No.88055

真・恋姫無双~魏・外史伝27

 こんばんわ、アンドレカンドレです。
今回から十三章、戦闘シーンがメインです。
ただ、戦闘がメインのお話はあまり受けが良くない
様に思えます・・・。まぁ、戦闘の状況を言葉で全て
表現できるはずも無く、一歩間違えればとてもつまらない

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2009-08-04 00:57:07 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:7099   閲覧ユーザー数:5504

第十三章~憎悪の螺旋・前編~

 

 

 

  「はっ!つい先程、洛陽方面の狼煙台から緊急時の狼煙が・・・確認されました!」

  「何ですって!?」

  「詳細は不明ですが・・・、我々も隊を編成し救援に向かう準備をしております!」

  「・・・分かったわ。では、あなたは出撃の準備に戻りなさい。」

  「はっ!」

  華琳に報告し終わった兵士は再び、人ごみの中をかき分けてながら消えて行った。

  「華琳!」

  「私達も急ぐわよ!一刀、付いてきなさい!!」

  「分かった!」

  一刀は華琳に後を追うように、人ごみの中をかき分けて行った・・・。

  「華琳、一体洛陽で何が!?」

  「もしかしたら五胡が侵攻して来たのかもしれないわね!」

  「このタイミングでか!?」

  「また天の国の言葉かしら!?・・・私が不在を狙ってのものじゃないかしら?」

  「何だってぇ。どうして国境向こうの連中がこっちの情勢を知っているのさ!?」

  「・・・・・・。」

  華琳は一刀の問いに答える事無く、黙ってしまう。

  一刀と華琳は部隊編成がされている軍部署に到着する。そこではすでに襲撃の準備が行われ、

 ピリピリとした緊張感が漂っていた。

  「曹操様!」

  そこに、部署の責任者と思われる男がやって来る。

  「絶影はどうしている!?」

  「はっ!すでに食事を終え、いつでもいけます!!」

  「御苦労!隊の指揮は私自らが取るわ!急ぎ、隊の編成を終えなさい!」

  「はっ!!」

  そして華琳は、一刀を連れて絶影の所に向かった。

 絶影は自分の主人に気が付いたのか。華琳に顔を向け、軽く鳴いた。

 華琳はそんな絶影の頭を軽く撫でると、絶影の横に移動した。

  「一刀!こっちに来なさい。」

  「何だ・・・?」

  一刀は手でこちらに誘って来る華琳の元に近づくと、華琳は絶影の背中に掛けられていた荷物の中から

 おもむろに取り出した物を一刀に渡した。

  「・・・これは!?」

  一刀は手渡されたそれを両手に取る。それは紛れも無く、ポリエステル製の白の学生服であった。

  「成都から持って来たの。あなたに渡すためにね・・・。」

  「華琳。」

  そして再び手元の学生服を見る・・・。

 

  ―――お前さんの心次第じゃ・・・。

 

  ―――・・・恐れるなぁ!・・・その力は・・・、お前の・・・心しだい!!

 

  ―――お前の・・・信じる、お前自身を信じろ!!心の向かう先が・・・、定まっているのなら!

 

  ―――・・・その力で、守れ・・・この外史・・・を!人の・・・想念・・・を!

  「・・・・・・俺の、心次第・・・。」

  一刀は自分の胸を自分で掴む。・・・自分の心を確かめる様に。

  「一刀!何をしているの!?早く乗りなさい!」

  いつまでも乗って来ない一刀に苛立ち、少し厳しめに言う華琳。

  「華琳・・・。」

  「一刀・・・?」

  華琳は一刀の様子がおかしい事に気が付いた。そして一刀は口を開く。

  「絶影には悪いけど、絶影にはここに残ってもらって早く洛陽に向かおう。」

  「・・・?何を言っているの、あなた?」

  華琳は一刀の言っている事が理解出来なかった。絶影を使わないでどうやって早く洛陽に行くと言うのだ。

 その答えを尋ねようとした時であった。

  「っ!?」

  突然、一刀が華琳の腕を引っ張る。突然の事だったため、華琳は体勢を崩し、絶影から落ちてしまう。

 そこを上手い事一刀が受け止めると、華琳は一刀にお姫様だっこされる状態になった。

  「こ、こら、一刀!ふざけている場合では無いでしょう!早く下ろしなさい!!」

  華琳は一刀の腕の中で子供の様にじたばたと暴れる。

  「北郷総隊長!!」

  二人の様子を見にきた兵士が、一刀に呼びかける。一刀が兵士の方に顔を向ける。

  「ごめん!悪いけど、俺達一足先に行くから、お前達は後から来てくれ!!」

  「えっ!?ちょっと、一刀!?」

  「行くぞ、華琳!!しっかり掴まっていろぉッ!!」

  「ちょ・・・、ひゃぁあっ・・・!?!?」

  突然、風が吹き荒れたと思った瞬間、一刀は華琳を抱えたまま街の外へと走り出していた。

 追いかけようにも、その人並み外れた神速にすでに二人の姿は・・・見えなかった。

  「総隊長ーーー!!」

  一刀が走っていた方向に向かって、兵士は叫んだ・・・。

 

