー? …………じゃぁじゃぁ 私たちの世界とまったく逆になってるんだ?

 「そうねぇ 主と客将という形だ~けみたら 正反対といえるでしょ~ぅねぃ」

 そっかー わたしも袁紹さんのお世話になってたかも知れないんだぁ

 どこでどうなるかなんて わからないものなんだね……

 「桃香様……」

 

 

 そして 援軍の劉備さんが (あう……なんか気恥ずかしいよ!) 戦場に到達

 味方を救いながら前線の方に………………って あ そしたら……

 あ 愛紗ちゃん! 男・関羽さんと男・劉備さんが敵同士だよ! このまま戦っちゃうのかな!?

 「いいえ 桃香様! このわたし関羽雲長が 桃香様に刃を向けるわけがありません! だから きっと……」

 強い口調で断言する愛紗ちゃん わたしも負けないくらい信頼しているよ?

 でも 男・関羽さん達は どうするんだろう

 

 

 あ! 目が合ったよ!  愛紗ちゃんも服の胸元をぎゅって握ってる……

 『兄者ぁ!』 『っ!! 雲長!』

 戦場でお互いを睨みあう二人

 『無事だったか! 雲長!』 『兄者こそ!』

 あ よかった睨みあってる訳じゃなかったみたい♪

 『曹操の下に身を預けているのか?』 『姉者の事もある……だが今一時のみ!』

 『そうか…………』 

 

 

 ????? 姉者? こっちの劉備さんには 女性の姉弟もいるんだぁ……

 『我が刃は義の刃! 兄者を傷つけるわけにはゆかぬ』

 『だが曹操にはたすべき義も またこれあり』

 『この場においてはこれまで!』

 『…………ああ 待っているぞ! 雲長!』 『また会おうぞ 兄者ぁ!』

 

 

 あああああ よかったー ほんとよかったよー

 こういう状況になったら 切られちゃうのかなーって 不安になっちゃっ……

 「ほら! 言ったとおりではありませぬか! 我等の絆にかなうものなどありませぬ!」

 ほんとにね! そうだよね! すっごく心強いよ! …………ほんとだよ!?

 

 

 戦況はある時をさかいに いっきに曹操さんのほうに傾いたみたい

 「桃香様 袁紹軍の奥の方にある陣地に 火がかけられたようです」

 「袁紹軍の動揺する様を見るに この戦 曹操の勝ちですね」

 あ ほんとだ 向こうのお空が まっかっかーのかーだねぇ

 やっぱり男・華琳さんも油断がならない人なんだ~ 頭もいいし武力もあるし……ずるいよねぇ

 「桃香様 ずるいとかそういう問題ではありません」

 あはは…………頑張ります

 

 

 「ふむん ここでの出来事は~ぁ もうおしまいねぇん」

 「わたし達は~ぁ つ~ぎの場所にぃ 移りましょう」

 あ また その銅鏡を使うんだぁ …………あのさ? 貂蝉ちゃん ……それ 何処にしまってるの?

 「んっふっふふ♪ 漢女にはいろいろ~と秘密があるのよぉん♪」

 う…………2回目だけど やっぱりすっごく眩しいよ

 「桃香様 お手を……」 右手で愛紗ちゃんの左手をしっかりと握る

 そして光が強くなってきて…………!

 

 

 …………あ……こっちのわたしと一緒にいた豪快な感じの大男さん 結局誰だったんだろ……?

 「ああ……あれ鈴々ちゃんよ」

 ………………『(二人)えええええええぇぇぇ…………!!!!』

 

 

 

 

 

 

 ………………ぇぇぇぇえええええ!!!

 ちょっとまって! あんなにゴッツイ人が鈴々ちゃんなの!?

 「…………狭間~を移動している間も 驚いているなんてぇ……貴女達 けっっこうタフよねぇん」

 たふ? たふってのはよくわからないけど…… アレは本当に鈴々ちゃんなの!?

