No.82896

心・恋姫†無双 第十六話

南風さん

一度投稿に失敗しました。その時に読んだ方は迷惑をおかけしました。これからは週に一度は作品を投稿したいと思います。では、この作品がオリジナルキャラ・要素が多い作品ですので苦手な方は申し訳ありません。感想を待ってます。^^

2009-07-06 22:55:20 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:11744   閲覧ユーザー数:8882

心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第十六話 ~決闘~

 

「ここが成都か。」

「「・・・・・・・・・。」」

「では、行くぞ。」

「「・・・・・・・・・(コクッ)」」

 

 

 

時は遡る

 

俺たち反乱軍が、白帝城に入城して荊州への援軍の準備をしていた時、

まるで予期も出来なかった報が届いた。

いや出来たはずなのに、俺は気付けなかったんだ。

「雛菊、そっちの書簡をとってくれ。」

「わかったよ。」

「お茶です。」

「ありがとう、姫百合。」

軍備の準備は千里達がやってくれている。

そして俺は白が集めてきた情報の報告書に目を通しているのだが、まだ字を読むのには慣れていないので雛菊・姫百合・蒲公英に補佐を頼んでいるのだ。

「ご主人さま~、こっちも目を通してほしいってさ。」

蒲公英が持ってきた山盛りの書簡。

「うわ・・・・・・・・・。」

思わず現実逃避したくなる量だよこれ。

「それにしても、凄い量だねこれ。」

「驚きよ。」

「ご主人さまが頑張ればいいだけ。」

 

「あぁ・・・・・・そうだな。」

何か悲しい・・・・・・・。

 

 

 

ドタドタドタッ!!

 

ガチャン!

 

 

 

「ご、ご主人さま!!

「どうしたんだ翠、結構遅かったじゃないか。」

翠は蒼と一緒に漢中に出向いてもらっていた。

今回の詳細を彼女達に報告してもらうために。

「呂布たちが、成都に向かったんだ!」

「恋たちが・・・・・・・・・?」

成都にいるのは劉備だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさか!!!!

「しまった!!翠、蒼はどうした!?」

「千里と桔梗に報告しに行ってる!」

「わかった!翠は蒼と合流して、俺と出るぞ!あと桔梗と翡翠、焔耶も一緒に兵は500!少数先鋭で成都に向かう!」

「わかった!」

翠が部屋を後にする。

「ど、どうしたの、ご主人さま?」

「漢中に董卓軍の人たちがいたよね。」

「うん・・・・・・・・もしかして!」

「その、もしかしてだ・・・・・・・。」

「私たちはどうするよ!」

「蒲公英、雛菊、姫百合は千里たちと一緒に荊州への出陣の準備を手伝ってきてくれ。あと、何が起きてもいいように第二陣として出撃準備も忘れないで。第二陣の指揮は紫苑に一任するってね。」

「わかった!」

「わかったよ!」

「御意。」

そして俺は500の兵と翠、蒼、桔梗、翡翠、焔耶と共に成都に向かった。

 

「一刻も無駄に出来ない、行くぞ!」

 

「応!!!!」

 

劉備は大陸の平和に必要な存在だ。今、こんなとこで失うわけにはいかない。

それに早まるな・・・・・・・恋、純、華雄!!

 

翠の話によると、恋たちに劉備の話をした時に空気が変わったという。

その瞬間、純に不意打ちをくらい二人とも意識をとばしてしまった。

目が覚めたら陳宮と董卓軍の兵達が看病していてくれたそうだが、

その顔は皆、何か寂びそうで悲しそうだった・・・・・・・。

 

いなくなったのは恋、純、華雄。

あの三人なら何でも出来そうだから怖い。

 

 

 

時は戻り成都

「うむ・・・・・・まだ普及に大変そうだが、活気に溢れている。」

「・・・・・・・華雄。」

「どうしたのだ?」

「・・・・・・・あれ。」

「!!・・・・・・・・・手間が省けたな。」

「「・・・・・・・・(コクッ)。」」

成都、大通り。

華雄たちは布をまとい姿を隠している。

そんな華雄たちの視線の先。

兵達に囲まれて、関羽、張飛、趙雲を脇に携えて、おそらくは復興の視察をしているだろう劉備がいた。

「特徴と一致するな。劉備本人だろう・・・・・・それに関羽。」

声がすでに怒りに溢れている。

「・・・・・・・目的を忘れちゃ駄目。」

「わかってる。」

「・・・・・・・じゃあ、行く。」

「あぁ。」

 

風の如き速さで人の間を抜け、劉備に迫る。

 

その動きと、僅かに殺気の混じった怒気に気付かない関羽たちでは無い。

 

「星、鈴々!!」

「あぁ!!桃香さまを守るのだ!!」

「ここは鈴々たちが相手をするのだ!!」

 

「「「っは!!」」」

「ちょっと、え?どうしたの!?」

いきなりの事で戸惑う劉備。

しかし、兵の緊張と関羽たちが得物を構えている状況にすぐさま置かれた状況を理解する。

 

ガキン!!