  ―――日輪が最も高い位置まで上り、この広大な大地を照らす。

 

  この大地を一筋の砂塵が描かれる。

 

  青年は今再び、あの地へと迷う事無く真っ直ぐに、大地を踏みしめ風の如く駆ける―――

 

  「ここにいる人間であり、なおかつここにいない人間・・・。まるでとんちの類ですねぇ~・・・。」

  風は溜息とつくとふと、空を見上げる・・・。

  「・・・そこで止むを得ず、魏領内の警戒態勢を強化し、協力者を炙り出すという強引な手段をとった

  わけだけど・・・。その上で、五胡とは別の・・・正体不明の武装集団の暴動を許してしまうとは・・・。

  ひょっとして連中こそ、その協力者なのか・・・?それとも全くの無関係なのか・・・?

  風、あなたはどう思う・・・?・・・風?」

  稟は風に意見を聞こうとしたが、返事が無い。いつものように寝たふりをしているのかと風を見る。

 だが、肝心の風は寝ているわけでは無く、空を見上げた体勢のまま固まっていた。一体の何を見ているのだろう?

 稟は、風が見上げている先を見た・・・。

  高く昇った太陽、その眩さに稟は手で目をかざしながら、その先を覗くように見る。

  「・・・・・・ぁぁぁぁぁああああああっ!!!」

  その先から声が聞こえてくる。何処か聞き覚えのある声・・・。

 それに伴い、太陽の中央に一点の影が現れた。そしてその影は、声の音量が大きくなっていく度に

 大きくなり、ついには太陽を隠してしまった。稟がその影の正体に気が付いたのは、まさにその時であった。

  

  ズドンッ!!!

  

  地響きにも似た音とともに影は彼女達の目の前に降り立った。影の周囲は、降りた瞬間に地面の砂を宙に

 舞いあがらせ砂埃が生じる。その砂埃のせいで影が隠れてしまい、確認する事が出来なかったが・・・。

  「げほっ、ごほっ・・・!ちょっとあなた、私の事完全に忘れていたでしょ!!」

  「げほッ、ゴホッ・・・!そ、そんな事は無いって!華琳が軽かったから思った以上に高く跳ね

  上がっちゃって!」

  そして砂埃が少しずつ収まり、その影の姿が目視できるようになった・・・。

 

   「しゅ、秋蘭・・・ぐぁっ・・・!!」

  春蘭は立ち上がろうとするが全身に痛みが走り、思うように立ち上がれなかった。

 大男はそんな春蘭に目をくれる事無く、投げ飛ばした秋蘭を追いかける。

  「ぐ・・・、ぅうぅ・・・ぁあっ!!」

  秋蘭は地面に打ち付けた体の痛みに顔を歪ませながらも何とか起きあがろうとする。

 そんな彼女を大きな影が覆い尽くす。それに気が付いた秋蘭は顔を上げていく・・・。

 そこには、直立不動の大男が大剣を携え、こちらを見下ろしていた・・・。

 秋蘭は餓狼爪を探すが・・・、それはちょうど大男の後ろに落ちていた。

 そして大男の大剣がゆっくりと・・・振り上げられる。

  「あかん!!もう間に合わん!!」

  「秋蘭様!!」

  「秋蘭さまぁああ!!」

  「秋蘭様ぁぁあああっ!!」

  「しゅ、秋蘭ーーーーーーっっ!!!」

  彼女達の声は、秋蘭の耳には届かなかった・・・。

  秋蘭の脳裏に、一人の青年の姿がよぎる・・・。

  二年前、彼に救われたこの命・・・。ここで尽き果てるのか・・・。

  ―――北郷っっ・・・!!!

  ボゥウンッ!!!

  大剣が振り下ろされた瞬間、彼の名を心の中で叫んだ・・・。

  

