No.84342

続・人気店の娘達

ぴかさん

前作、人気店の娘達の続編です。

現代を舞台にしていますので、各キャラの口調が原作とは異なっている部分があります。
ちょっと話のまとまりがいまいちかなぁと思えるのは私の力不足としか言いようがありません。

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2009-07-15 00:17:55 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:8580   閲覧ユーザー数:6911

その日の季衣と流琉は、それはいつも以上に張り切っていた。

理由は至極単純で、自分達が会いたがっていた華琳に会えたためである。

 

そして、華琳が連れてくると言った、自分達が会いたがっている人・・・。

 

それは間違いなくあの人物だと2人は思っていた。

それがさらに2人を元気づけた。

 

その一方で、2人を保護していた老夫婦は、2人が姉らしき人物に会えた事を喜んだのと同時に、もうすぐお別れがあるんだろうという事で、ちょっと悲しみにくれていた。

 

老夫婦のそんな感情に関係なく、お店はいつも以上に繁盛していた。

最後になるかもと、老夫婦も2人と一緒にお店を手伝っていた。

 

そんな老夫婦の行動に、流琉は違和感を感じていたが、そんな事はおくびにも出さず、料理を提供し続けた。

 

そんなこんなで、店じまいの時間となった。

最後の客を送り、暖簾をしまうと、さすがの2人にも疲れが出てきた。

店の席に座り込み、一息つく。

 

すると、老夫婦が裏からジュースを持ってきて2人に手渡した。

 

夫「お疲れさま。」

妻「これでのどを潤すといいよ。」

季衣「うん!!」

流琉「ありがとうございます。」

 

2人はジュースを受け取ると一気に飲み干していく。

今まで飲んだどんなモノよりも美味しく感じた。

 

先ほどまでの喧騒が嘘のように静まりかえった店内。

季衣は嬉しそうにジュースを飲み続けていたが、流琉は老夫婦の様子に少し違和感を覚えて複雑そうな表情をしていた。

 

 

そんな状況を打ち破るかのように、入り口のドアが開いた。

 

華琳「もういいかしら?」

季衣「華琳さま!!」

 

季衣は、飲みかけのジュースをテーブルに置くと、華琳の元に駆け寄り抱き付いた。

流琉も複雑そうな表情のまま華琳の元に近づく。

 

華琳は、流琉の表情に気付いたが、そのまま何事もなかったかのように、2人の頭を撫でた。

 

そして、外に向かって呼ぶ。

 

華琳「さあ、入ってきなさい。」

 

華琳に呼ばれ、店の中に入ってきたのは、季衣と流琉がおそらく華琳以上に会いたがっていたあの人物であった。

 

一刀「季衣、流琉。久しぶり。」

季衣「兄ちゃん!!」

流琉「兄様!!」

 

2人は、華琳の元を離れ一刀に向かって駆けていった。

一刀は手を広げ2人を迎える。

 

が、仮にも魏の武将である2人のタックルを一刀が受け止められるはずもなく、そのまま押し倒されてしまった。

 

季衣「兄ちゃん・・・。」

流琉「兄様・・・。」

 

華琳は、やれやれというような仕草をしながら一刀の元に近づいた。

 

華琳「しっかりしなさいよ、お・に・い・ちゃ・ん!!」

 

一刀にはっぱをかけて、起き上がらせる。

一刀は、腰をさすりながら起き上がった。

 

一刀「軟弱で悪いな・・・。」

 

2人に平謝りするかのような口調で話す。

途端に、2人の目から涙がこぼれ始めた。

 

季衣「ううん・・・。こうやって会えたんだもん。それで十分だよ・・・。」

流琉「はい。私も・・・会いたかったです・・・。」

 

そう言って2人は、一刀に抱き付いた。

一刀は、そんな2人を自分なりに精一杯抱きしめた。

 

華琳は、今だけよというような表情をしてそっぽを向いていた。

 

 

しばらくの抱擁の後、2人が世話になった老夫婦の視線に気付き、2人を引き離した。

 

そして、改めて老夫婦の前に立ち、お辞儀をする。

 

一刀「すみません、2人がお世話になったようで。」

華琳「私からもお礼を言わせてください。ありがとうございます。」

 

深々とお辞儀をする2人に老夫婦は恐縮してしまった。

 

夫「いや、お礼を言うのはこっちだよ。2人のおかげでこの店ももう一度がんばれた。」

妻「そう。夫婦2人だけの生活が、一気に明るくなったのも2人のおかげ。ありがとう・・・。」

 

そう言って老夫婦は、一刀と華琳、そして季衣と流琉に握手をした。

 

しばらくして華琳が話しだした。

 

華琳「それじゃ、行きましょうか。」

季衣「行くって?」

華琳「私達の住んでいる場所よ。」

季衣「やったー!!」

 

華琳の提案に喜ぶ季衣であったが、流琉は再び複雑そうな表情をした。

 

一刀「流琉、どうしたんだい?」

流琉「私・・・、ここに住み続けたい!!」

 

この流琉の言葉に、華琳や一刀はもちろん、季衣もそして老夫婦も驚いた。

 

 

流琉は話を続けた。

 

流琉「私達がいなくなると、2人はまた以前の生活に戻っちゃう。ここもお店を閉めないといけない。私は、まだここで料理を作りたいんです!!」

季衣「流琉・・・。」

 

