No.828080

機動戦士ガンダム THE RED WARRIOR #1

古淵工機さん

レッドウォーリアを主役に、一年戦争モノはできないかなと思って書いてみたもの。
もしレッドウォーリアを『正史』に組み込むならどういう形になるだろうな、と…。

まぁ、個人的な妄想ではありますがどうぞお楽しみください。

2016-02-01 20:59:23 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:814   閲覧ユーザー数:802

U.C.(宇宙世紀)0079…ジオン公国が地球連邦政府に宣戦布告を行い、戦争が勃発してから11か月あまり。

長きにわたり膠着状態に陥っていた戦局は、11月9日のオデッサ作戦における連邦軍の勝利により、

地球圏の軍事バランスは連邦軍の優勢となっていた。

 

ここにいたり、地球連邦軍は最終的な勝利をつかむべく新形モビルスーツをはじめとする各種の開発計画に着手。

しかしジオン公国軍もこれを看過していたわけではなく、劣勢に立たされているこの状況を脱すべく反撃の機会をうかがっていた…。

 

…これから始まる物語は、戦場を駆けた『連邦の紅いMS』にまつわる記録である。

≪原作≫

矢立 肇・富野 由悠季

(「機動戦士ガンダム」より)

機動戦士ガンダム THE RED WARRIOR

 

Episode.1 紅の胎動

≪U.C.0079 11.15. 地球連邦軍ワルシャワ陸軍基地周辺≫

 

「どうだ?」

「そちらには見当たらんようだ。このあたりと聞いてたがな」

基地周辺を徘徊する数機のMS(モビルスーツ)…サンドブラウンに塗装されたMS-09(ドム)が、付近の様子をうかがっている。

この付近は地球連邦の勢力下となったとはいえ、こうして拠点奪回を目的にジオンの兵士たちが、なおうろついているのだった。

 

彼らがなぜワルシャワに現れたのか。

それはある情報筋から極秘裏に入手した『地球連邦軍の新MSが開発されている』という情報からだった。

「…こちらイワン・ソコロフ。ラディク、そちらの状況知らせ」

1機のドムのパイロット…イワン・ソコロフは付近にいるMSと連絡を取った。

 

基地の南側では別動隊のMSMSM-03C(ハイゴッグ)が潜入に成功していた。

「…こちらラディク・アブドル、基地内部への潜入に成功…なにやら資材が運び込まれている模様!MSではないかと」

「わかった。すぐに合流する、そこでしばらく待て」

「了解!」

ラディクは通信を終わると、基地の内部を捜索し始める。

 

「へへへ、なんだか知らんがまだ警備が手薄らしいな。連邦め、不用心もいいとこだぜ」

ラディクのハイゴッグが基地内のハンガーへ移動しようとしたその時である!

「…なんだぁ、ありゃあ…?」

ふと、ラディクは前方に見慣れないものを補足した。

トレーラーに積まれていた謎のMS。その先には連邦軍輸送機ガンペリーの姿がある。

 

「隊長、こちらラディク中尉…やはり情報は本当だったようです!連邦軍の試作MSかもしれません!」

「試作モビルスーツだと!?そいつはどこだ!」

「前方の輸送機に積み込む段階のようです。映像を送信します」

 

「…わかった。そのモビルスーツを輸送機に積み込ませるな。何としても阻止しろ…成功を祈る、ジオンに勝利を(ジーク・ジオン)

「ジーク・ジオン」

≪同時刻 地球連邦軍ワルシャワ陸軍基地内部≫

 

「基礎テスト終了。動作確認は問題なし。あとはコイツをジャブローまで運び出すだけだ」

「しかしなぜ今になってこいつの再設計が承認されたんスか?一度はコンペで敗退したんでしょうに」

 

基地内で話しているのは地球連邦軍ワルシャワ基地に配属されたテストパイロット、ヤマト・ケンザキ少尉とアラン・バークス中尉である。

 

「確かにな。F.S.W.S.(増加ウェポンシステム)の試験機としてはFA-78(フルアーマー)に軍配が上がった…」

「それがどうかしたんスか?」

「シロウ・キョウダ主任がイタノ博士のアイデアを基に設計したPF-78(パーフェクトガンダム)…確かに武装面では充実していたが…機体のバランスが悪かった」

完璧(パーフェクト)と呼ぶには無理のあるMS(シロモノ)だったってことか…なるほど。要するに、同時期に出されたFA-78のほうが理にかなっていたということッスね?」

「実際、FA-78のプロトタイプ機はビーハイヴ隊に配備されているようだが…ただ一つ引っかかることがあるんだ」

「引っかかることってのは?」

 