  ・・・とある場所の一室。

  「これで夏侯淵妙才を葬れましたね。」

  「でも何でわざわざ夏侯淵を優先して始末しておく必要があるんだ?肝心の巻物はもうすでにあの女が

  回収したはずだろ?」

  「あくまで念のためですよ、伏義。彼女は巻物の中身を見てしまった。だからと言って、彼女に解読できるはずは

  無いでしょうが・・・、万が一という事もあります。」

  「ふん、臆病者が・・・。」

  「ふふ・・・、あなたからすればそうでしょう。ですが、いかに頑丈な石橋であろうと叩いて置く事に

  越した事はありません。最期で詰めを誤って駄目になってしまっては元も子もない。」

  「な・る・ほ・ど、確かに・・・一理あるな。」

  「分かって頂けたようで・・・。」

  そして机に広げられた地図に置かれた駒達の一つを見る。

  「さようなら・・・、夏侯淵妙才殿。」

  そう言うと同時に、その駒を指で軽く押し倒す。駒は為す術も無く、そのまま横に倒れようとした・・・。

  「・・・っ!?」

  表情が一変する。倒れた駒が横たわる寸前で止まったからである。

  「こいつは・・・。」

  その場に居合わせていた伏義もこれには驚きを隠せなかった。

 そして駒はそこからくるくると回りだし、次第に立ち上がっていく。そしてついにはバランスを取るかのように

 左右に揺れながら、再び立ってしまった・・・。

 

  「ん?何や・・・、前の方で何かあったんかい?」

  後方にて、桂花の指示に従って作業していた真桜が前の方が騒がしい事に気が付く。

  「真桜!からくりの準備は出来たの!?」

  そこに作業の状況を確認しにきた桂花がやってくる。

  「ああ、桂花!こっちはもうじきやでぇ!・・・それより、前で何かあったんか?前の方が妙に

  騒がしいんやけど・・・。」

  「え?・・・さぁ、私はまだ何の報告も来てはいないけど・・・。」

  どうやら桂花もよく分かっていないようだ・・・。

 真桜は作業を止め、背伸びするように前を覗いて見る。

  「何や何やぁ!?一体何が起こっとんねん!!」

  「どうやら間に合ったようね。」

  「へっ?」

  「えっ?」

  突然、後ろから声が掛けられ、呆気にとられる二人。

  「待たせたわね・・・!桂花、真桜。」

  「華琳様!!」

  「華琳様!!何でこないな所に!?」

  二人が後ろを振り返ると、そこには華琳が立っていたのであった。

  「何でってここは私の街なのですから、何らおかしい事はないでしょ?」

  「い、いやぁ・・・そりゃそうですけど・・・。華琳様は確か、陳留に行ったはずじゃぁ・・・?」

  「細かい詮索は後にして頂戴・・・!桂花、まずは現状を説明してくれるかしら?」

  「は、はっ!ではこちらに!」

  桂花は華琳に説明するため作戦本部へと案内する。一方、残された真桜は一人考えていた・・・。

  「・・・まさか、隊長が・・・?」

  真桜は急ぎ作業に戻っていった・・・。

 

  ガッゴォオオッ!!!

 

  「「え・・・?」」

  「なっ・・・。」

  「なんやて・・・?」

  「あれは・・・。」

  「まさか・・・。」

  そこに居合わせていた者達は、目の前で起きた事が理解出来ず、一瞬時が止まったか

 のように思考が停止した。そして、彼女達の視線は一人の人物に注がれていた。

  一方、敵は・・・何故か後ろに倒れていた。

 そして・・・、秋蘭の、彼女の目の前にいたのは・・・。

  「大丈夫か・・・、秋蘭?」

  「お、お前は・・・。」

  呆然とする秋蘭。そんな彼女を確認しようと、後ろに目をやる。

  「・・・待たせたな。」

  「・・・北郷。」

  懐かしい・・・彼の横顔を見て、秋蘭は彼の名をつぶやいた。

  「一刀ぉっ!!」

  「兄ちゃん!!」

  「兄様!!」

  「隊長、お待ちしておりました!!」

  「北郷・・・!!」

 

   ブゥンッ!!

 