 「そうだぞ貂蝉! 嘘なら嘘といってくれ!」

 「うっそ~もなにもぅ アレは間違いな~く こっちの世界の鈴々ちゃんよぉぅ」

 

 

 「鈴々はもっとちっちゃくて可愛くて! それでだな……!……!!……」

 愛紗ちゃん必死だねぇ ……確かに鈴々ちゃんの姿からは全然想像できないもんね

 もし 鈴々ちゃんがあんなだったら……

 

 

 ……ん~ 貂蝉ちゃんみたいにおっきくて でも女の子らしく くびれとかもあって……

 そしたら胸もおっきそうだよねぇ 肩とか腰に虎の毛皮なんかを穿いたりしてぇ

 髪型はぼさぼさって手入れしてない感じかなぁ 丈八蛇矛を肩にかついで…………

 

 

 …………おおー! これはこれで格好いいんじゃないかな? ねぇ 愛紗ちゃん?

 「格好いいも何もありません! 鈴々は鈴々です!」

 はいっ ごめんなさいっ

 

 

 はぁ 愛紗ちゃんの鈴々愛はものすごいよねぇ

 ……で ここは何処なの? 貂蝉ちゃん

 「ここはぁ 曹操の邑から袁紹の邑へと向かうための通り道で~ぇ」

 「東嶺関をはじめぇ 五~つの関が連なっていることかぁら? 五関と呼ばれているわね~ぇ」

 

 

 「五関か見るのは初めてだが……

  ……ことごとくこんな感じだとすると曹操の所へ放った細作が帰ってこないのも頷ける」

 愛紗ちゃんがすっごく厳しい顔で睨んでる

 全部が全部 こんなに厳しいってことはないだろうけど 曹操さんの姿勢が伺えるよねぇ

 みんながみんな お互いに信頼できれば ここまでする必要はないと思うんだけどなぁ

 

 

 「んふふ♪ さぁ そんなことよりぃ? ほぉら お目当ての人がぁ 出~てきたわよ~ぅ?」

 邑の方から出てきたのは…………馬車と先導する……武器持ってるから武将さんかな?

 おっきい身体で 手にながい兵器をもって…………顎から下が黒いのは …………ひょっとして?

 

 

 ねぇねぇ 愛紗ちゃん! あのひと男のア……

 「なんですか!? 桃香様!」

 ア……イ…………と その…………男の関羽さんかなー?って ……えへへ

 「そうですね! 此方の世界の関雲長殿ですな! ………………(小声で)愛紗ではなく」

 ああああ やっぱりちょっと言い過ぎたのかなぁ ……愛紗ちゃん 気にしちゃってるみたい

 

 

 「うふん♪ 仲がいいわねぇん ふ た り と も 」

 「あたりまえだ 三人で 桃園で誓い合った仲なのだからな!」

 力強く断言してくれる愛紗ちゃん うん! わたしも同じだよ!

 

 

 でぇ? 男・関羽さんは何処に行こうといているのかな?

 「何を言っておられるのです! 桃香様!」

 え? じゃぁじゃぁじゃぁ ……愛紗ちゃんは行き先がわかってるの?

 「袁紹の陣営に桃香様がいるとわかっているのですから そこに向かうに決まっております!」

 あ ……そっか そうだよねぇ  愛紗ちゃんならそうするよねぇ

 「しかし 問題もあります ……あの曹操が みすみす人材を逃がすとは思えません」

 あーー 曹操さん 有能な人が だ~い好きだもんねぇ 愛紗ちゃんもお気に入りだし

 「その通りです 身を捧げるなど言うまでならともかく 閨でなどと……」(ぶるぶるぶる

 さぶいぼ出てるよ? 愛紗ちゃん よっぽど嫌なんだねぇ

 

 

 

 

 

 

 曹操さんの性格が知られ(?)ているからか  かかる関所でことごとく止められる男・関羽さん

 その度に大将さんを切り捨てちゃうのは ……その……どうかと思うんだけど

 「何を言われます! 桃香様」

 「曹操が何もせずに手をこまねくはずがありません! ここは速やかに抜けるべきです!」

 あ 愛紗ちゃんでも そうしちゃうんだ?  …………そうだねぇ 愛紗ちゃんも切っちゃうかもねぇ

 

 

 「そら見たことか! 来ましたよ 桃香様!」

 邑の方から どどどどどーって走ってくる騎馬の群 ……あの旗は 夏侯?