 

金属同士がぶつかり合う音。

その音に民達も何が起こったのか理解した。

「きゃあああぁぁぁ!!」

民らから悲鳴があがる。

 

「姿を隠し、なおかつ桃香さまの命を狙うとは何と卑怯な!」

「・・・・・・・・卑怯?」

「!!・・・・・・・この声、それにその得物はまさか・・・・・・・。」

「そのまさかだ、関羽!!卑怯というなら、偽報にまどわされ連合を組み、我が主を処刑した劉備、それに関羽!!きさまらの方が卑怯者だ!!」

「お前は、華雄!!」

華雄が布を取り、姿を現す。

それに続いて恋と純も布を取った。

「呂布と高順!!」

「生きてたのだ!」

趙雲と張飛は嫌な記憶が思い出される。

五人がかりで、この二人には手足もでなかった。

一撃もかすらせることや、ひるませる事ができなかった。

その記憶が二人に汗を滲ませた。

「愛紗は華雄と戦う。・・・・・・・鈴々、お主と私であの二人を相手をしなくてはならん。・・・・・・・・・出来るか?」

「・・・・・・・・やるしかないのだ。」

 

「・・・・・・・・行く。」

「来い!呂布!」

 

「お前の相手は鈴々なのだ!」

「・・・・・・・・終わらせる。」

 

 

 

町の中心で道の真ん中で繰り返される死闘。

 

「話を聞けと言っている!」

「ふざけるな!お前達と語る言葉なぞ無いわ!」

「っく!」

一撃、一撃が重く鋭い・・・・・・・これが華雄の本当の実力か。

「どうしたのだ!関羽!」

このままでは・・・・・・・しかし、民達が見守る前であの事は・・・・・・・・・・・。

 

 

「・・・・・・・・よく、避ける。」

「っふ・・・・・・馬鹿にしているのか。」

「・・・・・・・・違う。お前、強い。」

ブゥン!!

「なに!」

ガキン!!

「でも、恋の方が強い。」

「っく!」

重い一撃だ・・・・・・・いや重すぎる。

このままでは・・・・・・・。

 

 

「・・・・・・・・遅い。」

「せいっ!」

「・・・・・・・・遅い。」

「うぅ~お前が速すぎるのだ!」

先程から張飛の攻撃はいとも簡単に避けられている。

「・・・・・・・・今度は、こっちから。」

「うにゃ!!」

張飛すら目で捕らえられない斬撃が襲い掛かった。

 

 

 

 

 

その頃とほぼ同時刻

――幽州、公孫賛軍――

「敵兵の数は?」

「っは!十万を越す大軍です。」

「麗羽の奴、数で押してきたか・・・・・・わかった、さがってくれ。」

「っは!」

「麗羽と猪々子は何とかなるか・・・・・・・後は斗詩ともう一人あいつがなぁ・・・・・・・・・・・・。桃香も益州で頑張っているんだ。だから私も桃香との約束を守るために頑張らないとな。・・・・・・・・・・負けられないんだ。」

 

――袁紹軍――

「まぁ~白蓮さんったら、たった3万しか兵がいないのかしら?これではあまりにも一方的ですわ。」

「ですけど、その数の少なさを策で補ってきますよ。」

「そんなこと、文醜さんと顔良さんがいれば関係ないですわ。」

「そうだぜ、斗詩。あたいらがいれば何とかなるって。」

「もぅ~わかりました!」

「ところで姫。私はいかようにしましょう?」

「好きにしなさいな。それの方が一番動きやすいでしょう、張郃さん。」

「御意。」

 

 

 

 

 

――成都――

三人の死闘は場所を移している。

華雄は関羽と大通りのど真ん中で。

恋は趙雲と屋根の上。

純は鈴々と路地裏。

 

劉備は、その場を後にすべきだろうが彼女の性格がそうさせなかった。

仲間の戦いを見守りたかったのだ。

 

――大通り――

「でぇい!!」

「はぁ!!」

もうすでに何十合と打ち合っているだろうか。

関羽は主を守るために。

華雄は主の無念をはらすために。

異なりあう二人の武人。

この二人の因縁は虎牢関からの宿命。

「・・・・・・・やるな、関羽。」

「・・・・・・・お主もな、華雄。」

 

 

――屋根の上――

「っふ・・・・・・・跳躍力、瞬発力ならば勝てると思ったのだがな。」

片膝をつき、わすかに口から血を滲ませる。

それを見下ろすのは紅い死神、恋。

「さすがは飛将軍、人中の呂布と呼ばれただけはある。」

「・・・・・・・・・・・・。」

「だが、負けるわけにはいかん。」

趙雲は立ち上がり槍を静かに構える。

「・・・・・・・・何でそこまで戦う?」

「我が主のため。」

「・・・・・・・・そう。」

「では、行くぞ!!」

 

シュ!!