  「うおわっ!?」

  「姉者っ!?」

  突然斬りかかって来た春蘭に、一刀は刃でその一撃を受け止める。

  「ちょ!敵に斬りかからないで俺に斬りかかるなって!!」

  「この馬鹿者!!!何が待たせたな、だ!!一体どれだけ華琳様を待たせたと思っておるのだ!!」

  「・・・済まない。」

  「済まないっ!?済まないだと!貴様は・・・それだけの言葉で片づけるつもりか、北郷!?」

  「ごめん、春蘭。でも、俺にはこれ以外の言葉が思い当たらないんだ・・・。お前にも心配させてしまって・・・。」

  一刀の言葉に、春蘭は湯気が出てきそうなくらいに顔を真っ赤にする。

  「・・・っ!?だ、誰が・・・き、き、貴様の事を・・・!!!」

  「ッ!?」

  「のあっ!?」

  一刀は春蘭を突き飛ばす。その瞬間、頭上から、大剣が降って来る。大剣はそのまま地面を叩き割った・・・。

 その大剣の持ち主である大男は何ともないかのように、今度は一刀を睨みつける。

 一刀に突き飛ばされた春蘭は後ろに尻餅ついたまま、その様子を見ていた。

  「・・・・・・。」

  「大丈夫か、春蘭!」

  「姉者っ!!」

  秋蘭は急ぎ立ち上がると、春蘭の元へと駆け寄る。

  「一刀、気いつけぇ!!そいつ、春蘭や秋蘭でも敵わん相手や!!ここはうちらに任せて早く後ろに下がりや!!」

  霞は敵と戦いながら、一刀を気遣う。一刀では瞬殺されてしまうと、霞はこの時そう思っていた・・・。

  「ありがとう、霞。心配してくれて・・・。でも、俺は・・・逃げないよ。」

  「か、一刀ぉ・・・?」

  霞は一刀の言葉に目を丸くさせる。一刀はそんな霞を余所に秋蘭の方を見る。

  「秋蘭、こいつは俺が食い止めておくから春蘭を頼む。」

  「っ!?何を言い出すのだ!お前一人でどうにかなると思っているのか!?私が代わる!お前は姉者を・・・!」

  言葉を続けようとした秋蘭の目は一刀の目と合う。一刀の目を見た瞬間、秋蘭は何かを悟ったように態度を急変させる。

  「・・・・・・分かった。ここはお前に任せるよ。」

  「ああ、任せておけ!!」

  「な、何だと!?秋蘭、北郷を見殺しにする気か!?」

  秋蘭はそんな姉の言葉に耳を貸す事無く、春蘭の肩を担ぐように引きずって行った。

  「こ、こら秋蘭!!・・・離さぬか!私はまだ戦える!早く北郷を・・・ぐぅっ!?」

  春蘭は全身に伝わる痛みに顔を歪ませ、横腹を押さえる。

  「そんな体で満足に戦えるものか・・・。それに、あ奴なら大丈夫だ。」

  「・・・一体、何が大丈夫だと言うのだ!?私でも歯が立たない相手に・・・!」

  「さてな・・・。だが、大丈夫だ・・・。絶対に!」

  秋蘭には根拠は無かった、大丈夫だという根拠は全く持っていなかった。それにもかかわらず、秋蘭の大丈夫だには

 迷いは無かった、絶対的な自信が含まれていたのであった。

  (あんな真っ直ぐで、力強い透き通った眼差しを見てしまったら・・・、もう何も言えないさ。)

  

  「・・・・・・。」

  目の前の大男に対して、建業で暴れていた大男とどこか似た感覚を感じる一刀・・・。

  「あの二人構える事無く、全く動かない・・・。」

  「互いに相手の出方を窺っているようやな・・・。」

  「じゃあ、兄ちゃんはあの大男とおんなじくらいに強いってことなの?」

  「まぁ・・・、そういうこっちゃ。春蘭みたいに迂闊に飛び込むんは危険って事。」

  「なるほど・・・。」

  「って言うか、一刀ってそんな強かったけかぁ?」

  「さ、さぁ・・・、自分はそのような覚えはありませんが・・・。」

  霞達は自分の周囲を警戒しながらも、二人の様子をうかがっていた・・・。

  「ッ!!」

  「ッッ!!」

  ガギィイイインッッ!!!

  鈍い金属音が大通りをゆっくりと駆け抜けていく。

 一刀の刀と大男の大剣が火花を散らして二刀が互いを牽制し合う。

 二人の放った衝撃が互いを後ろに吹き飛ばす。

 下がる際に両足で大地を削っていきながら、その勢いを削いでいく。

  最初に動きを示したのは、大男の方であった。男は左手を高く上げると一刀に指差す。

 すると、後方から敵が現れ、一刀に向かって行く。それとと同時に後方にいた霞達に

 屋根の上から敵が再び奇襲をかけてくる。

  「くそぅ!!また来たでこいつらぁ!!」

  「霞様!」

  「分かっとるわ、凪!行くでお前等!!」

  「「「応ーーーっ!!!」」」

  

  「はぁあああっ!!!」

  ブゥンッ!!!ブゥンッ!!!ブゥンッ!!!

  「ッ!?」

  「ッ!?」

  「ッ!?」

  一刀は敵達の攻撃を交わしながら、1人2人3人と斬り払いながら、再び大男へと向かって行く。

 そして一刀は脚に力を込め、大地を蹴るとさらに加速していった。

  ガギィイイインッッ!!!

  「くぅ・・・!?」

  再び剣と剣がぶつかる。衝撃が一刀の両手に伝導し、痺れさせる。

  「ッ!!」

  「ぬッ!!」

  一刀は瞬間的に後ろに下がる。そこに大男は、斬、斬、斬と一刀に襲いかかる。

 その大剣からは想像もつかぬようなその剣撃の速さに一刀はしゃがんだり、右左にかろうじて避けて行く。

 斬撃は一刀の髪を、大地を、家を切り裂いた。切れた一刀の髪が宙を舞う・・・。

  「うぁぁああッ!!!」

  一刀も負けずと斬撃を放つも、大男は大剣で器用に受け流し、カウンターで返してくるが、

 一刀も受け流して、そこにカウンターを叩き込む。剣と剣がぶつかる度に、火花が何度も咲き散らす。

  「やあああッ!!!」

  一刀が兜割の斬撃を放つ。

  ブゥンッ!!!