アランはコーヒーを一口すすったのち、こう答えた。

「FA-78は確かに優秀かもしれない、だが配属されたのは宇宙(そら)だ。あれにはまだ地上でのノウハウがない。つまり…」

 

その刹那、基地内にアラートサインが響き渡る。

 

緊急事態(アラート)!緊急事態!ジオンのMSが基地内に侵入!MSパイロットは各自、第一級迎撃態勢に入れ!繰り返す!!』

「ヤツら…アレに気付いたのか、くそっ!!今ここでアレを喪うわけには…行くぞヤマト!!」

「了解!!」

緊急警報を受け、基地に配備されていたRGM-79G(ジム・コマンド)が出撃を開始する。

 

「…現れやがったな連邦の犬ども、そこに新形MSがあるってのはわかってるんだ!行かせるかよ!!」

意気込むラディクのハイゴッグの後ろから、ソコロフたちの駆るドムが合流する。

 

「ラディク!無事か!!」

「はっ、まだ自分は戦闘に入ってはいません。しかし…連邦のヤツらが気付きやがったんでさ!」

「うろたえるなラディク…。ヤツら、ジム数機で何をしようとしてんだか知らんが、このまま強攻してブツを破壊するまでだ!」

「了解!!!」

 

交戦状態に入るジオン軍MSと連邦軍ジム隊。ジオン側はさらに後ろに待機させていたMS-07B(グフ)MS-06FZ(ザクⅡ改)フリッツヘルムなどを送り出してきたのだ。

 

「おいおいおい!こんなにバックにMS部隊を用意してたなんて聞いてないぞ!!」

焦りの色を隠せない様子のアラン。彼のジム・コマンドに、ソコロフのドムが迫る!!

「もらったぁぁぁぁぁああ!」

(くそったれ…死ぬのか、俺はこんなところで…!)

ドムのヒートサーベルが、アラン機に当たる…その寸前だった。

「ぐわっ…!?」

「ヤマト!?」

なんと、ヤマト機がアラン機をかばいダメージを負ったのだ。

命中したのは脚部。MSの全重量を支え、地上での移動においても要となるこの部分にダメージを負っては立ち上がるのは困難だろう。

 

「ちぃ!よくも邪魔を…」

「よくもはこっちの台詞だ!…ヤマトに何しやがるッ!!!」

相手が怯んだ隙を突き、アランはジムのシールドを、ソコロフの駆るドムの頭部めがけ叩き付ける!!

 

「う、うおぉぉっ!?」

殴られた勢いで後方に吹っ飛ぶドム。アランが振り向くと、起てなくなっていたジムのコックピットから這い出すヤマトの姿が。

「ヤマト!無事か!?」

「自分は大丈夫…でもジムの脚がやられて…!代わりのMSを捜してみます!!」

「しかし、今の強襲で使えるジムはほとんど…」

すると、ヤマトはトレーラーの上のMSを指さした!

 

「まだコイツが残ってます!こうなったらやるしかねえ!」

「待て!そいつはジャブローに送り届ける大事なトラの子なんだぞ!!」

「けど、このままここに置いててもいずれ壊されちまう!動ける機体が残ってないならやるしかないでしょ!!」

「くっ…これもやむなしか!だが無理はするな!!」

「了解!!」

ヤマトは一目散に、トレーラーの上のMSを目指して走り始める。

「させるかよ!よくも隊長をハメてくれたな小僧ーーーッ!」

走るヤマトめがけ、ラディクのハイゴッグがハンドミサイルを構える!

 

「逝っちまい…何ぃ!?」

「貴様らの相手は俺だって!!」

アラン機のビームサーベルが、ハイゴッグの腕を切り裂く。

ビームの熱でハンドミサイルは誘爆、爆風で吹き飛ばされる両者。

アランのジムは右腕を失い、ラディクのハイゴッグは機体の半分が吹き飛んだ。

 

「ラディク…!貴様よくも…ラディクを!!!」

怒りに震えるソコロフが、ヒートサーベルを振りかざしアランに迫る!!

(ちっ、俺もヤキが回ったかな…)

アランが今度こそ死を覚悟した、まさにその時だ!!

「が…っ…!?」

「ヤマト!!早かったじゃねえか!!」

「なん…だと…、貴様動けたのか!!」

なんとか立ち上がろうとするソコロフ、その目の前に立っていたMSは…。

 

「…馬鹿な!紅い…ガンダム…だと!?」

 

≪To be continued...≫


 
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