No.886905

九番目の熾天使・外伝~マーセナリーズクリード~番外編 Secret Mission

okakaさん

第20話です。

2017-01-03 03:07:04 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:662   閲覧ユーザー数:566

番外編~Secret Mission~ TypeFuture 未来の力はどうやって手に入れるのか20

 

 

――――――――――財団Xアジト最深部

 

 

「カンナギ!」

 

「ここまでだ、大人しく投降しろ!」

 

 

最深部の部屋にたどり着いたプロトディケイドとドライブが叫びながら突入すると、そこには無数の研究データを保管しているであろうタワーサーバーが並び立つまるで墓所のような部屋が広がっていた。

その中央、人がすっぽり収まりそうな巨大な装置の前に事件の首謀者ジン・カンナギがいた。

 

「投降?フフフ・・・何をバカげたことを」

 

まるで二人を嘲るように笑いながらカンナギが振り向く、その手には赤いバイラルコアが握られていた。

 

『アレは!気をつけろ二人共!ネオバイラルコアだ!』

 

「なんだって!?」

 

「野郎いつの間に・・・」

 

そのバイラルコアにベルトさんが驚きの声を上げる。ロイミュード001の作り出した邪悪な心に反応し、人間とロイミュードを融合させる狂気の発明。それがなぜ財団Xに?その疑問はカンナギの高笑いと共に答えられた。

 

 

「フハハハ!そう!これはネオバイラルコア!かつて防衛局長としての地位を得るために接触してきた真影の置き土産だよ!・・・追加発注は邪魔されたが、既に我々の手中にはあったのさ!」

 

 

真影防衛局長、フリーズロイミュードは既に財団と繋がっていた。その事実に進丿介は歯噛みした。あのロイミュードは倒されてなお、自身の壁として立ちふさがってきたのだ。進丿介が頭に血が上りそうになるのを必死に堪える中、プロトディケイドが彼の言葉の中に腑に落ちない点があることに気付いた。

 

 

「追加発注?真影以外にも作った奴がいたのか?」

 

「!?」

 

 

プロトディケイドの発言にドライブが凍りつく。進丿介の頭が一気に冷え、事態の深刻さに気付いた。

 

 

「そうか、真影は既に俺とベルトさんが倒した、ってことはその追加のネオバイラルコアを作った奴は別にいるはず!」

 

『まさか・・・蛮野か!』

 

 

進丿介の推理にベルトさんが唯一の心当たりを上げた。求道精神の体現者であるハートはネオバイラルコアを良しとしないだろう。そんなハートに付き従うメディックもそうだ。かつて一度使用したブレンも二度と使うことはないだろう。

ならば、そのどれでもない、そしてネオバイラルコアのデータを閲覧できる位置にいた人物はただ一人。当時ブレンのタブレット端末の中に幽閉され、データを収集していた蛮野天十郎ただ一人。そのことに気付いたドライブは戦慄した。

 

 

「その通り!蛮野天十郎とは古い付き合いでね、広井真蔵に出資を断られた彼の資金源はいったいどこだったと思っている?当然、その見返りも既に受け取っている!」

 

 

カンナギがそう高らかに宣言すると、中央の装置が観音開きに開いた。

 

 

「アレは!?」

 

「ロイミュード・・・なのか?」

 

 

その中から姿を表したのはこれまでのどれとも違うロイミュード。それはまるでバット、スパイダー、コブラの全てのタイプを一体化したような異様なフォルムを持ち、胸には【XXX】と刻まれていた。

 

 

「すべてのロイミュードを統合した最高性能のロイミュードXXX(トリプルエックス)!今こそ目覚めの時!そしてそれが貴様ら仮面ライダーの最後だ!」

 

 

言い切るやいなや覚醒したXXXとカンナギがネオバイラルコアの力で融合を始める。胸にはまるでネクタイの様な文様が浮かび上がり、左手にはトランクケースの様な装甲が張り付く、そして右手にはまるで棒金の様なマシンガンが浮かび上がり、頭部にはソフトハットの様なパーツが浮かび上がる。

 

 

「さぁ、見せてやろう。我らの商品を!」

 