  「なッ、しま・・・ッ!!」

  一刀が放った斬撃を避けた大男は、すかさず一刀の首筋を掴むと一刀を地面に叩きつける。

  「がッ・・・!?」 

  頭に衝撃が伝わり、一刀は一瞬意識が飛ぶ。そんな一刀を持ち上げると大男はもう一度地面に叩きつける。

 意識が完全に飛んだ一刀を、大男は空に向かって乱暴に投げ上げる。宙を舞う一刀、それに対して大男は左手、

 左腕に力を込める・・・。一方、宙に舞いがった一刀は重力によって、今度は下に落ちて行く。

  「ッ!?」

  落ちて最中、一刀はようやく意識を取り戻すと瞬時に、状況を把握する。

 一刀は刃を盾に、大男の打撃に備える。

  「ヴゥゥオッ!!!」

  地鳴りにも似た怒声を上げ、落ちて来た一刀をタイミングよく左ストレートを放つ。防御の体勢を取っていた

 一刀であったが、その衝撃を受け止められず、そのまま連ねる家々にまで吹き飛ばされる。

  「隊長!!」

  一刀の危機に、凪は彼の元に駆けつけようとするも周囲の敵達がそれを許さない。

  「くそぉ・・・!!!」

  「凪ぃ、下がりなぁああーーーッ!!!」

  「っ!?」

  その掛声に、とっさに下がる凪。

  ビュンッ!!!ビュンッ!!!ビュンッ!!!

  「ッ!?」

  「ッ!?」

  「ッ!?」

  「ッ!?」

  凪達を襲っていた敵達は何処からともなく飛んできた多数の矢の雨に打たれる。

  「こ、これは・・・?」

  「間に合ったでぇぇえええーーー!!!」

  後ろからからくりと思われる兵器達を引き連れてやって来たのは、真桜とその専属の工作部隊であった。

  「「真桜ッ!!」」

  「真桜ちゃん!!」

  「真桜さん!!」

  「真討ち登場ぉぉおおおーーー!!さぁ、お前等、がんがん撃ち込みなぁあっ!!」

  「「「あいあいさーーー!!!」」」

  真桜に合図に、工作部隊の兵士達はからくりに矢の束を充填していく。

  「よし、撃てえええーーー!!!」

  ビュンッ!!!ビュンッ!!!ビュンッ!!!

  発射口と思われるその穴から、大量の矢が連続に撃ち放たれる。敵達は為す術も無く、その矢の餌食に

 なっていく。全てを撃ち終えたからくりを見て、真桜は霞達に誇らし気に胸を張る。

  「ふっふっふ・・・。どうやぁ~、すごいやろぉ♪」

  「うおっ!?何や真桜、また新しい新兵器かいな!」

  「ふっふっふ・・・、その通りやで姐さん。こいつはうちが長年の研究からついに完成させた・・・。

  名づけてぇ・・・。」

  「真桜、そんな事は構わない!!早くそいつを使って目の前の敵を!!」

  「ちょ、凪ぃ!!うち一晩かけて考えた名前を聞かんって、人でなしにもほどがあるでぇ・・・!!」

  真桜はぶつぶつ言いながらも、矢の束を充填する。

  「標準、合わせぇーーー!!」

  「「「あいあいさーーー!!!」」」

  「よし、撃てえええーーー!!!」

  ビュンッ!!!ビュンッ!!!ビュンッ!!!