 「ええ 姉妹のどちらかに違いありません」

 

 

 ええと こっちの世界では男の人だから 兄弟なんだろうけど どっちが来たのかなぁ

 ……あ 長髪で左目に眼帯つけてる っていうことは……

 「夏侯惇のようですね」

 ……だねぇ あの人 すっっっごくわかりやすいよねぇ

 

 

 「関羽殿は四の関所を抜けようかというところ……間違いなく追いつかれますね」

 わ わ わ ……どうなっちゃうんだろう? 馬車の中にはさっき言ってたお姉さんがいるのかな?

 「間違いなくそうでしょうね わたしの義姉が…………義姉? ……まさか!?」

 え? え? どうしたの? 愛紗ちゃん

 「つかぬことをお尋ねいたしますが……桃香様」

 は? はいっ?  なんでしょう?

 「……どなたか意中のお相手はいらっしゃいますか?」

 意中の…………って えええええ!?  い いないよ!?  そんな人いないよ!?

 「そうですか……」

 あー びっくりしたぁ いくらなんでも急すぎるよ 愛紗ちゃん

 微妙に なんかほっとしてるし

 

 

 男・関羽さんが五の関所にかかったあたりで 夏侯惇さんが追いついちゃった

 『お前には悪いが孟徳の覇道の為だ ……ここで死んでもらうぞ 関羽!』

 ……へ? 引止めにきたんじゃないの!?

 『我が大義の青竜刀 折れるものならば折ってみせよ!』

 

 

 あわわわわわわ 一騎打ちを始めちゃったよぉ 大丈夫かなぁ?

 「いえ このままではダメですね」

 ふえっ?

 「配下の者が馬車を押さえようとしています」

 「さらに……増援が向かって来ていますよ……紺碧の張旗……張遼ですね」

 ちょ 張遼さん!? 騎馬の足がすっごく早くて神速って言われているんだよね!?

 武もすごいって言うし ……どうしよう? 愛紗ちゃん 愛紗ちゃんが大変だよー!?

 

 

 あ また男・関羽さんを愛紗ちゃんって言っちゃった 愛紗ちゃん怒るかな?って見てみたら

 「……も」

 も?

 「もはや勘弁ならん!」

 ……って叫んで飛び出しちゃった!  ええええ ええと いいのかな!? 貂蝉ちゃん!

 「あらあら あ~いしゃちゃん らしいわねぇん」

 そんな にこにこしてる場合じゃないよ!

 「いいのよぉん? 桃香ちゃん 行きた~いのなぁらぁばぁ 行ってみるといいわぁ」

 

 

 …………そうだね やれるだけ やってみるよ!

 

 

 

 

 

 

 「貴様等ぁ! 馬車から離れよ!」

 恫喝しながら 兵卒さんたちを弾き飛ばす愛紗ちゃん

 

 やっぱり強いねぇ

 でも 男・関羽さんは驚いたみたいだね

 『貴殿はいったい!?』

 『貴様! 邪魔するつもりかっ!』

 「我が名は関…………愛紗! 義によって助太刀するものなり!」

 

 

 わわわわわ 愛紗ちゃん 真名を名乗っちゃってる!?

 でもでも しかたないのかな? あっちも関羽こっちも関羽じゃ わかんなくなっちゃうもんね

 『何処のどなたかは存ぜぬが 助太刀感謝いたす!』

 『…………チィッ!』

 

 

 背後を気にすることなく一騎打ちに専念する 男・関羽さん 徐々に圧倒していってるみたい

 馬車も愛紗ちゃんが守ってるし…… …………そうだ! この隙に…………

 

 

 えいっ!

