No.83664

真・恋姫†無双~江東の花嫁達~(番外弐)

minazukiさん

これは(弐拾)話のおまけです。

呉に戻った直後の一刀、雪蓮、蓮華のほんのワンシーンです。

2009-07-11 12:26:12 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:19799   閲覧ユーザー数:14605

(番外弐)

 

 ある晴れた夜。

 

 久しぶりに戻ってきた呉で過ごす二人は庭に出ていた。

 

 眠る孫紹を見守る雪蓮と一刀。

 

「ねぇ、一刀」

 

「なに?」

 

「どうして私が宛にこだわったかわかる?」

 

「わからないよ。冥琳にも聞いたけど教えてくれなかった」

 

 冥琳との情事の後、宴やそれが終わると、呉に戻る準備などで慌しかったため忘れていた一刀に、雪蓮はその理由をゆっくりと話した。

 

「あの場所は私にとって大切な思い出の場所なのよ。もちろん、一刀も覚えてくれているものだと思っていたわ」

 

「思い出?」

 

 思い出そうとしても何も浮かばなかった。

 

「もう、一刀にとっては昔のことはどうでもいいのね」

 

 呆れたように雪蓮は一刀を見た。

 

 だが思い出せない一刀は最後には降参した。

 

「いいわ。特別に教えてあげるわ」

 

 孫紹を抱いたまま、雪蓮は一刀の肩に寄り添っていく。

 

「あそこは私と一刀が初めて出会った場所よ」

 

 すべての始まりの地。

 

 そして新しい命の誕生の地。

 

 雪蓮はこのために呉ではなく宛城で産むことにこだわっていた。

 

「私にとって思い出の地だもの。だからこの子もあなたと同じ場所で産みたかったの」

 

「そうだったのか」

 

 そこまで考えていたとは思いもしなかった一刀は申し訳ない気持ちになっていく。

 

「ごめんな、雪蓮」

 

「いいわよ。でも、次はきちんと覚えていてね。そうじゃあないとこの子に話をする時に困るわよ」

 

「俺と雪蓮が出会ったときのことを聞かれたときのためにか」

 

「そうよ♪」

 

 嬉しそうに答える雪蓮を見て一刀は自分の記憶に深く刻み込んでいく。

 

 もう二度と忘れないように。

 

 お互いの顔を見て二人はゆっくりと顔を近づけていく。

 

 あと少しで唇同士が触れ合おうとした時、孫紹が目を覚ましたのかぐずり始めた。

 

「起こしちゃったかな?」

 

「大丈夫よ」

 

 雪蓮は子守唄を歌い始めた。

 

 一刀が知っている子守唄とは違うそれはどこか穏やかで気持ちよいものだった。

 子守唄を聞いてか孫紹はまた眠りについていた。

 

「お姉様、一刀」

 

 そこへ呉王である蓮華が夜着姿でやってきた。

 

「お二人ともまだ起きていたのですか?」

 

「ええ。一刀に大切なことを教えようと思ってね」

 

「大切なことですか?」

 

 蓮華は二人が何を話していたかはわからなかったが、とても大切なことなのだと何となく感じることができた。

 

「それにしてもよく寝ていますね」

 

 自分の姪になる孫紹を見て微笑む蓮華。

 

「蓮華もそろそろ自分の子供が欲しい?」

 

「…………はい」

 

 呉に戻ってきたら一刀の側室になるという約束。

 

 それがもう少しで叶えられるとして蓮華は政務が終わればいつも一刀達の屋敷に足を運んでいた。

 

 その一方で、一刀達を出迎えに行ったとき、側室になる者が増えていたことを改めて知った時、蓮華は唖然とした。

 

 笑顔であった蓮華だが、その場で雪蓮達に一刀と話があるといって自室に連れて行った。

 

 そして散々、一刀の種馬ぶりに文句を言った後、夜には一年分の我慢と、側室を増やした一刀に対してのお仕置きをかねて、一睡もすることなく寝台の上で彼を支配した。

 

 翌朝になると肌の艶が輝いている蓮華と精気全て吸い取られたかのようにげっそりしていた一刀の姿があった。

 

「あの時は本当に死ぬかと思ったよ」

 

「だ、誰のせいだと思っているの。一刀が一年も私に寂しい思いをさせたのが悪いのよ」

 

「だからっていきなり部屋に入った途端に、刃を向けることはないだろう?」

 

 蓮華は一刀が下手な嘘をついたら南海覇王で斬り捨てるつもりでいた。

 

 それだけ彼女の心は寂しさで溢れていたことを、我が身を持って理解した一刀。

 

「ほらほら、二人とも声が大きいわよ」

 

 注意をされた二人は孫紹が起きなかったか確認をして息を漏らした。

 

「ねぇ一刀」

 

「なに?」

 

「もうこれ以上、側室は増えないわよね?」

 

 蓮華はそっと一刀の腕を掴んで力を入れていく。

 

「私は別に怒ってなんかいないわよ。でもね」

 

「いてっ」

 

 力強く蓮華は彼の腕を締め付けていく。

 

「もし無断で増やしたらその時は、ね?」

 

 どうなっても知らないといった感じで蓮華は黒い笑みを浮かべる。

 

「もう増やさないから、いや、本当に」

 

「本当かしら?」

 

 反対側からは雪蓮がひどくおかしそうに笑いながら一刀を見る。

 

「ほ、本当だって」

 

 孫家の姉妹に挟まれて本気で怖がる一刀。

 

「大丈夫よ。何も殺したりはしないから♪」

 

「そうですね。ただ毎晩が楽しみなだけです」

 

 毎晩、干物になることを間違いなしといった感じで、一刀はこれ以上の側室は持たないとほぼ脅迫に近い言葉を並べる二人に誓約した。

 

「「よろしい♪」」

 

 二人の妻は満足そうに笑顔を浮かべた。

 

 そして孫紹はそんな三人に関係なく、穏やかに眠っていた。

(座談)

 

雪蓮 :ほら、皆に言うことがあるでしょう?

 

水無月:本当にすいません。(泣)実は(弐拾)で書くつもりだった雪蓮が産む場所をこだわった理由を書いていたのに、それをすっとばしていました。

 

冥琳 :さすがに読者から指摘されたのを見て、気づいたらしいわ。

 

水無月:本当にすいませんでした。(><)

 

雪蓮 :これは次からきちんとリクエストSSなどで挽回しないとまずいわよ?

 

水無月:そうですね。しっかり書かせていただきます。(><)

 

冥琳 :それじゃあとりあえずは次からリクエストSSになるのね。

 

水無月:はい。かなりの方々からいただきましたリクエストにお答えしたいと思います。

 

雪蓮 :それじゃあ次回からはリクエストSSなのでお楽しみね♪

(お詫びとお知らせ)

 

 今回は自分の不注意により内容をすっ飛ばしてしまいました。

 

 この場を借りてお詫び申し上げます。

 

 あと誤字脱字も注意をしていますがまだまだ無くなりません。(泣)

 

 毎回指摘していただき誠にありがとうございます。

 

 次回からはそれらを気をつけて参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

 さて、次回からは座談でも申しましたが、皆様からいただいたリクエストSSになります。

 

 出来る限り皆様のご期待に沿えるように頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。


 
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