  大男に向かって、大量の矢が放たれる。

  「・・・・・・。」

  肝心の大男はその場から身動き一つ取らない。このまま矢の餌食になるのかと思われたが、大男は右手の大剣を

 手のうちで高速に回転を加えると、矢達はその回転する大剣に次々と斬り伏せられてしまった。

  「ちょっ!まじかいなっ!!」

  全ての矢を撃ち終えたからくり見た大男は、自分の足元に倒れていた敵を持ち上げると、そのまま真桜のからくり

 にめがけて投げ飛ばした。

  「うええっ!!!そんなん聞いてへんでぇ~~~っ!!!」

  真桜自慢のからくり兵器は、大男の手によってあっけなく破壊されてしまった・・・。

  「んぎゃあああぁぁぁーーーっ・・・!!」

  破壊されたからくりに紛れて真桜も吹き飛ばされる。

  「真桜ちゃん、大丈夫!!」

  「真桜さん!しっかりして下さい!!」

  「うぅ~・・・。」

  季衣と流琉は粉々に粉砕されたからくりの傍に駆け寄り、その中に埋もれ、目を回している真桜の介抱する。

  「・・・・・・。」

  大男はゆっくりと霞達のほうに向かって来る。

  「く、来るで!!」

  霞の声に、他の皆が反応する。

 そして近づいてくる大男。一軒の店の横を通り過ぎようとした時、突然店中から一刀が現れる。

  「ッ!?!?」

  一刀は大男に向かって大振りの蹴りを放った。大男はその蹴りにたまらず反対の店へと突っ込んでいった。

  「一刀ぉっ!!」

  「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・。」

  一刀は大きく息をするたびに両肩が上下に激しく動く・・・。すでに体はぼろぼろであった、だが一刀は

 膝を折らなかった。

  「ぉぉおお・・・!!やっぱ、隊長やないかぁ!!」

  気が付いた真桜の目にとっさに映ったのは、一刀であった。

  一刀は店中へと消えていった大男の姿を探すが、一向に姿を捉えられない。

 そこにまた敵達が一刀達を襲って来る。

  「ぐ、ぁああああーーーッ!!」

  一刀は襲いかかって来る連中の攻撃を交わしがらも攻撃を繰り出す。だが、すでに彼の体は悲鳴を上げていた。

 敵の間髪入れぬ攻撃に、彼の膝がガクンと下がる。

  「な、しまっ・・・!?」

  敵もそれを見逃すはずも無く、彼の背中を狙って襲いかかって来る。

  ビュンッ!!!

  だが、それは一筋の矢が敵のこめかみを貫いた事で、阻止された。

 一刀はその矢が飛んできた方向に目をやる。そこには秋蘭が立っていた。

  「北郷、今度は私がお前を助ける番だ・・・。行け、決着を着けるんだ!」

  秋蘭の言葉に、縦に首を振る一刀・・・。

 そして再び店の方を見ると、店の屋根をぶち破るように、大男が飛び出してきた。

 

  ―――大男は両手で大剣を振り上げたまま、一刀の方へと落ちて来る。

  

  「ヴアアッ!!!」

  

  ブゥウオオンッ!!!

  

  落ちて来るタイミングと大剣を振り下ろすタイミングを合わせ、大男は一刀に斬撃を彼の脳天に落とした。

  

  ―――一刀は刃を両手で携え、剣道でいう脇構えの構えを取った。

  

  「・・・ッ!!!」

  

  一刀は大男から目を離さず、奴の動きに合わせ体を低くする。

  

  一刀の体から、かつての伏義との戦いと同様、オーラ状のものが溢れ出していた・・・。

 

  そして大男の一撃が一刀の脳天に落ちて来る。

  

  「はぁぁぁぁぁああああッ!!!」

  

  一刀はその一撃にかぶせる様に大男に向かって斬り上げた。

 

  互いの一撃が放たれた後・・・、周囲の時間が止まった。

 ほんのわずか・・・一瞬ではあったが、その場に居合わせていた者達にはとても長く感じられた。

  「ど、どないなったんか?」

  霞がその止まった時間を再び動かす。

 一刀は刃を斬り降ろした形で先程いた位置より数メートル先に移動し、一方大男は一刀がいた所に

 大剣を振り落としていた。

  「凪ぃ、今の見えたか?」

  霞は隣にいた凪に尋ねる。

  「い、いえ・・・全く。何が起きたのか・・・?」

  霞の問いに、凪は答えられなかった。

  「・・・ッ!?!?!?」

  異変を先に示したのは、大男であった。

 大男の胸にはバツ状の刀傷が、そこから多量の血が溢れ出すと、足もとから力が抜けるように前のめりに崩れ去る。

 それと同時に、霞達に襲いかかっていた敵達はその場を後にし、撤退していくのであった。

  「連中が撤退していくで!!」

  真桜が言った通り、敵全員が撤退を開始していた。追撃しようにも、すでに姿は消えてしまっていた。

  「全く、引き際も速いっちゅう事やで・・・!」

  敵の迅速な対応に逆に関心してしまう霞。

  「・・・うぐッ!?」

  そして今度は一刀が異変を示した。

 手に持っていた刃を落とし、その場に膝を折ってしまった。

  「隊長ぉおっ!!」

  凪が今にも泣きそうな声で一刀の傍に駆け寄ると、膝を折って倒れた一刀の左肩を持ち、一刀が立ち上がろうと

 するのを手助けする。

  「・・・、す、済まないな、凪。」

  一刀が凪の肩を借りて立ち上がろうとしたが、バランスを崩して倒れそうになったが、そこに真桜がやって来て

 一刀の右肩を持った。

  「真桜・・・。」

  「全く、世話の掛かる隊長やで・・・。うちらがいないと立つ事もできないんか?」

  真桜の皮肉に、その通りだな、一刀は鼻で軽く笑った。

 二人の部下の肩を借りて、一刀は皆の元へと向かって行った・・・。

 