 

カンナギが変貌した【ディーラーロイミュード】はそう叫ぶと右手のマシンガンからコイン型のエネルギーを撃ち出した。

 

 

「うぉっと!」

 

 

マシンガンを撃ちかけられたプロトディケイドがサーバーの影に飛び込む。

 

 

「一城!」

 

 

ドア銃の防御スクリーンで攻撃を防いだドライブがドア銃を撃ちながらプロトディケイドに駆け寄る。

 

 

「泊、ここはおそらく全体の情報を管理するサーバールームだ。このまま警備装置を解除しながら俺が囮になる。お前はサーバーに隠れてアイツの背後を突いてくれ」

 

 

プロトディケイドは駆け寄ってきたドライブに間髪入れずに作戦を伝えると、サーバーの端子に小型デバイスを差し込んだ。ここからデータハッキングを利用してグランドフリーザーのバックアップを破壊しに行っている武と拓海、そしてはぐれたロキを呼び込むつもりなのだ。

 

 

「ああ、解った。ベルトさん!」

 

『タイプフォーミュラーで一気に加速して接近するんだ!』

 

「よし!」

 

«DRIVE!Type FORMULA!»

 

ドライブが最速のフォーム【タイプフォーミュラー】に変身すると、トレーラー砲を構え、移動を開始した。

 

 

「PD、援護は任せるぞ」

 

『ああ、任せてくれ』

 

«ATTACK RIDE ILLUSION!»

 

 

プロトディケイドがイリュージョンのカードで分身を4体生成、それぞれが散開し、ディーラーロイミュードに向かって攻撃を開始した。

 

 

「ええい鬱陶しい!行け!オリオンゾディアーツ!カマキリヤミー!」

 

 

散開したプロトディケイドの銃撃に業を煮やしたディーラーロイミュードが今度は左手をかざすと、左手のトランクが開き、そこからオリオン座の力を持ったオリオンゾディアーツとカマキリの様な風貌のカマキリヤミーが飛び出し、分身に飛びかかっていった。

 

 

『気をつけろ!奴はこれまで財団が出資してきた組織の怪人を自由に呼び出してくるようだ!』

 

「チッ!面倒な能力を!」

 

 

PDの指摘にokakaが仮面の下で歯噛みする。数で押し切ろうと思っていたが、敵も数を揃えてくるのは誤算だった。雑魚相手ならともかく、正規の怪人相手では分が悪い。これ以上増える前に一気にカタを付けなければならない。

 

 

「頼むぜ、泊!」

 

«KAMEN RIDE DRIVE!»

 

 

なんとかハッキングを終え、全てのロックを解除したプロトディケイドはドライブの挟撃を気付かせないためにPDドライブにカメンライド、ドア銃を構えサーバーを盾にしながらディーラーロイミュードを撃ちまくった。

 

 

「よし、今だ!」

 

 

ディーラーロイミュードが完全にプロトディケイドに気を取られた瞬間、背後に回り込んだドライブがトレーラー砲を構えて飛び出した。

 

 

«FULL FULL FORMULA タイホウ!»

 

「くらえ!」

 

 

一気に加速で距離を詰め、既にシフトカーを装填していたトレーラー砲を至近距離で向ける。そのまま必殺のトレーラーインパクトを発射する直前、別の影がドライブを横合いから突き飛ばした。

 

 

「うわぁっ!」

 

「泊!」

 

 

突き飛ばされ、PDドライブのそばに転がるドライブを見下ろしながらディーラーロイミュードが高笑いを上げた。

 

 

「フハハ!そう来ることは想定済みだ!だから私は念のためにコイツを一緒に呼び出しておいたのさ!」

 

 

その影は他に呼び出されたオリオンゾディアーツとカマキリヤミーを押さえ込んでいたプロトディケイドの分身を素早く一掃すると、ディーラーロイミュードを守るように傍らに並び立った。

 

 

「クソッ!ホロスコープス・・・しかもよりによってそいつかよ!」

 

「ホ、ホロ・・・なんだって?」

 

 

ゾディアーツを詳しく知らないドライブが起き上がりながら首を傾げる。

 