流琉は真剣な表情で皆に訴えた。

季衣には、流琉の気持ちが何となく分かった。

自分も、老夫婦は本当の家族のように思っていた。

だけど、一刀と華琳と一緒に住みたいと思っているのも、事実である。

なので、季衣は素直に流琉の提案を受け入れることが出来なかった。

 

季衣「兄ちゃんや華琳さまとまた一緒に暮らせるんだよ!!なんで、そんな事いうの?」

流琉「季衣は、お2人の事やこのお店嫌いなの?」

季衣「そんな事はないけど・・・。」

流琉「だったら・・・。」

季衣「でも・・・。」

 

2人の話は平行線を辿ったまま、解決の糸口が見つからなかった。

華琳は、2人の様子にやれやれと思いながらもそのまま成り行きに任せているようだった。

一刀は、別に一緒に住むわけじゃないんだけどと思いながら、一つの提案をした。

 

 

一刀「だったら、2人はここから学校に通えばいい。」

季衣・流琉「えっ?」

一刀「華琳達の住む場所もここからそんなには遠くないし、学校に行けば嫌でも毎日会える。放課後や学校無い日は、ここで今まで通りお店をやればいい。もちろん、お2人の了解が必要ですが。」

 

そう言って一刀は、老夫婦の方を見る。

2人はお互いを見合うと言った。

 

夫「わしらは全然。」

妻「構いませんよ。」

 

老夫婦は笑顔で答えた。

 

その返答に一刀がうなずき、華琳もうなずく。

 

華琳「そうね。2人ともここに住むのがいいかもしれないわ。私達も食べに来ることが出来るし。」

季衣「えっ!!華琳さま、毎日来てくれるの?」

華琳「毎日・・・は難しいかもしれないけど、出来る限り来るようにするわ。」

季衣「なら、ボクはこのままでいいよ!!」

 

季衣はあっさり提案を受け入れた。

流琉は、自分のワガママだと思っていたこの提案が受け入れられた事に安堵し、再び涙を流した。

ただ、先ほどの一刀の話で分からない事がある。

 

流琉「兄様・・・。学校って何ですか?」

季衣「そうだよ、兄ちゃん。ボクも知らない。」

一刀「あっ、そうか・・・。」

 

テレビなどである程度現代の事を知っていた2人であったが、やはり細かい事は判らず、これからしばらく一刀の現代学の講義が行われた。

その中で、2人は学校の事などを大まかではあるが理解できた。

 

入学に関する事は理事長に言えば何とかなるだろう、一刀はそう思いながら、一つ名案を思い浮かんだ。

 

一刀「なあ、華琳。こういうのはどうだ?」

華琳「何よ。」

 

華琳に耳打ちする一刀。

そして、華琳が「いいわね」と、了承したのを確認し、季衣と流琉、そして老夫婦にも話をした。

この一刀の名案は翌日実行された。

 

 

翠「なあ、なんでこんな格好しないといけないんだ?」

蒲公英「いいじゃん、お姉様。よく似合っているよ。ねえ、一刀さん?」

一刀「ああ、見違えたよ、翠。」

翠「な・・・何馬鹿な事言ってるんだよ・・・。」

蒲公英「うふふ。満更でもないくせに・・・。」

翠「なんだと、蒲公英!!こらー。」

蒲公英「うわー!!お姉様が怒った!!」

 

フリルの付いたエプロンドレスの格好で追いかけっこをする翠と蒲公英。

 

朱里「はわわ・・・。うまくできるかなぁ。」

雛里「あわわ・・・。大丈夫だよ、朱里ちゃん。元直ちゃん直伝のお菓子だもん。」

 

朱里と雛里は厨房で、はわわ、あわわいいながらお菓子を作っていた。

 

そう、季衣と流琉が世話になっているあのお店で、みんなでアルバイトをするというのが一刀の名案だった。

こうすれば、たとえ一緒に住んでいなくても、誰かと一緒にいられるしなにより目の保養になる。

あと、客寄せにもぴったりだろうというのが一刀の考えであった。

ただ、明らかに目の保養という部分が強調されているのは、気のせいではないようだ。

 

それから何度か一緒に働くうちに、みんなとも仲良くなり女子寮にも遊びに来るようになっていた。

 

そんなある日の事。

その日は、お店が定休日で、季衣と流琉は女子寮に来ていた。

鈴々といがみ合ったり、猪々子とつるんだりと、季衣は楽しそうにしていた。

流琉も、朱里や雛里と料理の話で盛り上がったりしていた。

 

と、そこに2つの影が闖入してきた。

 

??「楽しそうに盛り上がってますねぇ。」

??「ええ。」

 

季衣「あー!!」

 

突然の闖入者に驚く一同。

だが、華琳をはじめとする魏の面々は驚きより懐かしさを感じていた。

そう、そこには魏を代表する2人が立っていたのである。

 

 

あとがき

 

続きをどうしようかでかなり悩んでましたが、こんな感じになりました。

みんな女子寮では、収拾が付かなくなる(すでに付いていないような気もしますが)ので

季衣と流琉には申し訳ないですが、そのままお店に居座るという選択肢をとってもらいました。

 

恋姫たちが日替わりで出てくる中華料理屋。

行ってみたいですねぇ。

 

最後の部分、はっきり言って無理矢理終わらせた感があります。

もうちょっとうまく話を繋げられればと思うのですが、ここは私の実力不足です。

そして、最後に登場した2人は、口調で何となく分かると思います。

 

次回はその2人の話の予定です。

 

今回もご覧いただきありがとうございました。


 
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