 わわわ……気絶するぐらいのつもりで殴ったのに ゴキッっとか鳴ったよ?

 衛兵さん 大怪我してないといいなぁ

 閂を引き抜い…………てぇっ………………ぷはぁっ はぁ はぁ すっごく重かったよ!

 愛紗ちゃん! 門を開けたよ!

 「桃香様!? 何故ここにいらしたのです!?」

 そんなこと今はいいから! 早くっ!

 「御者よ! 馬車を出すのだ! 早くっ!」

 

 

 愛紗ちゃんにせかされて 馬車は最後の関を抜ける

 わたしも愛紗ちゃんも無事 …………あとは男・関羽さんだけなんだけど…………

 …………ふわっ!?

 ああああああ 張遼さん来ちゃったよぉ!

 このままじゃ男・関羽さんがっ……!

 

 

 『双方 刃を引けぇいっ!』

 ………………へ?

 『引けぃ 夏侯惇! 曹操殿のご命令だ!』

 『孟徳がなんと言おうと 邪魔者はここで切り捨てる!』

 『上意であるぞ! これ以上戦うなら 某も黙ってはおらぬ!』

 『…………クソッ』

 

 

 …………なんだかわからないけど 張遼さんは止めに来てくれたみたい

 『止めだて感謝する 張遼殿 次は戦場にて相見えようぞ!』

 『その時は某が関羽殿を倒して見せよう』

 

 

 おおー なんか格好いいねぇ お姉さんも無事だったし 万々歳かな?

 愛紗ちゃんも いかにも武侠って感じのやりとりに 感じ入ってるみたいだし

 

 

 

 

 

 

 関を抜けたら 今までのが嘘だったみたいに 何事もないねぇ

 男・関羽さんも 警戒は解いていないけど 落ち着いた感じで馬に乗ってる

 あと 馬車の中から女の人が顔をだして お礼を言ってくれたんだけど すっごい美人さんなの!

 なんて言うか……見ていると ほわ~ってなってきて……

 「桃香様? お話しを聞いておられますか?」

 え? え? なに? あああ……ごめんごめん 見とれてて聞いてなかったよー

 「はぁ~」

 そんな  聞こえるようにため息つかなくてもいいのにぃ

 

 

 それでねそれでね 女の人が(甘夫人っていうんだって)子供さんを見せてくれたの!

 なんかドキドキしちゃったよ!

 掌中の珠って きっとこの子のことなんだよね♪

 

 

 わ~ 男の子ですかぁ 可愛いですねぇ

 信じられないくらいちっちゃいお手てに ぷっくりぷにぷにのほっぺ ほんっと可愛い~

 ああ なんか変な感じ! なんでこんなにウキウキしちゃうんだろ!

 「うふふ♪ この子は阿斗と申します 我が夫 劉備玄徳の子供です」

 へ~ ……我が夫リュウビゲントクの…… りゅうびげんとくの………… 劉備玄徳の子供ぉ!?

 待って待って待って! わたし!? わたしの子供なの!?

 「ええと いえ あなたの子供ではなく わたくし甘と劉備玄徳の子供ですのよ?」

 わ わかってるよ! 要するにわたしの…ぐむっ! もご! もごもごもごもご!!

 「お 落ち着いてください! 桃香様!」

 もぐもぐ(落ち着いてる!) もぐもぐもぐもごー!(落ち着いてるから離してー!)

 「げ 現に取り乱しておられるではありませんか!? ちょっ! そこは違っ! あっ! 桃香様ぁ!」

 ……!! …………!!! ………………!!!!!