 

「黄道十二星座の力を持ったゾディアーツの幹部クラスだ、しかもアイツは獅子座、最強クラスのレオゾディアーツだ!」

 

 

プロトディケイドの姿に戻りながらokakaが説明する。そしてそれを肯定する高笑いと共にサーバーが床に格納されていく。レオの力を最大限に活かしつつ、遮蔽物を無くすことでこちらのゲリラ戦術を防ぐためだろう。中々に頭の切れる行動にプロトディケイドは歯噛みした。

 

 

「そう!コイツはレオゾディアーツ!言っただろう?我々の商品を見せてやると!」

 

 

そう宣言したディーラーロイミュードが右手を上げると、レオゾディアーツからそれぞれ紅白の連獅子のような鬣と二振りの刀を持った忍のような怪人【レオ・ダスタード】が現れ、プロトディケイドに飛びかかった。

 

 

「クソッ!」

 

«KAMEN RIDE KABUTO!»

 

「キャストオフ!」

 

«CastOff Change BEETLE!»

 

 

咄嗟にPDカブトにカメンライドしたプロトディケイドはマスクドフォームでレオ・ダスタードの攻撃を受け止め、キャストオフで装甲をパージすることでレオ・ダスタードを凌いだ。

 

 

「フン!」

 

 

そのPDカブトに向け、レオゾディアーツが高速移動で接近、両腕の爪を振りかぶり、引き裂こうと振り下ろした。

 

 

「させるか!」

 

«タイヤコウカーン! FORMULA03!»

 

 

咄嗟にドライブがスパーナF03をシフトブレスに装填、タイヤコウカンにより右腕に装着されたスパナ型の装備【グラスパークロウ】で受け止める。

 

 

「クロックアップ!」

 

«Clock Up»

 

クロックアップしたPDカブトがクナイガンでレオ・ダスタードを二体とも一気に切りつけ、レオゾディアーツにぶつけると、そのまま一気に一閃、レオ・ダスタードはダメージを受けたようだが、レオゾディアーツはそれに反応して左の爪で防御、PDカブトとドライブを弾き飛ばした。

 

«Clock Over»

 

「コイツ、早い!」

 

「クロックアップに素で反応できるのかよ!」

 

 

スピードを売りにしたライダー二人の速度に対応できる超スピード、そして高い攻撃力と爪による防御、追い詰めたと思ったらここに来て形勢逆転、二人は非常に厄介な状況に陥った。

 

 

「シャァァァァァァァァッ!」

 

「ウォォォォォォォォォ!」

 

「ッ!?しまっぐぁぁぁぁぁっ!」

 

「泊!?ぐあっ!」

 

 

それだけではない、カマキリヤミーと赤レオ・ダスタードがドライブに襲いかかり、鎌と刀を一閃、同時にPDカブトも白レオ・ダスタードの刀を受け止めた瞬間にオリオンゾディアーツの棍棒【レムノス】が叩きつけられ、壁に叩きつけられた。

 

 

「んなろぉ!」

 

 

すぐさまクナイガンのガンモードで操っている大元であるディーラーロイミュードを狙い撃つも、オリオンの盾【キオス】がそれを防ぐと同時に高速移動したレオ・ゾディアーツが爪でPDカブトを追撃、なんとかクナイガンで受け止めたPDカブトに二体のレオ・ダスタードが迫る。

 

 

「一城!」

 

 

PDカブトのピンチにドライブがマンティスヤミーを跳ね除け加速、レオ・ダスタードを弾き飛ばし、レオゾディアーツに電撃を纏ったグラスパークロウを叩きつけた。

 

 

「グァァァァァァァ!!」

 

 

流石に電気ショックは効いたのだろう、レオ・ゾディアーツがたじろぎ、下がる。

 

 

「オラァッ!」

 

 

すかさずPDカブトが追撃し、キックを浴びせてドライブを追ってきていたカマキリヤミーに叩きつけた。

 

 

「泊!このまま一気に決めるぞ!」

 

 

PDカブトはプロトディケイドに戻るとライドブッカーからカードを抜き取った。

 

 

「よし、で、どうする「ちょっとくすぐったいぞ」え?ちょ!?」

 

«FINAL FORM RIDE D・D・D・DRIVE!»

