No.845547

コートの上で

河井莉子さん

順リコ作品です!

2016-05-02 01:36:40 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:232   閲覧ユーザー数:232

 
 

ピピー!

「じゃあ、今日はここまでね!」

リコのホイッスルで本日の練習が終わる。

「ありがとうございました!」

部員たちがロッカールームへ歩く中、

「あ、日向くん!」

誠凛高校バスケットボール部主将、日向順平が呼び止められる。

「ん?なんだ?」

「あ、あのね、ちょっと話があるから、このあと残ってくれない?」

「話?なんだよ、話って。」

「それはあとで言うわ。残れる?」

「ん。わかった。じゃああとで。」

脳内に疑問符を浮かべながら、日向もロッカールームへ向かう。

その背中を見るリコの頬は赤く染まっていた。

10分後。しんと静まったコートの上で日向とリコの2人だけが向かい合って立っている。

「で、話って?」

「う、うん。あのね…好きなの。」

「へ?」

「日向くんのことが、好きなの。」

「っ!!」

驚きのあまり、動揺が隠せない。

まさかリコからそんな話を聞くとは思ってもいなかったのだ。

「日向くん?」

上目遣いで顔を覗き込まれた日向は、脳内が真っ白になっていた。

日向自身もリコが好きだ。

ただ、カントクとして、日々頑張っているリコにそんなことを言って邪魔したくないし、

元々は木吉の彼女だ。自分に好意を持つことはないと思っていた。

「あ、あの、返事は今すぐじゃなくてもいいんだ!だから…」

「ーも。」

「へ?」

「俺も、リコのことが、好きだ!」

「!!」

「俺と付き合ってくれないか。」

「!…うん。」

外がだんだんと闇の中に落ちていく。

「…じゃあ、もう帰ろっか。」

「ああ。」

2人は家に向かって歩き出す。

日向がリコの手を優しく握りしめる。

そして、リコもその手を優しく握り返した。

 

 
 

 
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