 

 

 ぜえっ ぜえっ ぜぇ………… こ この世界とわたしは べ 別なんだよね そうよね…………

 「落ち着かれましたか? 桃香様」

 な なんとか……

 

 

 『なにかはわからぬが 落ち着かれたようで何より』

 あはは お騒がせしてスイマセン 関羽さん

 『して……我等はこれより冀州を目指すが 貴殿等はいかがなされるのか?』

 あー そうだねぇ ……どうしよっか? 愛紗ちゃん

 「…………………………」

 

 

 ………………なんだか真剣な顔で考え込んでいるねぇ………………あ なんか嫌な予感がするよ

 「…………関羽殿」

 『なんでござろう? 愛紗殿』

 「一手 ご所望願えまいか?」

 『………………むう』

 やっぱり そういう風にいっちゃうんだね……

 「お許しください 桃香様 どうしても手合わせしてみたいのです」

 ………………もう一人の自分だもんねぇ 確かめてみたいってのもわからなくはないけど

 関羽さんもよろしいですか? 迷惑じゃないでしょうか?

 『もとより女性に向ける刃など持ち合わせてはおらぬのだが……』

 「女性などと! 是非とも一個の武人として!」

 青竜刀をかかげ 男・関羽さんに挑む愛紗ちゃん

 男・関羽さんが目線で問いただしてきたので 一礼してお願いした

 『あいわかった……一手ご教授いたそう』

 

 

 

 

 

 

 共に青龍偃月刀を持って対峙する男・関羽さんと 愛紗ちゃん

 愛紗ちゃんは心底本気になっているみたいだけれど 関羽さんにはまだ戸惑いがあるのかな……

 『では始めようか? 愛紗殿』

 「望む所です 関雲長殿!」

 

 

 『なれば いざ……』 「いざ!」 『「尋常に……勝負!』」

 

 

 愛紗ちゃんがいっきに間をつめる 大上段からの一撃を 関羽さんは正面で受け止めた

 『ぬうっ! ……女性の身で…なんと重い一撃……』

 関羽さんの両脚が 靴一足分ほど押し込まれる

 

 

 『ぬぅぅぅぅぅ!』 「……!!…………くくっ!」

 その場での力比べ 始めは拮抗していたけれど 徐々に押され始める愛紗ちゃん

 やっぱり体格の差がでているのかな……  関羽さん 愛紗ちゃんより一回り強も大きいもんね

 ずるずると押し込まれちゃった

 

 

 「はあっ!」

 ギィン! と刃鳴りを響かせながら飛び下がる愛紗ちゃん ……間合いを開けてかた再び突撃

 今度は一撃じゃなく 連撃で攻めるみたい

 

 

 右横の構えから一文字にお腹を薙いで

 返す刀を足下に引き付けてから 右肩へ向けて逆袈裟に切り上げ

 切り上げた切っ先を振りぬかずに胸元に引き寄せて ニ 三と連続で突きを放つ

 

 

 わたし程度じゃ 目で追っかけるだけでも必死なのに

 関羽さんは冷静にそれら全てを捌いていく

 頭をそらせた後のお腹への連続突きも 青竜刀の柄で捌きながら 右へ左へと体をかわしていく

 

 

 愛紗ちゃんが青竜刀を背の方に回し 渾身の力で大上段から振り下ろすと

 関羽さんは機先を制して 愛紗ちゃんの柄を払い 弾き飛ばす

 

 

 『息もつかせぬ見事な連撃! 次は此方から参る!』

 

 

 愛紗ちゃんが 弾かれた体勢を整える刹那の隙に

 関羽さんは青竜刀を横に構え 低い姿勢で間をつめてくる

 

 

 『ぬおおおおお!』

 右脚下から左上に 左脚下から右上に……

 無限の軌道をなぞり 掬い上げる様に すばやく重い一撃を何度も何度も愛紗ちゃんに撃ち付ける

 

 

 「ふっ! はっ! くっ…… はあっ!」

 愛紗ちゃんは青竜刀の中ほどを掴み

 関羽さんの無限の軌道を 逆からなぞるように青竜刀をとりまわして

 その厚みのある刃で 関羽さんの一撃 一撃を弾き

 自ら 後ろに軽く跳ねることで 攻撃をいなしていく

 

 

 ガギッ!