 

言うやいなやドライブの背後に周りながらカードを装填、カードの発動と同時に【タイプトライドロン】へと強制変身させられたドライブの困惑を無視して背中に手を突っ込んだ。

 

 

「そぉい!」

 

「フゴッ!」

 

ドライブが微妙な喘ぎ声を上げると同時に体が変形していく。そしてドライブ自身の愛車であるトライドロンと同じ姿に変形した。

 

 

「うわぁ!なんだこれ!?」

 

『WoW!私達自身がトライドロンになってしまった!実にアメイジングな体験だ!』

 

「ああもう!考えるのは止めた!フィーリングで勝負だ!」

 

 

ファイナルフォームライドの力で【ドライブトライドロン】へと変身したドライブはフロントマシンキャノンを怪人達に撃ちまくりながら突進、オリオンのキオスを粉砕し、カマキリの鎌を折り砕いた。

 

 

「一気に片付けるぞ!」

 

«FINAL ATTACK RIDE D・D・D・DRIVE!»

 

プロトディケイドがそう言いながらカードを装填、同時にドライブトライドロンが自身の意志とは無関係に高速旋回を始める。そして呼び出された怪人達とディーラーロイミュードを取り囲んだ。

 

 

「えええええええ!?おいおいおい!これ俺がこっち側!?」

 

『進丿介!このまま一気に決めるぞ!』

 

「なんでベルトさんはノリノリなんだよぉ!?」

 

 

二人が漫才を繰り広げる中、プロトディケイドがドライブトライドロンを蹴り、その反動で中心に向けて飛び蹴りを繰り出す。

 

 

「ハァッ!」

 

「ウグァッ!」

 

 

それはディーラーロイミュードに直撃すると、外へはじき出され、再びドライブトライドロンに弾かれて今度はオリオンゾディアーツに蹴りを浴びせる。

 

 

「そらっ!」

 

「グオッ!」

 

 

そしてまたドライブトライドロンに弾かれて中央へ、どんどん加速しながら次々にキックを浴びせていく。

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラァ!」

 

 

ドライブのライダーキック【スピードロップ】を模した必殺技、【ディケイドロップ】が次々と炸裂し、呼び出された怪人たちを蹂躙していく。

 

 

「トドメだ!」

 

 

これで最後とディーラーロイミュードへトドメの一撃を浴びせようとした瞬間、レオゾディアーツがディーラーロイミュードを抱え、飛び上がった。

 

 

「フン!」

 

「何っ!?」

 

 

そのまま長い爪で天井を破壊し、上階へ逃げるレオゾディアーツとディーラーロイミュード。

既にダメージの限界を超えていた他の怪人達を捨て駒にして自分は独立したシステムであるグランドフリーザーを発動させるつもりなのだろう。

 

 

「「グァァァァァァァァァァ!」」

 

 

呼び出されたオリオンゾディアーツとカマキリヤミー、そしてレオ・ダスタードは連撃に耐えられなかったのだろう。爆発して消滅してしまった。

 

 

「逃したか・・・」

 

『FOO!実にエキサイティングな必殺技だ!三人共Nice drive!』

 

停止と同時にトライドロン形態からもとに戻ったドライブはベルトさんの方がノリノリなのに対して進丿介は目を回してフラフラの状態だった。

 

 

「一城、次やる時は先に一言入れてく「追うぞ、アレくらいならジャンプすりゃいけるよな」聞けよ!ああもう・・・ルパンの時にアレやった霧子って結構凄かったんだな・・・」

 

 

自身の懇願をスルーされながらもカンナギを追うために天井に向かって飛び上がるともう一度トライドロン形態に変形し、そのタフなボディで天井を破壊して上階へと上がっていった。

 

 

「よっ」

 

 

それに続いてプロトディケイドも飛び上がる。敵はダメージを受けて逃げ出した。今度こそ追い詰められている。そう判断したプロトディケイドは次で一気に決着を付けるつもりだった――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――楽園、団長室