  「北郷・・・一刀・・・!!」

  「・・・・・・。」

  「あなたのせいですよ。あなたが彼の力を目覚めさせてしまったのです。」

  「ちッ・・・、うるせーよ。だったらこっちも奴と同じ事をすればいいだけの事だろ?」

  「そういう問題ではありません・・・。」

  「はッ、分かったよ。悪かった、悪かった・・・俺のせいですよ。」

  「・・・ふぅ、まぁいいでしょう。とりあえずは、当初の目的は達成出来たことですし・・・。

  このまま、彼女には北郷一刀の監視をしてもらいましょう。」

  「奴が隙を見せた所を、後ろからグサッとか?ハハハ・・・、種馬にはこの上ない最後だな!

  いやいや・・・、女は怖いねぇ。」

  「伏義・・・。」

  「冗談だよ・・・。そんじゃ、俺は戻るぜ。さっきの件頼んだぜ。」

  「それなら問題ありません・・・。すでに手配しましたよ。」

  「おう?何だかんだいって、仕事が早い事・・・で。」

  「・・・・・・。」

  「だんまりかよ・・・。じゃあな、祝融。」

 

  「一刀ぉ~!ひっさしぶりやないか~!」

  疲れきった一刀に抱きつく霞。

  「霞・・・、悪かったな。急にいなくなって・・・、ローマに行こうって約束・・・。」

  「んなもんどうだってええ!一刀がこうしてうちの目の前におるんなら、まだ約束はまだ消えてへん!」

  霞は一刀から離れると、そう言った。その目は少し赤くなっていたのが、一刀には分かった。

  「・・・そうだな。」

  一刀は霞に優しく微笑んだ。

  「にいちゃーん!!」

  「ぬおおッ!?」

  いきなり右横から季衣が一刀の腰にめがけ体当たりして来る。それをまとも受けた一刀はバランスを崩し、

 季衣に押し倒される形で倒れる。

  「にいちゃ~ん、今までどこにいってたんだよぉ~・・・!ぼく達をほったらかしにして一人で

  帰っちゃうんなんて~、ずっと一緒にいるって約束したじゃないか~・・・!」

  季衣は一刀の腰に抱きつき、顔を一刀の腹に埋めながら責めるその姿はまるで泣きじゃくる子供の様であった。

  「・・・ごめんな、季衣。ずっと一緒にいたかったんだけどな・・・、どうしても帰らなくちゃいけない

  事情があったんだよ。ごめん、本当にごめんな。」

  そう言って一刀は上半身を起き上がらせると、季衣の頭を優しく撫でる。

  「兄様、大丈夫ですか?」

  そこに流琉がやって来て、一刀の傍にしゃがみ込む。

  「あ、ああ・・・まぁいきなり体当たりされるとは思ってもみなかったがな。」

  「ふふっ・・・、それだけ済んで良かったじゃないですか。」

  「おいおい・・・、まるで秋蘭みたいな事を。」

  「秋蘭様に似てましたか?」

  「ちょっとだけ・・・。」

  2人は目を合わせる。と同時に笑いが起こる。

  「・・・ちょっと見ない間に、大人っぽくなちゃってな・・・。」

  「・・・兄様。」

  笑っていたはずの流琉の目から一筋の涙がこぼれる。

 流琉はそれを隠すように、一刀の胸に埋まってしまった。一刀は流琉の頭を優しく手で包み込んだ。

  「隊長・・・?ああ!隊長なの~!!」

  何処からともなく、元気な声が聞こえて来る。この独特な語尾を使う人物を一刀は知っていた。

  「沙和・・・か?」

  「隊長~・・・!!・・・ってああ~!すでに季衣ちゃんと流琉ちゃんに取られちゃってるの~。」

  「沙和、俺を物みたいに言わないでくれ。」

  「え・・・、沙和ちゃん?」

  一刀の腹にうずくまっていた季衣はようやく顔を上げ、沙和の方を見る。

  「季衣ちゃん達、ずるいの~。沙和だってぇ、隊長に甘えたいのに~。」

  沙和はそう言って、頬を膨らます。それを見た季衣は目をごしごしこすって、涙を拭う。

  「ああ~・・・、うんゴメンね。流琉・・・。」

  季衣が流琉の真名を呼ぶと、流琉も自分で涙を拭っていた。

  「うん、私はもう大丈夫だよ。」

  「ん・・・、沙和ちゃん。ボク達はもういいから、今度は沙和ちゃんの番ね。」

  そう言って、二人は一刀から離れる。一刀は二人から解放され、両手で立ちあがろうとした。

  「んぎゃぁあッ!?」

  が、それはいきなり抱きついてきた沙和によって阻止されてしまった。

  「隊長!やっぱり隊長なの~!!やっと会えたの~!!」

  沙和は一刀の首にすがりついて心の底から喜ぶ。