 ともに足下で刃を交錯させて ギリギリと力で押し合う

 共に下に向けた状態だと拮抗しているのか しばらく膠着してから

 キィンッ! っと軽い音をたてながら お互いに距離をとった

 

 

 「……さすがは関羽殿だ  だが わたしにも意地がある! 我が魂魄を籠めた青竜刀の一撃! 受けてもらうぞ!」

 『なれば某も…… この関雲長が放ちし大義の刃! 己が身で 見事受けきってみせよ!』

 

 

 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 『ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』

 

 

 二人が啖呵を切って

 同時に走りこんで

 愛紗ちゃんが 大上段から体重を乗せた一撃を放つと

 関羽さんは 右の後ろ構えから全身を捻り 巻き込むように青竜刀を振り上げて右袈裟に打ちこんでくる

 

 

 ゴガゥンッ!!!

 あれは本当に 兵器と兵器がぶつかり合った音なんだろうか?

 まるで大質量の金属塊を すごい勢いで衝突させたような 重くて空気をも振るわせる衝撃と音

 思わず目をつぶったわたしの髪が その衝撃で跳ね上がる

 

 

 『くぉっ……!』

 関羽さんが地面に足跡を引きずりながら 体二つほど押し込まれる

 

 「うああっ……!」

 愛紗ちゃんは もろ手を上げるような姿勢で大きく宙を飛ばされた

 

 

 愛紗ちゃんが宙で体を捻り 着地と同時に姿勢を整えると

 関羽さんはすでに体勢を整え 刃を前方に向けて 八相に構えていた

 それを見て 愛紗ちゃんが青竜刀を脇に抱えなおし 深く頭をたれた

 

 

 「参りました」

 ………………素直に負けを認める愛紗ちゃんは初めて見るかもしれない

 それほど 男・関羽さんは強かったんだね

 

 

 「さすがは男の関雲長殿です 完敗でした」

 負けたといっても 同じ関羽雲長 その強さが身にしみて かえって嬉しかったのかなぁ?

 愛紗ちゃんは 負けたとは思えないくらい 和らいだ微笑をうかべてるよ

 

 

 『こちらこそ御見それいたした ……正直に申さば女性の身と侮っておったのだ 伏しておわび申し上げる』

 そりゃぁ 此方の世界だと女の人は戦えないんだもんねぇ わかるわかる 

 「おわびなどと! 無礼を承知で挑んだのはこちらの方です! 謝らないでいただきたい!」

 あわあわと 頭を下げる関羽さんを止める愛紗ちゃん うんうん こういう愛紗ちゃんも可愛いねぇ♪

 

 

 「と 桃香様! にこにこしてないで桃香様も何かおっしゃってください!」

 ……なーんて急にふられてもね~?

 ま ま お互い怪我もなかったんだし 良かったと言うことで!

 にっこり微笑みながらお願いしたら 関羽さんも顔をあげてくれたよ

 

 

 お互いに矛を収めて 健闘しあった後 関羽さんは私たちに話しかけてきて

 『愛紗殿 桃香殿 ……お二人はこれからどちらに行かれるのか?』

 どちらに…… えーと どっちなんだろ?

 「そうですね 桃香様 ……こんなときに限って あの者はおりませんし……」

 あの者って 貂蝉ちゃんね …………ほんと どこに隠れてるんだろー?

 

 

 きょろきょろと探しているわたし達を見て これといって目的地がないと思ったのかな?

 『もし お二人がよろしいのであらば わが義兄に力を貸しては貰えぬだろうか?』

 わ わ わ お誘いがかかっちゃったよ

 「ち 力を貸すとは?」

 言われている内容はわかっているんだけど 面を向かって言われると焦っちゃうねぇ

 『天下は風に吹かれる麻絹のごとく乱れ 庶人はみな苦しんでいる』

 『お二人の助力があらば 天下を太平の世に導ける日が 間違いなく早く訪れることだろう』

 

 

 真剣な顔で そう訴えてくる男・関羽さん

 でも ここは …………わたしがしっかり言わなくちゃダメだよね?