 

 

「・・・あの、アジトの中って見れないんですかね?」

 

 

支配人がティースプーンで炒飯の端を掬いながら団長に進言する。確かに今映し出されているのは地上に残った一団の戦闘くらいで進捗状況がわからない。内部に侵入したメンバーの動向が把握できないのだ。

 

 

「フム・・・そろそろいいのか、二人共?」

 

 

支配人の問いかけにクライシスは更にこの事件のもう一つの意味を知るであろう二人に問いかけながら炒飯を口に運んだ。

 

 

「そうですねぇ・・・もういいでしょうか」

 

 

オーナーが懐中時計を見ながら炒飯を掬い、口に運ぶ。

 

 

「ではクライシスさん、ハルトくんに命じておいたアレを作動させてください」

 

 

駅長が黄金のスプーンで旗のギリギリを攻めながらクライシスに促した。

 

 

「フム、では・・・」

 

 

そう言ったクライシスは指を鳴らす。すると炒飯の旗の上に新たなホログラムモニターが投影された。

 

 

「これは・・・」

 

「ハルトに命じてプロトバースのカメラ映像をこちらに回せるようにしておいた。こなたが勝手に持ち出す際にプロトバースにすり替えて、な」

 

 

こともなげに言ってのけるクライシス。だが、その言葉を支配人はすでに聞いていなかった。何故なら彼の意識は別のところへ集中していたのだから。

 

 

「あれは・・・イマジン!?」

 

 

モニターに映し出された晶葉が操作する巨大な装置、その中央のシリンダーに閉じ込められたイマジンを見た支配人は居ても立ってもいられないといった表情で席を立とうとした。

 

 

「いけません!」

 

 

しかし、それを止めたのは鋭い声、普段のおっとりとした話し方からは想像もできない大声に思わず支配人の動きが止まる。

 

 

「!?・・・なぜですか、オーナー?あれはイマジンですよ!?専門の俺が動かなくてどうするんです!?」

 

 

支配人が聞き返す。イマジン対策の専門的な能力を持つ自身をイマジンの絡む案件に出させない。そこが納得できなかったのだ。

 

 

「まぁまぁ、アカツキ君も落ち着いて、おそらくアレはイマジンの体を構成する時の砂を重加速で止めているのでしょう。その時の砂を媒介としてあらゆる世界の時を止めるのがグランドフリーザーの正体、というわけですねぇ」

 

 

駅長が支配人を諌めるように、そして状況が理解できるようにいつもと変わらない穏やかな口調で話し始める。

 

 

「・・・それで、一体何なんです?俺をここに縛り付ける理由って」

 

 

明らかに不満といった返しにも動じず、駅長は逆に問いかけてきた。

 

 

「アカツキ君、キミは【いつまでも自身が戦い続けることの危険さ】を理解していないようですねぇ?一城君が君を家庭教師から外したのも正解だったでしょう」

 

「・・・え?」

 

 

突然の非難とも取れる発言に支配人は困惑する。駅長の言葉の真意がわからない。一体何がいけないんだ?そう思いながら支配人はモニターに注視した。

そのモニターの端に突然床がはじけ飛ぶ光景が写った。そしてそこから現れる二体の怪人に彼が目を奪われたのは言うまでもない―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――グランドフリーザー中枢区画

 

「・・・よし、兄者達がバックアップを破壊してくれた。後はこのメインシステムを停止させてあのイマジンを開放するだけだ」

 

 

晶葉がコンソールを操作しながら送られてきた情報を素早く整理する。

 

 

「あ、そろそろ終わりそう?」

 

「いや、もう少し。まだ数分はかかる」

 

 

プロトバースの軽い返事にそっけなく返しながらもその手は止まらない。その素早くキーを叩く手が次の手順のために一瞬止まったその時だった。

 

«ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・»

 

「え?何?何!?」

 

「いきなり何が・・・」

 

 

突然の振動にプロトバースと霧子が慌てて周囲を警戒し始める。最初に気付いたのは晶葉だった。

 

 

「下だ!」

 

 