  「隊長!沙和、いっぱい、いっ~ぱい頑張ったの!街の消火や、街の人達の救助もしたしや

  怪我した人の治療もしたの!!隊長の街を守ったの~!!」

  沙和は自分が頑張った事を一刀に報告していった。一刀はそれが嬉しくて仕方が無かった。

  「そうか・・・!良く頑張ったな、沙和。」

  そう言って、一刀は沙和の頭を季衣や流琉のように撫でる・・・。頭を撫でられる沙和はまるで

 猫のように気持ちよさそうにしていた・・・。しかし、そんな沙和を見ていて、若干面白くない

 と感じる二人がいた・・・。

  「ちょい待ち沙和!うちらかて頑張ったでぇ!!何一人で頑張ったみたいに言うとんねん!?」

  「と言っても、お前が持って来たからくりは大して役立っていなかったじゃないか・・・。」

  「ちょ、おま!凪ぃ、何ちゅう事をっっ!!窮地から救ってやったっていうに、何やその言い草はぁ!!」

  漫才を始める凪と真桜。それを見て一刀や他の者達も笑った・・・。

  「あ、春蘭さまぁ!もうお体は大丈夫なんですか!?」

  季衣は後方からやって来た春蘭の元に駆け寄る。

  「当たり前だ!あの程度では私の体はビクともしないさ!」

  そう言って、春蘭は自分の胸を叩く。その瞬間、彼女の顔が青ざめうずくまってしまった。

  「しゅ、春蘭さまぁああ!!!」

  「自分の体の状態をちゃんと把握出来ないなんて・・・、あなたの脳筋っぷりには

  感服しちゃうわね・・・。」

  「な、何だと・・・っ!?」

  桂花の煽りに怒りを示す春蘭。しかし、怒ったせいでまた体に激痛が走り、またうずくまってしまった。

  「春蘭さまああああ!!!」

  そんな春蘭の姿を見て、桂花は首を軽く左右に揺らしながら溜息を洩らした。

 桂花が周囲を見渡すと、ちょうど一刀と目が合う・・・。

  「・・・・・・。」

  「・・・・・・、ようまた会えたな。桂花。」

  「あらぁ?何よ・・・、まだしぶと~く生きているのね、この全身精液孕ませ男。

  てっきりさっきの戦闘で死んじゃったのかと思っていたわ。」

  「はぁ~・・・、そう言われると思ったよ・・・。」

  一刀は予想通りの桂花の言葉に呆れながら答える。そんな一刀の対応が気に入らなかったのか、

 桂花は不愉快そうな顔をする。

  「何が言われると思ったのよ!!あんたみたいな汚物の塊なんか、

  道端でのたれ死んでいれば良かったのに!!」

  「何言うとんね、桂花。お前かて隊長の事でしょっちゅう思いに耽ってたくせにぃ~・・・。」

  「仕事中にも耽ってたの~♪」

  「ちょっと!あなた達一体何を言い出すの!?」

  「桂花様も口ではそう言っても、本当は隊長の事を・・・。」

  「凪!あなたそれ以上言ったら、首をはねるわよ?!」

  「兄ちゃん、桂花も兄ちゃんの事心配していたんだよ!」

  「季衣、あなた何て事を言うのよ!?」

  「そうだぞ、桂花。あの時だって、北郷一人ではここまで来られるはずが無いって

  華琳様に進言していたではないか?」

  「ちょ・・・、ちがっ・・・!あれは・・・!」

  「な~んや、桂花も素直やないな~・・・♪」

  そこにちょうど良く、風と稟もやって来た。

  「いえいえ、それが桂花ちゃん良い所なのですよ~♪」

  「決して『デレ』を見せず、敢えて『ツン』で貫く・・・、成程それはそれでおもしろいですね。」

  「・・・まぁ、そう言ってやるなお前達。」

  「あああ~~~、もうーーー!!!

  あなた達!好き勝手な事ばかり言ってるんじゃないわよーーー!!!」

  

  「・・・・・・。」

  「どうしたの、ぼ~っとしたりして。」

  「華琳、・・・いや、やっと帰ってこれたんだな、と・・・思ってさ。」

  もう・・・叶わないと思っていた。どんなに強く望んでも、決して叶わなかったのに・・・。

 向こうに帰ってからずっと思い描いていた願いが、今こうして目の前に広がっていた。

  「それより一刀。あなた何か大事な事を忘れていないかしら?」

  「へっ・・・?一体何の事・・・。」

  一体何の事だろう・・・、必死に思いだそうとする一刀の前におもむろに華琳が左手を差し伸べる。

 一刀は華琳が何を言おうとしていたのかをすぐに分かった。

  「お帰りなさい、一刀」

  「ただいま、華琳。」

    


 
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