 

 

 「お言葉はとっても嬉しいです だけど わたし達にも戦うべき場所と目的があるんです」

 「天下泰平 邑に暮らす人達が み~んな笑って過ごせるように…………」

 

 

 わたしが そう告げると 男・関羽さんは満足げな微笑を浮かべて

 『たとえ居る場所が違おうとも 掲げる願いは共に同じ……いつか太平の世にて 再び合い間見えましょうぞ』

 

 

 男・関羽さんは 義姉さんと阿斗ちゃんが乗った馬車を先導して この場を去っていった

 男・関羽さん……格好よかったねぇ? んん? あ~いしゃちゃん♪

 「と 桃香様! からかわないでください」

 

 

 

 

 

 

 「ん~ふっふっふっふぅ♪ も~う一人の自分とぉのぉ 邂逅は? た~のしめたかしらん?」

 恥らっている愛紗ちゃんを愛でていたら 貂蝉ちゃんが歩み寄ってきた

 「ちょ 貂蝉! いままでいったいどこをほっつき歩いておったのだ!?」

 「どぅ~こも何もぉ 一部始終をなめ~るように 見つめていたわよぉぅ?」

 「なっ なめっ!?」

 ぞわぞわっと愛紗ちゃんが身を震わせる

 

 

 「んっふっふぅ♪ そ~ろそろお時間 だ か ら ねぇ お迎えにきたのよぅ」

 あ 元の世界に戻れるんだ?

 「当然じゃな~ぃ そのためにいるんだ も のぅ♪ ア チ シ 」

 そっかそっか じゃぁ みんなのところに帰ろうか! 愛紗ちゃん

 「はいっ 良き土産話もできましたしね」

 そうそうそう♪ 愛紗ちゃんのぱんつを信仰してたりとか~♪

 「桃香様! ぱんつは関係ないでしょう!?」

 

 

 にぎやかに騒ぎながら わたしは愛紗ちゃんの左手をとる

 手に伝わるぬくもり お互いに通じあう確かな絆を感じながら……

 貂蝉ちゃんが掲げる銅鏡に導かれ 光の中に吸い込まれた

 

 

 ………………

 …………

 ……

 

 

 「…………しゃ…………は…………のだー?」

 

 

 遠くから聞きなれた……だけど少し懐かしい

 愛しき姉妹の声が聞こえる

 

 

 「あいしゃー! いったい何処に隠れているのだー!」

 耳元に鈴々の声が響く …………気がついたらわたしは城壁の上で

 遠く 地平の向こうを眺めていた

 

 

 鈴々? どうした? わたしに何か用か?

 「あー! 見つけたのだ! 今日の兵隊さんの調練は 愛紗の担当なのだー!」

 

 

 そう叫ばれて 改めて思い出す

 いけないいけない わたしはこんな所で何をしていたのだろう

 探しに来てくれた鈴々の頭をなでながら謝罪をし わたしは練兵場へ向かって歩きだ…………

 

 

 ……………………鈴々?

 「んん? どうしたのだ? 愛紗~ 鈴々の顔に何かついているのかー?」

 コックリと首をかしげながら 上目遣いでわたしの瞳を覗いてくる

 

 

 わたしは思わず鈴々に抱きついてしまった

 「わわわ! 急にどうしたのだ? 鈴々が恋しくなったのかー?」

 慌てるも逃げようとはしない鈴々を抱きしめ 頬を摺り寄せ その心地よい感触を味わう

 ああ 鈴々 お前は本当に可愛いな うむうむ やはり鈴々はこうでなくては!