アナリティカルエンジンの音紋解析と鷹の目の感覚でいち早く察知した晶葉の叫びと同時二人が慌ててその場を飛び退く。その直後、二人のいた場所の床が吹き飛びディーラーロイミュードとレオゾディアーツが飛び出してきた。

 

 

「何あれ?」

 

「わかりません!片方はロイミュードのようですけど」

 

 

体制を立て直した二人がブレストキャノンと拳銃を撃ちかける。しかし、その銃撃はレオゾディアーツに全て弾かれてしまった。

 

 

「あれ?・・・これって相当ピンチ?」

 

 

プロトバースは焦りながらブレストキャノンを撃ち続ける。しかし、レオゾディアーツはそれを弾くと深く沈み込み、一気に飛びかかる体勢に入った。

 

 

「ウォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

 

唸りを上げて二人に飛びかかるレオゾディアーツ、これはマズい、せめて生身の霧子だけでも、そう判断したプロトバースが霧子をかばおうと前に出たその時だった。

 

 

「「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

 

 

二人の前の床が吹き飛びそこから赤い二つの影が躍り出た。

 

 

「そう何度も逃がすかっての!」

 

 

先に飛び出した赤い影、ドライブトライドロンはレオゾディアーツを弾き飛ばし、霧子の前に着地すると同時にドライブタイプトライドロンへと姿を変えた。

 

 

「霧子!無事か!?」

 

「と、泊さん!?」

 

 

自分の見たことのないドライブの【変形】に戸惑いつつも霧子は安堵する。同時にもう一つの赤い影がレオゾディアーツに強烈なアッパーを叩き込んだ。

 

 

「晶葉!無事だな!?」

 

「もちろんだ!こっちはあと少しで片付く!」

 

 

もう一つの影、プロトディケイドと晶葉互いに目すら合わせず、最低限のやり取りで現状を把握した。それぞれのやるべきことは決まっている。後はそれを完璧にこなすだけ、互いを完全に理解しているからこそ、言葉は必要最低限でいいのだ。ここに来て、二人は確かに親子であることを再認識した。

 

 

「さて、後はコイツを止める時間稼ぎだ、行くぜ泊!」

 

「ああ!プロトディケイド!ひとっ走り付き合えよ!」

 

 

二人のライダーは再び強敵へと立ち向かっていった―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

あけましておめでとうございます。本当は去年の間に終わらせたかったんですけど、色々あって伸び伸びになってます。申し訳ありません。

さて、今回レオゾディアーツを出した理由ですが、単純に強いだけでなく【高速移動が可能】【特殊な雑魚を呼び出せる】【オリジナルは主にどこまでも忠実な下僕】と非常に使う側にとって都合の良いキャラだったからです。

ちなみにお気付きの方も多いと思いますが、広井真蔵と言うのはハートロイミュードのモデルになった青年実業家のことです。本編内でロイミュードを使って殺された、となっていましたが、Vシネマで生存が確認されました。おそらくは蛮野の命令を拒んだハートが殺さずに虚偽の報告でもしていたのでしょうね。

次回はようやく事件の終わりに向かっていきます。

 

 

 

 

 

オマケ

 

ロイミュードXXX

蛮野天十郎が財団Xへ資金提供の見返りに供出した強化ロイミュード。バット、コブラ、スパイダーのすべての特徴を持ち、コア・ドライビアゼロを3機搭載し、超絶重加速の中でも活動できるほどの力を持っている。

財団Xのコピーロイミュード全てのコピー元でもあり、通常のロイミュードを遥かに超えた戦闘力を持つ。

109体目のロイミュードであるが、クリムや他のロイミュード達はこの個体の存在を知らず、データも蛮野が抹消していたため、公になることはなかった。

 

 

ディーラーロイミュード

ジン・カンナギがXXXと融合進化した姿。

右手にエネルギーマシンガンを持ち、コイン型のエネルギー弾を発射する。

また、左手に張り付いたトランク型のパーツは開くことでかつて財団Xが出資してデータを得てきた怪人達を【再生産】することができる。(ゾディアーツやドーパントは人間を素体にする必要がない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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