 

恋の胸にめがけて槍が迫る。

しかし、恋は何もひるまず趙雲の槍を下からはじく。

 

ガキン!!

 

「っな!!」

疲れと恋のあまりにも重い一撃のために槍は空高くはじかれ、その反動によりわずかに足を崩す。

その瞬間、恋は戟を趙雲めがけて振り下ろした。

 

 

――路地裏――

路地裏は狭い。

長い矛を振るう張飛、同じく恋と似た戟を振るう純。

どちらにも狭い場所は不利となる。

なぜなら動きや得物を振るうにも制限がつくためだ。

ではなぜ、張飛はこの場所を選んだのか。

その直感のよさで、純の速さに対抗するためである。

狭い路地裏なら可能。

本人も無意識だろう。

ただ生きる、そして勝つという本能が張飛を動かしたのだ。

しかし、それはもう一人の紅い死神である純にとっては無意味。

「・・・・・・・・死ね。」

「せいっ!!」

 

ガキン!!

 

かろうじて純の一撃をかわし続けている張飛。

しかし、それは完全にかわしているわけではない。

わずかにかわす。

致命傷を避けているに過ぎない。

そのため張飛はすでにボロボロであった。

「・・・・・・・・しぶとい。」

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・でも、これで終わり。」

先程よりも・・・・・いや、今までよりも速い一撃が張飛の頸めがけて振るわれた。

 

 

 

 

 

武人同士の戦い。

それを止めるすべはあるのだろうか?

戦っている武人よりも強い武人なら止められるのかもしれない。

しかし、それだけでは完全ではない。

ならどうやって止めるか?

止めるのに必要なのはその場の誰にも負けない勢いと根性。

そして、どれだけその場を楽しむ事ができるか。

だが、この理屈は彼女たちだから言える事だろう。

 

 

 

 

 

――大通り――

「これで終わりだ、関羽!!」

二人の打ち合いは華雄の優勢になっていた。

華雄の勢いが勝ったのだ。

「させん!!」

「甘いわ!!」

「っく!!」

関羽がわずかにひるみ、華雄が戦斧を振るうのだが・・・・・・・・・・。

 

ビュゥゥゥゥン!!!!!

 

ドゴォォォォン!!!!!

 

何かが二人の間に割って飛んできた。

その何かはもの凄い轟音と砂埃を巻き上げる。

砂埃が晴れると、その場にあるのは一つの槍。

ありえないぐらい地面に深く突き刺さり、陥没させている。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

そのあまりにも突発的な出来事に二人は止まり、飛んできた方向に目をやる。

 

その人物は馬にまたがり翠を基調とした服を纏い、女性の象徴を揺らしながら大声で叫んだ。

 

「その喧嘩、この西涼の馬騰が買った!!」

 

 

――屋根の上――

空高く恋に飛ばされた槍が屋根に刺さる。

そして、その瞬間に恋が趙雲に振りかざした戟は止まった。

それもそうだろう、十文字の槍が二つ。

恋の戟を受け止めたのだから。

「・・・・・・・・・なんで来た。」

「喧嘩をするために決まってるだろう!」

「主の命により参った。」

翠と蒼は恋を押し返す。

恋はそのまま後ろに飛び間を空ける。

「お主らは、反乱軍のところにいた・・・・・・・・。」

「あぁ、馬超ってんだよろしくな。」

「某は龐徳。それより、そなたも得物を構えたほうがいい。」

「あぁ、そうだな。」

趙雲は槍をとり、構える。

「さて、今度はあたしらが相手だぜ!!」

「いざ、参る!」

「行くぞ!!」

 

「・・・・・・・・来い。」

 

 

――路地裏――

ドン!!

 

ガキン!!

 

純の戟が何かに弾かれる。

「でえぇぇぇぇい!!」

「!!」

そしてそれに合わせて、大きな黒い何かが純めがけ降ってきた。

 

ドゴォォォン!!

 

黒い棘のついた鈍器が地面を粉砕する。

「・・・・・・・誰。」

その一瞬の出来事に張飛も目を丸くする。

「な、何が起きたのだ。」

「大丈夫か?」

路地の奥より出てきたのは桔梗。

「お前たちは誰なのだ?」

「何、喧嘩に酔いにきただけの通りすがりよ。のぉ?」

「はい!!」

そして、地面を粉砕したのは焔耶である。

 

「・・・・・・・・・邪魔。」

 

 

 

 

 

 

 

予告

優しさは強さか

 

力は正義か

 

彼女は何を思うか

 

次回 心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第十七話 「劉備の理想」

 

全ては友のため、民のため。

 

 


 
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