 「にゃー くすぐったいのだー それに鈴々はいつでも可愛いのだ」

 ああ まったくだなぁ♪ 鈴々

 

 

 わたしは心行くまで鈴々の感触を味わい こんどこそ練兵場へ向かった

 

 

 宿舎の角を曲がり 中庭を抜けようとしたその時

 いつもの耳障りな笑い声が響き渡ってきた

 「おぉーっほっほっほっほっほっ 今日は何をして暇を潰しましょうかしら?」

 

 

 客分の分際で よくも大きな態度がとれるものだ

 わたしはイラつく自分を感じながら 彼女達が居るであろう中庭に目を通す

 そこには いつも通り 麗羽とそれに従属する二人……が……

 

 

 「麗羽様~ こっちは居候なんですよ~ あ~んま大きな顔はしないほうが…………え?」

 「そうですよ麗羽様 北郷さんに迷惑をかけな…………きゃっ!」

 

 

 気がついたらわたしは 顔良と文醜に飛びつき 地面に押し倒していた

 あああ……斗詩! 猪々子! ……お前達無事でよかったなぁ!

 わたしはお前達を切ったりなどしないぞ! わたしのこの手で守ってみせるからな!

 

 

 「ちょっ! 愛紗ぁ! 急になにを……あっ こらっ そこは違っ はあぁっ」

 「きゃっ! 急にどうしたんですか?愛紗さん ひっ そ そこダメです! あんっ」

 

 

 よかった! この二人は生きている! まちがいなくここに! この手の中に!

 わたしは嬉しさのあまり 二人の胸に顔を埋めるように抱きすくめていた

 

 

 「ちょっと! 愛紗さん!? この二人はわたくしのものでしてよ!?」

 背後で叫び 背中に当たるような袁紹の声も 今のわたしにはむしろ心地よい

 この者たちを切り捨てなくてよかった

 みなが生きていてくれるこの喜びを 我が胸に刻みこもう

 

 

 

 

 

 

 おおー 愛紗ちゃんは感動屋さんだねぇ

 袁紹さん達とも仲良くなれそうで ほっとしたよぅ

 貂蝉ちゃんは 最初からこうなるってわかってたの?

 「んっふっふぅ~♪ あちしもここまで効くとは お~もわなかったわよ~ぅ」

 「でも まぁ 結果おぅらい♪ ってやつなのねぇん」

 

 

 結果往来?

 まぁ 仲良くなれるんなら それにこしたことはないよね♪

 でも残念だなぁ 異世界に行った記憶って 残らないんだねぇ

 

 

 「全て な~くなるわけじゃぁ ないのよ? 桃香」

 「心のお~くそこにはぁ 眠っているものなのよぅ」

 そっかー じゃぁ わたしも全部忘れちゃうわけじゃないんだ?

 「そうねぇん 何かのきっかけでぇ ふぅっと思い出す日が あるかもしれなぁ~いわねぇ」

 そかそかそっか♪ じゃぁ その日が来るのを楽しみにまっているね

 

 

 貂蝉ちゃん……

 「んん? なぁにかしら? 桃香」

 いろいろと ありがとうね♪

 「いいのよぉん 好きでやっているん だ か ら ♪」

 

 

 うふふ♪  愛紗ちゃん 二人に抱きついてすっごく嬉しそう♪

 いつか世界中が こんな風になれば いいのにな~

 

 

 

 

 

 

 ………………おかしいな?

 遊ぶ気持ちでちょろっと書いて終わるはずだったのに……

 

 

 桃香が ただのアホの子になってしまったような…………創作って難しいですね Orz

 

 

 【今回のコンセプト】……まぁ わざわざ明記するまでもなくご理解されていると思うのですが 一応

 『恋姫』から『真・三國無双』への小旅行というか なんというか

 貂蝉が連れて行ったステージは『官渡の戦い』と『関羽千里行』の二つです

 劉備軍の状況は ≪袁紹が負けて劉備陣営にいる≫ & ≪北郷一刀は不在≫ といった感じ

 

 

 恋姫のSSに触れたのは ここ数週間のことですので

 過去には同じような作品があったりするのかなぁ などと思っていたり

 二番煎じだったら ごめんなさい ^^;

 

 

 

 

 追記

 示唆していただいた 名前の間違いを訂正いたしました

 テキストの置換って簡単でいいですねぇ ^^;


 
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